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無料で読み放題!青空文庫で読める「匂い系」純文学10選

2018/03/31 15:01

同性愛描写のある作品から、ほんのりと妄想が捗る作品まで



青空文庫
は、著作権の消滅した作品や著者が許諾した作品のテキストを公開する、インターネット上の電子図書館。アプリや各電子書籍サイトでも配信されており、手軽に読むことができます。

皆さんはご存知でしょうか。青空文庫はBLの宝庫であるということを…!
いわゆる「匂い系」といった、想像力を掻き立てる小説が豊富です。
そこで今回は、青空文庫で無料で読むことができる「BL妄想が捗るおすすめ文学作品」をご紹介します!

◎は作中からの引用となっており、★は筆者の独断で付けています。読みやすさは主に小説の長さなどで判断しました。


燃ゆる頬著:堀辰雄


◎『「ちょっといじらせない?」
 そう云って、私は彼を裸かにさせたまま、その脊骨のへんな突起を、象牙でもいじるように、何度も撫でてみた。彼は目をつぶりながら、なんだか擽ったそうにしていた。』


小野塚カホリ先生によってコミックス化もされた、筆者の推し作品。男子だらけの寄宿舎生活で、病的なまでに美しい三枝に出会った主人公。閉ざされた環境下で、少年同士の間に淡い愛情が生まれます。
耽美的な雰囲気を匂わせ、脊髄カリエスの跡の残る三枝の背中をなぞる描写はなんとも言えない色気を感じます。虚無感漂う、切ないラストに注目です。

内容紹介(Amazonより引用)
昭和初期に活躍した小説家、堀辰雄の小説。初出は1932(昭和7)年の「文藝春秋」。高校に入学した「私」は、両親のすすめで学校の寄宿舎に入る。一匹の花粉まみれになった蜜蜂による受精を目撃して、その花壇の花をむしり取って揉みくちゃにするなどしていた私は、同級生の三枝と同室になった。彼は円盤投げ選手の魚住に愛されていたが、やがて「私」と「友情の限界を超え」た関係になり、魚住は姿を見せなくなった。

BL妄想度  ★★★
読みやすさ ★★★
切ない   ★★★


こころ』著:夏目漱石

 

◎『私の頭はいくら歩いてもKの事でいっぱいになっていました。私もKを振い落す気で歩き廻る訳ではなかったのです。むしろ自分から進んで彼の姿を咀嚼しながらうろついていたのです。』


国語の教科書にも登場する不朽の名作。匂い系純文学として有名で、「先生」と「K」の妄想にふけた方も多いのではないでしょうか。
やりとりや登場人物の心理描写に特化しており、関係性に勘ぐってしまいます。

内容紹介(Amazonより引用)
この小説の主人公である「先生」は、かつて親友を裏切って死に追いやった過去を背負い、罪の意識にさいなまれつつ、まるで生命をひきずるようにして生きている。と、そこへ明治天皇が亡くなり、後をおって乃木大将が殉死するという事件がおこった。「先生」もまた死を決意する。だが、なぜ…。

BL妄想度  ★★★
読みやすさ ★★
切ない   ★★★


駈込み訴え』著:太宰治


◎『私はあの人を愛している。あの人が死ねば、私も一緒に死ぬのだ。あの人は、誰のものでもない。私のものだ。あの人を他人に手渡すくらいなら、手渡すまえに、私はあの人を殺してあげる。』

キリストへの愛と憎しみが交錯するユダの独白を描いた作品。「愛しているからこの手で殺したい」とほど願う、まさにヤンデレBL!…と言っても過言ではありません。
筆者のイチオシは、最後の晩餐でイエスがユダの口にパンを押し当てるシーンです。

内容紹介(Amazonより引用)
「無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治の短編。初出は「中央公論」[1940(昭和15)年]。聖書から素材を採った作品で、「あの人は酷い。酷い。厭な奴です。悪い人です。」という誹謗から始まって、ユダの心のゆれ動きが迫力に満ちた告白体で一気に綴られている。ユダの中にあるキリストに対するアンビバレンツな愛憎を、切実に心理的に表現した傑作として名高い。

BL妄想度  ★★★
読みやすさ ★★
ダーク   ★★★


ダス・ゲマイネ』著:太宰治


◎『僕は、ほんとうの愛情というものを君に教わって、はじめて知ったような気がしている。君は透明だ、純粋だ。おまけに、――美少年だ! 僕は君の瞳のなかにフレキシビリティの極致を見たような気がする。』

若者4人が雑誌「海賊」を作ろうと奮闘する話。こちらも太宰治の作品で、本人も「太宰治」として、作中に登場します。
主人公を佐野次郎と呼び始めた友人が、“君の顔が好きなんだ”と言っていたり、“雑誌を作ろうなんて言ったのは君を好きだから、君を離したくないから”と訴える姿には思わずキュンキュンします!

内容紹介(Amazonより引用)
「無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治による最初期の短編小説。初出は「文藝春秋」[1935(昭和10)年]。佐野次郎とあだ名される「私」が、菊の甘酒屋で知り合った「馬場」や「太宰」との交流を経て自殺を遂げるまでの話。「太宰」が体現する現実主義と「私」に代表される自意識家の二つの生き方が描かれている。

BL妄想度  ★★★
読みやすさ ★★★
切ない   ★★★


ヰタ・セクスアリス』著:森鴎外


◎『「君、一寸だからこの中へ這入って一しょに寝給え」
「僕は嫌だ」
「そんな事を言うものじゃない。さあ」
 僕の手を取る。彼が熱して来れば来るほど、僕の厭悪と恐怖とは高まって来る。』


自らの「性欲的生活」を客観的に記述しようとする哲学者を描いた話。直接的な性描写はなくとも、当時発禁処分にされた作品です。
ドイツ語を習う私立学校の寄宿舎で上級生に犯されそうになるシーンや、男色文化の描写もあります。

内容紹介(Amazonより引用)
明治・大正期の文学者、森鴎外の中編小説。初出は「昴」[1909(明治42)年]。金井湛は大学で哲学を教えている。自然派の小説が流行する中、自分でも何かを書こうと意を決し、自分自身の性欲史を書き始める。子どもの頃から21歳で留学するまでの自伝的な性欲史となっている。ただ、自然主義的な露骨な表現はなく、人間愛を思わせるような爽やかで美しい表現である。

BL妄想度  ★★
読みやすさ ★★
耽美    ★★★


悪魔の弟子』著:浜尾四郎

 

◎『私は淋しい私を、ほんとうに理解してくれる人がいたと思いました。その上あなたは私を愛してくれました。私はただ一人あなたを兄とも恋人とも感じたのです。』

刑務所にいる「私」が、学生時代に親友以上の関係であった検事に宛てた手紙はまるで陰鬱なラブレター。
兄とも恋人とも感じた、一種の恋人同士だった、と過去の関係を表現しているのがかなり印象的。また、別れた原因が“兄”である検事が「私」の一個下の美青年を猛烈に愛し始めたから……というBL展開にも驚愕です。

内容紹介(Amazonより引用)
妻を殺すつもりが誤って不倫相手を死なせてしまった……しかし真相は。犯人からの検事に宛てた手紙には驚くべく内容が書かれていた。今は殺人犯と検事に分かれているが昔は……。本当に殺したのか、事故だったのか。

BL妄想度  ★★★
読みやすさ ★★★
ダーク ★★★


蟹工船』著:小林多喜二

 

◎『柔かい靄の中に、雑夫の二本の足がローソクのように浮かんだ。下半分が、すっかり裸になってしまっている。それから雑夫はそのまま蹲んだ。と、その上に、漁夫が蟇のように覆いかぶさった。それだけが「眼の前」で、短かい――グッと咽喉につかえる瞬間に行われた。』

 

蟹工船における酷薄な労働条件に苦しむ労働者たちの団結、闘争、挫折を描いた話

男性同士が交わるシーンが描かれています。BLというよりかは、過酷な男だけの空間でノンケ漁夫が行き場のない性欲を雑夫にぶつける……というようなシチュエーション。それにしても、“男だらけの空間”って妄想が捗りますよね……!


内容紹介(Amazonより引用)
日本のプロレタリア文学の代表的な作家である小林多喜二による最も著名な小説。初出は「戦旗」[1929(昭和4)年]。蟹工船の内部で、酷薄な労働条件に苦しむ労働者群が、集団として自覚し団結、闘争に立ち上がるまでを描く。プロレタリア文学の金字塔として、複数の言語に翻訳されるなど国際的評価も高い。

BL妄想度  ★★
読みやすさ ★★
雄々しさ  ★★★


Kの昇天』著:梶井基次郎


◎『その奇異な初対面の夜から、私達は毎日訪ね合ったり、一緒に散歩したりするようになりました。月が欠けるに随って、K君もあんな夜更けに海へ出ることはなくなりました。』


溺死してしまった「K」という青年について、手紙を通して物語る作品。どこか幻想的で美しい雰囲気を持っており、2人が夜の海岸で話す情景が目に浮かびます。ファンタジーさが漂う不思議な世界観を味わたい方にオススメです!

内容紹介(Amazonより引用)
大正から昭和期の作家、梶井基次郎の小説。初出は「青空」(大正十五年十月号)。本文のタイトルは〈Kの昇天(或はKの溺死)〉。満月の夜、療養地のN海岸で“私”は、人影―K君と親しくなるが、“私”がN海岸から去ったとき、K君は溺死する。“私”は、K君の魂が月へ昇天していったのだと信じる。月が妖しくも美しい。

BL妄想度  ★★★
読みやすさ ★★★
幻想的   ★★★


生まれいずる悩み』著:有島武郎

 

◎『「あの少年はどうなったろう。道を踏み迷わないでいてくれ。自分を誇大して取り返しのつかない死出の旅をしないでいてくれ。もし彼に独自の道を切り開いて行く天稟(てんぴん)がないのなら、どうか正直な勤勉な凡人として一生を終わってくれ。もうこの苦しみはおれ一人だけでたくさんだ」』

画家志望でありながら家族のために漁師を続ける青年「君」と、小説家の「私」。自然の情景描写が凄く繊細で、美しいです。
思わず、「私」は「君」のことが好きなんじゃないか……と疑ってしまうような心理描写が多いです。

内容紹介(Amazonより引用)
明治末~大正時代に活躍した白樺派の作家、有島武郎の長編小説。1918(大正7)年、「大阪毎日新聞」及び「東京日日新聞」に32回にわたって断続的に連載された。文学者「私」と、芸術と実生活との間でもがき苦悩しながら、それでもなお作品を生み出そうとする芸術家「君」の交友を描く。「君」のモデルは北海道出身の画家、木田金次郎。作中で描かれる出会いやその後の経緯も、有島と木田との実際の交友に基づいている。

BL妄想度  ★★
読みやすさ ★★★
しっとり  ★★★


谷崎潤一郎氏』著:芥川龍之介


◎『谷崎氏はその日も黒背広に赤い襟飾りを結んでゐた。僕はこの壮大なる襟飾りに、象徴せられたるロマンティシズムを感じた。』


芥川龍之介が谷崎潤一郎とカフェに寄った一コマを書いたエッセイ。真っ赤なネクタイをした谷崎を褒めたカフェの女給に、芥川が50銭ものチップを渡す……という超胸キュンエピソード。微笑ましいやりとりから、2人の関係性が垣間見れます。
この後の2人の文学論争、谷崎の誕生日に芥川が自殺を遂げてしまったことなどを考えると、切なくなります。

内容紹介(Amazonより引用)
大正期に活躍した「新思潮派」の作家、芥川竜之介の短編小説。初出は「新潮」[1924(大正13)年]。小品集「百艸」[新潮社、1924(大正13)年]に収録。派手なネクタイをした「谷崎」と父親のお下がりを着ている「僕」が、人に見られるのをそれぞれの服のせいにする。ネクタイに例えているのは谷崎の批評観。

BL妄想度  ★★★
読みやすさ ★★★
微笑ましい ★★★



今回ご紹介したのは一部となりますが、気になる作品はありましたか?
小説を読むのに何時間もかかってしまう筆者ですが、青空文庫は電車の移動時間でサクっと読めるのが魅力的。また、短編も多いので、小説は普段手を出しにくいと感じている方にもぜひご一読いただきたいです。
青空文庫には、まだまだ眠る「匂い系」作品が存在するはず! 皆さんのオススメ作品がありましたら、ぜひ教えてください♥

記者:馬子

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コメント2

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記者さんの評価が全部面白い٩( ᐛ )( ᐖ )۶読みたくなった!

梶井基次郎の「Kの昇天」の表紙が、小椋ムクさんでさ。
「は? 私はそういう作品を読むのか!?」
と思ったものです。
いい作品です。深読みすれば… そう思えないこともないかと…。

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