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異論は認めません!? 私のイチオシはこれ!39

2012/05/15 00:00

新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は、2012年4月の新刊からこちらの2作品を紹介したいと思います。

■ 金のフォークに銀の匙/かわい有美子/麻生海/ルナノベルズ

監査法人に勤める公認会計士・不破克彦は、ある日、車を運転中に接触事故を起こしてしまい、自転車に乗っていた男性に怪我を負わせてしまう。その大学生・三谷煕武は不破が時々行っていたカフェのアルバイト店員で、腕と足の怪我は生活に支障を与えるようなものだった。顔見知りであったために保険会社に丸投げすることも出来ず、不破は三谷と関わり合いを持つことに。怪我について文句を言う事もなく、社交辞令の言葉さえも真に受けるような素直で天然な三谷は、不破のペースを乱してくる。成り行きで不本意ながらも、週に数回三谷を自宅に上げて夕食を共にするようになってしまってしまった事を面倒に思いながらも、いつの間にか不破は三谷の存在を心地よく思うようになり…。

という、エリート公認会計士と普通の大学生の話。
不破は30代前半で三谷は21、2歳くらいなので、歳の差はかなりあります。でも、歳の差や社会人と学生という違いよりも、不破にとっては三谷のフワフワした性格が理解出来ない事が1番の問題で、最初はかなり戸惑い、苛立っている。職場はドライで個人主義な人たちが集まっているし、同年代の集まりに出ても、そこにあるのは化かし合いと打算ありきの人間関係。男女の関係も、純粋な感情では成り立っていない事が当たり前。そんな世界を楽しむわけでなく、冷めた目で見ていることに慣れてしまっている不破にとっては、三谷の素直で優しすぎる性格に居心地の悪さ感じてしまっています。距離を開けようとしても、遠回しな言葉や嫌みは素直に受け取られてしまうので、結局三谷のペースに巻き込まれてしまっている。視点が切り替わりながら話が進んでいきますが、不破視点が中心なので、序盤の不破の苛立ちから恋愛感情に移行していく過程は、ある程度年を重ねている方には気恥ずかしく感じられるかもしれません。ビジネスライクな世界にどっぷり浸かりながらも、不破はそちらに馴染みきれていなくて、その歪みによって本人が自覚していない部分できっと心が疲れている。それを無自覚ながらも三谷が癒しています。凸凹コンビのように見えて、お互いにないところを補っているので、くっついてみたらピッタリ嵌まっている。それがエピローグを読むと伝わってくるのですが…。序盤とは全く違う、不破さんの甘い言葉と優しい表情に読んでいるこちらが照れました(笑)

一方、三谷はお気楽な大学生をしているように見えて、実は大きなものを背負っています。その意味において、三谷にとって不破はいろいろ考えさせられる存在。ボンヤリしている三谷が恋愛感情を割と早い段階で自覚しているのですが、そうした背景を考えると、不破に惹かれていく事は理解出来ます。この辺りがタイトルにある「金のフォーク」と「銀の匙」に関係していて、これによって恋愛とその背景にあるものがうまく繋がっている。フワフワしていて天然キャラですが、人の感情に鈍いのではなく、おおらかさ故なので好印象。恋愛感情を自覚したあと、挙動不審になっている様子が可愛かったです。

不破の性格が帯やあらすじに「腹黒」とありますが、悪意を持っているわけではなく、独身でバリバリ働いている男性ならこんな人は多いのではないかなと思います。そんな仕事の出来るドライな性格の攻には、こんなかわいい受がピッタリ!でも、お金と肩書きがある人の周りには、なかなか打算のない人はいないし、いたとしても疑う心を持って見てしまう。三谷が男で学生だったから不破は恋愛面で警戒していなくて、気付いた時には三谷が深いところまで来ていたのだと思います。
異なるステージを生きていた不破と三谷が出会い、徐々にその距離が縮まっていく過程が面白い。恋愛を含め、世の中を斜めに見ているような人が、意外なところから攻め込まれていつの間にか恋に堕ちている話は微笑ましくてよいですね!

■ いかさまメモリ (1)/夏目イサク/Dear+コミックス

高校3年生の冬、友達だった津田とその場の流れで一線を越えてしまった中野。その後すぐに彼女を作り何事もなく大学生活を送り始めた津田に、中野は耐えられずに連絡を絶ち、それ以来会うこともなく社会人になっていた。そんなある日、取引先の担当者として津田が現れ、否応なく再び関わることになってしまう。昔のことなど忘れたように親しげな態度を取る津田に、中野は苛立ちながらも複雑な想いを抱いていて…。

という、再会ストーリー。
高校を卒業してから10年余り経っていて、ふたりとも社会人となり、偶然にも繋がりのある仕事をしています。わだかまりを感じているのは自分だけで、津田は全く気にしていなさそうな態度で接してきた事に、中野は戸惑いを隠せません。今まで散々自分が悩んできたのは何だったのか、という苛立ち。でもその一方で、そんな津田の物怖じしない明るさがあったからこそ、高校時代、無愛想で人間づきあいが苦手な中野は津田と仲良くなれたわけで、その頃と変わらない態度で接してくれる事にホッとしている気持ちもある。苛立ちと安堵と寂しさと、いろいろな感情が中野の中に混在しています。
高校生の頃、ふたりが自分の気持ちに気付いたのにすれ違ってしまった結果が今の状況で、この後仕事を一緒にしていく中で関係が修復されていきます。こうした展開自体はBLでは珍しくないのですが、この過去の気持ちのすれ違いと、再開してからの気持ちの動きのペース配分がよく、気持ちの変化が丁寧に描かれているので分かりやすい。ふたりとも、関係を修復するために取った行動だったのに、結果的に友達関係すら壊れてしまった。その失敗を経て、じゃあ再会した今どうするのか?という部分が、コミカルな部分を織りまぜて心を掴む流れを作っていてよかったです。

ちなみに、高校時代のエッチは未遂に終わっていますが、この時の怯えて涙目になっている中野の姿がめちゃくちゃ可愛いのです!!本編では過去の回想はチラッとしか出てこないのですが、書き下ろしで津田視点の高校時代の話が収録されているのでしっかり堪能できますよ!

コミカルさと切なさ、そして萌えが良い塩梅でした。続きが気になります!

紹介者プロフィール:にゃんこ
長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/

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