chill chill ちるちる
 
たくさんのご応募ありがとうございました。
属性No.1「花嫁」の受付は締め切らせていただきました。
募集要項

・毎回出されるテーマイラストを見ながらオリジナルストーリーを作成してください。
・ストーリーは、2000字程度で書いてね。

(必須記入事項)
・ペンネーム
・氏名
・返信可能なメールアドレス
・2000字程度のオリジナルストーリー

あて先:bprince@chil-chil.net

プレゼント

B-PRINCE文庫の編集者がみなさんから応募いただいた全ての作品に目を通して選考します。
優秀作品は、本サイト上でSSが公開されるほか、B-PRINCE文庫既刊本の中からお好きなタイトルを3冊プレゼントいたします★

【属性No.1】:花嫁
応募期間

2011年4月1日(金)~4月24日(日)まで
★ただ今、結果発表中★≫

今回のテーマイラストは、こちらです↓↓↓↓↓↓↓

Story

男の子同士でも結婚できちゃうんだ! という夢ジャンルの象徴。
通常は、攻キャラが花婿役、受キャラが花嫁役となる。
設定に時代や国を選ばず、中華モノやアラブモノなどとの融合も可能。
「花嫁」というと通常明るい印象があるが、
BLの場合は女性の代わりにという設定も多く、
せつないストーリーや、強引に奪われる内容も多い。

上記を踏まえて、ジャンルに沿った自分だけのオリジナルストーリーを考えてみてください。
物語の舞台、キャラ名などは自由に書いてね。
イメージイラストからストーリーを妄想していくと、より書きやすいよ。



★書き方がわからない人は、コチラを参考にしてみてね★
BL小説の書き方をわかりやすく教えてくれる「BL錬金術」

みなさんのステキなSS、お待ちしております♪

★SS応募だけじゃ物足りない上級者さんは、コチラ★

読みたいBLは、書けばいい! B-PRINCE文庫新人大賞 応募の詳細は、こちらから★
結果発表
卯月花乃さん

★B-PRINCE編集部より選評です★
卯月花乃さん、すてきな作品をありがとうございました!
今回、完全オリジナルストーリーで募集してみたのですが、ハードルを高く感じた方も多かったようです。
そんな中、卯月さんの作品は書き出しからそれぞれのキャラがどのような状況に置かれているのかがよくわかり、読む人を惹きつける内容に仕上がっていました。
エッチシーンが少し弱いのが残念でしたが、全体的に美しい世界観が守られていたのもよかったです。
やっぱり最後はハッピーエンドが一番ですね!

5月2日より属性No.2「年下わんこ攻め」のSSを募集中★
みなさんもぜひ参加してみてくださいね!!!

今回の最終選考まで残った方々
あゆみんさん 志多田めるるさん 夜師さん

★作品発表★ 著者:卯月花乃


城の北側にある塔の螺旋階段を上ると、鉄格子に囲まれた部屋がある。長く使ったことのないその部屋を訪れるのが、第三王子ソウシの日課だった。口うるさい侍従や女官達から解放される唯一の場所なのだ。


その日も気に入りの書物と菓子を持って訪れると、いつもと様子が違っていた。無人のはずの塔に、侍女達の出入りがあった。


物陰から様子を窺っていると、程なくして侍女達は塔を後にした。自分が出入りしていたのがばれたのだろうかと、ソウシは螺旋階段を一気に駆け上がる。


殺風景だった鉄格子の部屋は、人が住める程度に整えられており、部屋の中には、自分とさして歳の変わらない子供の姿があった。


だが、鉄格子にはしっかりと鍵が掛けられており、ソウシは息を飲む。


「お前、どうしてこんな所に入れられているんだ?」


思わず声をかけると、うずくまっていた子供が驚いた様に顔を上げた。


透き通る様な白い肌に、頬を縁どる艶やかな黒髪、瞳は琥珀の金で綺麗な顔だと思った。


「誰?」


「俺は第三王子のソウシだ。お前は?」


「レンリ」


「なぜ、この様な場所にいるのだ?」


「わからない…」


小さく呟く様に言うと、琥珀の瞳から涙を溢れさせた。


その泣き顔に胸の奥が締めつけられた。


「泣くな」


「ごめんなさい」


慌ててレンリは涙を拭う。


その姿に、ソウシは手にしていた菓子の包みを鉄格子の間から差し入れる。


「やる。だからもう泣くな」


受け取った包みから零れ落ちた砂糖菓子に、レンリは驚いた様だったがすぐに笑顔をみせた。


花が咲く様な笑顔だとソウシは思った。


後に、自国である洸が小国ながらも豊かで、争いを好まぬ奏を攻め込み、一夜にして滅ぼしたのだと知った。奏国最後の生き残りが、まだ幼かった第六王子のレンリだった。


その日を境に、ソウシはレンリの幽閉された塔に足繁く通った。


「レンリ、遊びにきてやったぞ」


「ソウシ」


レンリはソウシが会いに行くと、花が咲く様な笑顔をみせた。


「今日は花の書物だ」


持参した書物を、ソウシは開いてみせる。


「キレイ」


文字よりも挿絵の方が多く載っている書物をレンリは喜んだ。


二人が会えるのはいつも鉄格子越しだったけれど、それでも充分に楽しかった。


その後、二人の逢瀬は、長く十数年にわたって続くことになる。


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塔で暮らし始めてから十数回目の春を迎えていた。


高襟の青い長衣に金の刺繍が施された装束に、身を包んだソウシが訪れたのは、陽が傾きかけた頃。


「どうなさったのですか?」


ソウシの珍しい正装姿に、レンリは驚く。


「俺が王位に就いた祝いの式典があったのだ」


「王位に…」


レンリは一瞬、言葉に詰まる。王となったからには、立場上今までの様に気安く塔に来ることはできないだろう。ソウシと会えなくなると思ったら、心は重く沈んだ。


けれど、すぐに笑顔をみせると、恭しく頭を垂れた。


「おめでとうございます」


レンリは見せたいものがあると部屋の奥に姿を消す。暫くして部屋の奥から戻ってくると、レンリは閉じていた両手を開いてみせた。


「ソウシに幸運が舞い込みますように」


掌で小さな薄紅の花弁が揺れていた。


「これは?」


風と共に舞い込んできた薄紅の花弁に、レンリは微笑んでみせる。


「塔にも春が訪れたのを、ソウシにも見せてあげたくて」


「綺麗だな。だが、これからは本物の春を見せてやる」


「春を?」


長衣の隠しから銀色の鍵を取り出すと、ソウシは鉄格子の鍵を外す。開いた鉄格子からゆっくりと入ってくる。鍵を開けソウシが入ってくるのは初めてのことだ。


出会った日からソウシは一日も欠かさず会いに来てくれたけど、それでも鉄格子を挟んでの事だった。


「いつか必ず、塔から出してやると約束しただろう」


いつか俺が王位に就いたら、お前をこの塔から出してやる。


その言葉を嘘だと思った事はなかったけれど、それでも遠い夢の話だと思っていた。


「そんなこと…」


「出来ないと思っていたのか。俺がお前との約束を違えたことがあったか」


「いいえ」


ソウシはレンリが望む事なら必ず叶えてくれた。


寂しいと言えば、毎日塔へと足を運び、夜が怖いと言えば、共に星を数えてくれた。外が見たいと言えば、絵師に画かせた風景画を持ってきてくれた。おかげで、塔の部屋は絵画で埋め尽くされ、この上もない贅沢な空間となった。塔の暮らしの辛さや寂しさは、すぐに薄れていった。


「奏に帰りたいか?」


思ってもみなかったことを言われる。豊かだった奏を心は今でも覚えている。


でもあの日、炎に包まれ燃え盛る城に、帰る場所を失ったのだと、幼心に感じたのも事実だ。


レンリはソウシの顔を真っ直ぐに見上げると被りを振った。


「籠の鳥は、主人の側以外で生きる術を知りません。私の在るべき場所は、この塔から出てもどこにもないのです。貴方以外には」


「後悔しないか」


「はい、貴方の側に置いて頂けるなら」


「未来永劫離す気はない」


強く腕の中に抱き締められたかと思うと、ソウシの唇が自分のそれに触れた。重ね合わされた唇に、レンリは瞳を閉じる。強引に割開かされた唇から入り込んだ舌に口腔を貪れ、上顎を擽られる。きつく吸われて絡め取られた舌に、レンリは立っていられなくなる。屑折れそうになる身体をソウシに抱きとめられ、飲みきれない唾液が唇の端から溺れ落ちた頃、ようやく唇を離された。


「愛している」


フワリと頭上に花をあしらったベールが掛けられる。


それが花嫁のものだとすぐにわかり、レンリは笑う。


未来永劫離す気はないとの言葉に偽りはないのだ。ならば、共に居られる幸せに、笑っていようとレンリは思った。


一番先に花咲き乱れる洸の春を見せてやると、ソウシに手を引かれ初めて塔を出る。


風を孕んだベールが、レンリの美しい顔を光の元に晒したのはすぐのこと。


花よりも尚美しく。




おわり

「SS Party 2nd Season」属性No.2「年下わんこ攻め」募集中! みなさんのご応募お待ちしております!
募集締め切り:2011年5月22日


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