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やっぱ先生が生徒にヤラれちゃう話は激萌えしちゃいます! 『イロメ』

2008/11/22 00:00

そっけない銀縁眼鏡のむこうから、野田先生は俺に信号を送る。ここ、テストにでるぞ。ここ覚えとけよ。でも、先生、ほんとに送りたい信号はそれなの? 先生と生徒、先生と卒業生、先輩と後輩、幼なじみの同級生。校舎の中で生まれ、育ってゆくいろいろなイロコイを描いた、描き下ろし満載の草間さかえ傑作読み切り連作!

 『イロメ』はある高校を舞台にした短編集である。わたしの心に残ったのは、表題の「イロメ」と「カオス」で、どちらも先生と生徒の物語である。なぜかと考えると、どちらも先生が、「与えられた枠」を壊していく物語だからだと思う。簡単にいっちゃえば、先生が受けになっている、「可愛い先生」の話ってことなんだけど(笑)。
 「イロメ」では、生徒に恋心を見破られた先生はついカッとなって、「うぬぼれるなよ! ちょっと…ひっかけてやろうと思っただけだ」と反論してしまう。一生懸命、教師という役割を遂行しようとしていた先生が、恋心が本物であるがゆえに、ついうっかり素顔をさらしてしまう瞬間が、とても可愛い。先生は、生徒に跪いて、手首を握られて、ぎこちなく性器を咥えて、最後は顔にかけられる。「俺の知ってるどの女の子よりもヘタだ」、「ヘタな先生が可愛」いと、生徒にも可愛いと思われる。年下の生徒が圧倒的に優位に立って、年上で社会的には優位のはずの先生とは、完全に立場が逆転しているところが、妙にエロティックである。
 「カオス」は、本当は「可愛いものとして、愛されたい」という願望をもって、苦悩する先生の物語である。高校時代に片想いしていた教師に、「背が伸びて、ここを卒業して、大人になったときに、またもう一度おいで」といわれた先生は、急いで大人になろうとしてしまうが、大人になった自分の身体を嫌悪している。男性にとって、大人になることは、「男らしく」なることであり、「可愛く」あることや、「愛される」ことからの決別なのだなぁと痛感させられた。とくに男性が教師という職業を選択してしまえば、「可愛い先生」になるのは、なおさら難しくなる。
 先生は「背が伸びたら」という同じ台詞で多くの学生を振ってきたが、そのうちのひとが戻ってきて、「僕は、先生を抱きしめるために、大きくなったんだ」といってもらうことによって、自分を縛っていた魔法が解ける。男らしさをめぐるジェンダーの問題と、男に愛されるというセクシュアリティの問題は、この場合複雑に絡み合っているんだなぁと感心させられる。 
個人的にとても面白いと思った場面は、攻めが「先生のすごく硬い」と指摘するところだった。ボーイズラブでは、ペニスは、先が濡れたり、零れたり、ヌルヌルとするものではあっても、「硬い」「大きい」といった本来なら賛辞である台詞は、ほとんどみられない。受けのペニスが「硬い」といわれるのをみたのは、これが初めてのような気がする。この賛辞にたいする先生の反応は、「うるさい」。ヒゲも許せない可愛い先生は、男性性器を褒められても、嬉しくはないんですね…。妙に納得。

紹介者プロフィール:桃園あかり
腐っていることを周囲に隠していないカミングアウト済み貴腐人。しかし流石に、子どもからはBLをどう隠すかが最近の懸念。職業は、意外にまじめなプロフェッサ?。思うより職場のスーツ率が、低くて悲しい。

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