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表題作成仏する気はないですか?

尾崎圭吾・元弁護士・30歳
白鳥優・公認不正検査士・30歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

大学時代の親友・久世大地が死んだ──。突然の訃報に呆然自失の圭吾。けれど、残された恋人の優が、音信不通で心配だ。学生時代から密かに優に片想いしていた圭吾は、優の家を訪れる。ところがそこで見たのは、幽霊となった大地と楽しそうに話す優の姿だった!!驚愕する圭吾に、優は「何しに来た」と喧嘩腰。昔から優に嫌われている
自覚はあるけれど、この状況を見過ごすことはできなくて!?

作品情報

作品名
成仏する気はないですか?
著者
菅野彰 
イラスト
田丸マミタ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199008771
3.4

(25)

(6)

萌々

(8)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
7
得点
81
評価数
25
平均
3.4 / 5
神率
24%

レビュー投稿数7

様々な愛のカタチ

電子書籍で購入。
挿し絵あり、あとがきあり。

ずんと心にくる読後感です。
いろいろと考えさせられます。

愛には、いろいろなカタチがある。
その違いを考えさせられました。
こんな目に見えないあやふやなものを
無理なく読者に見せることのできる作者の筆力に、
毎度のことながら、脱帽です。
だから、この作家様の作品を買うのをやめられません。

結局、大地の受けの優への愛は、自己の存在意義の確認というか、自己満足の延長だったのでしょうね。
自分に依存させることで、存在意義を確かめるための道具でしかなかったのかな。
ちゃんと受けのことを可愛いと思っていて、そこには愛はあったとは思うけど。

一方、攻めの圭吾の受けへの愛は、健全な愛。
親友の恋人に横恋慕していますが、共に言いたいことを言い合える、互いに刺激をしあって成長できる健全さ。

大地は死んだあとに、ようやく受けの優を攻めの圭吾に返すことを決心し、二人に道筋をつけたのがこの物語(と、私は受け取りました)。

最後の最後まで、実は、大地は圭吾を好きだった……って展開だと期待していたのだけど、それは穿ち過ぎでした。
ちょっとガッカリ。


3

美人3人

不思議な三角関係の話です
3人とも現役で司法試験にパスするほどなので、受けの優以外は基本的に大人で人とうまい具合に距離感を保って付き合える感じです
病気で亡くなってしまい幽霊として恋人の側にいる、大地の存在とかれの見た目通りでは無い心の様が物語を一筋縄ではいかないようにしています
一見超あまあまのスパダリなんですけどね
菅野さんのお話はいつだって簡単ではないのです

4

コミカライズ希望

菅野先生の同月刊行本、これと「おまえが望む世界の終わりは」と続けて読んだのですが、「おまえの~」の方はひたすら考え続けなきゃ読めない重い作品だったのに比べると、こちらは、自由に実体化できちゃう幽霊が登場したりする分、エンターテイメント寄りの作品ではあります。
この作品には、大学の同じ法学部で学んだ同期4人が主要キャラとして登場するのですが、それぞれのキャラが立っていて、どのシーンもすごく絵画的にくっきり浮かび上がってくるというか、小説で読んでいるはずなのに、読後感がコミックというか、
とにかく、コミカライズ向きなので、ぜひ、コミカライズをお願いしたい。

2

攻め視点三人称

菅野さんらしい、なんとも一筋縄ではいかない作品でした。
いわゆる恋人が1組いて、その受けへずっと片思いしている攻め視点。
これだけでも珍しい(攻め視点自体が少ないし)ですし、とにかく受けが恋人へ依存し愛しているのも珍しい。
そんな二人の間へ入り込む余地は、確かにこれ以外はないだろうなという感じですね。

**********************
攻めの圭吾は、優へ大学時代からずっと想いを寄せつつもそれを隠して友人付き合いをする29歳。
司法試験に大学四年で合格したものの、現在は弁護士を辞めています。

受けは常識はずれの容姿と性格を持つ、優。
圭吾とは同期で、大学時代からの恋人である大地とは私生活も仕事もパートナー関係。
とにかく敵が多く、大地の前でしか笑顔を見せない秀才。
**********************

優の恋人で圭吾の親友である大地が亡くなり、それを機に仕事を辞め優と共にいようとする圭吾。
ただし優にはその心配は届かず、とにかく大地以外にはゴキブリのような態度で接します。
そして優のそばには死んだはずの大地が…

優のこの性格を形成したのは子供の頃からの不遇で、嫌われる前に嫌うという辺りも自己防衛の一部だろうなという感じ。
そんな優を猫可愛がりするのが大地で、大地の決めたこと、大地が言うことが優にとっての正義です。
この辺りが本当に頑なで、神様を信奉するかの如く大地へ依存している優が、たとえ恋人が死んだとしても、数ヶ月後には圭吾を選ぶというのが説得力に欠けたかなぁ。
数年単位でも良いような…
優の奥底に圭吾への特別感があったとしても、大地の存在があまりに大きすぎましたからね。
ただ細かいところはさすがベテラン作家さんらしく良く作られているんだなぁと、読んでいて感じます。
ちょこちょこと挟まれる過去のエピソードはひじょうに納得のいくものでしたし、絵空事のように感じさせない菅野さんはさすがだな。
ですのでよけいに、優が恋心を持つようになる辺りや、妙におおごとになっていた宗教団体関係の終盤の現実味の無さが際立ってしまったと感じます。

1

ゴースト

BLのLも色っぽ話もはなかなか出てきません。
幽霊含めて3Pとかもありません。

学生時代に出会った3人。
やがてその中の二人が付き合い始めて恋人同士となり、もう一人も好きだったけれど言い出せないまま友人としてそばに居続けたという3人目の男としては非常に切ない苦しいお話でした。

3人目の男 尾崎が、言葉が足らなかったせいで誤解され好きだった相手に嫌われていると思ったままそれを正すこともなく何年もラブラブカップルのそばに居続けるというのは結構なマゾな性格だと思う。
嫌われてるし報われないし先がない。

尾崎視点で物語が進むせいか尾崎に感情移入して、好きな人が別の人(人じゃなくて幽霊だけど)に甘えて頼って愛していると語り全身で愛し愛されている幸せオーラを出される同じ空間にいる苦痛を思うともう許してあげてと言いたくなりました。
そうなると相手の大地が段々憎たらしく見えてきます。
「可愛いだろう」というセリフのたびに複雑な気持ちになりました。
ツン100%の優が可愛いのは恋人だった俺だけ、それを知っている(そういう表情がさせられる)自分をアピールしてるみたいでちょっと嫌でした。

だから想いが成就して行くのは嬉しいのですが、いつしか死んでしまった恋人よりも近くにいて世話してくれたり助けてくれる友人の方に気持ちが向いてしまうというのは理解できるけれど、時間的には性急だったような気がしました。
一緒に連れて行って欲しいと思うほど愛していたんですから。

1

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