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表題作影あるところに

堤,前院長の息子で研修医
中道,前院長の愛人でベテラン小児科医

その他の収録作品

  • 風呂あるところに
  • あとがき

あらすじ

外科医・中道の医局にやってきた調子のいい後輩・堤は、脳梗塞で倒れた院長の息子。その院長と付き合っていた中道は、居心地が悪い。そんな折、院長は他界する。父親を奪った相手として憎みながらも、中道を心配する堤は、彼に以前の笑顔を取り戻してほしくて……。描き下ろしも収録した、西田印、大人のビター・スイート・ラブ!!

作品情報

作品名
影あるところに
著者
西田ヒガシ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
新書館
レーベル
Dear+コミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784403661051
4.4

(72)

(46)

萌々

(13)

(10)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
22
得点
314
評価数
72
平均
4.4 / 5
神率
63.9%

レビュー投稿数22

西田兄貴のとっておき作品

レビューしきってしまうのがもったいなくて、レビューしたいけどしたくないというジレンマにいつも悩まされる西田作品。
中でもこの1冊は、とっておきの名作です。
泣きました。
感動という言葉を簡単に使うと安っぽくなるので使いたくないけど、感動しました。
大事な人を失って、苦しみに押し潰される。でも、ゆっくりゆっくりと立ち直っていく…
恋愛話ではありますが、そういう中道の人間らしい姿に感動しました。

前院長のバカ息子で研修医・堤×父親の愛人だった医師・中道。
父親の愛人という最悪の関係です。当の父親(前院長)は脳梗塞で倒れて以来、意識不明の寝たきり状態。
このドロドロした設定でどうしてこんなに爽やかな話が描けるの兄貴、と問い質したい。
自分の父親しかも男の愛人――そんな相手に良い感情を持てるはずもなく、あるのは嫌悪感。
でもその嫌悪感は、中道という人間が真剣に父親を愛していたことを知れば知るほど小さくなり、いつしか放っておけない相手になっていきます。

いつも思うのですが、悲しみや苦しみの表現が巧い。
大きすぎる悲しみの直中にいるとき人は、ただただ苦しいだけで涙なんてでないものだと思います。正体不明の塊が身体のど真ん中に居座って、頭の中や喉元までそれが押し上げてくる。比喩ではなく窒息してしまいそうなほど。
台詞やモノローグも秀逸ですが、無言のコマのともすれば無表情ともとれる表情の中に、目の中に、そんな文章不可の悲しみが宿っていて訴えかけてくるんです。ぐわーって。
簡単に涙として昇華できない中道のその苦しみが、不倫相手の息子である堤によって氷解していきます。
何もかもを一人で飲み込もうとする中道に、堤が笑顔でお花のシャワーをプレゼントするシーンが胸を打ちました。
泣ける場所があって初めて人って泣けるんだなぁ…。

真っ暗の部屋の中で一人で月を見つめていた中道が、自分を照らしてくれる光をもう一度見つけます。
堤もね、いい男です。可愛げがあって、あったかくて。
中道を…その胸の中にある父親ごと、堤はきっとずーっと照らしていくんだと思います。
これは息子だからこそできることかも…あー、また泣いちゃった。

ふざけたタイトルの(笑)描き下ろし含めて、セックスどころかキスさえ1コマしかないプラトニックさ。
でもそのおあずけ具合さえも西田兄貴の罠です。
萌える。とにかく萌える。そして泣ける。
読んで損はなしの、お墓持ち込みマイリストの一冊です。
みんな読めばいい(呪い)

14

あの世にまで持ってきたい。

主人公・中道(医者)は院長である堤と愛人関係にあったけれど、堤が病に倒れ、意識不明の重体に陥り、迫りくる別れの瞬間に中道は怯えながら看病し続けます。
意識もない愛しい人に触れながら、「このまま世界が終ってしまえばいい」「今すぐここを誰か爆破してくれ…!」と涙するシーンが泣けて泣けてしょうがない。。。
そんな折、堤の息子・英男が研修医としてやってきます。英男は中道が父の愛人である事を知っていて、敵意と嫌悪を露わにするのですが…。
堤院長が亡くなった事がきっかけで、ボロボロになりながらも一人で寂しさに打ち勝とうとする中道に英男は惹かれていくのです。
中道を英男が慰めるシーンが可愛くて、泣ける。
窓から紙の花を子供たちと一緒に中道の上に降らせて、不注意で落ちちゃって…駆けつけ泣きだす中道を抱きしめて、何も言わないまま死んでしまった父の代わりに謝り続けるだなんて反則だ!カッコいいよ息子…!!!!!惚れる!!!!!!

ラストはもうとても素敵で、とてもとても文章に出来ない…。
西田作品の中でも最も好きなラストシーンです。

オマケの話は「風呂あるところに」(笑)
一緒にお風呂に入る事に躍起になる英男が可愛い。。。
中道先生は結構鈍チンなのかしら…。いきなりピュアモード炸裂です…。
しっかしまぁ…最後の最後まで結合はございませ………ん…(涙)
まぁたまにはいいか…。攻め受けで書くなら英男×中道っぽい。

BL作品の中で一番好き。
これを柩に入れて一緒に燃やして貰いたいぐらい、あの世にまで持っていきたいぐらい好き。
おススメです。

9

スッキリした絵柄とわかりやすいストーリーでとても読みやすい

初西田東です。

ちるちるレビューの二極化具合と
「見つめていたい」の濃ゆいオッサン表紙にあてられて、
西田東作品に挑戦するのを今まで躊躇していたのです。

50代以降のくたびれたオヤジたちによるリアルゲイ的ドロドロ不倫葛藤で
重々しく考えさせられるストーリーと
暗くて読みにくい絵柄なのかな、と思い込み
これは相当の覚悟がないと読めないぞと。

読んでビックリ。
まったくそんなことはありませんでした。
シンプルスッキリな絵柄と、わかりやすい内容でとっても読みやすいです!
最速読了かというくらいツルっといけました。
表紙のイメージってこわい・・・。


ストーリーは割りとよくある感じでしたが、
心理描写が一品なのですね。
なんてことない日常の積み重ねでの心の動きをじっくり丁寧に描いていき、
ある時突然ふっと人物の気持ちが変わる瞬間が訪れる。
そのキメ具合たるや圧巻。
BL通の方がこぞってイチオシされるのはここかと納得しました。

あっという間に読み終えてしまい、
まだまだこの二人の物語を読んでいたいと思いました。

これから西田東作品、読み漁りたいと思います。

7

めちゃくちゃ好きです

 「ちるちる」さんが出来たのが去年(?)で、レビューを書き出したのも最近なので、つい新しい作品の感想を書いてしまうのですが、やっぱり大好きな作品はレビューしておかないとねー、ということで。

 「影あるところに」です。

 西田先生のはどれも好きですが、これは何度も読み返してしまいますね~。

 誰にも言えない愛と、かなわぬ恋。妻もいて男で院長で、と不倫する外科医の男。真剣に愛しあっていたけれど、院長は亡くなってしまい……。
 その悲しみに耐える外科医中道ですが、院長の息子堤によって堰を切ったようにあふれる思いには……もうっ!
 おおっぴらにできない関係で、泣くことすら出来ない大人の男。

 西田先生の描く男の人は、リアルだけど恋する乙女のようで、大好きです。

 そして、院長の面影を残す堤との恋は……。

 全然エロがないんですよね~。それなのに、こんなにドキドキするって! 泣けるし。

 でも、この二人がいちゃついてるのとかもっと読みたいんですけど……。

 
 

6

押しと引きを楽しんで!

西田東さんは押しと引きが非常にうまい作家さんだと思う。
少し間違えば重くなりすぎてしまいそうな「死」がテーマに盛り込まれて
いる作品なのに全く重苦しくならずに読めたのは
少しづつ良いタイミングで繰り出される西田さんのギャグ。
それが最も印象に残ったシーンは中道先生が電車で旅立つ場面。
ドラマチックで最高潮に盛り上がる格好いい場面で
秀男くんの顔のぶさいくなこと・・・(笑)
なきじゃくる彼の顔をデフォルメで描いていったん引いた熱を
電車が出発した後ドアの前で肩を震わせながら一人泣く中道先生の
後姿を描いて、またグッと上げる。
このシーンの感動は今でも心に残っています。

中道先生の女々しく、湿っぽい部分がやけにリアルで
これからもずっと院長を愛し続けるんだな、と思わされました。
彼のような人に「すっぱりきっぱり忘れろ」なんて酷だしできるわけがないのです。
だけど秀男君も中道先生には必要不可欠な存在。
生きることに心のそこで諦めにも似た気持ちを持っていた先生自身が
やっと自分で動き、つかんだ「光」だから。

西田さんの作品のなかであまり知られていないようですが、断言できます。
名作です!

5

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