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表題作三日月のユウウツ

医師・藤沢雁野
神様のきまぐれで人間になった猫・レイ

あらすじ

何の因果か、ネコから人間に変身してしまったレイ。人間年齢でいえば80歳の年寄りネコだが、実年齢で変身してしまったため、みかけはピチピチの16歳。そんなレイの正体を見抜いたのは、飼い主だったご主人様の親友で自称天才医師の藤沢雁野。以来、レイは雁野の家に居候中の身だが、性格最悪の雁野はレイをメイド兼愛人としてこき使う毎日で…。ニャンとも不思議なロマンティック・コメディー。

作品情報

作品名
三日月のユウウツ
著者
榊花月 
イラスト
鳥人ヒロミ 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸ノベルズ
発売日
ISBN
9784592862437
2.6

(3)

(0)

萌々

(0)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
7
評価数
3
平均
2.6 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

俺様攻めがへこたれる瞬間

人間になった猫とその飼い主の恋――というと名作の『センチメンタルガーデンラバー』が浮かびますが、この話は、人間になった猫とその飼い主の友人の話。
飼い主は優しい人だったんですが、友人は傲岸不遜な俺様です。
人間になった猫の正体を見抜き、家に連れ帰り、家政婦兼愛人として、家に住まわせる。

さすが榊花月さんと言いたくなるほどの攻めの俺様っぷりでした。
私、好きなんですよねー、榊花月さんの書く、この突き抜けきったた俺様攻めが。どことなくユーモラスで憎めない。やってることはハチャメチャだし、受けが不憫で仕方ないんですが。

飼い主を思いつつも、悲しい愛人生活を続ける、元猫の主人公。
悲惨だけど、この元猫くんの性格がマイナス思考ではないので、読んでて苦しくはならないです。

俺様攻めが最後の最後になってへこたれたのが、キューンとツボに入りました。
面白かったです。

1

不思議な三角関係

にゃんとまぁ、切なくて理不尽なラブストーリーでしょう…

主人公は猫です。ご主人が大好きで、一度だけでいいから人間の姿になりたい…という願いがなぜか叶ってしまった⁉︎

そんな状況から唐突に始まるファンタジック・コメディですが、作者様が描く恋模様には1ミリのブレもありません笑

ご主人は、レイアと名付けて可愛がっていたボンベイ種の猫が家出した、と悲しんでいます。愛猫がいなくなってからも時間を見つけては探していて…。実はレイアが人間の男の子になっちゃってて(猫年齢16歳がそのまま人間に適用)、ご主人の親友・雁野に食われてしまっているのも知らずに。

雁野はお馴染みのハイスペなオレ様で、レイアをにゃん吉と呼んで気の向くままにセックスの相手をさせ、当然のように家政夫扱い。にゃん吉がご主人に一途なのが気に入らない。

ラブ的には雁野とにゃん吉のすれ違いまくる種を越えた愛?といったところだけれど、にゃん吉は猫なので…猫なりの事情をちゃんと考えてあげてよね!って雁野には思っちゃった。

結末もファンタジーってことでいいのかな〜?とは思うけど、、。その後のレイくんの寿命とか、戸籍とかさ。

でもやっぱり、にゃん吉の中身は老人、見た目はティーンエイジャーっていうキャラクターが笑えるし、お話の中に出てくるエピソードやネタなどの物語周辺が地味に面白くって個人的にはツボばかり。今回も音楽ネタ(スパイラルライフのディスり方w)やら『綿の国星』のオマージュ的言及やら、絵描きを夢見るキャバ嬢リカさんのくだりやらほんと楽しかった。BL語り芸ですね。

そしてイラストが鳥人先生ということで、キュンキュンさせていただきました。猫化した時のにゃん吉がかわよくて。

そうそう、むつこさんが挙げられている小椋ムク先生の作品、可愛いですよね!いつも納得のレビューに感謝です。ぜひお話してみたかったなぁ。タイミング〜、、泣

0

ハッピーエンド、でいいのかな

人間年齢で言えば80歳の年寄り猫、レイは何の因果か人間の姿に変身してしまった。
実年齢そのままで人になったため見た目はぴちぴちの16歳。
だけど、こんな姿じゃ大好きなご主人様のところにはいられない。
仕方なく彼はご主人様の親友で、自称天才医師の藤沢の所に転がり込んだ。
以来レイは藤沢のメイド兼愛人としてこき使われていて……

主人公のレイが人間年齢80歳の猫という割には言動が若いなあという気がしないでもないですが……実年齢16歳と言われてしまうと納得するしかないのか。
もうちょっと精神的に老成しててくれた方がよかったんだけど、そのあたりも結構若めです。残念。

ご主人様が大好きすぎて死ぬ前に人間になりたいと思っていたレイ。
願いが叶って人間になったけれど、そうするとご主人のもとにはいられず、藤沢の所に居候している。
ただね、彼は感情が高ぶると猫の姿に戻ってしまうそうで、そのせいで何度かご主人様に正体がバレそうになるのですが……
このあたりの設定が微妙なところで。
正直なくてもいいかなあと思いました。
このレイのご主人様に対する思いは恋愛感情ということになっています。
なんか、そこも複雑で、いっそ恋愛じゃない方が後々の展開のためには自然かなあと思うのですが。

後々の展開。
ご主人の友人である藤沢はレイをメイド兼「愛人」として居候させているのです。
うーん。
いくら見た目がすごい美少年で自分好みでも、元の素性を知っている相手その気になる彼はなかなか勇者だと思うのですが。
それも人になったレイの正体を一目で見破ったそうですし。
正体を知らずに手を出したら実はとかの方が自然なのかな。でもそうするとだいぶ話が変わってしまうしな。ううむ。
藤沢に惹かれはじめたレイがご主人様への想いをふっきるのもちょっと急だったような気がします。

ラスト。想いを伝えあった二人は何事もなかったようにハッピーエンドですが、これがちょっと物足りない。
だってレイはあくまで寿命間近の猫であって、人の姿になった奇蹟もどこまで続くかはわからない。
二人はいつまで一緒にいられるの?
そういう諸々の問題が何事もなかったかのようにスルーされているんです。
どちらかというといつか来る終わりを見据えた関係性に落としてくれた方が萌える気がする。
そのあたりを気にしないハッピーエンドには、若干の都合のよさを感じてしまいました。

1

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