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表題作そらのだいじな旦那さま

三雲高虎,22歳,隼瀬浦の領主
空良(捨),16才,小国「伊久琵」領主の子

その他の収録作品

  • 冬の晴れ間 雪解けの道
  • あとがき

あらすじ

難産の末に母が亡くなったせいで父に疎まれ、双子の姉の身代わりに人質として新興の小国に嫁がされた捨(すて)。しいたげられた生活の中でも捻くれることなく無垢なままに育った捨は、強く優しい夫の高虎に「空良(そら)」という名前を与えられ初めて生きる意味を見つける。高虎の役に立ちたいとけなげに振る舞う空良だが夫婦の契りに関しては知識がなく……?

作品情報

作品名
そらのだいじな旦那さま
著者
野原滋 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
そらのだいじな旦那さま
発売日
ISBN
9784344839038
4.3

(235)

(130)

萌々

(73)

(19)

中立

(4)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
22
得点
1003
評価数
235
平均
4.3 / 5
神率
55.3%

レビュー投稿数22

そらのすべては旦那さま

何度読んでも泣ける。そして空良がどんどん変わっていくのが幸せで。

野原さんの包容力攻めって素晴らしいですよね。高虎の人の気持ちの機微にさとくて優しくて、空良の境遇に怒ってくれて、何もかもを教えてくれて。

本当に可哀想だった空良。可哀想だということすら知らないで。恵まれた自然の恵みに感謝して何にも知らずに生きてきて。
空良の父親も酷いです。時代物のお話を読むと双子の悲劇はよくありますが、本当だったとしたらなんという愚かなことを。

でも高虎と出会えて良かったね!
空良には愛される素質があると。儚くて可愛らしくて愛らしくて初々しくて謙虚で。
俺が幸せにしてやりたいって。
高虎にすっかり愛され元気になっていき、嫉妬を覚え…。
何度も高虎が笑って空良を見つめる描写が出てきて、もう愛されてるね!
空良の養生も誰にも譲らず付きっきりで、口移しで薬やご飯を与えるのも萌えました。

初めてのエッチをこんなに楽しみにしてくれる攻めもいいですよね!俺が全部教えてやるとか、蕾に大輪の花を開かせようとか、ちょっとオヤジか?な所もありましたが。

次郎丸や魁傑と四人でのほのぼのもとってもなごみました。
旦那さま呼びも萌えました。

1

まさにBL大河① 不憫で健気すぎる…

この小説に出会ったことを嬉しく思いました。
何ですか、この胸が熱くなる気持ちは。震えました…。
ピッコマの無料と「読めば¥0」で何となく読み始めたらどハマりしました。大河ドラマかよってくらいのスケールの大きいストーリー。1巻より2巻、2巻より3巻と…話がどんどん面白く引き込まれていきます。

歴史物など好きな方はハマるんじゃないかな。超絶おススメです!


主人公・空良の境遇がとにかく不憫で可哀想。最初から気分が落ち込みました…。双子の出産で難産だったため母親が死亡。空良がなかなか産まれてこなかったのが原因だと、実父から酷い扱いを受け馬小屋で16年生活をしています。

それなのに姉の代わりに隼瀬浦国に嫁げと突然言う父親。居なくてていい存在の空良ですから、姉の方を手元に残したいがために、男である空良に嫁げとはまぁ酷いです。男だと分かって隼瀬浦が激怒しても、空良がそれでどのような仕打ちを受けようと知ったことないって感じの父親に怒りを覚えます。


こんな胸糞わるい感じで始まるので、嫁ぎ先の隼瀬浦では幸せになるんじゃないかと期待ワクワクしながら読み進めていきました。

期待を裏切らない展開にニンマリ。隼瀬浦の領主の長男・高虎に出会い、この高虎が何とまぁ良い男で!嫁いできたのが男の空良だと知っても受け入れます。高虎の家来の魁傑や、高虎の弟の次郎丸も本当に良い人で、高虎に空良という素敵な名前も貰って大事に扱われています。

空良には特異能力があって、天気を読めたり動物の心が読めます。空良の能力は巻を進めるごとにパワーアップしていきます。空良の能力発揮エピソードが大好きです!
その能力で奇襲をかける敵から隼瀬浦を守ります。そのとき次郎丸を庇い大怪我を負い、瀕死になるのですが…このシーンが涙・涙です。高虎との枕元での会話に涙腺崩壊。本当に読んでみて欲しいです……胸が熱くなります。

回復後は2人のあまあまターン。
エッチのときは、空良の儚げで健気な感じが色っぽいです。時代的なものもあって2人の交わす言葉も素敵でした。「旦那さま」「俺の嫁様」って言葉が良いですね。


野原先生のストーリー運びに脱帽です。無駄なところがなく、終始惹きつけられました。
次巻の「いとしい〜」のお話もまた涙なしでは読めない素晴らしいストーリーです。続けて読むと更にそらシリーズの世界観にどっぷり浸かれることが出来ると思います。



0

ひたすら健気

ドつぼにはまった作品でした。

難産の末に生まれた捨(空良の元の呼び名)。
そのせいで母が亡くなり父に疎まれ、双子の姉の身代わりに隼瀬浦に嫁ぐことになった。
早々に身代わりと言うことがバレ殺されそうになるのだけど
そこを助けてくれた高虎(空良の嫁ぐ相手)に「空良(そら)」という名前を与えられ初めて生きる意味を見つけます。
そしてー…。

本当に空良が健気で儚くて目を離せませんでした。
ずっと馬小屋で馬と共に生きてきた空良。
それが普通の事で自分の事を可哀想と思ったこともなくそこに私は悲しさを感じました。
高虎もだからこそ幸せにしてやりたいと思ったとのちに言うのですが、
ほんとに読んでいると幸せになって欲しくてたまらなくなります。

途中で困難なこともあるのですがそれも乗り越え
空良が幸せそうな場面では涙なしでは読めませんでした。
一つになれた時もよかったねぇ…!の一言だったし、
ほんとに高虎に出会えてよかったなぁと思いました。
全てが初めての空良を大事に大事に育てていく高虎。

これからもずっと何回も読みたい作品です。

0

萌え萌え

リーマンものが得意な作家だそうですが、時代ものも上手だと思う。

ありそうで無さそうな御伽話。
多分戦国時代の日本、三雲高虎の元に、双子の姉の身替りに嫁ぐことになった忌み子のシンデレラ物語。
三雲家から、末子を嫁に出すようにと政略結婚の話が起きたが、娘は嫁ぎ先が決まっていた。
末子の息子に名も付けず、馬小屋に捨てたように放り出していた領主である父親は、捨てた息子を呼び出して、愛する妻が難産で死んだのは忌み子のお前のせいだと責めて、藩のピンチをお前の命で救って贖えと言う。
・・・なんて勝手で鬼畜な父親なんだ!

頭が悪いのか、聖者なのか、捨(すて)と呼ばれて育った忌み子は、父を恨まない。誰も責めないで、自分が悪いのだと、男子だとばれた時には死ぬ覚悟で嫁ぐ。
ばれて、騙した罪の処罰を恐れて、嫁入り行列に随行する者が徐々に逃げて減っていく。
・・・トップが薄情なら、家臣も薄情。義も道理もない現金さに呆れた。

縁組相手の若武者、三雲高虎は、とても情け深い義の人だった。憐れな美しい忌み子は、気に入られて嫁として扱われ、「空良(そら)」という名をもらう。そらには、特殊な能力があり、気象の予測や、動物の耀宇から侵入者の有無などが察知出来た。
この後、敵の襲撃を受けて、庇って受けた傷でそらは死にかけて、

あとがきを読むと、どうやら、不憫、健気、無垢の結晶が「そら」というキャラ。
・・とあって、不憫受けって、こんなに不幸に見舞われるものなのか、そしてどんだけ不幸に襲われても死にそうで死なない、不憫で健気な受けキャラは不死身設定なんだな、と感心感動してしまった。


面白かったので 神。

0

愛が溢れてます。

この巻だけ読んでたらちょっと受けが女性的というか、女性の代わりの様でしかなかったんです。あまりに攻めの周りの人がすんなり受け入れている風に見えてしまったからだと思います。

とは言え、受けが重傷を負った際の受けの生への執着の無さはそれまでの人生があまりにも酷かったからだろうと納得しつつも、悲しすぎました。
そして、本人が手放そうとしている生を必死になって取り戻そうとする攻めと周りの人たちに胸が熱々になります。

幸せになってくれて良かった。
最新巻まで読んでからの感想です。

2

切なくて泣けました ベストオブ健気不憫受け

生まれた時から何も無くそれが当たり前の毎日に、自分が不幸だとか不満に思うこともないまま精一杯生きている少年が幸せになっていく物語です。

誰にも愛されず誰にも顧みられることもないまま16まで生きて来た少年。
難産の末亡くなった母を愛していた父親に恨まれ名さえも与えられずに馬屋で雑用をしていた少年は、領主の父親から同盟国の領主(高虎)の元に花嫁として嫁げと命じられる。
バレれば命は無く死ぬまでの間にせめて時間稼ぎをしろと言う。
少年は、これまで生かしてくれた故郷のために身を捧げる決意をして隣国へと旅立つのでした。

お産で愛する妻を失ったからといって、怒りや悲しみのやり場に弱い幼子にぶつけて発散させるとは人間以下の父親です。
その上駒のように差し出し、なんの役にも立たなかったのだからせめて生まれた理由を見せてみろとは非道すぎます。

少年の父親が新興国だ小国だとバカにしていた国の領主の息子はそこへいくと聡明で凛々しく男らしいです。
不憫な少年の生い立ちに同情し空良という名を与えます。
素直で思いやりのある少年との日々に癒されいつしか恋愛感情が生まれてくるのも不思議ではないでしょう。

初めての精通にうろたえ、体の変化に病だと思う空良の無垢さに『どうしてくれよう』と悶える高虎の姿に萌えました。

初めは偽の花嫁だと命を取られそうにもなったけれど、誰にも必要とされなかった空良が新たな地で愛を知り大切にされ居場所ができて本当に良かったです。

脇キャラの次郎丸と魁傑とのやりとりが漫才のように面白かった。
察しがいいんだか悪いんだか、次郎丸はまだ子供な面もありますが、男女の機微に疎い二人が補い合いながらいい感じで笑えました。

2

BLのようなTLのような……

溺愛攻めということで購入し久しぶりに読み返してみたのだけど、いい具合に後半の展開を忘れていたので予想外の展開を楽しめました。

不憫な境遇にいたそらが姉の身代わりとなって嫁がされてしまい、自分が男だとバレたら命はない…と覚悟しつつも、生まれて初めて見る美しい景色を楽しもうとしている健気さが何ともいじらしくて……。
嫁ぎ先の旦那様が男前の出来た男で、初心でピュアなそらを大事に大事にしている様子が読んでて心和む……。

脳内でそらのセリフを読み上げている時に、脳内ボイスが自然と女声になってしまうのは私だけかなぁ……?
おまけに女の私よりも淑やかで高め&細めの声なんです。

旦那さま呼び、自分のことはわたし呼び、丁寧で控えめなですます調&純粋無垢で控えめな性格&初々しくてガサツさ皆無というキャラなので、どうやっても脳内ボイスがおしとやかなお姫様キャラになってしまう。
漫画だったら強制的に視覚でそら=男の子だと認識できるからそんな事はないはずだけど、電子で挿絵もなかったことも一因だと思います。
どうやっても修正できなかった…。

二人の口調が主従関係の男女カプっぽいのでTLとしても普通に読めてしまうんですよね。(冒頭の男のそらを送り込むとかそういうところは抜きにして)
だから途中で脳内ボイス修正を放棄して、そらは女の子・姫様みたいな感じで読んでました。
だからBLというよりも半分はTLとして読んだような感じかな……。


私は攻めの弟・次郎丸と、山賊あがりで朴訥とした家来・魁傑のやり取りが主従関係でありながら、絶妙な漫才というかじゃれあいというか、読んでて楽しくなるやり取りがとても好きで、もっとこの二人読みたいなぁと思いました。

ーーーーーー
それにしても、私がそらの母親だったら、命を賭けて産み落とした愛しい我が子にあんな仕打ちをする馬鹿夫、絶対許さない。
夫が三途の川渡ってきた時点で、離縁状を突きつけます。
「死んでも許さない!」と。

1

攻めが受けにズギュン、ぐっ、とされるのを見守るのが好きなら

うわぁコレ楽しい。シュチュエーションがエロ領主が若い綺麗な隣国の姫を政治圧力で嫁にする、そういう王道なのですが。!!なんてこった。若いイケメンとピュア美少年だとこんなにもウキウキ出来るお話になるのですね!萌えました。攻め様の受け溺愛、いじめて怖がらせてしまった、大事だからゆっくり鳴かす、お楽しみはじっくりと加減が絶妙。凄い勢いで読み終えてしまって、切ないのです。

2

不憫受けの時代物

不憫で可愛そうで初心でピュアな受け好きさんならお薦めです~。

そらのピュアさったら~もうっ!なんて純真無垢なのっ!な感じで悶えます~。
自然と対話できる、自然を感じる事ができる特殊能力的な描写も違和感なく受け入れられます。

前半の空良(捨)の境遇や自分の置かれている立場についての認識等、涙エピ満載です。
時代物がこの背景にしっくりきてます。

高虎様の弟「次郎丸」と家来の「魁傑」という脇の2人がキャラの立っていて、やり取りも楽しいです。
次郎丸の無邪気さもところどころポイントです!

読み応えありでした~!


以下、ちょっとだけネタバレかな?


コミコミ特典は本編と巻末の「冬の晴れ間 雪解けの道」の間のお話で可愛いやり取りにほっこりです。
そらが幸せで、幸せを受け入れるようになって、な 幸せなお話です。

続き?が同人誌も出てるのでそちらもこれから読もうと思います!

4

甘々で溺愛

冷遇されて生きていて、父の命令により姉のふりをして時間稼ぎをしろという、いくらなんでも憎み過ぎじゃないかというくらい父親が酷いです。読んでいて空良(この時は捨という名ですが)が自分の運命を受け入れているというか、よく素直に育ったなと不思議に思っていました。何故かと思ったら空良が不幸だったという事を不幸と認識していなかったという事が後に分かります。

攻めである高虎側も最初こそ、受け入れ拒否をしようとしましたが、高虎がそれを阻止し空良を甘やかして幸せを与えてくれます。
高虎の弟も可愛いので空良とのやりとりにほっこりします。

甘々で後半には事件もあるのでただの甘々では終わらないというので読み応えがあるのですが、ちょっと何か物足りないです。
ですが、オススメの作品です。

3

ここ最近で一番!

レビューを見て気になっていたんですが、
もっと早く読むべきだったとほんとに思った作品です。
空良の口からはなんてことない事のように出てくる言葉達が悲しくて切なくて
でも空良はそれが当たり前で、
自然と共に生きていて自然の美しさを誰よりも知ってて
言葉にできないくらい最高の一冊でした。

高虎側のみんなも良い人ばかりで(空良が来たばかりの受け入れ難いみたいな所はあまり出てこないのでそこはもう少しあってもよかったかな)と言っても高虎の頑張りでもあるのかな?

高虎のスパダリ感と空良の健気で愛らしいのが最高でした。

4

タイトル通りの甘々

タイトルから受ける印象そのままの、溺愛スパダリ武士×可愛らしい健気不憫受けの話でした。
可愛いらしい受けが、強いイケメン攻め様に守られる・愛される話は元々好みでは無いのですが、
やはり王道なのでこういう作品が好きな方は多いだろうなと思います。
物語自体はいい意味で読みやすくスラスラ読めましたし、
話の展開も想像してなかった展開が待っていて新鮮でしたー。

嫡男ではないとはいえ、攻め様は後継を作らずそれでいいのかい?とか
細かいところはあまり考えずに、ファンタジーとして楽しむのが良さそうです。
こうして書くとご都合っぽく受け取られてしまうかもしれませんが、
あのクライマックスシーンは泣きながら読みました(´;ω;`)
最後まで読み終わったいま、2人はこうして続いていくのだろうなとほっこりします。
安心・安定の甘い作品がお好きな方はぜひ。

2

溺愛ものを読みたい時に

不憫な受けが、イケメンに見い出してもらって幸せになる、典型的なシンデレラストーリー。
だからこそ何の不安も感じずに、物語世界に没頭できました。
それでいて飽きることなく、先へ先へと読めた。
とっても楽しかったです。

不満はほとんどないのですが、ちょっとだけ物足りなかったかな……?という気がしないでもない。
時代物ならではのすれ違いとか、男同士であるがゆえの切ない展開がもっとあってもいいのになーと。
受けがネガティブになりすぎても鬱陶しいものではありますが、しかしマイナス要素が入り込む隙もないほどの、見事な攻めの溺愛っぷりでした。

溺愛ものを読みたーい!という気分の時に読むと、すっごくいいと思います。

3

ザ・王道という感じの、気持ちよく読めるシンデレラストーリー

戦国時代とおぼしき時代物。
双子として生まれ、殺されることこそ免れたものの捨て子同然の暮しをしていた、捨。
ある日突然、父親の命令で妹の身代わりに他国に輿入れすることになる。
目的は時間稼ぎ、勿論バレれば死。
覚悟して旅立っていった捨だったが、迎えに来た武将は捨を思いやり
今まで知らなかった世界を見せてくれる……

勿論、この素敵な武将が捨のお相手、領主の長男・高虎。
屋敷の離れを与えられて、更には空良(そら)という名前も与えられて
初めての穏やかで思いやられた日々が始まる。


不憫受け、は自分のツボではないのだけれど
この子は卑屈さやネガティブグルグルがなく、ピュアに健気なところがいい。
自然を愛し愛され、鳥の歌を聴き、風の声を聞く。
そんな自分の特技を生かして、積極的に役に立とうとする前向きさも〇。

一方の高虎は、登場の時から好感度高く、強く優しく誠実。
家臣団にも信頼が厚く、空良を大事に守り慈しむ素敵な旦那様攻め。

無垢な空良が、旦那様に閨のことを手取り足取り教えられる様は
定番の萌え。
脇役の高虎の小さな異母弟・次郎丸と、家臣の魁傑のやりとりも楽しく
気持ち良く読み終える1冊だった。


あんな育ちなのに、空良の言葉使いや立ち居振る舞いに品があり過ぎるのが
最初っから不自然で引っかかりはしたのだけれど、
全体には主要な登場人物が皆とても感じよく、
定番なれど事件を乗り越えて結ばれ幸せになる様は愛おしく、
甘く優しい雰囲気の、シンデレラストーリーでした。

6

いっぱい泣きました

表題作とSSの二篇

「そらの大事な旦那さま」

時は戦国時代。空良(受け)は小国の領主の息子、双子の弟として生まれました。
この時代双子というだけでも忌まわしいものなのに、姉が生まれた後も一日以上も出てこず、生まれ落ちたときには母親は体力を使い果たし儚くなってしまいます。忌子として即座に殺されるところを母親が最後までかばってくれたおかげで殺されることなく、とはいえ世話をされることもなく、厩番夫婦のところに預けられ名前も付けてもらえずにこき使われます。
16歳になり、美しく育った姉の政略結婚に反対の父親に、戦の時間稼ぎのため代わりに嫁ぐように言われます。

空良は何も持っておらず、馬小屋で暮らし自然の中で生かされてきたため、自然を読むことに長け自然災害などを予知することができます。が、忌子であることに加え、それが余計に周りに恐れられる結果となり孤独の中で生きていくことになります。ただ、皆が寄ってこなかったため酷いいじめに遭わなかったことだけが僥倖だったと思います。幸せを知らないため自分が不幸であることにすら気が付かない空良が不憫でなりません。
何も望まない空良が初めて欲しがったものが名前だったなんて、名前は親が最初に送る贈り物だと思うと本当に何ももらっていないんだと切なくなります。

高虎(攻め)は隼瀬浦という新興勢力の小国ではあるけれど、勇猛果敢な戦上手な国の領主の息子です。側室腹なので跡継ぎではありませんが、弟で嫡男の次郎丸を可愛がり国のために力を尽くしている強く優しい人でした。

読んでいる間半分くらいは泣いてました。
空良の境遇に泣き、ばれたら即処刑とわかっていて故郷のために姉の身代わりに輿入れする健気さに泣き、未来の話をしていてもそれを見ることはかなわないだろうという切なさに泣き、やっと幸せになったとおもったら、戦に巻き込まれて重体となり、忌子と言われてきた自分が人のために死ねると安心して逝こうとするのを見ては泣きました。ほぼ一気に読み終わった後は泣き過ぎで目が痛くなりました。

でも、平和な時の高虎が空良を幸せにしようと気を遣うところや、高虎を慕っている弟の次郎丸と高虎の従僕の魁傑の二人のじゃれあいはとても楽しく、空良の心を明るくしてくれます。

さんざん泣きましたが、嫌な気持ちになることもなく、読み終わった後は幸せな気持ちになれるお話しでした。
本当の意味で夫婦になったのは本当に最後の最後なので、砂を吐くほど甘々になりそうな高虎との甘やかしをもっともっと読みたかったのが本音です。
でも、二人が夫婦となったときからずっと高虎は空良に甘々なので絡みは少ないですが満足です。

気になったのは、時代劇は苦手だということなので時代劇っぽいファンタジーみないになっているのは仕方ないとしても、領主である高虎の父親の存在感がないのが気になりました。作中に名前しか出てこないというのは不自然に感じました。嫡男ではないにしても息子の嫁(たとえ男だとしても)に一度も会わないってのは変だなと、隼瀬浦を守った功労者として最後家臣にも嫁だと認められたんだし祝言をちゃんとあげてほしかったです。


「冬の晴れ間雪解けの道」
高虎の弟次郎丸視点。雪解けのころに高虎夫婦と次郎丸、魁傑の4人で湯治に行くお話です。高虎は相変わらず甘々です。

「長く甘い冬のはじまり」(電子限定おまけ)
空良のケガが少しずつ良くなって、本当の夫婦になるために高虎が空良の身体を少しずつ解していく話。

電子書籍は挿絵がないので紙書籍にしたのですが、電子のおまけが読みたくて結局電子も買ってしまいました。ルチル文庫の電子書籍はすべて挿絵がないので他の電子書籍と同じように挿絵をつけてほしいです。

7

愛し愛されていっぱい幸せになってほしい2人です

 私の萌要素がたくさんあって、たいへんおいしく読ませて頂きました。

 自分が傍からみればひどく不遇な境遇にいることを知らず、虫や鳥などの動物とのふれあいや、自然の恩恵を大事にして生きてきた受け様の空良。
素直で純真無垢、でも庇護されるだけの子ではなく大事な者を守る為に頑張れる強さと優しさを持ったたいへんいい子でございました。

 包容力があり、強く優しく男前な攻め様の高虎。
こちらも空良を優しく穏やかに包み込んで、言葉でも態度でも溺愛丸出しでたいへん高得点な攻め様。

 空良があまりに無垢なのと、初めに怖がらせてしまったのを後悔した高虎が、手を出すのをためらっていたのを、家臣の魁傑にハッパをかけられ、手ほどきをしていく訳ですが…。
ゆっくりゆっくり、時間を、どころか日数をかけてやさしーく心も体もとろけさせていっていて。
自分が育てて花を咲かせると思えば楽しみだ、と言ってた通り、空良の体はもちろん気持ちも無理をさせないようかわいがっていて、溺愛好きな私にはたまりませんでした。

 高虎が戦に出かけた隙をついて敵が襲ってきて避難してる時、助けに戻ってきた高虎の目の前で切られてしまう空良。
生死の境を彷徨う空良を献身的に介護する高虎の姿にまたしてもたまらない私。
受け様が危ない目にあったりして、それに焦燥したり慟哭したり切羽詰る受け様の姿を見てその心中を妄想するのが多分一番の私の萌ツボなので、ここはもうね、切なくて切なくてよかった。
空良を抱きしめて口移しで薬を飲ませながら、切々と空良にこれからも共に生きていこう、と語りかける高虎。
死んでもいい、と思っていた空良に生への執着を芽生えさせていく高虎のひたむきな愛情にきゅんきゅんでした。

 2人はもちろんよかったのに加え、家臣の魁傑と弟の次郎丸のやり取りも微笑ましくてとても幸せな気持ちにさせてもらえた一冊でした。

7

次郎丸きゃわたん

久しぶりにBL読んで泣きました〜。
スパダリと不憫受けにきゅんきゅんです。
受けは不憫な生い立ちではあるのですが、捻くれもせず、純真無垢に育っています。しかし、いざという時は芯の強い勇気ある性格なのも良かった。攻めも包容力があり優しくて、主人公が幸せすぎて夢見たいって思ってるんですが、読んでる私も夢心地でした。読んで損なし!絶対オススメです!!
また、脇を固める攻め弟と攻め家臣の漫才?にもほっこりさせられました♡
この2人の話も是非読みたいです!!

4

ティッシュ何枚使ったかな…

久しぶりに、本当に久しぶりにここまで泣いたんじゃないかな…ってくらい泣かされた、とても素敵なお話でした。
最初からウルっとくるとこが何回かあり、「あー…これ、やばいかも」と読み進めていたのですがやっぱり途中から涙が止まらず一端読むのを止めなきゃいけないくらいで…笑。

受けさんの空良があまりにも不憫で…それでも、産まれた時からその境遇・仕打ちが当たり前だったので、決していい子ぶってとかではなく自分を不幸とも思わずただただ自然とだけ友達のように生きていた姿に、涙を誘われつつも好感の持てる健気設定でした。
そんな空良の名付け親にもなる攻めさんの高虎は、最初からどの行動も空良の為を思ってやっていることばかりで、わかり易く口にも態度にも出さないけどその高度の端々から空良を大切にしている事が伝わってくるので、初めて空良は本当に幸せになれるんです。
あとはいちゃいちゃ溺愛して終わりかなー…と思ってたら最後の最後に事件があって、空良の真の心強さと本当の健気さというものを見せられた気がして、この数ページに何枚ティッシュを使ったかわかりません。

また、脇キャラとして主要人物並に出てくる次郎丸と魁傑も本当に好きです。
この2人あってこその1冊だと思います。

心温まること間違いないお話なので、是非1人で静かな環境で読んでほしい1冊です( *´︶`*)

10

溺愛攻め×薄幸受け

自分を産んだときに母親が亡くなったため、父親から疎まれ捨てられた受け。そんな受けを姉の身代わりとして他国へ嫁がせるという計画が持ち上がる。男と知られたら殺される運命を背負い、他国へ嫁いだ受けだったが…。


時代ものです。受けは領主の元に生まれながら、忌み嫌われる双子であり、また自分を産んだことが原因で母親が亡くなったせいで館から放逐されます。
のたれ死ぬところを馬屋番の夫婦に拾ってもらいましたが、馬屋番たちからもいじめられ働かされ、名前もつけられず16歳まで育ったという筋金入りの薄幸さです。
自分が不幸なのだということも理解できず、小鳥たちだけを友として暮らしていたある日、受けを捨てた父親から呼び出され、双子の姉の身代わりに他国へ嫁げと命じられます。
男の身だとバレたら殺されるから出来るだけ時間を稼げ、と言われ、花嫁道中のあいだ恐ろしく悲しく過ごしていたのですが、花嫁を迎えに来た嫁ぎ先の国の護衛に初めて人らしい扱いを受け、嬉しいやら申し訳ないやら。

結局その迎えが攻めであり、攻めと過ごす受けはすごく微笑ましく可愛らしいです。栄養状態の悪い受けは11歳の子供と変わらないような体重の軽さで、攻めはがっしり長身の武人。散歩に連れ出してもらう時の、ひょいひょい担ぎ上げられて運ばれる体格差が、体格差萌え属性のある身には非常に萌えられました。
受けの視点なので攻めの気持ちは直接描かれていませんが、ひたすら受けを可愛く愛おしく思っているようなのにも萌えました。今までの不幸さがひどいので、ぜひともがっつり可愛がってもらってくれ…! と思いました。

攻めは優しいし、受けは身の回りの世話をする元山賊の従者、攻めの弟などにも好かれ、幸せに日々を送っていたのですが、さらにかわいそうな目に遭います。
その不幸は、それまでの不幸と違い、受けにとっては不幸ではないのです。でも読んでいるこちらには辛い…。

とにかく幸せになってほしいと思わせる、幸薄く健気な受けでした。
幸せになってくれるといいな。

8

高虎の献身と空良の清廉さに感動。

サマミヤアカザさんのイラストと歴史モノという設定に惹かれました。ひたすら甘い溺愛モノかと思いきや、切ない場面もあり、見応えのある一冊となっております。

領主の息子として産まれながらも、父に疎まれ幸せとはいえない子供時代を過ごした捨(のちの空良)。けれど、旦那様である高虎と出会うまでは、そもそも幸せがどういったものであるかすら知らなかった為、自分が不遇だとは思っていなかった。

高虎に愛され、過去の自分がいかに憐れだったかを知った後も、自分の父や故郷を思う空良に心打たれました。
そして生死を彷徨っていた空良を献身的に看病する高虎にも、涙が止まりませんでした。高虎がずっと声をかけ続けていたからこそ空良は戻って来ることができたのだと思います。

他の方々も書かれてますが、私もゾ◯リ(あ、魁傑のことね)と次郎丸のスピンオフはぜひぜひ読みたいです!

8

ツボに入りまくり

初読みの作家さまでしたが、可愛らしいタイトルと表紙につられ購入。ほっこり可愛いお話かと思いきや、序盤はシリアスムード満載。薄幸・健気受けさんが大好物なので、初っ端からがっつり食いついて読んでしまいました。





主人公は捨(受け)。彼視点で話は展開していきます。
とある国の領主の息子でありながら、出産時にトラブルがあったことで実母は他界。愛する妻を亡くしたことを息子のせいにした父親は彼を実質的に捨ててしまい、孤独で過酷な幼少時代を過ごします。
領主の逆鱗に触れぬよう、住民たちも彼に対して冷たく当たり、名前も付けてもらえずにいます。数人に「捨」と呼ばれるだけ。

そんな捨ですが、小国との取引の材料として嫁として出されることに。男であることがばれたら相手の逆鱗に触れ殺されてしまうことは分かり切っていてなお、「自分(父親)のために嫁として行け」と言われた捨は、失意の中相手国へと出発するのです。

道中、男とばれたら殺される可能性があるためついてきてくれた自分の国の人が逃げていく中、嫁ぎ先の小国の人が迎えに来てくれるのですが…。

というお話。

自分の父親に大切にされることもなく、また父親の代わりになり保護してくれる人もいない中育った捨が、健気ちゃんで切ない。自分の境遇が「哀れ」なのだという事も理解できないんですね。

その捨に、「空良」と名付け、大切に、深い愛情を注いでくれるのが嫁ぎ先の高虎。高虎が空良を愛するようになった過程がややご都合主義的な感じはあるものの、イケメンで強くて、そして一国の跡継ぎというスパダリさんで、もうカッコいいのなんのって…!

こういう「身代わりもの」って、男だとばれないようにと腐心するものが多い気がしますが、この作品はしょっぱなから男ってばれちゃってて、ちょっと斬新でした。

見返りのない愛情を注いでもらったことのなかった空良が、高虎からの愛情に包まれ幸せになっていく過程にとっても萌えました。
空良が性的にまっさらさんだったのも高ポイント。そんな彼を徐々に開花させていく高虎がエロかった☆

この二人もとっても良かったのですが、高虎の弟や家臣の魁傑といった脇キャラもいい味出してました。
ぜひともこの二人のスピンオフを出していただきたい。

薄幸・健気受けさんがお好きな方や、溺愛攻めがお好きな方にお勧めの、とっても可愛らしく、温かなお話でした。


22

幸せになっていいんだよ!!!

時代物+花嫁ネタです。読んでいた印象としては、戦国時代っぽい感じ。時代物だからでしょうが、旦那様が22才でお嫁様が16才! 幼妻やん…。旦那様は22才とは思えない包容力の持ち主でした(*´ω`*)

内容としては、とにかく甘い溺愛ものです。更に甘いだけではなく、ちゃんとシリアス展開もあり、かなり読み応えのある感動作。泣いた…。
不憫受けが嫁ぎ先で、旦那様の深い愛情で包み込まれ幸せになっていく過程を描いてあります。あとがきでは、「昔々のおとぎ話」と…。またイラストが良く合っていて、とても素敵なのです!


受けの空良はかなり不憫な境遇。自分の出産と引き換えに母親が亡くなった事から、領主の息子であるにもかかわらず誰にも相手にされず、馬小屋で寝起きするような生活。双子の姉の身代わりとして、小国に嫁がされます。そんな境遇でも捻くれる事無く、無垢で純粋。しかし、自分は母親を殺したと罪の意識を持っていて、最初から諦め気味です。

そんな受けを、溺愛するのが領主の旦那様。包容力があり、愛情深いタイプです。ちょっとヤキモチ焼きでもあります。

この二人が夫婦として心を通わせ、諦め気味で無欲だった受けが、嫉妬だったり幸せだという人間として当たり前の感情を持てるようになり幸せになる過程が丁寧に書かれています。

萌え所としては、やっぱり二人の甘いやりとり。もう、本当に甘いのです。「空良」、「旦那様」とお互いの名前を呼び合うだけで、実に幸せそうな空気を醸し出してます。旦那様はお嫁様の事が可愛くて仕方なくて、しょっちゅう抱っこ。お嫁様の方は「旦那様がいらしてくださるなら、空良は寝ずに待っています」という健気ぶり。
更に、夜の作法の手ほどき。何も知らない無垢な受けが、旦那様に手ほどきされて、驚いたり怯えながらも感じちゃうというシチュエーションが非常に萌えます!!

脇役も非常に魅力的で、旦那様の弟(11才)や、元山賊の頭だった側近。この二人の漫才っぽいやりとりはかなり笑えます。

自分が不幸だったと気付いてすらいなかった不憫な受けが、攻めの深い愛情や周りの人達の優しさに触れて人間らしい生身の感情を持ち、今までの自分が不幸だったと気付くシーンにはしんみりします。ホント、攻めのように幸せになっていいんだよ…と言ってあげたい。゚(゚´ω`゚)゚。

短編は、傷を負った受けの為の湯治編。次郎丸(攻めの弟)視点です。二人の互いへの愛情深さが分かります。次郎丸と魁傑(側近)でスピンオフを読んで見たい…。

時代物ですがとても読みやすく、深い感動を味わえました。溺愛ものとしてもお勧めです。

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