イラスト入り
硬派攻め×健気受け
受けに過去に他の男との関係有、人前での公開でのH有と、苦手な方はご注意。
切ない健気受けが好きな方に、お勧めです。
イラストも淡い水彩タッチの絵がキャラとマッチしていて、すごくよかったです。
まるで、童話の人魚姫のように自己犠牲にみちた切ない恋です。
BLの中でファンタジーや横文字の名前は苦手なので躊躇していたのですが、何も臆することなく、すっと作品世界の中に入りこめました。
今回も恋愛的好意に鈍い攻めなのと、グレイの過去からショアを憎んでしまう。
それは、自分の庇護下に入れて可愛がっていたから余計に、可愛さあまって憎さ百倍になってしまったんだと思います。
一難去って、また一難どころではないぐらいにショアにばかり不幸が押し寄せて、涙腺が潤まずにはいられません。
特に、ショアが悪いのではなく、『ただ言えないだけ』というところが、口が聞けない人魚姫そのもので、言葉や態度じゃなくて自分の素直な心でわかってあげてと、グレイに何度か思ったりも。
過去にこだわるグレイの気持ちも充分にわかるだけに、二人のすれ違いが切なかったです。
時々起こるショアの頭痛が悲劇的な結末を連想させ、結末を読み終えるまで本が離せませんでした。
それだけに、結末を読んだカタルシスはたまらなかったです。
個人的には、後に刊行されたエリィ救済の話『寄せては返す波のように』より、ショアが主役のこの話が好きです。
ちるちるさんのトーンに「せつない 痛い シリアス」
とありましたが、ま・さ・に、その通り!!
ドラマCD既読(聴)で、原作を探し回って、やっと手に入れた本作。
ストーリーはもちろんわかっているはずが、
受様の境遇に涙やら鼻水やら、もう、汁出まくりですよ。
タフタフの結婚式の結婚式の辺りからは
タオルとティッシュスタンバイ状態で、目が溶けるかと思ったわ。
泣きすぎて。
ストーリーは神評価ですが、個人的には、ハッピーエンド後に
もうちょっと、ショアに優しくしてほしかったな(主に設定的に)
諸手を挙げてよかったねと言えないかんじなので
ところで、
どうしてショアやキール、当て馬のエルリンでさえ
ファーストネームなのに、グレイはファミリーネームなの??
違和感があったのは私だけかしら??
再読したので今更ながらですがレビューを。
『健気受け』と言ったら六青さんがテッパンだなと個人的に思っていますが、これもまさにザ・健気受けです。
流行り病のため生まれ育った村が全滅し、自分だけ生き残ったショア。
その病の抗体を持っているため、研究材料として扱われ続ける日々。
まだ子どもだった自分を引き取り育ててくれた養父・エルリンクに愛されていると思っていたのに、実はエルリンクにすらも研究対象としてしか思われていなかった。
という、かなりハードな過去を持つショア。
過去だけではなく、研究結果を持ち出されないため、逃げ出されないため、頭にチップが埋め込まれているとか、腫瘍ができるとか。
そんな中彼が見つけた唯一の光であり、愛した採掘師のグレイ。
グレイとの日々がショアを癒してくれるかと思いきやまたもや悲劇がショアを襲う。
不幸続きでおなか一杯になるかと思いきや、これがならない。
ショアが、健気で、そして前向きな男の子だからかな。可哀想なんだけれど、応援したくなる、そんな男の子なんです。
個人的にはグレイよりもエルリンクのほうが好きでした。
グレイも良い男なんですが、ちょっと子どもっぽいっていうのかな…。
自分の感情が第一優先で、ショアの気持ちを聞いてあげられるだけの余裕がないのがちょっと。それだけショアを愛してた、という事なんだろうし、彼の勘違いがないとこの物語は進まないので仕方がないとは思うのですが。
エルリンクが不器用で、そして可哀想だった。
最後の写真のシーンでは思わず泣いた…。
エルリンク救済の続編もあるので、私のようにエルリンク派の腐姐さまはそちらもぜひ。
キールやタムタムといった脇キャラもナイスでした。
「健気不憫受け」「誤解などから受けに冷たくあたる攻め」「その事を後悔する攻め」という設定が私の大好物で、六青先生はそういったお話を書かれる作家さんときき読んでみました。
読んでみると私の思惑通り、上記の設定をバッチリ満たす作品。というか、当てはまりすぎて、「せつなすぎて泣く」なんて滅多にないのに物語中盤から終盤まで泣きながら読んでました……。
私が上記の設定が好きな理由は、誤解などから受けに酷い態度をとっていた攻めが真実を知り打ちひしがれる姿にスカッとしたり、後悔してるのをみて「ザマーミロ!」ってしたいからです。今まで私が読んでた作品はもう少しラブコメ色が強かったりして酷い態度をとる攻めや可哀想な受けをみても先の展開を楽しみにニコニコしながら読んでたんですが、本作品は受けの生い立ちが不憫すぎて、理屈じゃなく攻めを思い続ける受けが健気すぎて、というか「ザマーミロ!」を楽しみにするにはこのお話が儚くてせつなすぎて、途中からは「スカッとするとかもうどうでもいいんではやくショアを幸せにしてあげてください……。」って思わずにはいられませんでした。実際、グレイが「愚かだった俺を許してくれ…。」って言った際はザマーミロとか思わずただただ泣いてました。
このせつなさを存分に楽しめたのもしっかりした設定、人物描写、情景描写ならではだと思います。六青先生すごいです。ありがとうございます。
最後、ショアは頭のチップを摘出され、研究所に渡ると危険な遺跡を自ら壊し、自分を痛みつける感情や記憶とともに海の底に置いていきました。こうして何にも縛られることはなくなったショアが、今度こそ幸せになってほしいなと思わずにはいられません。
ショアの身体が弱くなっていたり、エルリンクから送られてきたものだったり、、大円団のハッピーエンドよりも少し尾を引く終わり方の方が心に残るのってなんででしょうね?エルリンクメインの「寄せては返す波のように」も読んでみようと思う終わり方でした。
(私的には赤毛のキールのその後とかも読みたいんですが……。)
ともあれ「寄せては返す波のように」だったり「蒼い海に秘めた恋」だったり題名が素敵ですね。藤たまき先生のイラストも物語にぴったりでとっても素敵です。
はー…時間を忘れて読み耽る面白さでした。
果たして面白いという言葉が正しいのかどうか…終始あまりにも切ないんですよ。
この切ない世界観は六青先生にしか描けないでしょう。
悲しくなるくらい切ないのだけれど、ショアの行く末を見守らずにはいられないとページを捲りたくなる。一気読みでした。
都市が水に沈んでいるという設定も魅力的でしたね。
もう、もうですね、読めば読むほどショアという青年に肩入れしてしまうんです。
哀れなほどに健気な人。その一方で、彼が持つどんな目に遭っても穢れることがない誠実さを愛おしく思います。
世の中から遠ざけられ、人のため・欲のために搾取され続けてきた人生が辛すぎる。
絶望を抱えたまま逃げ出し、何も知らない雛鳥のようだったショアが唯一の光を求めて辿り着いたのは、学習用の記録映像でずっと見ていた採掘師のグレイの元で…
今まで知らなかった物事をスポンジのように吸収し、人の営みの中にやっと入ることが出来たショアを見ているとなんだか嬉しくなりますし、ただ純粋にグレイを慕う姿を見れば、ああ早く恋を知って幸せになってほしいと思ってしまうんです。
しかしながら、そう簡単に上手くいかないのが六青作品。
グレイに本当のことを話したい。でも、話したくても話せない理由が頭の中に埋め込まれてしまっている。
まるで人魚姫のようなこの縛りが、2人の間にひとつ、またひとつと誤解を生んで悲しく広がっていくままならなさ。
切なさMAX・健気さMAXな展開が続きますが、これがぐいぐい読めるんです。
個人的にグレイにはそこまで大きく惹かれるものはなかったかなと思いつつ、完璧ではなく人間くさくて子供っぽいところもある彼だったからこその展開だったのかもしれませんね。
うーん、私には不器用なエリィの方が魅力的に見えたかも。
でもやっぱりショアかな。ショアが1番好きです。
髪を赤く染めようとした彼に胸を鷲掴みにされてしまった…
はじめから終わりまで、ショアという1人の青年に夢中になって読んだ1冊でした。
エリィのその後が気になるので、スピンオフ作も追いかけたいところ。