『郵便飛行機より愛を込めて』に続くブルーグラフ1945第2弾。大増ページ書き下ろしあり!

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表題作謹製ヘルブック

谷藤十郎・元「彗星」の操縦員
緒方伊魚・元「彗星」の偵察員

あらすじ

同人誌「謹製ヘルブック」、「続・謹製ヘルブック」と今では手に入らない書店特典SSを厳選して改稿収録。
1945シリーズ『彩雲の城』の彗星ペアのエロスを中心に、切ない恋心や愛する想いを詰め込んだ永久保存の番外編集。

太平洋戦争終了後、解員となって日本に帰ってきた谷藤十郎と緒方伊魚の、いちゃラブな甘~い愛のサイドストーリーを尾上与一が情感を込めてお届けします。

※ヘルブック ⇒ エロ本(海軍隠語)の意。

作品情報

作品名
謹製ヘルブック
著者
尾上与一 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
蒼竜社
レーベル
Holly Novels
シリーズ
天球儀の海
発売日
ISBN
9784883864478
4.5

(46)

(31)

萌々

(11)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
1
得点
205
評価数
46
平均
4.5 / 5
神率
67.4%

レビュー投稿数1

エロいけどそれだけじゃない

尾上さんの「1945シリーズ」の番外編集第2弾。第一弾の『郵便飛行機より愛を込めて』に続く第2弾の今作は『彩雲の城』の藤十郎×伊魚がメインです。同人誌『謹製ヘルブック』『続・謹製ヘルブック』にプラスして、書店用特典ペーパーも収録されている読み応えのある1冊でした。

同人誌を追いかけていない身としてはとてもありがたい1冊。でも同人誌のすべてが収録されているわけではないようで、そのあたりは同人誌を購入された読者さんへの配慮なのかな、と思いました。

ネタバレ含んでいます。苦手な方はご注意を。





正直、本誌である『彩雲の城』はあまりツボに入らず『謹製ヘルブック』も買おうか悩んだのですが、なんだかんだ言いつつ1945シリーズは全部読んでいるのでこちらも買おうかな、と。でも、すごく良かった。

彼らが「彗星」とともに墜落し避難生活を強いられていた時の話や、『碧のかたみ』の六郎と恒も少しだけ出てきますが、基本的には彼らが日本へ帰国した後のお話がメインになっています。

同人誌『謹製ヘルブック』に収録されていた『薄氷』が一番初めに収録されているのですが、これがすごく良かった。伊魚が、篠沢に捨てられラバウルへ赴任することになった理由、藤十郎との出会い、そして藤十郎に惹かれていく想い。
それらが伊魚視点で描かれていて、伊魚の孤独と健気さにぐっと胸を締め付けられました。


帰国後、二人でともに歩いていこうと決心した二人。
幸せに暮らしているのに、篠沢から脅しともとれる言い方で復縁を迫られる伊魚。
そして、ノンケである藤十郎の「これから」を考え別れを告げる伊魚。

「番外編」と銘打つにはもったいないほどのクオリティの高い作品ばかりで、『彩雲の城』に続けての2巻目、といったほうが正しい内容の濃さでした。

ヘルブック=帝国海軍の隠語でエロ本、だそうで、その名に恥じないエロエロで、甘々な一面もあります。
尾上さんてあまりエロエロなイメージがないのですが、今作の二人の絡みはエロいのなんのって…!藤十郎に攻められる伊魚がエロくてかわいいのですが、それだけではなくって、伊魚も藤十郎も、お互いの事が大好きでそして信頼している、という想いが透けて見えてくるような濡れ場でした。

藤十郎が伊魚にお仕置きとして伊魚を緊縛して攻め込むシーンがエロい…。挿絵を、ぜひともカラーで見たかった。

伊魚は篠沢から捨てられた過去を忘れきれずに、それが彼の心に大きな傷を残している。
自らを「日陰の身」と称し、また自身は「汚れている」と思い込んでいる。
その傷を、精一杯の愛情で癒し、包み込んであげたいと奮闘する藤十郎の想いの深さにも萌えが滾りました。

最後に収録されている『一と超ジェラルミン』。
二人の優しい想いにあふれ、〆のお話として心和むお話でした。

藤十郎と伊魚の家族、そして彼らの家に来てくれているお手伝いの美代ちゃん。
彼らを取り巻く人たちも温かくて優しい人たちばかり。

いつまでも二人が幸せでいられますようにと願ってやみません。

16

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