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2020年 腐女子の地雷について語る(後編)

2020/05/30 11:00

新たな腐女子の格言誕生?BLにおける地雷の位置づけとは


BLにおける地雷設定について昨今の商業BL事情を振り返りつつ座談会形式でお送りする今回のシリーズですが、前編となる記事では「オメガバース」「妊娠・出産・子育て」の設定についてお届けしました。

後編となる当記事では、やはり人を選ぶとされる「バッドエンド・メリバ」「ケモノ系BL」についてデータを交えて見ていきたいと思います。

バッドエンド(メリバ)

 
「ダーク」「メリバ、不明エンド」のタグが付いている作品は、2015年から2019年に掛けても出版数に大きな変動は見られず、平均して1年に12作品ほどが刊行されています。

2015年には中村明日美子先生の『薫りの継承』、2017年にははらだ先生の『にいちゃん』、そして2019年には市梨きみ先生の『心中するまで、待っててね。』などの作品が発売され、ちるちるレビューや各年のBLアワードなどでも大きな存在感を放っています。

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うたた:ただ理不尽なだけの展開のバッドエンドは好みではないのですが、キャラクターたちが考えて行動した結果バッドエンド・メリバに辿り着く場合には、そこに至るまでの葛藤ややるせなさなど登場人物たちの思考や感情がひしひしと感じられるので大好きです!(『薫りの継承』の展開など)
二人が幸せならハッピーエンドだと思っているので、メリバも大好物です。ただ、やはりバッドエンド・メリバは読後感が独特なため苦手な方が多いというのもとても分かります…!

 

 

ありのす幸:自分はストーリーや心理描写などを作品として楽しめるタイプなので、バッドエンドやメリバも大好きなのですが、死ネタが地雷な方の気持ちは分かります。やっぱり悲しい気持ちにもなるし、ハッピーエンドに比べると後味も苦くなってしまうので……。


アンリ54世:バッドエンドやメリバは地雷というわけではないですが、成立させるのが難しい結末だと思います。BLを読む際には「2人の男性がどうやって結ばれるか、幸せになるか」という過程を楽しんでいるので、そういう意味でバッドエンドやメリバには納得しづらいところがあって……。

廣井:自分は一般に地雷とされる死ネタやバッドエンドを好む傾向にあるので、むしろ「必然性のないハッピーエンド」が苦手かもしれません。でも死ネタなどの重たい作品は精神的に響くのも事実なので、BLに癒しを求める方にとって苦手な設定となってしまうのもとても分かります。キャラの不幸を求めてしまう読者であることに後ろめたさもあります……。

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一口にバッドエンドと言っても、カップルの片方(あるいは両方)が命を落としてしまう所謂「死ネタ」や、いかにも結ばれそうだったカップルが結ばれない「バウムクーヘンエンド」などいくつかのパターンが存在していますよね。

近年の傾向としては、BLジャンルの中のひとつの形として、最終的にカップル2人は幸せになったものの失ったものの代償があまりに大きすぎる、当事者たちは幸せでも第三者(読者)としてはそうは見えないといったメリバ(メリーバッドエンド)の作品の需要も高まってきているのではないでしょうか。

「BLはハッピーエンドだ」というのがBLジャンルにおける王道とも言えるかと思いますが、社会の問題を提起するような切り口のバッドエンド・メリバ作品もこれからますます登場することになるのかもしれません。


4.獣人、ケモノ

 

「獣姦」タグが設定されている作品は、コミックに比べると小説の方が多い傾向にあり、小説に関しては2015年から2019年にかけて大きな出版数の変動はありません。コミックも年々微増してはいるものの、大きなピークなどは特に見受けられない印象です。

一方で、2016年には羽純ハナ先生の『ペンデュラム -獣人オメガバース-』が刊行され、それまで獣BLに触れていなかったBLファンも取り込み大きなヒットとなりました。


全体から見ると今でも少数派ではあるかもしれませんが、羽純ハナ先生をはじめ九重シャム先生、琥狗ハヤテ先生など実力派の作家さんが名を連ねる獣BLの世界には根強いファンも多いのではないでしょうか。

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廣井:獣姦の場合、動物の性行為自体にあまり親しみがないと描写そのものに抵抗を感じる方もいるかもしれませんね。同様に、人外BLも人間にはない毛や粘液、触手などがはっきり描かれているのが少し苦手という場合もありそうです。

アンリ54世:獣が人間の姿をとっているものは抵抗なく読めます。ただ、ずっと獣の姿だったり、人間の姿でいるのが大変、という設定のものは苦手です。カップルのどっちもがそうならいいのですが、片方が無理に人の姿を保たねばならない場合が多いので、何だか平等じゃない感じがしてしまって……。小石川あお先生の『ご主人さまとけだま』のように、人間の姿でいられることの解決策が提示されていると安心します。


うたた:人間に近い思考力を持ったケモノ系はモフモフで見ていて癒されるので好きです! ただ、オメガバースでも同じなのですが、描写や行動が人間離れしすぎていると感情移入しづらい部分は確かにあるのかなと思います。私の場合は、見た目というよりも中身がどれだけケモノっぽいか否かで判断している部分もあるのかな、と……。
また、人外BLだと、触手は粘液が出ていたり絡みついたりするのがエロいので、触手自体の思考力のあるなし問わず萌えます!

ありのす幸:今は大丈夫ですが、腐女子になりたての頃は人外や完全にケモノ化するものが苦手でした。非現実感が強くてあまり萌えられなくて……。しかし、BLの世界に慣れてきて色んな作品を読んだ後にチャレンジしてみたところ、あまり抵抗感なく読めるようになっていることに気付きました。

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2010年代初頭頃まではほとんど見られなかった獣BL・人外BLも、時代の流れとともにその存在感を増してきています。今ではケモミミなどのライトなものから獣×獣のディープなものまで、一口に獣BLといっても幅広いバリエーションが誕生しているように思えます。

オメガバース同様、作品自体のテイストからケモノ度までかなり様々なグラデーションが生まれているジャンルなので、ひょっとすると1冊手に取ってみることで世界が変わる…なんてこともあるかもしれません。


「地雷を越えた先に名作がある」?


BL愛好家たちの間でたびたび話題になる「地雷」ですが、「自分の地雷は誰かの萌え」という格言(?)の通り、どんな設定を苦手とするかは人それぞれ。

また、対談中、参加者であるちるちる記者・アンリ54世さんから興味深い発言が飛び出しました。

「自分は結構地雷がある方だとは思うのですが、“地雷を越えた先に名作がある”という持論があります。地雷かなと思った作品を面白いと思えたということは、その設定やキャラの魅力、ストーリーにものすごく説得力があるということだと思います。そういう作品は自分の価値観を変えてくれるものだし、その瞬間が好きなので、地雷作品も意識して読むようにしています」

これには筆者も思わず「なるほど」と唸ってしまいました。前回記事でもお伝えしたように、苦手だった設定がとあるきっかけですごく好きな設定に変わったりということも少なからずあるような気がしますよね。

商業BL界は日夜幅広い性癖や萌えを供給してくれていますので、自身の萌えを追い求めて楽しく「萌え活」していきましょう!

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