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久々に何度も読み返す作品

毎月、電子書籍で20冊ほど購入していますが、ほとんどは一度読むだけ。しかし、年に1冊あるかないかで、何度読んでも飽きない!何度も読みたい!と思える作品があります。この本がまさにソレでした。
ウブと言うより、化石のように貴重な王子様の日山くんが独りでいろいろやらかしてくれて、ニヤニヤが止まりません。男子校の可愛らしさを撒き散らしてくれるクラスメイト、途中乱入して混ぜっ返す園芸部の後輩など名脇役が揃っていますね。ぜひぜひ続きをお願いします!
この日山王子のクラシックな感じは、リボンの騎士のサファイアかフランツを思い出してしまいます。

見つけてくれて、ありがとう

皆さんのレビューをチラ見しながら、避けて避けて、でも我慢できなくて電子書籍で購入したものの、予感する思いに怯えて暫く読まずにおりました。忙しいからとか、先きに読むものがあるから、体調が悪いから…と不必要な言い訳を作り日延して、とうとう読みました。この巻を読み終え、悲しくて苦しくてギュウッと涙が出ました。
読後感の良いしあわせなお話が好きな私には苦手な作品でした。
どこにでもある日常の側にある殺伐は作り話だけでなく、この作品の舞台となる鄙びた地域でもあちこち報道されます。見過ごされたままのものさえあります。
そのような中で、福太が葵の〝いる〟アパートに来て葵と再会し、葵を〝見つけ〟ることができたことが救いでした。
上下巻2冊のボリュームに見合ったとても良いお話でした。間延びするところがなく特に上巻はじまりのテンポの良さは秀逸です。透けて見える悲惨な予感を感じさせながら弾むような少年期の描写でした。人物はもちろん、福井の背景や料理の絵も繊細。
読み返すのが辛い名作です。

根暗くんの愛し方 電子 コミック

山口恵 

もらい泣き

amazon unlimitedで読みました。元々、山口恵さんは電子書籍の連載マンガを購入していたりして、スタイリッシュではないけれど、なにか(自分には)気にかかる作家さんというイメージを持っていました。
この「根暗くんの愛し方」を読んで、自分が好きな設定をサラリとしっかり表現されるから合うんだ!と再確認しました。
主人公はカップルの中でも受けの黒木志麻。根暗で友達も作れない自分を恥じていますが、どんな時も相手を思いやる優しい人物です。その黒木に近づく人たちは、最初は気弱な黒木を利用するだけなのかと思わせながらも、最終的に黒木の同性愛嗜好を理解しながら寄り添い見守るようになります。
黒木は涙腺が弱く、男に振られたり、自分と付き合うことで阿野まで周囲に悪く言われるのではないかと苦悩してポロポロとよく泣きます。このお話が気に入って数度は読み返しましたが、黒木が泣くシーンではいつももらい泣きしてしまいます。
かなりアッサリめの絵柄で表現も洗練されているわけではないのですが、黒木の切ない想いの描き方は私の胸を熱くしてくれました。
読みやすい作品です。善い人物が幸せになるお話は読後感良くて好きです。

主役も色あせるほどのたっぷり内容

BLマンガが好きなのですが、BL小説を読むと「やっぱり文章だと細やかに表現できて読み応えあるな」と思います。ところが、このマンガはたった1冊という限られた尺の中で小説以上に物語が詰め込まれています。目まぐるしいほどです。とはいえ、BLはロマンス枠ですからカップル中心に展開していくことが大切ですが、残念ながらこの作品はそのルールから外れロマンス色が弱くBLとしては物足りなくもあります。その結果としていまひとつBLとしては地味めです。
しかし、お話としては構成も上手く面白い。脇役も魅力的です。犯罪関係のお話としてはその辺のBL小説よりずっと立派。そしてイマイチ主流にならずに終わった主役カップルのラブシーンは惹きつけられます。愛しさから湧き出る涙がいじらしい。体格差のあるカップルを狂いなく描く画力は安定していて、(華はないかもしれませんが)見やすい画風と単調でない構図はお話のテンポと相まってぐいぐいと読ませてくれました。萌や甘さやだけでは満足しないストーリー重視の方におすすめします。

風景描写が素敵です

好きな作家さんなのですが、この作品は雑誌連載中に第一話を読み、主人公の惨めな変態ぶりにちょっと引いてしまいました。単行本になっても購入を躊躇していました…そんな中、電子書籍で48時間限定1チケットになっていたのでチャンスとばかりにレンタル。読んでよかった!名作です!よくもまあ見事に1冊にお話をまとめてあるなと感嘆します。
特に胸をうたれたのは背景描写。この作家さんの過去作品と比べてもラフな絵や書き文字が実に効果的に、雰囲気ある映画のような流れを支えています。タイトルにもなっている雪片が降りしきる様子、雪が降り始めた冬の夜の空気感にジーンとさせられました。ハルジオンとヒメジョオンが咲く河原の景色もしかり。京山あつきさんの絵の表現力に酔わされます。
主人公はBLとしては惨めなほどに恥ずかしい面も余さず描かれているのに、景色が美しくて…その変態さを引き立てているのか中和させているのか?そのギャップにさえ感動してしまいました。
もちろん、電子書籍レンタルは追加料金払って無期限にしました。

鍵のかかる部屋 電子 コミック

紺野けい子 

見事な短編

電子書籍の詳細では15ページとありましたが、実際は13ページのほんとうに短いお話です。それなのにザクッと胸に突き刺さるお話でした。
社会人となり自分を認めることを知り、かつ周囲への配慮も知る大人となったふたりにとって、9つ年下の恋人が存在する今はどうしようもなかったんだろうな…とか、読み終えてから辛くさせられました。短いからこそダラダラとした言い訳がなく現実味を感じさせられます。
電子書籍各社で100円+税で読めます。おすすめです!

とても善きお話

このシリーズ、最初は電子書籍で読みました。その後、購入先の電子書籍では2巻が出ず、紙媒体で購入。そして、シリーズ3巻目がこちらサイトで高評価とのこと。でも、出先でもベッドでも読める電子書籍で購入したくてじっと待ちました。そしたら、今まで出ていなかった2巻も一緒に別の電子書籍サイトで全巻お安く電子書籍化!ありがたいです!即購入しました。
一読後、高評価という先入観からか「ふうん・・・」という読後感でした。とはいえ、大好きなシリーズですから、その後何度も読み返しました。すると、読み重ねれば重ねるほど胸が絞られる思いがします。
徳永親はとても一途ですね。いろんなタイプのBLがありますが、徳永親はかなり女性に近い感覚です。極端のようでもありますが、だからこそ女性読者なら共感して自分の過去を思い出して泣けるのではないでしょうか。
徳永親が家着にしている黒っぽいトップス、これは2巻で高梨が「へたってたから捨てようと思ってたやつ」ですよね。ずっとこれ着てるますよね・・・。
高梨のために別れようと決めてからもずっと着ています・・・。相手が嫌で別れるなら絶対に捨てているだろうに、ただ高梨を思いやるだけに別れたからずっと着ている。
「俺を見てくれなくてもいい、漏れ聞こえる声が聞こえるだけでいい」
それほど想っている高梨のシャツだからずっと着ているのです。その絵をみるだけで泣けます。

女性に近いと書きましたが、徳永はけして高梨を貶めるようなことを言いません。
「すごい いっぱい大切にしてもらいましたもん。」
これ、わかります。別れた相手のこと、良いことしか憶えていないってことありませんか。
自分が壊れないよう自己防衛本能が働いているのかもしれませんが、そんなことありますよね。もし一言でも別れた相手を悪く言ってしまうと、第三者がどのようにとってしまうか知れない、自分の感情から好きだった相手を貶めることなんて出来ない。そんなことを思うから、自分の哀しさや寂しさを言ってはいけない。

徳永は高梨を想い続けます。
「会いたい 顔が見たい 話ができなくてもいい 高梨に会いたい 背中だけでもいい 俺に気づかなくてもいい 誰かと話す声が漏れ聞こえるだけでいい 会いたい 会いたい それだけ 本心だ高梨 後悔してない 後悔していない」
これは徳永の切ない気持ちのこぼれるヤマ場ですが、大きく縦割りで表現されているだけで、わりと抑えられています。大きな横割りでもっと強い表現もあるのに、あえて自分の中だけに落とすように縦割りに留めることで徳永の自身より相手を思いやる心情が感じられて、もらい泣きしてしまいます。
また、ここで「本心だ」と言い切れるところがBL、男の子ですね。だからBLってリアルより気持ちよく読めます。

結局、お互いの遠慮などで遠ざかっていた気持ちがまた近づいていきますが、ぴったりと寄り添うまでには時間がかかります。それが淡々と綴られます。扇風機などの備品で季節の移り変わりを見せながら表現してくれています。

そして、高梨は徳永の親御さんに挨拶に行きます。
「オレは親さんと・・・家族になりたいと思います。」
その言葉に徳永は涙がとまりません。
「この先 何があったっていい 何を失くしたっていい この言葉があればいい 他に何もいらない 生きていける」
一生に一度、こんな幸せがあれば生きていけますよね。
ずっと我慢ばかりして辛い思いで生きてきた徳永のことを高梨はわかってるんですよね。

このカップルふたり、古屋さんをはじめとする会社の同僚、徳永の両親。みんな善い人ばかりです。
読み物は読後感良くあるべき!よいお話でした。おすすめします!
ぜひぜひ、「俺と上司の恋の話」「俺と部下の恋の先」と合わせて3冊お読みください。
紙媒体で買った2巻ですが…電子書籍でも揃えました。それくらい常備しておきたい作品です。一読のインパクトだけではない、幾度も読み返したい沁みいるお話です。
最後に作家さんについて。
このシリーズの他は1冊のみ購入しております。あとは別ジャンルの電子書籍を読みました。絵柄は他にもありそうですが、心情の表し方に個性があると思います。多作でないようですが、だからこそ見つめていきたい作家さんです。

大衆小説の秀作、乱読されるBL読者ならぜひお読みください

こういうお話、というかジャンルの名前って何だったっけ?とウロウロ考えて思い出した単語が「飼育」でした。十代前半で特殊な環境に囚われてしまい、家族の安全を盾にとられ、年齢的にも対処を見いだせなかった主人公を思うと、弱者の陥る哀しさを思わずにいられません。
この本は2段組みで文字量が多いにもかかわらず、先を焦るほどにぐいぐいと読みました。とにかく先が知りたくて飛ばし読みをするほどに引き込まれました。あの部分をもう一度確認したい・・・と再度手にしたら、また最初から最後まで読んでしまいます。何度も繰り返しました。それくらいに面白いおはなしでした。
主人公である初乃は、父親が家業のために借りた金を返す代わりに13歳で広域指定暴力団組長の養子として作中人生の半分以上、実に16年間を軟禁状態と望まぬ虐待に苛めながら過ごさねばならなくなった儚げな美貌を持つ少年です。文中の説明の中では、この初乃の容姿を特別に描写してはいませんが、登場人物によると妖しいほどに映るようです。主人公の容姿と同様に作者はけして多くを説明分に書いてはいません。けれど登場人物の多くはないセリフから人物の心情がにじみ出て物語がまとめられています。
初乃が心を寄せる相手は植木職人として知り合い、その後に初乃の近くにいたいがためにヤクザとなった男、将大。この将大はヤクザですが悪い面は一切描かれず、初乃を呪縛から解放するという夢の象徴。
もうひとり、主人公に執着するのは暴力団二代目の悦司。悦司は初乃を借金のカタに養子として手に入れ自分の変態的な欲求の捌け口として嬲り者とした初代組長の実の息子です。悦司は父親以上に初乃を虐待し利用します。大部分の話はこの悦司に拘束される生活のなかで紡がれるためか、主人公に冷酷に暴力的にあたる悦司について多く語られていて、悦司というニヒルな人間が主人公に次ぐ重要な登場人物として魅力的に描かれています。(外見や役柄をイメージするなら豊川悦司でしょう)
関東の大手暴力団の屋敷、初代組長と悦司の和服好み、日本庭園の植木職人というモチーフからレトロな雰囲気が作中に濃く漂います(が、昔の話ではありません)。この作家さんの「異母兄のいる庭」と「義を継ぐ者」と似た文体と雰囲気がありますが、その系統の頂点に立つ名作です。
特筆すべきは作品自体を高める、山本タカト氏が描かれる耽美な挿絵。
私としては時代小説を含む大衆小説のなかでも秀作に位置付ける作品だと思います。

いとこ同士 コミック

今市子 

どうしてこんなに評価すくないのだろう

いとこ…昔は一人っ子が珍しく、いとこはたくさんいました。いとこ同士の婚姻を云々されたのも私たち世代でその親世代ではいとこ婚は珍しくないものでした。ですから、親戚同士の繋がりの中で、当事者二人が同性であることの問題の大きさに緊迫感を感じさせられます。
表題作のカップルである従弟同士の二人はともに思慮深く(いまどきの)年齢以上に大人らしい二人でありながら、すれ違いスレスレの心理劇を演じてくれます。なにもかも、レトロ。しっとりと大人っぽい名作です。
携帯電話どころかポケベルも一般的でない時代の恋愛を経験したものとして、路上での公衆電話を使用してのシーンには、ギュギュ~ッと胸を絞られる思いがしました。
子ども向けの絵本で「きつねのでんわボックス」というのがありますが、夜道でポウッと灯る電話ボックスのイメージは無くなりつつあります。その小道具が私たち昭和世代を捉えるのですよね。
この作者さんは幻想的な秀作も広く評価されていて、BLという括りである必要はないと思いますが、この作品は当時の状況の中でBLでなくてはならないおはなしです。

どこにも救いのないおはなし・・・

購入されたなら二回はお読みください。二度目は最初から胸が苦しくなります。伏線が張られた、悲しくて哀しくてヒキズルお話です。
私個人として、小説やマンガや映画などの物語は報いや良い結果があるべきものと思っています。このお話はそれに該当しません。ただ、この作者さんの作品群の中でも、出色の完成度であることは確かです。3話と書下ろしのけして長丁場でない4連作で紡いだお話は十分な感銘を与えてくれました。神評価は付けます。けれど、私と同様にバッドエンドを好まれない方にはおススメいたしません。それほど暗いお話です。私は電子書籍の48時間限定で読みました。いつも良かったなと思う作品は無期限で買い直しますが、このお話だけはあえて48時間限定で済ませます。というか、無性に悲しくなるので思い出したくありません。
第二話では上村一夫、三話と四話では石井隆を彷彿とさせました。