chill chill ちるちる


BLアワード2010


2010年度はBL界にとってどんな年だったのか!
評者:編集部さん

2010年度のBL界は、全体的にバランスがよく、ビッグネームの漫画家、小説家が、その実力どおりの活躍をされた一年であったと思う。昨年度のように強力なヒット作は生まれなかったが、BL界の地力がジワリと上昇した気がするのである。
将来、BLの中核を担うであろう新人も次々と現れてきた。これまでのBLの概念にとらわれない新感覚表現、そしてそれが読者の高評価を受けるという好循環。まだまだ表現BLの進化は止まらないだろう。
また昨年度は、もともと実力のあった作家の作品が広く認識されて脚光を浴びることが、例年よりも見られるのは非常によい傾向だ。

ゆるゆるとしたスピードだが、BLの裾野は確実に広がっており、これから先も非常に期待は高い。

さて内容とは別にBLの表紙も洗練されてきて、一般のコミックスと一目見ただけでは区別がつかない状況になっている。これからさらに一般作品と区別ができなくなってくるかもしれない。
特に雑誌、アンソロジー系は昨年度、新刊ラッシュであったが、従来のBLとはちがった観点で冒険的な編集をされた印象がある。

注目された電子書籍。2010年5月のiPad発売タブレット型デバイス登場で加速するのかと思いきや、伸び悩んでいる状況だ。これは電子書籍用の作品が豊富でないという状況もあるのかもしれないが、リアル本を単にスキャンをしたフォーマットで見せるだけの後追いコンテンツでは、なかなか受け入れられないというのがあると思う。もう少し工夫が必要だと思う。

喜んでもいられない事例もある。東京都が目指している規制で、今年の7月までに施行の予定である。
「非実在青少年」という概念で2次元のキャラクターに一定の縛りをかけようとし、2010年12月には、条例案が可決。
この条例の運用は、厳しくしていくのか、ゆるいままで実は以前とそれほどかわらないのかわからないが、少々不安な材料ではある。

とはいえ、ボーイズラブのジャンルは、さらに深化してすばらしい作品が次々現れてくるのは間違いない。
年度の後半には新装刊の雑誌が続々と発行され作品の発表機会も広く設けられるようになった。2011年度は楽しみのほうが圧倒的に多いのである。


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