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愛と加虐の狭間で苦しむ似非S×ドMの歪な恋を考察してみた!

2020/04/19 13:00

2022/08/31 18:00

意味深タイトルをすぱっとずばっと解き明かし!

 

 

皆さま、2014年に発売されたこの名作をご存知ですか? 井戸ぎほう先生『夜はともだち』。ゲイでドMの飛田くんと、彼のためにSを演じる真澄ーー大学同期の2人。最初はただのSMプレイメイトだったけれど、徐々に飛田くんのミステリアスな魅力に惹かれていく……。

なんと、この作品がTikTokなどで紹介され再ヒットしているのです。そして原作コミックス発売から8年たった2022年、ドラマCD化されるという異例の事態!

 

 

ちるちるのレビューランキングでも上位を獲得している本作。作品を愛し続けてきたコアなファンの喜びの声と共に、こんな名作があったんだ! と運命の出会いを果たした方の声も聞こえてきます。

声優は、真正ドM受けの飛田くんを増田俊樹さんが、ノーマル似非Sの真澄を阿座上洋平さんが務めます。CDには描き下ろしエピソード「夜はともだち #0.5」も収録。
特設サイトも開設されていますので、販売情報はこちらでチェックしてください!


さて、この「夜はともだち」というタイトル。よくよく見てみると、何だか謎めいていると思いませんか? 「夜“に”はともだち」なのか、「夜」に象徴される何かが「ともだち」なのか。そこにこそ、この作品の奥深さが潜んでいるかも……。
今回は、そんな本作のタイトルを考察し、またそれによってこの物語の深い魅力を解説していきたいと思います!



※ネタバレを含みますのでご注意ください。
※あくまで筆者個人の考察・見解です。 


異色のSM、好奇心から始まる地獄の恋

夜はともだち』作:井戸ぎほう

 

あらすじ
ノーマル似非S×真性ドM「SとM」役以上の繋がりを求めてはいけない――? 顔は可愛いのに無口で無表情でミステリアスな飛田(とびた)くん。実は飛田くんがゲイでドMだと知った真澄(ますみ)は、好奇心からサド役を演じることに。
『飛田くんが真澄の名前を呼んだらプレイ終了』という唯一の約束。それは2人のつながりの終わりも意味していたのだが、真澄はプレイメイトという限定された関係以上を期待するようになり――。

2014年のSMの傑作と言ったらこの作品!?

ドMで常にサドスティックなプレイを求める受けと普通の関係を求めるノーマル性癖の攻め?という新感覚SMですが、表紙やタイトルからして意味深すぎますよね!? 思わず手にとった方も多いかと思います。
プレイメイトというあまりにも歪で繊細な二人の関係の行く末は、砂糖より甘くてコーヒーより苦い。

そんな本作のタイトルには、どういった意味が隠されているのでしょうか……?

 

「ともだち」=プレイメイト説?



まずシンプルに考えられるのは「夜“だけ”はともだち」ということです。

つまり、「夜だけのプレイメイトである2人」のことを表している可能性が高いのではないでしょうか? ここでの「夜」は時間帯のことで「ともだち」は2人の関係性のことと考えると、確かに同じ大学にいながら2人が会うのは夜だけなのでしっくりときます。

しかし、話の途中からは昼間の大学で2人が歩いていたり、水族館でデートをしたりしているシーンも目立ってきています。そうすると簡単に「夜限定のプレイメイト」を表しているとタイトルを解釈するのは違うような気もしてきませんか?

「真澄の目は金星みたいだ」



そこで新たに注目したいのは中盤に出てくるあるシーンです。夜中のベランダで飛田君が真澄に「真澄の目はキラキラしていて綺麗だね、金星みたいだ」と話します。

金星は太陽と月の次にもっとも明るい天体であり、飛田くんによってそんな星に例えられた真澄は「飛田くんの目も宇宙みたいでかっこいいよ」と答えます。
この真澄の言葉はその場限りの言葉ではなく、実はその前のページでも「飛田くんの目は宇宙の人みたいな、暗くて冷たい醒めた心底全部に飽きたみたいな目」と例えているのです。ここから真澄にとっての飛田くんという存在への気持ちが徐々にわかっていきます。

宇宙、暗い、冷たい。そんな飛田くんこそ、真澄にとって「夜」のような存在なのではないか。

真澄は飛田くんのことを好ましく思っていながらも「怖い存在」だと思っています。理解ができない、だから怖いのです。そして自分自身を傷つけるかもしれない存在、それが真澄にとっての飛田くんでした。

実際に物語の終盤の真澄は「飛田くんに触れるのが怖い」という恐れを抱いているシーンがあります。そう、ノーマルの真澄にとっては被虐されることで興奮するドMの飛田くんとの関係は「好きな人に暴力をふるっている」という嫌悪を呼び起こすものなのです。

好きになればなるほど、真澄は飛田くんの異常性に傷ついていき……しかし(似非)Sでなければ飛田くんの傍にはいられないのです。

飛田くんへの恐れと愛


 
ここから言えることは、タイトルの「夜」は飛田くんのことを表しているのかもしれない……ということです。そう考えると金星の真澄と夜の飛田くん、二人の関係性にもぴったりとハマるのではないでしょうか?

真澄にとって飛田くんはただ謎めいている人なのではなく真っ暗闇の夜のような理解ができない恐怖の対象でもあるのかもしれません。

宇宙への未知数の恐怖の様に、夜も人間にとっては「なんだかよくわからない」恐怖を抱かせます。そしてそれは真澄にとっての飛田くんなのです。だからこそ飛田君は宇宙であり夜とも解釈することができます光り輝く金星である真澄を夜の飛田くんはその底知れぬ闇で覆ってしまうのでした。

そして「ともだち」の部分は序盤の考察で書いた通りにプレイメイトという関係を表している部分もありますが、もっと深読みすると「夜はともだち(でなければならない)」という真澄の飛田君への思いが込められているように感じます。理解できない飛田くんへ踏み込んでいけば傷ついて後悔する羽目になると真澄は無意識に気づいているのです。

そう考えると似非S×真性Mという2人の決定的にズレた関係性を描いた物語とタイトルがリンクしていき……。

つまり、この『夜はともだち』の意味は、真澄から見た飛田くんへの愛ゆえに傷つくことへの恐れが混じったタイトルだと考察できるのではないでしょうか!?
 

最後に

 
いかがでしたでしょうか?
疑似SMプレイから始まった2人の不思議な関係。淡々とした、どこか事務的とも言えるプレイと、恋という複雑な感情が入り混じった、繊細な作品です。

この記事で『夜はともだち』をもっと読んでみたい! と思った方がいらっしゃれば嬉しいです! また、井戸ぎほう先生によると、CD化するにあたって少しセリフの変更などがあったようです。CDから気になった方も、ぜひ原作を読んでみて、両方の良さを堪能してみてください♪
 

ばいそん
最近は王様受けとかモブレにハマり気味。バッドエンドから甘々までなんでも楽しめる雑食の腐女子。モブレモノに出てくるモブおじさんには昔からただならぬこだわりがある。

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