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業深き彼らを救うため、修羅となる

全3巻。
シリーズタイトルである
「神様も知らない」は本当に深いタイトルだと思います。

こうならざるを得なかった。
ひとつの終末へ収束していく
遣る瀬なさ、悲しみ、切なさ、
そして相反する安堵。

止められない歯車のように意図せぬまま
奈落へ落ちていき、暗い道を歩き続ける
彼らの道が行き止まる時、
必然的に見える結末は涙を禁じ得なかったです。

そして、その運命に玩弄され
業を背負い続ける青年たちの悲劇を終わらせるため
愛故に追い詰める男たちの執念に
胸が詰まりました。

こんなに遠くまで来てしまった。
でも本当はどこへも行けていないのかもしれない。
青年たちは未だ幼子のまま、互いを唯一の標にして
真夜中の教会で震えている。

佐季と慧介は鏡映しの存在だったのかな。
自らの存在(血)に二方とも影が差していたけれど、
その根本を決定的に分けたのは
「はやく良くなりますように」と言ってくれるような
代償を求めない、無償の愛をくれる存在が最初からいたか...
だったのかもしれない。

ただ愛される子どもになりたかった。
佐季はその母性を司に求めたのが、
運命の悪戯により司はその存在にすがったのが
この複雑な愛の根源なのかなと思いました。

さまざまなメタファーも数多散りばめられており、
その意味に気付いた時、物語が匂いたつように哀しみを帯び
胸が掻き毟しられるようでした。
(楽園の蛇の喩え、
遺物を隠した上に咲くのはなぜ梔子なのか、
司はなぜ切り花を売らないのか、
伝言にバイブルポケットを用いていたのは...等)


願わくばふたりが生まれ変わったら、
次はどうか光の道を笑顔で当然のように歩く
子どもでありますように。

この作品に出会えて良かった。
何度も読み返したいです。

月食奇譚 コミック

春泥 

題材と絵柄が恐ろしいほどマッチした作品

江戸川乱歩、横溝正史、夢野久作や谷崎潤一郎、渡辺温、高橋葉介など
耽美幻想文学・怪奇な世界が好きな者にとっては堪らないストーリーだった。

時代をまたぐ因縁と人間の悲哀、
猟奇的な愛憎の描きかたが素晴らしい。
得体の知れない原初的な恐怖と官能が
実はとても近いものであることを窺わせる。

また、表紙やカラーページ、
カバー下に描かれた絵に痺れた。
非常に悪趣味で、美しい。
この独特の色使いに表現される、
時代の持つ仄暗さがとても情緒的。
昭和の娯楽雑誌「少年倶楽部」の挿絵を彷彿とさせる。

春泥先生の絵柄がまたなんとこの世界にマッチしていることか。
この独特のタッチでなければ、
このような物語を支えきれないのでは。
ストーリーによく映え、このタッチこそが
物語を物語たらしめている。

故人の文学ならともかく、
今この時代にこのような作品を読めるとは思わなかった。

救済

メリバ好きならたまらない作品集ではないでしょうか。
それぞれのタイトルのつけかたに
作品を読み終えた後、再び「う~ん」と唸らせられました。

「みぃはなんにも知らない」ことは何を表しているのか?
彫像を愛す「マスタベ」の彼が本当に愛しているのは?

「わたしのうつくしいひと」はメリバでありつつ
より強く“救済”を感じました。
事後、シーツから顔をだし攻めを抱きしめるシーンは
さながらミケランジェロのピエタのようでした。

一瞬を切り取る短い言葉のなかに作家さんのセンスが光っていました。

性癖BL コミック

性癖博覧会へようこそ

よくぞ!出版して下さいました!!と言わんばかりの内容でした。
各タイトル後の【 】内のどれかにピンとくる方はぜひおすすめです。
どの作品も続きが読みたくなる終わり方で、どれもまだまだ膨らむものをまとめた感があり、もっと読みたかった…アンソロだから仕方ないのでしょうね(´・_・`)
まだその絵画を見ていたいのに後ろの人に押されて違う所に流れて行くしかない美術館にいる時のような心境です(笑)

とくに【死体性愛】はオチがオチだけに攻めと受けの精神的情交を本誌に増して描けたならよりコアな読み解き方が出来、さらに良かったのになと思いました。

また漫画だけでなく、巻末のイラスト付きフェチコラムがまあなんと(エロ)面白い。それぞれの作家の◯◯愛が紙面からひしひしと…作家さんらに共感してしまった(笑)

絵柄は色々ですが、それぞれの【 】に一番似合った絵柄で良かったです。
なによりそれぞれ作品の中の彼らが世間で定義される「異常」から逃れ、
幸とも不幸ともつかない快楽に没頭している様がとても良かったです。

空白をよみ、余韻を描いた小野塚さん

原作小説「燃ゆる頬」は一見少ない文字量に見えますが
その行間、空白にいたるまで言葉にできない言葉があり、
その文字にさえおこせないものを漫画にした小野塚さんは素晴らしいです。

生と死、恋、ほとばしる性と懊悩。
時代背景により表現が古風で清潔であることが
相反した耽美的でエロティックな魅力を引き出しているようにも感じます。

また、原作のある作品は、いわば描き手(漫画家さん)の目から原作を見るようで
作品全体を楽しむのと同時に、描き手という翻訳者がどのような仕方で物事を捉えるのか、
また原作のどこにより深く心の重きを置いているのかを読み解くのも楽しみのひとつです。
見えない余韻さえも描ききった小野塚さん、すごいなぁ…。


堀辰雄さん、小野塚カホリさん、
それぞれの感受性からなるものに揺さぶられる作品です。