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BLとジェンダーを考える、中村明日美子×溝口彰子のトークイベントレポ!

2016/10/25 11:45

和光大学で開催!BLの今までとこれから、『同級生』制作秘話も


10月15日、和光大学にて中村明日美子先生×溝口彰子先生のトークイベント「BL的想像力の変容〜欲望、表現、そして社会へ」が開催されました!

同イベントは、和光大学が主催するジェンダーフォーラムの活動の一環として企画されたもの。和光大学の学生に加え、事前抽選当選者の一般参加者も招いて行われました。映画化もされた大人気作品『同級生』の作者・中村明日美子先生と、著書『BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす』の中でジェンダーの視点を通したBL研究を展開する溝口彰子先生の対談ということで、気になっていた方も多いのではないでしょうか。記者も参加してきましたので、当日の様子と講演内容の一部をお伝えします!


会場は明日美子先生の母校であり、現在溝口先生が非常勤講師として教鞭を執っている和光大学。東京町田にあるキャンパスは、都会にありながらのどかな雰囲気が漂っていました。聴講者は300人ほどで、男性の姿もちらほら。お二人が登壇されると、会場に大きな拍手が巻き起こりました。

講演は、『同級生』制作秘話やBLとジェンダー意識の移り変わりについてのお話はもちろん、コミック『O.B.』のコマを大画面に映しての明日美子先生によるBLマンガ技術講座や、会場にいる人たちからその場で質問を募集し回答するコーナーなどもあり、盛りだくさんの内容でしたよ!そんな講演の中の一部をご紹介します!


● 『同級生』は描いているうちに育っていった作品

溝口 『同級生』シリーズは雑誌『OPERA』の読み切りから始まったんですよね。中村さんにとって初のBL作品でもありましたが。

中村 そうですね。執筆し始めたときは、佐条がゲイだとはっきり決めていませんでした。草壁の下の名前もなかったし。見えないところは作らない性質なんですよね。自分の中でわかっていると、説明不足になってしまう気がして。描いていく中で決まっていくし、キャラクターも育っていく。『卒業生』も初めは1冊の予定だったんですけど、佐条のお母さんの癌の話が出てきたくらいから、「ああもう1冊じゃ無理だ」って(笑)

溝口 それで『冬』『春』の2冊構成に。

中村 そうなんです。ちなみに、佐条のお母さんが(佐条と草壁の交際を)受け入れたのは、死ぬかもしれないという精神状態のせいで容量が広くなっていたのもあるんですよ。だから後から、「うちの息子……そっかあ……」みたいなのがちょっとあるんです(笑) どこかで描けたらいいんですけどね。

溝口 そういったスキマ話を含め、シリーズの続編を期待している人が多いと思いますが、予定はあるのでしょうか?

中村 後日談とかは、機会があったら書いてみたいと思っていますね。あとは各所の特典とかでちょこちょこ短いのを描いていて、それがもうすぐ集められるほど溜まりそうというのはあります。今この場に担当さんいないのでわからないですが(笑)


● BLが女性同士の猥談を確立した

溝口 事前に募集した質問で、「以前に比べてBL好きをオープンにできるようになったと思いますが、お二人はどう思いますか」というものがありました。明日美子さんはどう感じていますか?

中村 BLって、作中にエロシーンのあるものがおそらく全体の70〜80%くらいを占めていて、ポルノの一面が強いジャンルだと思うんですよ。そういった意味では、女性が自身のポルノの趣味を公に出来るようになったと感じますね。BLの何がいいって、女性による猥談が確立されたのがいいんですよ。今まで猥談って男性がするものみたいに思われがちだったけど、BLを通して女性も出来るようになりましたよね。異性愛のポルノの話だと自身が投影され過ぎちゃうのか、生々しい話になってしまうけど、BLだとそれもないし。

溝口 BLでのセックスシーンでは、彼らがセックスをしているっていう前提を女性同士で共有したうえで、その際の男性キャラの表情について「可愛い」と言ったりしますよね。猥談をしている意識なく猥談が出来るっていう。

中村 素晴らしい。素晴らしい発明ですね(笑) BLっていう別次元のフィルターを通した女性同士の猥談って、とてもいいものだと思いますね。


● 今後のBLは「進化形」が増える

溝口 近年パートナーシップ条例がニュースに取り上げられたり、ゲイの有名人がバラエティ番組に出るようになったりと、LGBTの認知が広がってきていますよね。今まで隠れていたゲイ当事者がメディアなど表に出てくる動きを通して、今後BLはどうなっていくと思いますか。

中村 落ち込んでいる出版業界の中で、まだBL市場は粘って、持ちこたえている方なんですよね。これって、BL愛好者以外の層にも広がり始めているというのが理由だと思うんです。BL愛好者の間には、90年代の王道BLによくある「俺はホモじゃない」的展開が不自然じゃないっていう、暗黙の了解・ルールのようなものがずっと存在していましたよね。

溝口 そうですね。かつては、不自然なくらいゲイであることを否定して、現実の社会以上に同性愛嫌悪を強調している作品が多かったんですよね。

中村 だけど、最近はそうでない作品が増えてきている。それって、逆輸入的な話なんですけど、セクシャルマイノリティの人たちが身近な存在になった事で、元々BL愛好者であり書き手だった作者たちが、「今までのBLはちょっと違うかも」とゲイの人たちの実状的な部分に関して勉強するようになったのが大きいように感じていて。それで、同性愛嫌悪が社会にあると認識したうえで、それを不自然でない形で乗り越えようとする、溝口さんの言う「進化形BL」が生まれていったんじゃないかな。ゲイの人たちがオープンになっていく流れに合わせて、今後もそういった新しいBLは増えていくと思いますね。


終始和やかな雰囲気で、2時間強の講演は大盛り上がりの中終了!趣味として、娯楽として楽しんでいたBLを、ジェンダーを考える足掛かりにする、そんな視点を学べたイベントとなりました。

講演でも話に挙がっていましたが、LGBTのコミュニティサイト「2CHOPO」では、『BL進化論〜対話編〜』として溝口先生と明日美子先生の対談が掲載中です。こちらもファンなら見逃せない読み応えのあるインタビューとなっていますので、是非チェックしてみてくださいね!


取材協力:溝口彰子先生 中村明日美子先生 
     和光大学ジェンダーフォーラム 杉浦郁子先生

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