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表題作プライベートバンカー

祠堂晃,26歳,香港在住の御曹司
出永清吾,34歳,外資系メガバンクのPB

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

外資系メガバンクで優秀なプライベートバンカーとして働く出永清吾は、ある日、二億の資産運用を検討している御曹司・祠堂晃の対応を任される。
マネージャー昇格のかかっている時期、清吾は上司の期待に応えるべく気合を入れて臨むが、傲慢な態度をとる祠堂を侮った結果惨敗する。
だが終業後、訪れた店で偶然にも祠堂と再会し…。

作品情報

作品名
プライベートバンカー
著者
手嶋サカリ 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778122362
4.2

(33)

(13)

萌々

(15)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
138
評価数
33
平均
4.2 / 5
神率
39.4%

レビュー投稿数5

可愛く有能なエリートに落ちる御曹司

セレブ顧客の資産運用を個別に扱う、プライベートバンカーという職務に就いている銀行員の受けと、受けが担当を任された世界的資産家の御曹司攻めのお話です。

仕事にプライドと自信を持っているバリバリエリートの受けは、御曹司の担当を任され、経験に裏付けされた知識と話術で臨みます。でもたかが御曹司と見くびっていた攻めの、投資に対する圧倒的な知識の前に、適切な対応ができず惨敗。
仕事に対する自信が揺らぎ、落ち込んだ受けは、終業後に秋葉原のフィギュアショップへ向かいます。そこで大好きなロボット戦隊もののフィギュアを見て心を落ち着けていたら、その現場を当の御曹司に見られてしまい…という展開。


受けのキャラクターが秀逸でした。
両親を早くに亡くし、祖母とふたりの貧乏な家庭に育ったため金持ちが嫌い。その金持ち相手のプライベートバンカーをしているけれど、心の奥底には「金持ちめ」みたいな気持ちがあります。
資産家の父を持つ攻めのことも、どうせ親の金だろうとか、自尊心をくすぐってやれば契約取れるだろうとか、最初はかなり見くびっています。
金持ちが嫌いになった幼少時代の屈辱や、でも仕事には誠実で一生懸命なところ、小さい頃に買えなかったロボットのフィギュアに憧れる気持ち。受けのキャラクターを形成するエピソードや人格設定が見事で、攻めがこの受けにハマる気持ちがとてもよく理解できました。二重人格で正義漢で、とても可愛らしい人だったと思います。

攻めは受けより8歳年下。資産家の息子ではあるものの、自分で会社を経営している実業家です。そのへんの兄ちゃんみたいな格好をしていて、口も態度も悪いけれど、有能だし可愛げがあります。
バンカーが嫌いで、受けのことも最初はまったく信用していなかったのに、どんどん落ちていくのが萌えでした。意外と早く肉体関係になるのですが、エリートな受けがまさかのM気質だったりで、エッチもかなり萌えました。

単なるセレブと銀行員のケンカップル的ストーリーかと思えばそうではなく、隠された真相に迫るサスペンス的要素もあります。二転三転する物語は読み応えがあり、楽しめました。
あとイラストが小椋ムクさんなのですが、受けも攻めもイメージにあっていてとても良かったです。

12

世界観がきっちりしているから、ドラマが生きる

電子書籍で読了。挿絵有り。表紙絵だけではイラストが小椋さんだと気づかなかった(ちょっとショック)。お話に合わせてイラストも骨太です。とっても合ってます。良いお仕事をなさってるな、と。

まず主人公の職業にプライベートバンカーなんていうものを持ってくる所がすごい。お話の場所に、日本だけじゃなく香港を持ってきた所も上手い。私はあまり詳しくありませんが、話のなかに織り込んでくる金融商品も、投資を引き出した後のバンカー同士の会話も、とても『ありそう』に作っていてお上手。

周到に作り込まれた世界の中で、父母に先立たれ、貧しさに負い目を感じながら育ったが故にバンカーとしての成功を追い求めて来た出永と、御曹司だけれども腹に一物あるが故に自力でのし上がってきた祠堂が、バンカーと顧客として出会う。果して祠堂の出永に対する態度は好意かトラップか?

面白い、面白いですよ!
登場人物が仕事に対して真摯に向かっている所にグッと来ました。
また、小道具として、出永の子ども時代に流行っていたロボット戦隊のカプセルトイ(私の世代だと『キン消し』とかなんだけれども)が出て来ますが、このエピソードも泣ける。

男臭さはそれほどありませんが、カッチリとした骨太のお話がお好きな方に是非是非とオススメします。

8

お仕事描写が素晴らしい!

個人的に一番今後を期待している作家さんです。年一ペースなのかな?やっと来月新刊が出るということで、大好きなこちらを再読してみました。

タイトル通りバンカー視点のお仕事モノです。ちょっと硬めのクセのない文章で分かりやすくしっかりとこの世界を構築しているので、専門用語につっかかることなく読み進めることができます。最初からカタカナ・漢字・アルファベットが飛び交いますが、深く考えずにドラマを見ている気分で楽しめます。
なによりキャラの仕事に対する姿勢がよかった。お仕事描写もかなり細かいところまで調べているようで、ごまかしてもストーリー的に影響のない部分もきっちり設定されていました。テンションが上がり、こちらも気合いを入れて読みたくなります。

BL部分については、お仕事描写がかなり書き込まれている印象なので、それに比べると心理描写に少々物足りなさを感じます。とはいえ受けも攻めもカッコよく魅力的だし、これ以上ないくらい相性のいいふたりに見えました。惹かれ合う過程は萌え。
お仕事描写をこのレベルで維持しつつ、特に気持ちの面での恋愛部分を補強すればBL小説としての評価は上がりそうですが、こういう作風がこの作家さんの味なのかなあとも思います。私は大好き。
とにかく読み応えバッチリの大満足な一冊でした。

次回作への期待がふくらみます!

4

仮面をはがせる相手

とてもハラハラしました。なかなか最初は読み進まなかったけど、すぐに一気読みでした。

金持ちコンプレックスというか、貧乏から抜け出し東京で勝ってやる!という執念がハラハラしつつも、清吾がギリギリで生きてる感じで痛ましくて。

お話はとても凝っていて、晃の目的や清吾が心酔してる内川やお仕事描写や興味深かったです。

いつの間にか愛してしまった。裏切られても捨てられても忘れられない。清吾〜!
利用するつもりが本気になっちゃって。晃〜!

とっても良いお話でした。年下傲慢攻め→ドS調教小悪魔攻めへ。流されご奉仕淫乱受けへ。
晃の傲慢さに隠れた寂しがりで警戒心の強い所は良かったんですがね、「舐めろ」ってのが苦手なんですよ…。しかも相手の頭を掴んで喉の奥に腰を振ってたたきつけて。ピンポイントで苦手なプレイでして。
清吾の本当の自分をさらけ出せるのや、晃のを舐めたいってのも攻めと受けのウィンウィン?需要と供給が両方満足なんですが、ご奉仕したい受け、支配されたいってのがピンポイントで苦手で…。

最後の清吾が晃の幸せを願い続けることが、一生の仕事ってところにジーンと来ました。

この性癖がなければ神でした。好みの問題です。

1

最後のシーンがぐっとキて好き

面白かったです。うん、先生、次回作も凄く楽しみにしています。
前作もそうでしたが、登場するキャラの周辺、背景を
書き込まれているように思うので、シンクロしやすいです。
ふわふわした甘さなどとは全く正反対な印象で、
生身の人間のぶつかり合い話がお好きな方はいいのではと感じました。
地雷は お道具 が出てくるところでしょうか?
書き下ろし270P+手嶋先生のあとがき です。

東京、香港を舞台にし、金を貢がせる?べく、誠心誠意営業する
プライベートバンカーとそれを翻弄する大富豪御曹司のお話です。

小憎たらしい御曹司で営業話を全く聞かないです。「くーーー
汗水たらして作った資料なのにぃぃぃ切って捨てやがって」と苛々。
まあ攻めの事前調査が不足していたのでしょうがないのですが
最初受けが「くそ金持ちが」と思わず素で呟いてしまうシーンでは
すんごく胸がすっきりーーーーーーー
と全くBL本筋ではないところで盛り上がりました。

また、くそ田舎から這いあがった受けの背景とか、
攻めの親父に対する想いとかがとても胸に共鳴して、
読み終わった後、体温上がる心地です。

*****以下 よりネタばれ


最後、再会するシーンがまた良いのです~
東京ではなく、受けの婆ちゃんがのっぺ汁作ってる、くそ田舎の海岸沿い。
そこで、甘え気味&ちょっとビビりになってる、でかわんこが、
ジャージ上下の受けをそっとぎゅうする挿絵が一枚あって、
「神絵ーーー」と一人萌え転がり です。
と、ここまで萌え萌えなのですが、
基本的にSMされるのも咥えさせられるのも好きではないので、評価は萌。
従わさせられるというのはよいのですが、そこに性的なものはいらないなーと
いう単なる好みの問題です。

ふわふわ甘々も楽しいけど、たまにこういうぴりりっとしっかり目な
お話を読むと気分が変わって楽しい。
香港行ってからの受けの奮闘記なんかも読んでみたいです。
そして、お仕事は舐めちゃいけない、どんな相手でも常にフルスロットルで
いかなきゃね(笑)と改めて肝に銘じた一冊でした。

4

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