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表題作疾走する月の秘密 

平瀬威 26歳 便利屋
別宮千明 17歳 高校二年生

あらすじ

便利屋の平瀬は、浮気調査の張り込み中、ひとりの少年に目を奪われた。夜に走り続ける、千明のどこか憂えた瞳に、かつての自分を重ねる平瀬だったが…。秘めた想いが交錯する、新鮮ボーイズ・ラブ!

作品情報

作品名
疾走する月の秘密 
著者
麻生玲子 
イラスト
立野真琴 
媒体
小説
出版社
集英社
レーベル
コバルト文庫【非BL】
発売日
ISBN
9784086003261
3

(1)

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萌々

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(1)

中立

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趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
3
評価数
1
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

出会い編! エロはライトだけど、極甘です!

2003年のこれまた懐かしい、麻生先生のコバルトシリーズ3作目!『疾走する月』シリーズ全4巻!

今回の主人公達は、挫折も知って、紆余曲折もあって、今現在の自分達がいる…といった処からお話が始まります。
それを踏まえて、主人公達が出会い、惹かれ会い、大切に思いあい、甘い恋心へと変わって…。
そして、昔味わった心の傷も、何処か不安定さを残してきたままだったのが、お互いに知り合うことで、人としても…将来についても、真剣に考え、目標を見出していくきっかけになっていきます。
成長していく為の強さといったものを、身につけていくようなお話でした。

コバルト文庫らしい、心情面ラブ&成長物語と言いましょうか…BL的な部分はソフトなので、濃厚シーンを求める方には物足らないかも⁉︎
でも、心情面&関係性メンイで燻って読みたい方には、甘すぎる恋心を堪能できると思うのでオススメです。

便利屋•平瀬(26歳)× 高校生•千明(17歳)の年の差ラブ。

学校ではだて眼鏡をかけた優等生!
みんなに信頼されている千明には、優等生を演じなければいけない理由が⁉︎
学校の知り合いは愚か、家族にも知られてはいけない秘密。
それは、真夜中の路上を全力疾走すること!
中学時代は陸上一筋で、将来有望株の短距離ランナーだった千明は事故にあい再起不能に…。
後遺症がある為、医者から走る事を禁じられていたのです。
だから、事故後は必死に勉強に励み進学校に入り、優等生を演じ、両親の海外転勤を期に、心配する両親や姉を説得し1人暮しを勝ち取り、誰もいない真夜中の道を、毎日1人で走り続けます。
その秘密を、千明の住むマンションで浮気調査の張り込み中、たまたま見てしまう平瀬。
ぎこちないフォームと乱れた息、はりつめた空気…
走り続ける千明に目を奪われてしまいます。
その姿が、かつての自分に重なり合い…⁉︎
そんな千明に興味を覚える平瀬。色んな顔を知っていく程に、どんどん千明に惹かれていきます。
最初こそ、近づいてくる平瀬に警戒心むき出し状態だった千明も、どうしても走りたい衝動に駆られる強い自分の想いを、平瀬が受け止めてくれたことで心情に変化が!
心を少しずつ開いていく千明と、千明のことを知りたくて仕方のない平瀬!
そんなお互いの秘めた想いが、2人の間を駆け巡りはじめます。

平瀬と千明のキャラもですけど、2人の関係性が、徐々に甘さを帯びて移り変わっていく心地良さにほのぼのでした。

特に平瀬がツボキャラで好き!
最初はどうみてもストーカーな男なんです(笑)
走る千明が気になり…千明のことが知りたくて…こっそり表札で名前を確かめたり、制服から学校を調べたり…。
知ることが増えてくると、今度は会話したくなって…嘘ついて話かけたり…と、急速に千明に嵌っていく平瀬が逆に可愛く見えてきます。
いい大人が、初めてする恋のように、ウキウキ&一喜一憂している姿が、本当に好きなんだなあ〜と伝わってきて愛らしかったです。

あと、本当にカタギなのか疑わしいような、不良っぽい悪い大人な雰囲気なのに、結構良識ある大人で、千明の心の傷を理解し、受け入れる包容力も備えいて…
強引に攻めているようで、きちんと千明の気持ちが整うまで待っているし、意地悪な大人気ない処もあるけれど、周囲も驚く、可愛い千明限定の甘やかしっぷりが凄く良かったです♡
千明を駄目にしちゃう感じではなく、本当に千明が大切で仕方ない感情からくる、甘やかしっぷりに胸がキュン2しました!
キスの誘いっぷりも甘くていいんです♡

千明も高校生とは思えない、しっかりとしたいい子で好感。
挫折を知り、まだ若いのに1人で必死に乗り越えようと頑張ってきた精神力の強さは並大抵の努力ではできないな〜と。
秘密を作る為に、甘えをねじ伏せ、誰にも悟らせない姿は、凄いと思います。
好きだから走りたいという強い思いや、昔を思い出す度に不安定になる心の傷、純粋さがせつなかったです。
そんな経験をしているから、どこか大人びた雰囲気なんですけど、平瀬が相手だと子供っぽい言動を覗かせるシーンは楽しい(笑)
あと、平瀬に振り回されてそうで、結構冷静に物事を捉えて、順おって整理していく処は、千明の平瀬に対する気持ちが丁寧に表現されていて良かったです。
最初は警戒心むき出し状態だったのに、平瀬だけが自分の事を理解してくれているという安心感から、千明の緊迫感が薄れていく感じも好み。
そこに好きがハマっていくわけですから…甘い甘い(笑)
しかも、誘い受け系な予感に今後も期待できる美味さでした。

本当にエロなシーンは薄いです。
でも、キスだったり、触れ合うシーンからも甘さがたっぷり漂う描写なのでキュンとさせられました。
そこに、大好きな立野先生の2人のイラストがいい感じで加わってくるのでテンション上がります。
見つめ合う、2人のなんとも言えない目力に憂いを感じさせられました。

脇キャラも盛り立ててくれてます。
便利屋の楽しすぎる社長&女性スタッフに、千明の姉や学校の友達もいい味だしてくれているので楽しませてくれます。

平瀬という安心できる人が傍にいてくれる事で、ちょっぴり強くなった千明!
平瀬の反対を押し切って、便利屋でアルバイトをすることに!
次巻は尻に敷かれそうな平瀬も見られそう(笑)
あと、千明の走る姿に自分を重ねてみた平瀬の過去も気になる処です!

普通は、自分の嗜好や男同士の恋愛への戸惑い、世間の目であったり、年齢差からくる価値観の違いや、恋愛の不安&焦ったさ…
後は当て馬の登場など、色々問題が起こってくる展開が多いと思うんですけど⁉︎
このお話はその辺がほとんどありません。
トラウマや将来について悩みながらも、ごく日常の中で、本当に自然に恋していく2人が描かれていきます。
物足らないのではと思うかもしれないんですけど…。
これが不思議とハマってしまいました。
安心して読めるBLでした。

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