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私が選ぶ!期待の新人作家!

2010/05/06 00:00

BL作品を雑誌で追いかけることがあまりない私は、新規作家開拓に際してはたいてい、信頼している各種レビューサイト(もちろんちるちる含む)を大いに参考にしている。
従って、そもそもいったい誰が新人なのかはあまり把握しておらず、作風にはまってかき集めようとして、まだほんの2?3冊しか単行本化されていない作家であったことに気付くこともまたよくある話である。

私が昨年(2009年)に急にはまり、ついに同人誌にまで手を出したBL商業作品数の少ない漫画家は3名いた。
経歴からすれば3名とも決して新人とは言えないような人たちなのだが、このような機会であるから紹介してみたいと思う(紹介は50音順)。
なお、いずれもいわゆる売れ筋とは異なるであろう作風が味わい深く、またマイペースな作品発表が感じられる漫画家なので、大々的にブレイクするということは考えられないのだが、私は末永く応援したいと考えているし、少しでも興味を持ってくれる人が現れたなら幸いである。

*アユヤマネ
2010年2月現在、アユヤマネ氏のBLコミックは『泣くのはおよしよ仔リスちゃん』(東京漫画社・2006年刊)の1冊のみである。
この短編集が特異なのは、雑誌・アンソロジー掲載作はわずか1作であり、残り5作は書き下ろし作品という構成、しかも先の1作に関しては、雑誌・アンソロジー発表後わずか半年ほどでの単行本化という点だ。
さらに表紙を見れば一目瞭然だが、氏の児童漫画風の絵柄は間口の広いと思われるBL業界の中でもひときわ異色である。この絵柄だけで尻込みしてしまう読者もおそらくいることであろう。
しかし氏の持ち味は、このいかにも素朴でほのぼのとした雰囲気の絵柄を逆に利用した、すこしスパイシーな部分のある話作りだ。
主人公の年齢設定ひとつとってもバラバラで、内容はなかなかバラエティーに富んでおり、絵そのものも画面作りも非常に上手なので充分な読み応えがある。
なお、同人作品も含め、エロを匂わせる場面はあっても、直接描写はほぼ皆無である。
一時は商業BL作品の発表がなかったようであったが(別名義でイラストレーターとしての活動もあるのでそちらが忙しかったか?同人作品はコンスタントに発表されており、しかも1冊200?300円と非常にお手頃な価格設定が嬉しい)、2009年には久々に雑誌『恋JUNE』への作品発表があり、まだ早いと言われるかもしれないが、第2作品集への期待が高まるところである。

*高田ゆうき
2009年秋、大洋図書から『おんぶにだっこにかたぐるま。』『なずな先生と神田くん』の2冊が同時発売された高田ゆうき氏。
2作ともコンピュータが物語の中心にある、ちょっと乾いた雰囲気のほのぼの系連作(エロなし)である。
あまりトーンを使わず白黒のメリハリが利いた一見スタイリッシュな絵柄だが、背景や小物類が殆どフリーハンドで描かれていたり、ギャグっぽい単純化された絵が時折(結構?)入ったりすることで、全体としては暖かみのある印象になっている。
この2作は、私が大いに参考にしているレビューサイトで熱く取り上げられているのを読んで購入を決意したのだが、高田氏のコンピュータに関する知識がただ事ではなさそうだと思い、関心を持って氏のサイトを訪れたところ、実はこの2作品がいずれも5年以上前から発表している同人作品をベースにしたものだということがわかった次第であった。
早速『おんぶ…』関連で入手可能なものを注文して読んでみると、細々したエピソードのかなりの部分が実話ベースであること(どうりでキャラが立っているはずである)、高田氏自身が非常に研究熱心で、本や映像、web上で入手できる資料だけでなく、現地取材に赴くこともしばしばであるらしいことが明らかとなった。
さらに商業作品化にあたり、単なる面白エピソードの羅列ではなく、しっかりとBLとして成立するように整理し直して提示してくれているのだから、面白くないはずがない。
今後商業BL作品発表の予定があるのかは不明であるが、小ネタやエピソードを積み重ねる独特の作風はそのままに(おそらく短編よりは連作で本領を発揮できるタイプと見る)、コンピュータとは違ったテーマの作品も是非読んでみたいものである。

*中村かなこ
2009年秋にリブレより出版された『世界が終わる7日前』は、発売当初ちるちる内でも話題になったと記憶している。
絵柄としては一昔前の淡白な少女漫画風で、特に表紙絵に関してはかなり地味な印象は否めないのだが、巧みなストーリーテリングの光るファンタジー仕立ての短編集であった。
実は中村氏は15年近くもの少女漫画家としてのキャリアを持つベテランなのだが、現時点でのBL作品集は本作と『太陽は罪な奴』(リブレ出版・2008年刊)の2冊のみであり、未だ知る人ぞ知る作家の一人と言えるのかもしれない。
『太陽…』は日常を描くタイプの作品集なので内容的にはわかりやすいのだが、作品発表時期に巾がある(1998年?2007年)ため絵柄の変化が大きく多少読みづらい部分がある。
『世界…』は先にも述べたようにファンタジー短編作品集であるために好みが別れる可能性はあるものの、絵柄も内容も統一感があって非常に安定しており、トリッキーな設定だからこそ原始的な感情が引き立てられるのだろうと純粋に感じることができる良作である。
少し毛色の変わった作品にトライしてみたい人には文句なく勧められる1冊である。
同人誌ではここ2年ほど継続して同級生ものの連作を発表しており、商業作品とは異なる表現を同時期に用いることでバランスよく活動しているように感じられるが、近作ではこちらもどうも終盤にさしかかっている印象である。
次回作はいったいどんな作風になるのか、非常に気になるところである。

紹介者プロフィール:ぎが
本州のやや北の方に、ひとりでひっそりと生息しています。10代の頃に多少かじりはしたものの、商業BLに本格参入したのは約2年前のこと。ごく当たり前にかわいい系・きれい系の受けが好きだったはずが、あれよあれよという間にオヤジ含め幅広く雑食に。自分の適応能力に驚かされます。

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