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表題作狂ひもえせず

「昴」をモデルに絵を描く画家・草平(ソウヘイ)
「昴」の双子の兄・翼朗(ヨクロウ)

その他の収録作品

  • ソラリゼーション
  • AFTER16
  • 僕らは快楽に貪欲ですおそらくは愛よりも恋よりも
  • 痴漢電車
  • ケツメイト

あらすじ

すき。愛してる。恋。…ああ、そうじゃない。僕らを駆り立て追いつめるのは、心よりも肉体、邂逅よりも血…。そう、本能であり宿命なんだ―。匂いたつような官能とやるせないまでの情動の中、生きることの焦燥と哀歓を過激に焙り出す、稀代の吟遊作家渾身の衝撃作品集!!(カバー折り返しより転記)

作品情報

作品名
狂ひもえせず
著者
まんだ林檎 
作画
まんだ林檎 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人セレクション
発売日
ISBN
9784812458303
3.4

(11)

(4)

萌々

(2)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
6
得点
35
評価数
11
平均
3.4 / 5
神率
36.4%

レビュー投稿数6

とってもマニアックですが、これが魅力なのです

作者の<まんだ林檎>さんて、お子さんのいらっしゃるお母さんなんですよね。
普通子供がいる方だと避けたい部分なんていうのはBLにはあると思うのですが、それすら萌えに昇華してグサリと突いてくる、ある意味狂気の世界は素晴らしいものがあります。

表題作は、亡くなった双子の妹を通してのその夫と義弟。
先日レビューした「微笑う人魚姫」にも似た世界でした。
双子の妹・昴をモデルにして描かれた絵を見て、これは自分じゃないと言って自殺する昴。
その霊前で、妹の代わりに抱いてくれとすがる弟・翼朗。
絵描きの夫・草平の乱れた性。
翼朗は自分たちは二人で一つという、昴は翼朗が昴で昴が翼朗だと言った。その言葉に隠される奇妙な三角関係。
ただ堕ちるのみ・・・中原中也の詩を題名に持ってきて、エンドもその一部を引用し、不可思議な世界観を表現している。

他にもキレイな男子生徒を汚したい先生の話
下剋上的な、自分にひれふす相手に、逆にひれふさなければならなくなった男の話
アナルにこだわった高校生の話。
いずれも、どこか壊れた感じのする人間臭い欲望と本能の話です。

そして、何より一番だったのが、
「痴漢電車」・・・何!これ!?AVとかみたいだよー!!
自分の欲望を察した男に”黒い傘を持ちなさい”と言われ、その通りにすると・・・・
まさに題名通りの展開がぁぁぁぁ~

「ケツメイト」「まぼろしの村」
岬で身投げしようとした中年デブ男性が、Sの飼い主に拾われて肉奴隷にされるのですが、これがたまりません!
どんなにいたぶられても、愛を感じてしまう。
ヘルシーな食事と激しいお仕置きに、いつの間にかスラっとした美中年に変身・・・そしてその時は肉奴隷からの解放の時。
そのふもとの村には、そうやって美中高年になった男達が、ご主人さまへの愛を胸に住んでいるのでした。
なんちゅー、メルヘン!!

本作品、前編狂気のような人間が登場するのですが、この後半3本でこの作家のすごさがありありと表現されている気がします。
マニアックでも平気と言う方、是非ご一読を。

8

痛いけどどっか温かい

短編集です。
痛い話だったり、マニアックだったりといわゆる王道な話ではないのですがどの作品も突き放した痛さではなく、どこかしらに人間に対する愛情みたいな視点を感じます。
それを淡々としたトーンで描かれていく。
まんださんの描く人物の瞳が凄く好き。
台詞や表情だけじゃなく、その瞳が凄く語ってる部分が多くてそこに魅きつけられます。
女性との絡みも出て来ますが生々しくてそこも良い。
汚いは奇麗、奇麗は汚い、そんな言葉を連想させる珠玉の短編集。
自分は神ですね、まんださんの作風が広がって来たのはおそらく結婚された後の様に思うのですがその辺りも大人が描かれた痛い話という感じがします。
ただ痛いだけじゃない、それを描く視点に切り捨てた訳じゃない何かを感じてそこが凄くいいなあと思うのです。

6

ギャグからシリアスまで突き抜けた作品群

私がモブ姦に目覚めたのがこの作品でした。
なんの変哲もないサラリーマンとなんの特徴もないモブたち。
主人公が輪姦にハマっていく姿が淡々と描かれて、
余計な言葉はいらないところがいいんですよね。
今でこそモブ姦作品は多いですが、この作品はモブが本当にモブで素晴らしい。(馬鹿みたいな言い回しですが・笑)
全くキャラ立ちしていないので、主人公の痴態だけが目立ちます。
題材だけのモブレや、奇をてらったものではなく、受けの良さを最大限に引き出すモブ姦。
またこういう作品が読みたいと心から思います。

ネトラレものも入っているんですよね…。
これは真のネトラレで、攻めに感情移入すると本当にキツい…!
前半に受けの、走ることへの純粋な愛が描かれ、それを魅力的だと感じるがゆえに
後半の堕ちっぷりがつらい。
だが、そこがいい(笑

「ケツメイト」「まぼろしの村」も大好きな作品です。
美中高年の村という荒唐無稽なお話ですが、最後には愛を感じて心温まりますv

ギャグとシリアスと、ここまで振り切れた作品が一冊におさまって
不思議と調和しているのは、ひとえにまんだ林檎先生の筆の力ですね。
どことなく文学的なじっとりした陰気な雰囲気が漂うところも好きです。

2

ストレートな官能表現

イラストや雰囲気が落ち着いてるのに対して、台詞は直接的なものが多く、描写も過激です。
このストレートな台詞は好き嫌いがありそうですが、BLって意外とこんな直接的なえろい単語をぽんぽん使ったりしない気がするので、これに感してはとてもよかったと思います。女性とのベッドシーンも多いのでどうしても苦手な方は避けたほうがよいかもしれません。
特に表題作は女性と一人の男性を挟んだお話です。

どこか説明不足なところのある作品。だけとおそらくそれが味なんだろうと思えます。えろがメインなんだけどそれだけではない。
ちょっとくせのある性癖をもった登場人物たちの、官能的な世界を堪能できました。

特に好みだったのは最後の電車のお話。
痴漢電車というのが大好きなんですが、これは単なる軽い痴漢ものが読みたいって時に…という感じではなくちょっとほの暗いです。
黒い傘を持って晴れた日に電車に乗ると痴漢にあう、でも同じ電車には二度と乗ってはいけないという。
痴漢にあいたいと思いながらそんな気持ちをひた隠しにしている主人公と、そんな主人公に呼ばれてくる人々の、ただ痴漢でえろいというだけでない異質な作品でした。

全体的に暗めでアブノーマルな作品が多いです。読んですっきり、とか爽やかな読後感とか、素直な萌えとは対極にあると思います。
そういうのが苦手なら避けたほうがよい1冊ですが、逆にお好きな方にはたまらない独特の雰囲気を持つ短編集だと思います。
こういう雰囲気の作品群はなかなか持てない個性だと思います。

最後のSM親父受けのお話だけはギャグで、BLとは違うかもなんですが、笑えてとってもよかったです。

2

マニアックという言葉以外に収録作を取りまとめる言葉の思いつかない短編集

まんだ林檎自身があとがきで「マニアック」と繰り返し評しているように、マニアックという言葉以外に収録作を取りまとめる言葉の思いつかない短編集。
一つ一つのレビューは割愛するが、全体的には「セックスはあるけど愛はない、あるいは、最初は愛があったけれどだんだんすれ違う」みたいな感じの話が多い。
ある意味一番愛にあふれているのは最後に収録されている『ケツメイト』のような気がするが、これはオヤジ受けのSMモノ(ただしコメディー)という非常に強烈な一品。
萌えを追求するには向かないが、上手な作家であり読み応えは保証できる。

4

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