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表題作それはなにかとたずねたら

三木欧彦 風俗ビルのオーナー
笛吹椿 昼間は洋服屋店員、夜は清掃員のバイト

あらすじ

高校を中退後、一人暮らしをしている笛吹椿は、借金を返すため昼間は洋服屋の店員、夜は清掃員のバイトをしている。ある日、椿は欧彦から「いい仕事」というものを紹介される。だが、その「いい仕事」とは「三木の愛人になる」だった。当然椿は拒否! でも社長さんは強引に……!?

作品情報

作品名
それはなにかとたずねたら
著者
榊花月 
イラスト
北畠あけ乃 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
発売日
ISBN
9784592873181
3.5

(4)

(1)

萌々

(0)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
14
評価数
4
平均
3.5 / 5
神率
25%

レビュー投稿数4

深海魚たち

作者様のノリは独特です。ハマった人にはたまりませんが、初めてだと面食らうんじゃないかと思います笑

ひょんなことから愛人契約を結ぶことになった二人が、本当の自分の気持ちを認められるようになるまでの天邪鬼ラブ。

受け視点。作者様の受け、ほんと好きです。

事情があって高校を中退して勘当された椿。昼はアパレルの販売スタッフ、夜はビルの清掃業をしていましたが、清掃バイトの方で突然ビルのオーナーから愛人にならない?と誘われます。

オーナーの三木はヘラヘラチャラチャラしていて何を考えているのかわからない男。冗談じゃないと躱そうとした椿は、三木の瞳に捕らえれてしまうのでした…

大体、攻めは自分の方から仕掛けていって、戸惑う受けを揶揄っておちょくるのが好きなんですよね。

受けも苦労人で、性格からか若さゆえかちょっと厭世的なところがあって、人を信じて期待したい願望が見事に裏切られて傷ついた経験をしています。

神出鬼没な三木ですが、椿についてはリサーチ済み。翻弄して体も落として、椿から契約解消を告げられるとあっさり承諾する。二人とも本音は見て見ぬふりをして。

愛人としてする最後のセックスは本当に切なくて甘くてエロスです。珍しくエチシーンが多いせいでページ数が嵩んだとのことですが笑(個人的にはお得でした)

冒頭に登場する三木のオフィスの壁に掛けられた魚の額絵が印象的なように、お話のモチーフは魚。椿は人間よりも動物好きで、やたらと水族館に行きたがります。そんな椿について心理分析する千景(三木の妹)の指摘が鋭くてグッときたし、最後の最後に深海魚たちについて話す三木のセリフにドスっときました…。

顔も覚えていなかった椿の元同級生女子がとっても素敵な子で、彼女の手紙にウルウル。手紙はダメだ、どうしても泣かされしまう、、

北畠先生のイラストだったのでとりあえず購入した本作は、初めて読んだ時は例によって特にクるものはなかったんですよね。スーパーカーっていうバンドが出てきたのにはすんごくビックリでしたけど(自分が好きだったから)。作者様は結構芸能人やアーティスト名をバシバシ書いてくださるので、そこも好きです。

あらためて作者様の作品を過去から辿ってくると読み方が変わるのか、年月が読み手の感性を変えたのか、再読してみるとめちゃくちゃ入り込んじゃいました。最後、泣けましたもの…。本当によかったな〜。

あと、名物?のあとがきが普通になっていて、逆に心配になりました笑

惜しみなく、神で!

0

この攻め、好きだーー

そして、受けも好きだーー。
しっかりしたストーリーで、しかもかなり分厚くて、読み応えのある作品でした。でも、お話が面白かったので、長さはあんまり感じなかったです。

お金を介在させた愛人関係からはじまる恋です。
この始まりって、なんか好きなんですよね。
お互いに好きあってるのに、「お金」を介在させることで、相手の「本気」が分からなくなっちゃうっていうシチュエーション。セックスの時の切なさが倍増すると思う。
しかもこの話は、始まったときは、相手のことがそんなに好きなわけじゃないんです。関係を続けるにつれて惹かれあうっていうのがいい。お約束として「内心では最初から惹かれてた」みたいな話もでてきますが、それはまあ結果論であって。

攻めの性格は俺様。冗談ばかり言うタイプです。真面目になれないから、余計に受けには「攻めの本気」が伝わらない。
受けの性格は意地っ張り。素直になれないせいで、攻めには「受けの本気」が伝わらない。
こんな二人が最後の最後にやっと素直になって、お互いに「なんでそれを早く言わないの」とせめ合うシーンに「ほんとだよー」と苦笑しながらも、きゅうううんとなりました。

「俺だってそりゃ、厭んなるよ。自分のこういう性格」
「俺も、自分が厭んなった」

よかったね…涙。

3

It's LOVE、でしょう。

「愛人関係」…淫靡な響きですが、攻めの三木は未婚です。
ただ、お金でそういう関係を続けるという意味では
やはり愛人という表現がぴったりくるんでしょうね。

ノンケの椿がなぜ三木に迫られて
好きじゃなかったのに恋に落ちたか、が丁寧に書かれていました。
厚めの文庫でしたが、読み応えがありましたよ♪

榊さんは、飄々として掴みどころがない大人の男×
どこか冷めていながら本当は純真な男の子のお話が
非常にお上手だと思いました。

三木はふざけてばかりで、心の奥底は決して見せない。
椿は自分の事なんて誰もわかるはずが無いと思いながら、
実は誰かにわかって欲しかった。
気が付くと、三木には自分をちゃんと知って欲しくなっていて恋を自覚します。
家庭環境や過去の出来事、お互い嫌な思いをしてきたけれど
もう自分を無駄に隠すこともしないでいい相手に巡り合えて良かった。

お金で買われるという状況になった事がないのですが
(あったら凄いわ!)
初めは好きでも無い相手に抱かれて感じてしまって、
だんだん情もわき、恋に変わり、やりきれない想いに潰されそうになる椿。
今までもこんな相手がいたんだろうし、自分が特別なわけは無くて、
でも三木の特別になりたくなって…。
切なかったです。本当に読んでいてきゅーんってなりました。

あと、三木のネーミングセンスはどうなんだ?と思ってしまいました。
「テーラー寺田」とか「リアリー本間」とかw
椿を「笛吹」だから「ピー君」って!!
せっかくの色っぽいシーンで「ピー君」は無いでしょうに…。
いえ、いいんです。二人が幸せなら…。

北畠あけ乃さんのシンプル且つ雰囲気のあるイラストも素敵でした♪

榊さんの作品は心に残るものがわりとあるので
まだまだ私の中では強化月間中です。
会話が面白いんですよ。ふっと笑いたくなります。

2

入り込めるかどうか

面白い展開のあるストーリーなのですが、
特にこの攻のノリにのっていけるかどうか
がこの作品を楽しめるポイントかと思います。
私自身、ちょっとノリ遅れた感があって、
全力で楽しめなかったのが残念でなりません。

高校を中退した笛吹は、バイト先で三木と出会う。
三木は人を食ったような性格で、
常におちゃらけていて、ずかずかと笛吹の中に
踏み込んでくるような大人です。
そんな三木は、愛人になるというバイトをもちかけてきます。

笛吹自身、知らないうちに三木に惹かれていってしまう
気持ちが、何とも切なくて。でも、強い男だったので、
単なる女々しい男になってないところが好き。

また、三木自身にも、心の傷があって、どれでも
ちゃんと向き合う最後の姿が良かった。

常におかしな掛け合いをする2人なので、
きっと楽しいこれからがあるんじゃないかな~と
思います。

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