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表題作この胸をどうしよう

俳優・日比谷耀一
大学生・藤澤架

同時収録作品グッドラック

その他の収録作品

  • 約束の恋をしよう
  • あとがき(高遠琉加)
  • あとがき(笹生コーイチ)

あらすじ

大学生の架は東京で幼なじみの耀一と同居中だ。
7歳の時、出会って以来、無愛想で人づき合いの苦手な架にとって、耀一は唯一、自分を理解してくれる太陽のような存在…だが、そんな耀一はゲイだった。
そして「大切な相手だからこそ、架には恋をしない」とはっきり告げられて…。
やがて、俳優として少しずつ売れ始めた耀一は、失恋しては架に慰めを求めるようになり…。

作品情報

作品名
この胸をどうしよう
著者
高遠琉加 
イラスト
笹生コーイチ 
媒体
小説
出版社
イースト・プレス
レーベル
アズ・ノベルズ
発売日
ISBN
9784872575088
3.9

(24)

(4)

萌々

(16)

(2)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
92
評価数
24
平均
3.9 / 5
神率
16.7%

レビュー投稿数5

ツボ

幼馴染みモノが大好物なんですが、ツボにきました。
もうとっくの昔に両思いなのに、しかも今は一つ屋根の下で同居生活してるのに、ストイックに自分の気持ちをおさえてる二人の姿に萌えポイントをギュウギュウ押されてキュンキュンしました。
プチ下克上でもあります。
かっこよくて何でもできるモデルの耀一と、人付き合いが苦手な架、耀一が架を守っているかに見えて、実は…みたいな。
高遠琉加さんの描く心理描写、かなり好きです。

4

ガマンの幼馴染みもの、ジンときました・・!

「嬉しい、読めて。」という作品でした。

日比谷耀一(よういち)と藤澤架(かける)、7才のあの雪の日から。
厳格な祖母に育てられ、周りと馴染めない「架」にとって「耀一」は“唯一無二の太陽”で、耀一には架が、自分だけの守るべき慈しむべき存在。
高校時代に耀一は自分の性癖に気付き、その時の恋人との失恋で架を頼ってから、お互いに改めて相手の存在を意識するのですが、そのまま隠していくのです。

高遠先生の文章は、架・視点から多く、しみじみと切なく訴えかけてきます。
「あ~、この人の文章って心地良いなぁ」
何の衒い(てらい)も無く、景色だったり心象の比喩だったりが、す~っと自分に入ってくる文章を書かれる作家さんのおひとりです。

2人は高卒後、耀一は高校から続けていたモデルで本格的に芸能界へ、架は大学進学と、進路は違うものの同居。
今までは、住む場所が違ったけど心はいつも近かったのに、今は同居しているけど生活の時間帯や付き合う集団が違って、お互いに不安が募ってくる。
耀一には「桜庭」という脚本家の恋人が出来て、架は他人と少しずつ喋れるようになってきたのだが、それでも、架には7才の時から耀一しかいないのは今も変わらない。
耀一はいつも恋をしていて、失恋の時だけ架を抱きしめて慰めを求める。
今は穏やかで優しい桜庭がいる。
いつまで、この生活が続くのだろうか?架は悩む。

そんな時、桜庭は架に、危険な心臓の手術をアメリカで受ける、最期になるかも知れないと言ってきた。
耀一を連れて行きたい、2年は帰らないと言う。
耀一が離れていく?耀一に会えなくなる?パニックになる架は・・・?

【約束の恋をしよう】祖母の入院で郷里に戻った時の、架と祖母の行き違いの心の融雪話と、恋人となった2人の盛り上がり交わり!の心温まる短編。

【グッドラック】手術の為に旅立つ桜庭と見送る北見(テレビ局プロデューサー)の、仕事や耀一と架の話をしているだけの数ページです。
万が一生きて帰れないかも知れないから重い雰囲気のはずなのに、穏やかに見送る大人の北見の位置が本当に良いのです。

何でこんなに沁みてくるのだろうと思います。
幼馴染みのもどかしい恋、このシチュエーションは数多くて、その中には第一人者と呼ばれる作家さんや他にも御大作家さんもいるのに、自分は高遠先生のが好き。
高遠先生、笹尾先生、担当さま、本当に有難う!

2

幼馴染

幼馴染成長モノ。やっぱ幼馴染っていい!!凄くいい!

厳格な祖母に育てられたせいで人付き合いが苦手な大学生・架〔受〕は、7歳の頃からの幼馴染で今は俳優業をしている耀一〔攻〕と同居してます。
架は耀一を好きなんだけどそれは心に秘めてあくまで幼馴染の同居人として暮らしてます。
耀一はゲイで、失恋する度に架に友として安らぎを求めていて、恋人とはいつか別れなくちゃいけないけど友人なら一生付きあっていける、そんな耀一の言葉は架にとっては、お前とは恋人になる事はないと言われているのと同じで複雑な気持ちでそんな言葉を聞きます。
そんな反面、耀一は架に対して過保護とも言える態度もとっていて大事にしたり、嫉妬めいた言動も読み取れる。
けれど耀一は今度は長く付き合えると思う、と年上の恋人を連れて来て架に紹介までするのですね。
耀一が好き、恋として好き、でも幼馴染のこの座も手放したくないし、何より耀一が自分を好きになってくれる筈がない。
高遠さんは片想いできゅんきゅんさせるのが上手いなーっていう描写ですな。
最後の種明かしにはやられた!って思っちゃいました。そうかー、そう来たかー。
やっぱ幼馴染モノはいいものだー、再確認した一作でした。

2

うう、よかった~。

もうホントにタイトル通り、『この胸をどうしよう』でした。上手いタイトルですね~。

なんというか、ものすごい正統派だな~と。いや、それが悪いというわけではまったくないです。すごくよかったし好きなんですよ。『幼馴染』で『すれ違い』なんて、私の好みにピッタリで言うことないです。

あえて言うなら、終盤の大人たち(桜庭と北見)の仕掛けというか仕込みでしょうか。正直、あれはなくてもよかったかなと思わなくもないです。余計と言うよりも、耀一と架が2人だけで答えに辿りついた方が、という意味で。桜庭と北見自体は結構好きですね。

高遠さんにしては甘くてストレートな気がしますが、私はそれがよかったですね。キャラクターの若さ(青さ)がなんとも言えず可愛かったな~。

イラストもイメージに合っててよかったです。

2

恋はいつか終わるもの

面白かった~。読み始めた最初はよくある幼馴染ものかな…という印象でしたが、面白くて、何より作者の感情を揺さぶられる文章に引き込まれていってしまいました。

幼馴染で同棲中の架と耀一。架は耀一が好きだけど、耀一は恋多い男性で、恋人が出来て別れて…の繰り返し。けれど耀一は「架には恋をしない」と言い切っています。耀一いわく「恋とは終わるものだから」だそうですが…。

一番そばにいたいという思いから今の関係を維持する架ですが、耀一の今の恋人桜庭と、架にちょっかいを出してくる北見の登場で少しずつ状況が変わってくる…というもの。
大きなネタバレがない方が楽しめる作品だと思うので、あまり書くことは控えますが、この脇キャラも本当に魅力的で、自分の今の思いを切々と語り、このキャラクター達がみんな、最後上手くまとまるのか??と疑問でしたが…。

ともすれば恋愛なんて全部苦しい思いをするもので、色んな作品を読めば読むほど「よくある葛藤だ」なんて思ってしまったりするのですが、これは架の「好きなのにどうして報われないのか」「こんなに苦しいのにどうしたらいいのか」「あとどれくらい苦しめば許されるのか」という自分自身への語りかけとやり場のない気持ちが切実に伝わって来ました。

ただ、上手くまとめた最後はよかったと思うんですが、耀一が酔っていたときした事も全部わざとだとか意識があったというのはあまりにも酷いんじゃないかと思う。わだかまりが解けて改めて考えると、架が辛い思いをしただけじゃないかちょっと憤りも沸きました。

脇キャラクターが本当に魅力的だったので、2人にもいつか幸せな結末があればいい思います。

2

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