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表題作指先にくちづけて パラケルスス・パラミールム

パラケルスス,医者,錬金術師
ヘルメス,掌サイズの人造人間(ホムンクルス)

あらすじ

稀代の錬金術師にして医学界の風雲児パラケルススは、実は極端に人見知りをする「おどおど君」。そんな彼の心と体を密かにフォローする口八丁手八丁の相棒ヘルメス。ワレなべにトジぶたコンビの波乱の旅と薔薇色の日々!

作品情報

作品名
指先にくちづけて パラケルスス・パラミールム
著者
伊藤智砂 
イラスト
武東実香 
媒体
小説
出版社
学習研究社
レーベル
もえぎ文庫
発売日
ISBN
9784059040088
3.5

(2)

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萌々

(1)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
7
評価数
2
平均
3.5 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

唯一無二の存在

変わったファンタジーものでした。天才医師のパラケルススと、パラケルススが作った掌サイズのホムンクルス(人造人間)・ヘルメスの、心温まるラブストーリーです。

パラケルススの医師の腕は、悪魔と呼ばれるほど素晴らしくて。ヘルメスの存在もあって、一ヵ所には留まっていられなくて、2人で住まいを転々としながら病気の人を治療しています。
このパラケルスス、普段は極端な人見知りの「おどおど君」です。でも、治療の時やヘルメスが絡むと、途端にしっかりシャキっとするのが萌えます。
一方のヘルメスも、小さい体ながらも、いつもパラケルススを守ろうと男気に溢れているのがキュンとなります。
そんな風に、お互い相手のために一生懸命で、唯一無二の存在だと大切にしている様子にキュンキュンします。

パラケルススを助けようと自分の命も顧みずに、瓶の中から出て人間サイズになったヘルメスとの最初で最後のエッチでは、(体のサイズの違いから)まさか見られると思わなかったので、感動して幸せな気持ちになれました。だけど、小人サイズのヘルメスが、パラケルススの指から血を貰う(ヘルメスの食事です)姿も可愛くて萌えます。
そんな2人の恋愛だけでなく、(迫害してくる人達もいるけど)村の人たちとの温かな交流もホッコリします。
この1冊で終わるのを残念に思うぐらい2人のデコボココンビが素敵で、こういうファンタジーもイイな~と読後感が良かったです。

1

なかなか他にない設定

人外モノは数あれど、片方が手乗りサイズで基本的に自分の意志で大きさを変えられないという設定は稀有な方かと思います。
この手の異種間にありがちな実は相手のサイズに変化出来る,何かの試練を成し遂げることで恒久的に相手のサイズになる~みたいなことはありません。まずそもそも基本的に体を瓶から出すことが想定されてない存在だし。
ヘルメスはパラケルススによってなされた奇跡の産物であり、イレギュラーが起こればどうなるかはわからない非常に不安定な存在。よってパラケルススが衆目からヘルメスを守ろうという想いは非常に強いです。
そしてコミュ症気味で自分のこともあって人付き合いに消極的なパラケルススを想うヘルメスの気持ちもまた強い。
そんな二人が旅をするうちに事件に巻き込まれ、パラケルススの危機に自分の消滅をも覚悟して瓶から出るヘルメス。
共依存の強い関係だった二人の進展としては必ず書くであろうと予測しながら読めるエピソードだったけど、それまで語られてた設定や話の流れからまさか更なる奇跡が起こって体が一時的に人間サイズになった上にセックスまでヤれちゃうなんていう想定はなかったよ・・・。口絵でバレてると言えばそれまでだけど、すごいご都合ミラクルにビックリ。でもそこまでに至る二人の想いの強さを見てると自然と受け入れちゃえるのでうまくやったなぁと思います。
ホムンクルスって材料に人間の精液を使うとも言うし、そういう意味では消滅しなかったのはまぁ納得。安易にそのまま人間サイズにすることもなく再び元のサイズに戻ってしまうし、また消滅しないでいられるとは限らないから一度きりの逢瀬になったとはいえ、設定を一貫させた上でお互いの想いを再確認して絆を深める展開として非常に良かったと思います。
作中の時代考証が若干甘いのが気になることや、作品の性質上直接的な性描写が非常に少ないので誰にでも薦められるという作品ではありませんが、ファンタジー系ラノベにエッセンス程度のBL要素が欲しいみたいな方にはオススメです。

0

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