独裁者グラナダ

独裁者グラナダ
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神2
  • 萌×22
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
18
評価数
4件
平均
4.5 / 5
神率
50%
著者
 
作画
 
媒体
コミック
出版社
徳間書店
シリーズ
Charaコミックス(キャラコミックス・徳間書店)
発売日
価格
¥533(税抜)  ¥576(税込)
ISBN
9784199602740

あらすじ

像情報誌の編集者・中田(なかた)は、巷で話題のクレイアニメーション『独裁者グラナダ』に感動する。
だが、その作者で新進映像作家の鳴瀬邦彦(なるせくにひこ)は、人を人とも思わないような、傲慢な男だった!! 
取材を任され、否応なく行動を共にする中田。次第に、鳴瀬の身勝手な言動の裏にある信念に惹かれてゆくが。

表題作独裁者グラナダ

鳴瀬邦彦:自らの存在価値に固執する映像作家
中田和樹:鳴瀬に取り込まれなかった編集者。

その他の収録作品

  • Birthday

評価・レビューする

レビュー投稿数3

あまりに深かった

表題作『独裁者グラナダ』と『Birthday』が収録。
杉本さんのBLというくくりの作品は初読みだと思います。

『独裁者グラナダ』はクレイアニメのタイトル。
突如現れた美しい独裁者が刺客に襲われ滅び、そしてまた生まれてくるという…
そんなよくわからない作品が映画館で上映されているところからのスタート。
そのクレイアニメを作った映像作家の鳴瀬と、平凡を絵で描いたような編集者の中田が主な登場人物なのですが、この鳴瀬がね!怖面白いわけです。(学生時代のパンチヘアもナイス)
自分の作品をこけ下ろした評論家をボコボコに。
しかも、評論家の子供の幼稚園と奥さんのパート先はリサーチ済みという念の入れよう…
もうここだけで心鷲掴みされましたね!
や、この段階ですでにBLではないですが…
中田がそのボコボコ場面を目撃し、しかもその後インタビューに行かなければならずドキドキ…だったわけですが、なぜか超愛想良いんですけどー!な鳴瀬。
ただその方が人間の心理として、かえって怖いんですよね。

そして鳴瀬の口癖は『俺のことほめてください』。
この言葉って、すんごく深読み出来ますよ続きね。
ヤバイ匂いがぷんぷんです。
ただ、ラストまで読むとこのぷんぷんが、文学の香りへと変化していきます。
作中では正岡子規が引用されているのですが、なかなかうまい演出で読み入ってしまいました。
正岡子規は結核で血を吐き晩年は動くことも出来ず苦しみ抜いて死んでいくのですが、同じ病ではなくても彼を重ね、病で亡くなった父を重ね、生き急がずにはいられなかった鳴瀬の生き様がじわっと染みました。
やってきたことは横暴以外のなにものでもないわけで、彼の作った『独裁者グラナダ』は彼自身でした。
しかし、人から嫌われたり疎んじられたりという普通なら避けたい、そんなことにはなりたくないと恐れるものを彼は恐れず、それ以上に自分が生きた証を残そうとした潔さには脱帽です。

この表題作を読むとBL?と頭を傾げることもありますが(中田は結婚しますし)、男同士のお話と言えなくもありません。
ラブではないけれど、きっと中田はラスト鳴瀬へ男惚れしたと思いますしね(苦笑
スタートとラストでかなりテンションの違う作品ではありますし、シュールと言えます。
でも、わたしは好きでしたね。

『Birthday』の方は完全に死亡エンドです。
ただ、こういう前向きになれる物は読めます。
高校生の小山とクロのお話です。
人間には忘れるという心を守る機能が付いていますが、小山にもそんな優しいスイッチが入って大人になっていったんですよね。
けれど、痛みの名前は忘れてしまっても痛みの本質だけは体に残っている。
読み手としてはクロへの切なさがありますが、でも清々しいラストでした。
杉本さんはもうBLは描かれないのかな?
すごく稀少な作家さんだと思います。

2

名作です

表題作にBL要素は無いのですが名作です。
編集者中田から見た天才映像作家鳴瀬を描いているのですが、鳴瀬の暴力的なまでの名誉欲、彼の口から発せられる「俺をほめろよ」という言葉はカリスマという単語が俗的に感じられる程に魅惑的です。
中田はその鳴瀬に魅了されながらも第三者として彼を見続け、彼と接し、鳴瀬は執着とは無縁な、けれど「己をほめる者」としてそれだけの為に金策に困っている中田にぽんと数百万の金を渡してしまえる男です。
どれだけ言葉を重ねても鳴瀬という強烈な人物の魅力は読んでみて欲しいとしか言えないです。
ひじょうに表現が難しい男なのですね、鳴瀬は。
それに反して中田は至って常識人で、けれど見る目はしっかりしています。
「独裁者グラナダ」は鳴瀬が作ったクレイアニメーションのタイトルであり、鳴瀬はまさに己の芸術においての独裁者、です。

同時収録作の「Birthday」は病院で出会う2人の高校生の話。
深夜の動物園で抱き合うシーンは心にぐっと来ます。

杉本さんは今は青年誌モーニングで活躍されてますがまたBL系も描いて欲しい作家さんの1人です。

3

独裁者の愛の言葉

先ず注釈から入って置くと、この表題作に
政治云々は一切絡んできません。
又受攻の立場にいる二人が肌を重ねる事も
ありません。この分類は、精神的な優位の
席順故にと受け取って戴ければ。

癒える事の無い病に冒されていると知って
いるが故に創作者としての欲に忠実であり
続ける映像作家・鳴瀬と全てを只淡々と
こなして行くだけだった編集者・中田。
彼等を引き合わせたのは鳴瀬の出世作とも
なったクレイアニメ『独裁者グラナダ』であった。
その出会いは果たして何を生み出してゆくのか。

物を創る人間なら一度はとり憑かれた感情を
巡る攻防戦の中に恋の様な激しさを見出した
のが今作であるかと。その重さ故に人によっては
拒否反応が出るやも知れません。
BLとして推すのならば弊録作の『Birthday』の
方が余程推し易いですね。
未来を見切った者と未来を切り拓こうとする者。
その二人の感情の展開は急速ではありますが、
そこには確かに愛着と執着が背中合わせで
存在しているから。

杉本亜未と言う作家の底恐ろしさを感じさせる
一冊です。

2

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