文善やよひ先生インタビュー

いつも澄ました顔してるくせに、私相手でも勃つじゃないか
美しい羽根を持つ鳥人間――鴆(ジェン)。人々は魅せられ、より美しい鴆を飼うことを競っていました。ただ、鴆には毒が！ 有毒の食物を好み、体内に溜め込んだ毒を色に変え、鮮やかで美しい羽根をまとうのです。毒の強さは鴆の誇り。一番美しい鴆と名高いツァイホンと、かつて彼の毒によって兄を殺されたフェイ将軍の物語。12月28日発売、文善やよひ先生の新刊コミックス『鴆―ジェン―』。高飛車な鳥人間と、憎しみを抱える将軍の間に生まれる愛とは!? それでは「801 AUTHORS 108」第802回、文善やよひ先生どうぞ！

Q. 作品紹介をお願いします！
表題作の舞台は、「鴆(ジェン)」という美しい羽根と猛毒を持つ愛玩動物がいる架空の国です。
鴆に兄を殺されてしまったフェイ将軍(攻/主人公)と、主人公の兄でもある飼い主を自分の毒で殺してしまったツァイホンという鴆(受)…という、あらすじだけ聞くと無理目なふたりが、どうすれば精神的にも肉体的にも結ばれるかな？ というハートフルな話です。
モチーフにした「鴆」は古代中国の文献に出てくる架空の生物なので、今回の舞台も中華風になりました。
同時収録の短編は「受粉特集」で描いた、キノコバエと「とある植物」のちょっとダークな擬人化です。

Q. メインカップルはどんな攻×受ですか？
無骨だけど苦労性で何だかんだで面倒見の良い将軍×一見高飛車な鳥人間(人外)です。
Q. 当て馬や重要な脇役は？
主人公の兄です。故人ですが、話のキーになるキャラクターなのでちょいちょい回想で出てきます。

Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう？
中華風の世界観なので、「らしさ」が出したくて作画を頑張りました。
羽根や装飾のきらびやかさとか、大陸の乾いた空気を表現できるとよいなぁ…と思っていたのですが、至らなかった所も多く…精進します。
あと、せっかくの連載なので、「一話一エロ(いちわいちえろ)」を理想に、なるべくえっちなシーン盛り込もうと画策してました。
…が、こちらも、受が猛毒の設定なのでやれる事が限られていて頭を抱えました。
Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください！
「そもそもエロを描きたいならなぜこの設定にしたのか」と友人一同にツッコまれて全くそのとおりだと思いました。
そして、題材が今まで描いたもの以上にマニアックだなと思ったので、その分ストーリーは王道なものにしたくてウンウン悩みながらネームしてました。
…という事を先日担当さんに話したら「王道描きたかったんですか？ はじめて聞きました」とコメント頂きました。
ペン入れが大好きなので作画はずっと楽しかったです。
Q. 今作にまつわる裏話ってありますか？
攻が初期キャララフでは辮髪(べんぱつ)だった…とかでしょうか。
「帽子がカッコ悪い」という理由でボツになり(…辮髪は良いんだ?!)紆余曲折を経て今のビジュアルに落ち着きました。
あと本編中で兄の顔は出てこないのですが、キャララフは提出済みで、わりと主人公そっくりな顔してます。

Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露願います！
連載期間中、とあるキノコの会さん主催の合宿に2回ほどお邪魔しました。
山奥の古民家さんに寝袋持参で泊まり込みながら囲炉裏でキノコ鍋を作って食べる会だったのですが、皆さん気さくでとても楽しかったです。
…が、朝方ひとりで宿場周りを散歩してたら、クマの糞を踏んで心臓がキュッとなりました…本体にエンカウントしなくてよかったです。
Q. 今、何かハマっていることは？
キノコを見たり、その辺の雑草を毟って食べたり、時々海辺で貝やウニの殻を拾ったりしてます。
特にキノコが好きです。キノコが好きすぎて、キノコ関係の本やキノコの毒が載った本などを調べてるうちに鴆毒についても知りました。…なので、今回の本もある意味キノコつながりです。
Q. 発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう？
嬉しすぎて夜中ずっとキッチンを歩きまわってます。…つまり緊張で寝れてません。
Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
文善やよひと申します。たくさんの方にお世話になり、久しぶりに本を出していただけることになりました。
変わった題材ですが、内容はそれほど暗くもないと思いますので、ちょっと変わった異国のおやつを食べる感覚で気軽に読んでみていただけると嬉しいです。

特典情報
イラストカード、イラストブロマイド、ペーパーの購入特典をご用意しております。
配布先の詳細はコチラをご覧くださいませ。

(c)文善やよひ／プランタン出版