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CRAZY ABOUT NARISE KONOHARA 木原音瀬にもう夢中! 癖になっちゃう痛気持ちイイ、木原ワールドの魅力をたっぷり紹介

木原音瀬のクレージーキャラトップ5
評者 桃園あかりさん  

木原音瀬が作り出すキャラは、相当強烈だ。まわりにいたら絶対にイヤだ!と思う。
しかしその強烈な個性が、作品を支える大きな礎となり、最強の魅力となっているから困ったもの。このアンビバレントな感情を沸々と煮立ててくれるクレージーなイッチャッテルほど癖になる!そこで木原作品の中から、クレージー男たちを最強格付けしちゃいます!(ネタばれ注意!)


1位 『FRAGILE』 : 青池達郎

 大河内はできる部下の青池をいじめて、会社から追い出した。大河内に密かに思いを寄せていた青池は、復讐をかねて大河内を監禁する。大河内は青池を好きになったというが、それは青池を油断させ、復讐するための演技だった。まんまと逃げ出した大河内を見つけ出した青池は、ナイフを手に大河内を犯しながら、あることを頼む。
「あなたがマンションを出ていった日、俺に置き手紙をしていったでしょう。あれ、なんて書いてありましたっけ?」
大河内の目が大きく見開かれた。
「いっ、いやっ」
「何が嫌なんですか? 俺へのメッセージをここで口にするだけですよ」「もっと大きな声で、何回も」
大河内は口を歪め、大声で「死ね」と口にした。
「死ねっ! 死ねっ! 死ねっ! 死ねっ! 死ねっ…」
狂ったように繰り返す。その罵声を耳に、青池は自分の喉を真横に切り裂いた。血が吹き出し、それは重なり合う大河内の顔を赤く濡らした。
「うっ、うわああああっ…」
大河内が叫ぶたび、潜り込んだ部分は激しく収縮し、青池を天国へと導いた。
「死…んでほしかったんでしょう…。死んであげますよ…。あ…なたの中でね」
*こんな青池を助けて好きになってしまう大河内のほうが、いっちゃってるのかも…。


2位 『HOME』 : 黒田直己

 篤は直己の叔父の井沢が好きだった。井沢が事故で亡くなったあと、井沢が育てていた姉の子どもである直己に、井沢の面影をみつけて篤が引き取る。篤は大きくなった直己に強引に抱かれたあと、次第に直己を好きになるが、気持ちは行き違うばかり。自分が引き取られた事情を知って家を出て行った直己がふたたび篤の前に現れたとき、その顔は井沢のものだった…。
「嫌だっ、井沢さん、いや…」
「まだ、俺が誰かわからないのかっ」
肩を掴んで揺さぶられ、篤はおそるおそる目の前にある井沢の顔を見た。どれだけ見つめても、それは井沢の顔。何年も前にこの世から消えてしまった男の顔だ。
「嘘だ…嘘…」
井沢そっくりの顔で、直己の声。直己の左目を持っているこの亡霊は、いったい何だろう。亡霊の口角が、少し右上がりになる。笑っているような形で囁いた。
「なぁ、これはあんたの好きな男の顔だろう」
* 整形までして、「あんたが好きだって言っていた顔に、一度なってみたかった」とう直己。切ないけど、やっぱりホラー。いっちゃってます。


3位 『FLOWER』 : 谷脇伸一

 嘘つきで傲慢な医師谷脇は、さえない男松本朗を面白半分に酔わせてものにする。松本を恋人と別れさせるのに、自分は浮気を繰り返し、それをちらつかせて松本を泣かせて面白がる。3Pをしてみたかった谷脇は、ある日、嫌がる松本を無理やり他の男に抱かせる。流石に怒って別れを切り出した松本に谷脇は…。
「貴方は自分が面白ければどうでもいいんだ。僕の気持ちなんかどうでもいいんだ。この前のことでよくわかった」
ため息が洩れた。
「もう会わない。僕は人形じゃない。僕にだってプライドがある」
「俺は朗のことを人形だなんて思ったことはない。この前は悪かったよ。俺はてっきり朗も楽しんでいたんだと思っていた」
松本の顔がすうっと青ざめた。
「入れられて、気持ちよくて勃起していただろう。体は正直だ。それを認めたくないのか」
* このあと松本を病気で失った谷脇は、深い喪失感に呆然として生まれ変わるのだが、それはまだずっと先のお話。


4位 『秘密』 : 内海啓太

 啓太は恋人を殺して、死体をアパートの冷蔵庫に入れた。部屋に帰りたくなくて、ナンパしてきた杉浦に、セックスと寝床を引き換えにとついていく。一途な杉浦を次第に好きになった啓太は、自分の過去が邪魔になり、死体入りの冷蔵庫を杉浦に手伝ってもらい、海に捨てる。身代わりに自首した杉浦に、自分こそが真犯人だと名乗り出ると、警察に冷蔵庫は空で、恋人は生きていると告げられる。すべては、啓太の妄想…?
「啓太、好き。すごく好き。世界で一番好き」
「それはもういいから、俺の頭をどうにかしてくれよ」
「僕は平気だよ。啓太が妄想したって困らないもの」
「困らないって、杉浦さん殺してもいないのに自首したじゃないか」
「そうだけど、辛くはないもの。啓太のためだったら僕は何でもできるよ」
額に額をそっと押しつけられた。
「妄想が怖いんだったら、僕のことを考えて。僕がいっぱい好きだっていって、いっぱいキスしているところを妄想して。そうしたら、妄想も現実も一緒だよ。一緒だから怖くないよ」
* 妄想ばかりでいっちゃってるけど、ふたりで妄想すれば怖くない?!


5位 『さようなら、と君は手を振った』 : 芦屋誠一

 昔ちょっとだけつき合った従兄弟の啓介と再会した誠一は、啓介の優しさに甘えながら好き放題に振舞っていた。突然田舎に帰った啓介を迎えに行くものの、啓介は見合いをしたあとだった。啓介の深い愛情を知った誠一は、啓介と同じ年月の10年間は、誠一を思い続けようと決心する。妻に捨てられた啓介を誠一は迎え入れ、心から尽くすが、啓介は妻が子どもを残して事故死したのをきっかけに、また姿をくらます。子どもよりも何よりも恋を優先し、溺れる自分が怖かったのだ。そんな啓介を、誠一は子どもの前で抱こうとする。
「嫌だっ、貴之が見てる」
誠一は一瞬動きを止めたが、その存在を意に介することなく行為を続けてきた。
「嫌だっ」
誠一はやめてくれず、押し潰されそうな息の下で途切れ途切れに呟いた。
「た…貴之、隣の部屋に行って…」
キスで言葉を殺される。
「おい、お前」
不意に男は貴之に向かって喋りかけた。
「ここにいて、隅っこでおとなしくしていろ」
悲鳴は唇に飲み込まれ、毟られるように服を脱がされていく。
「嫌っ、嫌だっ…」
割った両足を抱えられて、足の間に熱を感じた。
「お願いだから、やめて」
* 子どもよりも自分との恋愛を選択させる誠一、そしてそれに溺れる啓介、恋っていっちゃわないとできないものなのかも知れません。


紹介者プロフィール
桃園あかり
腐っていることを周囲に隠していないカミングアウト済み貴腐人。しかし流石に、子どもからはBLをどう隠すかが最近の懸念。職業は、意外にまじめなプロフェッサ~。思うより職場のスーツ率が、低くて悲しい



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