表題作赤き花 無間の闇に咲き誇れ

木崎脩平、組織犯罪対策課刑事
狭山亨、学生~ヤクザ~工場勤務

その他の収録作品

  • 木崎修平
  • 高島仁
  • 飯島隆二
  • 狭山亨
  • あとがき

あらすじ

「無明の華」番外編。
狭山の過去と現在を四人の登場人物視点で描いたオムニバス形式の番外編です。

作品情報

作品名
赤き花 無間の闇に咲き誇れ
著者
井上ハルヲ(オハル) 
媒体
小説
サークル
堕落天使<サークル>
ジャンル
オリジナル
発売日
4

(2)

(0)

萌々

(2)

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中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
8
評価数
2
平均
4 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

無間の闇の中で

『無明の華』の番外編。
狭山の16歳の少年時代から35歳の現在の姿までが描かれています。
各章のタイトルは「木崎修平」「高島仁」「飯島隆二」「狭山亨」と各キャラの名前になっていますが、内容としては一貫して狭山視点。
狭山の彼らとの出会いや関係性の変化が描かれており、本編の人間関係をより深く掘り下げる内容です。

第一章「木崎修平」は、狭山が16歳の頃の話。
木崎が狭山を暴力団組長の高島仁のところに預けるというエピソードです。
本編の35歳狭山は程よく枯れた佇まいに色気のある人物でしたが、若き日の狭山は思った以上に尖りまくり。
売春相手の中年男性を容赦なくボコる様は狂犬のようですが、そうなっても仕方ないと思える酷い境遇には同情を禁じえません。
幼い頃から両親に売春を強要され、その後入った保護施設でも上級生らに輪姦され…
こんな狭山の境遇を見かねた木崎は、彼を高島に預けることで現状を変えてやろうとしますが、その決断は結果的に狭山を苦界に落とすことに。
このとき木崎がもっとちゃんと狭山と向き合っていたら、狭山のこの後の15年間はもう少しマシなものになっていたのか。
今一歩のところで分かり合えず離れてしまった二人に何とも切なく苦い余韻が残ります。

第二章「高島仁」 、第三章「飯島隆二」 は、狭山が高島のところに預けられてからの話。
自分に性的な目を一切向けない高島に恋をした狭山は、高島への想いと身体の疼きを紛らわすため、組の兄貴分たちと手当り次第に寝るように。
狭山を心配していた飯島ですが、狭山に挑発的に誘われたことで激昂。以後、狭山を手酷く犯すようになり…
ここでは狭山と飯島のすれ違いが描かれており、売り言葉に買い言葉のようなやり取りがその後の悲劇を生んだことを思うとやりきれない気持ちに。
飯島は元々卑怯な性質の人間だったのだろうとは思いますが、狭山がもう少し飯島の言葉に耳を傾けていれば違う未来もあり得たのかな、とも思えるところが哀しいです。

第四章「狭山亨」は、現在の狭山と木崎の話。
木崎に敬語で接する狭山は15年前とは別人のようで、そのギャップに萌えるのと同時に、彼の過ごしてきた15年間の重さ・大きさも感じられて切ない気持ちになります。
大切な人を失うこと、一人になることに絶えず不安を抱えて生きている狭山ですが、木崎といればそんな無間の闇の中でも光を見出して生きていけるのではないかな、と思えるラストには温かな希望がありました。

高島や飯島視点のエピソードも読んでみたかった気がしますが、狭山の半生に焦点を当てた物語としては、狭山の人生を通り過ぎて行った彼らの真意や真実は、闇に葬られたままの方が相応しいんだろうなと思います。

内容が重いため、エロい割に萌はそこまで…でしたが、本編の人間ドラマや狭山というキャラクターにより深みを与える番外編として、大変読み応えある一冊でした。

3

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