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表題作恋はある朝ショーウィンドウに

紳士だけど時折食えない顔が覗くベストセラー作家
男に振られたばかりの人気ブティックの販売員

あらすじ

一晩限りの情事の相手が、なんと仕事先に押しかけてきた!?人気ブティックの販売員・流星の前に客として現れたのは、紳士だけれど時折食えない顔が覗く鮎川。
しかも「本気だって信じるまで通うよ」と、連日大量に高価な服を買っていく。
以来、スタッフの目を盗んでは狭い試着室で強引に迫る鮎川を、なんとかかわし続けていた流星。
ところが鮎川が有名なベストセラー作家だと知って。

作品情報

作品名
恋はある朝ショーウィンドウに
著者
金丸マキ 
イラスト
椎名咲月 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199003240
2.8

(5)

(0)

萌々

(0)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
13
評価数
5
平均
2.8 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

一途な攻め。

 恋人に振られたばかりの流星が、バーで飲んでいると背の高い、かっこいい男に声をかけられる。そんなつもりはなかったけれど、したたかに酔っていた流星はその男と一夜を共にしてしまう。
 名前も教えず、逃げるようにその男の元を去った流星だったが、翌日、その一晩限りのつもりだった情事の相手が、人気ブティックの販売員・流星の前に客として現れる。鮎川と名乗ったその男は、紳士だけれど時折食えない顔が覗く魅力的な男だった。
 しかも男の気持ちが「信じられない」という流星に、鮎川は「本気だって信じるまで通うよ」と言い、連日大量に高価な服を買っていく。以来、スタッフの目を盗んでは狭い試着室で強引に迫ってくる鮎川を、なんとかかわし続けていた流星。
 ところが鮎川が有名なベストセラー作家だとわかって……

 鮎川はとにかく真っすぐに流星に迫っていって、毎日、大量の服を買って行く。流星もその服が好きで、そのブティックに勤めているわけだから、「気に入った」と言って買ってくれる鮎川のことは嫌いじゃない。
 しかも、細身な流星とは違って、身長もあってがっしりした体格の鮎川は自分が似合わない服も完璧に着こなしてしまうから、彼に服を選ぶのも楽しい。
 おまけに、好きな食べ物が一緒だったり、趣味も合う。
 けれど、流星は追いかける恋愛に慣れているけれど、追いかけられる恋愛には慣れてなくて、鮎川の想いが信じられなくて逃げ腰になってしまう。
 せっかく鮎川の気持ちが信じられるようになっても、職場では自分の性癖を隠している流星は、同僚に問い詰められて、でも本当は正直だからうまくかわすこともできなくて、心にもないことを言ってしまい、それを鮎川に聞かれてしまう……。
 そして、更に二人はすれ違う。

 個人的に、すっごく流星の気持ちはよくわかるから、何とも言えないよね。いくら理解のある職場だと言われても、自分の気持ちを認めることがそもそも怖いのに、それ以上に周りに理解を求めるっていうのは、本当に怖い。自分の力の及ばないところで跳ね返って傷つけられることもあるかもしれないしね。
 でも、そうやってボロボロになっても、流星が傷ついた原因の一つでもある鮎川の部屋にいた女の人の正体にちょっとふいてしまうようなオチもあり。よく恋愛ものにありがちなパターンなんですが、こういうのもありなのか……と。確かにまだ23歳という年齢を考えたらそれは普通のことなんだけど、買い物の量と立ち振る舞いですっかり23歳ということが読者にも実感として入ってこなかったりしてるギャップにまんまと騙される……という。
 こういうのもうまいなぁ……と、思わせてくれるこんな話は好きです。

1

満足の一冊

面白かったです。
攻めと受けの性格のバランスがよくて、お互いに一生懸命なのにすれ違ってしまうのにキュンキュンして、最後まで楽しく読めました。

主人公は服を愛するブティックの販売員(受け)。
失恋してバーでヤケ酒を飲んでるときに知り合った男、鮎川を誘い、憂さ晴らしのために一夜限りの関係を結ぶ。でも主人公はそれを後悔する。本当は一夜恋ができるタイプじゃないのだ。
その鮎川が翌日から、ブティックに顔を出し、主人公を軽く脅してつきまとい、服をじゃんじゃん買うようになる。
最初はイヤイヤながら相手してた主人公も、傲岸不遜な態度の裏側に見える、鮎川の優しさに触れて、少しずつ惹かれていく。

セックスシーンも良かったです。
探りあうような会話しながらのセックスが楽しくて、新鮮でした。羞恥プレイなセリフを言う攻めとアンアン言ってる受けのセックスシーンの10倍は萌えましたねー。
すれ違いもじっくり堪能しました。

1

少しだけ孤独なブティック店員に訪れた 優しい奇跡

萌萌萌。(MAX:萌萌萌:めちゃオススメ)
私生活が謎の客(鮎川)×失恋したてのブティック販売員(流星)の、年下攻めもの。
一晩だけのつもりだった情事の相手・鮎川は、流星を気に入ったと言っては毎日来店、あっという間にお得意さまに。
ゲイだと店に知られたくない流星は、複雑ながらも客である以上男を無下にもできません。(ちなみにその一晩とは、挿入したまま失恋話をして号泣する流星、困惑する鮎川、という笑えるものでした)

出だしでは遊びなれた風な流星でしたが、本来は真面目で一所懸命、実は愛情深いという人となりが、その仕事ぶりによく表れています。
「たった一人の、一生ものの恋人」という願望があるのですが、いくつもの失恋経験を経て現実をよく知るからこそ(ゲイであることの潜在的な罪悪感も相まって)、同時にそれは無理な理想だと諦めてもいます。その辺が切なかった…。

そこに颯爽と(笑)登場したのが、攻め・鮎川。
少し強引だけど、流星を追い詰めない優しさをちゃんと持ち合わせているし、恵まれた容姿と財力でモテそうなのに、つれない流星に求愛しつづける男。
「流星の成績に貢献できると思い込み高い服を購入し続ける」というその愛情表現はまるで採ってきた餌をメス捧げるオスのようで、その動物じみた一途さが可愛くもありいじらしくもあります。羨ましいぞ。

あらすじを読むとちょっと派手で大人な設定ですが、過剰にドラマティックにさせず彼らの生活圏内の中で無理のないよう話を進めています。
あらすじの印象通りの大人の駆け引きみたいな恋愛を期待していた方には少し肩透かしかもしれませんが、この地に足が着いたような地味さがむしろ好き。
仕事には積極的でも、過去の痛手によって恋愛にはすっかり及び腰、そんな流星の頑なに降ろされたシャッターを、鮎川の一途さが優しく何度もノックします。

一つ不満があるとすれば、ちょっと前半がのんびりだったかな?
でもそんなの気にならないくらい最後の台詞が全てを払拭、じんわり沁みました。
ホント、なんの飾り気もない台詞なんですけどね。

忘れちゃならんのが(むつこさんも書いてらっしゃいますが)最後のセックスシーン。
今まで読んできた中でもかなり上位にランクインの、かわいくて素敵なシーンでした!
読者へのサービスではなくて、あくまで彼ら二人のセックスなんだなあと、幸せを噛み締める流星と一緒にじんとしてしまいましたよ。
こういうセックスシーンはほんとに貴重だと思います。
体優先の恋愛ものにちょっと飽きた、という方におすすめしたいお話でした。

1

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