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「やおい族に未来はあるのか!?」宝島特集から30年 一般誌視点のボーイズラブ!

2018/01/04 12:47

「ボーイズラブ」初登場は『CREA』一般誌のBL・腐女子特集の源流を追う

 

2016年5月に女性誌『anan』の表紙を『おそ松さん』の6つ子が飾り、グラビアにも登場して以降、一般誌や女性誌でのアニメ特集が相次いでいるように思えます。

女性がアニメを、それもばっちりオタク向けのアニメを見るということが一般化しているのだなあ……としみじみ感慨に浸っていたところ、ふと思いました。

ではBLやBLファンはいつから一般の雑誌上に登場するようになったのだろうか?

そんな疑問を持った筆者は、とある論文を見つけました。

それがこちら、西原麻里著「マスメディアが映し出す〈やおい〉の姿 言説分析による」(2010、『論叢クィア』)です。

まさに知りたかったことがばっちり載っているじゃないですか!


この論文で著者の西村さんは「ボーイズラブ」と比較した「やおい」という言葉のイメージを探るため、やおい・少年愛・JUNEなど、女性向けの男同士の恋愛物語について書かれた新聞や雑誌の記事を調べています。

 

「禁断愛」「未来あるのか」80年代の記事はネガティブ…

 

 

この論文によると、初めて女性向けの男×男の作品が一般のマスメディア上に登場したのは1975年11月読売新聞のスナップ記事「ばら・バラ・薔薇」。

一体どういう記事なのか全く分からないですが時代を感じますね。まだ「BL」という言葉も「腐女子」という言葉もないときのことですから、「薔薇」という言葉が使われていたのでしょう。

一般雑誌上で初めての扱いは、1988年8月の『週刊明星』「『モーリス』から『風と木の詩』まで美青年美少年がい~っぱい!禁断愛の大研究!!」という記事です。
さっきよりかなりわかりやすくなりましたが、やっぱり「禁断愛」のワードが時代を感じさせますね~。

次に、「やおい」がタイトルに登場するはじめての記事は1989年の『別冊宝島おたくの本』というムック本らしき特集本で、いくつかの「やおい」に関する記事が載っているそうです。
内容は「やおい族に未来はあるのか!?」というかなりネガティブな論調ですが、残念、未来はあります。
この記事を書いた人をタイムマシンで現代に連れてきたら卒倒しますね。

 

90年代女性誌で特集 1998年に「ボーイズラブ」登場

 
その後1990年代になって記事の数は増え続け、一番多い時で1994年に23件もの記事があります。
特に女性ファッション誌『CREA』は1994年9月号に5件の記事を掲載しています。

「ボーイズラブ」という言葉がマスメディアに初めて登場したのは1998年1月、やはり『CREA』上でした。

これには当時女性ファッション雑誌で「ゲイは女性の友達として最高!」「今どきのおしゃれな女はゲイの友達がいる!」という風潮があったという「ゲイブーム」の影響と言われています。その中でゲイの友達をつくるいわゆる「おこげ」と「やおい」が同じものだと思われていたこともあったそうな。

西原さんの分析は、「ボーイズラブ」の登場までで終わるのですが、この結論がなかなか面白いのです。

内容の分析の結果、当初、女性向けの男性同性愛の物語はゲイ文学と同じ土俵で語られ、ジェンダーの意識を変えるものと考えられていたといいます。

しかし、それが女性が独自に作り出した文化だということが分かるにつれ、読者は大人になることを拒否し現実逃避している若い「オタク少女」だという風に報道が変化したというのです。

これはなかなか興味深い研究ですね!

 

ゼロ年代初めにナゾの空白⁉ 大転換前触れか 

 
その後記事の数は少しずつ減少し、2001~2003年にかけて記事数が激減するそうです。

さて、では西原さんの分析に続いて、2000年代の記事を調べていこうと思います! 今回は新聞をのぞいて、雑誌に焦点を絞ってみました。

まずは94年に創刊され何度か記事を掲載していた『ダ・ヴィンチ』。2000年5月に「特集・恋、エッチ、同性愛、私が目覚めたこのマンガ」という巻頭特集の中で「「同性愛」「やおい」に目覚めた、あの日」という記事がまず見つかりました。

まだこの時点では「同性愛に目覚める」ことと「やおいに目覚める」ことが同列に語られているのが分かりますね。

 

ゼロ年代中盤、世は空前の「腐女子ブーム」

 


このような報道は、記事が激減する谷間の時期を超えた2005年、変化を見せ始めます

2005年6月20日号の『AERA』「萌える女オタク」というタイトルの記事が掲載されました。この記事の中で一般雑誌上で初めて「腐女子」という言葉が大きく取り上げられます
そしてこの記事が何を隠そう、その後2006年に出版された『オタク女子研究』の著者で「腐女子ブーム」の立役者・杉浦由美子さんのデビュー記事だったのです。
同じ号には、池袋「乙女ロード」を映した大ボリュームのグラビアページがあったとか。

この前後に、『AERA』はアニメ・マンガを楽しむ女子、オタク女子について何度か取り上げています。当時のブームを『AERA』が牽引したことがわかりますね。

そして、『ユリイカ』では2005年「特集・文化系女子カタログ」にオタク女子への言及が見られ、2006年の「特集・マンガ批評の最前線」ではBL研究者の金田淳子さんが「やおいマンガ」についての記事を書いています。

 

初の一冊まるごとBL特集はやっぱりアノ雑誌!

 


その『ユリイカ』が、2007年6月に「腐女子マンガ大系」というタイトルでまるごと1冊すべてがBL特集の臨時増刊号を刊行しました。一般メディア上でのまるまる一冊すべてBL特集は、おそらくこれが史上初となると思われます。
「BLマンガ」ではなく「腐女子マンガ」というところに、怒涛の「腐女子ブーム」の影響がうかがえますね。
そして同年12月には「BLスタディーズ」という、BL・腐女子研究にフォーカスした号もありました。『ユリイカ』は2012年にもBL特集(「BLオン・ザ・ラン!」)を組んでいて、BLに強い『ユリイカ』というイメージがあるかと思います。

同じ年の11月には『ダ・ヴィンチ』もBL特集を組んでいます。「見ないで!私たちの秘密の花園♥ボーイズラブ大特集」というこの号では、多数のBL作品が紹介されています。『ダ・ヴィンチ』は2009年にも巻頭特集「世界はBLに満ちている」の中で、一般文芸作品をBL視点で読むというおもしろい企画を行っていました。

テン年代、拡散していくボーイズラブ

 

 

2014年には美術雑誌『美術手帖』がBL特集を行い、総勢10名ものBL作家にインタビュー。中村明日美子先生による描きおろしも話題になりましたね。

2013年から始まった女性ファッション誌『FRaU』主催の「フラウ女子マンガ大賞」、第1回に雲田はるこ先生の『昭和元禄落語心中』がランクインするなど、ちょっとBLやオタク女子よりの部分もあったこの賞ですが、2015年にはついにヨネダコウ先生の『囀る鳥は羽ばたかない』が大賞受賞! バリバリのBL作品が一般マンガ賞の大賞とということで大きなニュースになったのを覚えています。

今年2017年になると、デザインの専門誌『MdN』が、「キャラの声をフォントで表現する方法」という特集の表紙イラストにアニメ映画『同級生』を採用。あえて「BL特集」と銘打たなくてもBLが登場する時代になったということでしょうか。

また『ユリイカ』と同じくらいBLに詳しい『ダ・ヴィンチ』が3月に「男のためのBL」特集を掲載しました。おそらく2016年1月に刊行され話題になったサンキュータツオさんの『俺たちのBL論』の影響もあるのでしょうが、「男のためのBL」というワードはインパクトがありますね!

最初「薔薇」や『風と木の詩』から始まった一般雑誌上のBL・腐女子特集は一時期「やおい族に未来はあるのか」というネガティブな論調になったこともありました。2000年代の中ごろには「腐女子」一世を風靡し、研究の対象として注目されるなど、かなりポジティブに取り上げられるようになり、近年は一般作品と同列の扱い、そして「男はBLを読む」時代へ移り変わってきていたと言えるのではないでしょうか。

こうしてみると男×男の恋愛物語とそれを愛する女性がどんどん一般的になってきていることがわかります。またそのイメージや取り上げられ方も2000年代を境にいろいろ変わってるのだと思います。

少年愛の時代から数えるとなんと42年…もう半世紀近いのですね! BLの歴史も長いものです。 
それだけの時間がかかっていると思えば、BLの一般化もさほど不思議ではないのかも?
今後もさらに一般的な存在になっていきそうですね!

記者:みかん

 参考文献 西原麻里「マスメディアが映し出す〈やおい〉の姿 言説分析による」『論叢クィア』(3), 2010, 62-85

コメント3

投稿順 | 最新順

匿名3番さん(1/1)

BLの一般化=BLのNL化、です。
はい、ありえません。
さようなら。

匿名2番さん(1/1)

までも世間一般からしてみれば、BL好き=オタクだよね (;・∀・)シャーナイ

匿名1番さん(1/1)

BL好き=オタクというわけではないし、

一般作=異性愛オンリーとか腐女子とか…2018何なんだしやめる方向にしてほしいなと思う
腐った趣味なんて言ってるから変な目で見られるんだし
同性愛は好きだけど萌えは嫌いだしオタク趣味はない自分らしたら、BL好きなだけで腐女子とかオタクとか変だよねと思う。

BL趣味が一般化してるってことんだと思う

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