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表題作左巻きのベイビー

蓮見 真面目体育会系の先輩社員
高野 新入社員

同時収録作品ワンオフラバーズ / 強く抱いてキスをした

森村嵩史(28) メカニック
秋吉恭介 高校生・ヤクザの組長の息子

同時収録作品湯の町エレジー

「譲」 リストラされた男
「基」 売り専

同時収録作品思うつぼ八

桜太 健康ランドの従業員
倉木詢(19) 大学生・居酒屋バイト

同時収録作品バランス

洋高(侑己人と同中卒)、侑己人(広匡の義理の兄)
菅井広匡 高校生

その他の収録作品

  • 小松原くんと秋吉くんの青春 目次
  • あとがきTime

あらすじ

一番なついてた可愛い後輩とこんなことになるなんて、昨夜のオレはどうなっていたんだ?体育会系サラリーマンがすべてを忘れて溺れこんでゆく感動的ラブストーリー『左巻きのベイビー』ほか、語シスコのビビッド&セクシャルなラブワールド。

作品情報

作品名
左巻きのベイビー
著者
語シスコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
芳文社
レーベル
花音コミックス
発売日
ISBN
9784832282193
3.5

(6)

(1)

萌々

(3)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
20
評価数
6
平均
3.5 / 5
神率
16.7%

レビュー投稿数3

​ すべてが「カタルシスコ」になる

​ 語シスコ先生はデビュー作の『LOVE&CATASTROPHES』の頃から、その作風が私にとってはBLともJUNEとも違う、あえて言えば『カタルシスコ』という個別なカテゴリーに属するのです。個性的、それに尽きます。

・『ワンオフラバーズ 』『 強く抱いてキスをした』
 ヤクザの組長のバカ息子の恭介(15歳)と、メカ屋の大人、嵩史(28歳)。バカでチャライ高校生と、大人の組み合わせはカタル先生のお得意の設定ですが、今回の大人キャラの嵩史が一番カッコいいと思います!「余裕のある大人」この感じは初めてだな~。余裕振りが何ともいえずよかった。最初から生意気でギャンギャンうるさい恭介にも、説教することも突き放すこともせず淡々と普通に接する大人っぽさが全然嫌味じゃなくてとても自然。上になって見返したいと恭介が奮闘するのだけど、そこでの交わし方もうまいんです。これは惚れちゃうよっ!
 お風呂での初Hは“初めて好きな人とするSEX”で、恭介にとって世界が変わってしまうほどハッピーな出来事で、翌朝「ラブリー!!」とぴょんぴょん跳ねる子供っぽい姿がとっても可愛いです。「朝から元気だな」って煙草をふかす嵩史もよかった(*゚∀゚*)イイネ!!
 恭介はバカだけど自分の事をとてもよくわかっている子で、愛に飢えています。嵩史は結局一度も好きとか愛してるとかは口にしないけれど、それ以上に恭介への愛情が、行動や言葉の端々から溢れているのが、本当にさりげなく描かれていて、それがとても好ましい。
 この二人の続きが『左巻きのベイビ―』の文庫版に収録なのですね。カタル先生の作品は文庫版だと目が辛いので買わなかったのですが、やっぱり読みたいな。電子での取り扱いもあるようですが、文庫版ではなくこちらのバージョンでした。残念。

・『左巻きのベイビー』
 正しく生きてきた体育会系サラリーマンの蓮見が、左巻きの後輩.高野と出会うことで人生が豊かになるお話。左巻きって俗語は「頭の回転が鈍い」って意味だけど、ここでは蓮見にとって「イカレテル」って意味合いだと思う。

・『湯の町エレジー』
 文芸的な作品。リストラされた中年と15歳の少年の出会いと別れ。大人の純情と不実な心、不思議な少年との数日が幻のように描かれた作品。

・『思うつぼ八』
 ストーカーを軸にしたドタバタコメディ。どのキャラも「Theカタルシスコ」って感じだけど、ストーカーの松井の不思議っプリが一番それっぽくて笑った。

・『バランス』
 数ある3P作品の中で、これは最高に好きな作品です。
腹ちがいで母親同士は姉妹という兄弟と、彼らを繋ぐ義理の弟。昼ドラみたいな設定もカタル先生が描くと、刹那的な青春映画を見ているような気分になる。大人になった彼らを見てみたいけれど、ここで終わるのが良いのだと思う。

4

このラブを読むべし

家の積み本より発掘しました。
よくぞこんな凄い作品を買っていたぜ我ながらセンスいいじゃないの!
だが、何故今まで読まずに放っといたんだ…自分で自分を殴りたいっす。

「ワンオフラバーズ」
ヤクザの組長のバカ息子恭介と、車の修理工サン嵩史との出会い編。
ワンオフってのはクルマの特注のカスタムパーツの事。シスコさんタイトル秀逸です。いつだって恋の相手ってのは取り替えのきかない一点物だ。色んな真理のようなモノが詰まったハナシ。

「左巻きのベイビー」
はずみで社内のビッチ(♂)と寝ちゃって、それを後悔してる正論男。後悔してグルグル悩んで、自分の中の自分でも知らない感情が噴き出してくる。そんな激情を受け止めるのがそのビッチ男だった。自己変容の事を恋と呼ぶのか、恋に落ちるから自己が変容していくのか…

「湯の町エレジー」
読んでて辛くなるような、たった5日間の逃避行。漂う心中の気配。
ただ、この男はもう一度元の場所に立ち戻る。そして元と同じ生活を送る。心の一部は元には戻れずに…『不実に生きることを望んだ』から。
「スメルズライク〜」の「桐野」がここにもいる…

「思うつぼ八」
ギャグテイスト。
酔うと見境無く誰とでもヤる倉木。そのせいでヤっといて忘れてた友人の松井から嫌がらせストーカーされるお話。誠実に生きましょう。

「バランス」
シリアス。
はじめは友人とのHのはずだった。だが真相は…歪んだ愛それとも透明すぎる愛だったのかも。自分を間に挟んだ異母兄弟(いやもう一段階濃い)との3P関係。トラウマにはさせず、あっさり過去話にするところがシスコ様の流儀なのでしょうか。

「強く抱いてキスをした」
嵩史x恭介の続編。
恭介は嵩史にベタ惚れで、子供の頃から自分に足りなかったのは「愛」なんじゃね?と思いはじめる。でも、嵩史は嵩史流の愛をくれるのだ。テレる。

「あとがきTime」
ネームをFAXで編集部に送ったはずが誤送信!というお話。爆笑。

2

切ない3P(リバあり)ものが最高

電子書籍版(多分ebjでしか売ってない・シーモアにはない)を持ってますが、2008年の文庫版ではなくこちらの旧版の表紙&中身です。

【ワンオフラバーズ】【強く抱いてキスをした】
ヤクザの組長の息子で、どーしようもないクソボンボンな(15歳)な恭介。
ただし恭介は確かにクソガキなんだけど、ちゃんと自分をクソだってことも、仲間は自分の金目当てだってこともわかってる愛情に飢えた子。
そんなガキんちょが28歳の車修理の嵩史に出会い、子供扱いされたことに腹を立て、認めさせたい!とあれこれ奮闘するんだけど、土俵にすら乗ってない感じで、子供っぽくてわがままな恭介のことを半分面白がって可愛がってるところが、なんとも大人。

【左巻きのベイビー】
セックスは愛し合う二人がする行為だと言い張るような男が堅物男が社内のビッチな部下とウッカリ寝てしまい…

次第に部下に惹かれて、綺麗事ばかり言っていられなくなったり、どんどんみっともなくなっていく自分に戸惑うんだけど、それが恋よね、と。
そしてその堅物で真面目なところに救われていたという受けもいいです。


【湯の町エレジー】
リストラされ再就職もうまくいかず、家庭にも居場所がない疲れた中年男の悲哀に満ちたお話。
中学時代の初恋の男に似ている少年を街で見かけ、彼と一緒に逃避行の旅に……。
なんで自分の心に蓋をし続ける日常に戻って行ったんだろう。せっかく自由になれそうだったのに。
ゲイであることを肯定できず気持ちに蓋をし続けること自体に慣れてしまったというか、人に飼い慣らされてもはや野生では生きていけない動物が、自由な世界に怯え狭い檻の中に自ら戻ってくる……みたいな、そういうやつかしら。

【思うツボ八】
ストーカーメールが届くようになった主人公のお話なんだけど、コミカルで好き。
コミックスの冒頭にある目次部分で一輪挿しに初体験を奪われてしまった男は、この攻めです。
まさかの16歳!

【バランス】
リバあり・複雑な三角関係&3P これが一番好き。
「これでブラザーズが一つになれるよね」の意味……。
腹違いの兄弟が、主人公を媒体にして愛し合うというやつで、更にその腹違いの兄弟の母親事情がこれまた複雑で……

設定だけ見ればとてつもなくドロドロしてるのに、どうよ?ドロドロしてるでしょう?といった露悪的な描写はせず、哀しみを湛えた残像……みたいな読後感に持っていくところが語シスコさんの素敵なところだと思う。
【湯の町エレジー】もそうだし「上等だベイビー」に収録されている【リハビリ中断】や「野良犬にさえなれねぇ」の蓮などの作品と同じ系統だと思う。
主人公は、相手に惹きつけられるように破茶滅茶な世界に足を一歩踏み入れるのだけど、その世界に完全に馴染む前に相手が消えてしまうなどして、やがて再び平凡な日常に戻っていく主人公……。
一方でまだあちら側にいると思われる相手に、こちら側から思いを馳せる……みたいなやつ。







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