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元編集関係者が語るBL業界事情 第七回「やってはいけないBL」

2013/01/28 00:00

比較的内容に自由度があるボーイズラブですが、いくつか「やってはいけない」お約束があります。これをやると売れない!というBLのタブーがあるんです。今回はそんなBLダブー不文律を、出版界ヲタ女子で腐女子な元編集関係者が、ぶっちゃけ語ってゆきますよ!

 書店へ行ったときに、好みの設定や読んでみたいと興味を引かれる作品があまり無いと思っている人がいるなら、その理由はとても明確です。
「売れない設定だから出していない」
 これに限ります。
 商業で刊行するからにはたくさんの人に気に入ってもらえなければ意味がないので、より好まれるものを作る必要性が出てきます。
「面白い作品を刊行する」というよりは、「面白いと感じてもらうために好かれそうな作品にする」のです。
 それを目指した結果、「できれば避けたい設定」として次のような項目ができてきました。
・バッドエンド
・ファンタジー
・時代物
・外国設定(メインキャラに日本人がいない)
・エッチシーンが無い
・血縁設定
・オッサン受け
 避けられることが多いだけで、決してやってはいけないというわけではありません。
 レーベルによっては問題ないものもあるので、それぞれで異なります。そしてそれがレーベルの個性に繋がっていきます。
 ただ、これらの設定を楽しんで読める人はごく一部だけだと思われているので、たくさん刊行されることはありません。
 売り上げ実績を確保したいと考えたときには、誰もが抵抗なく読める設定が好まれます。
「ボーイズラブ」と呼ばれ始めた頃くらいまでは、意味不明な設定の作品や絶望感や悲壮感しかない展開の作品も読んでいたような覚えがあるのですが、気がつけばほぼ絶滅していました。あの当時はそれなりに流行があったので、流れがいつの間にかハッピーエンドのラブコメ主流に移っていたように感じています。
 しかし、近年は商業BLでの大きな流行も無く、読者の好みが細分化していることもあって、絶滅期に上がった設定へのハードルが、また下がっていると思います。
「好かれるようにしたところで、結果が伴うわけじゃないなら自由にやりたい」ということなのでしょう。
 このように考えていても、もちろんすべての作家に自由な設定構成が許されるでわけはありません。
 どういう作品を出しても売り上げが取れると分かっているか、変わった設定を作ることに定評があると編集部側が把握していれば却下されにくいと思います。作家やレーベルのイメージチェンジを考えているときにも通りやすくなるでしょう。
 あとは、担当編集がその趣向を理解していることが前提です。
 中には自分の好みを押し付けて「言うとおりにやってください」と言うタイプの編集もいるので、そこは運次第としか言えません。
 それが当たるならいいですけど、強制しておいて外したときにはどうするんでしょうね……。

 こんな感じで簡単な「縛り」のようなものが商業BLにはあります。
 レーベルの傾向による違い以外に、漫画と小説でもその中身は異なります。そもそも性質が違うので当然です。
 個人的には漫画のほうが自由度が高い印象です。多少の無茶や遊びは許容範囲内といった感じでしょうか。
 小説の場合は「全編攻め視点はやめてほしい」とか「エッチシーンは○回以上入れる」などの要素が加わるレーベルもあります。
 数年前よりは決まりごととしての効力が薄れている気もしますが、漫画より頑なであることに変わりはないと思います。
 確かに200ページ読むのに好みではない設定では厳しいものがあるので、より作品に安心感を求めてしまうのかもしれません。
 それだけでなく、漫画と小説の違いは読者の年齢層や書籍刊行までの過程などがあります。
 読者の平均年齢には約10歳は開きがあると考えられています。10歳も差があると好むものにも違いが出てきます。そうなると対象を絞りすぎた場合に片方には受け入れられても、もう片方の趣味とは噛み合わなくなります。
 さらに、漫画はまず誌面に掲載するのに対し、ほとんどの小説が1冊分を書き下ろしなので、刊行への判断が厳しいと言われる現状では大きな勝負に出にくいと考えられます。
 逆に漫画で小説と同じだけエピソードやストーリーを掘り下げるためには、連載にならないと厳しいので、それはそれで難しいこともあります。
 漫画にできて小説にできないことがあり、小説にできて漫画にできないことはひっそりと区別されています。
 ただ、結局は売れ行き次第です。
 これまでは避けられていたような設定や展開の作品に人気が出れば、その勢いに便乗しようとよく似た系統の作品が増えます。
 男性向けラノベのように堂々と二番煎じをやれば面白いですが、「パクリ」と言われては大変なので、あからさまにならないよう匙加減をしつつしれっとした顔で乗っかります。
 それが増えていくと、マイナーだったものもメジャーに転向していきます。
 こうして設定のパターンが増えていき、定番に浸透していくのが最近の特徴と言えます。
 それでも鉄板王道に敵うはずは無く、全体的に売り上げが地を這っていると言われている現状で、できれば手堅くみんなに好かれるものを出していきたいという考えは当然でしょう。
 これまでにも「受けは初物でなければ」とか「30歳を過ぎたらオッサン」と言われていたことがあるので、今は避けられている設定もいつか普通になる日が来るのかもしれません。

 しかし、こういうことを考えながら書店に行くと、とても楽しくないです。
 コラムを書くようになって、改めて市場調査も兼ねて売り場を見るようになりましたが、変に知っている事実があるだけに複雑な気持ちになります。
 それでもあえて書くのは、読者が何を考えて本を選んでいるのか知りたいからです。
 自分が一読み手に戻った今、的はずれなことをされているような気がしてしまうのは、好みが偏っているからなのか。それとも他に同じことを感じている人がいるのかを純粋に知りたいのです。
 友人に意見を訊いても、自分と感覚が似ているから友人なのであって、あまり参考にはならないと感じています。
 とことん追求してみたいので、思うところがある人は教えてください。

 ご意見・ご感想はコメント欄かツイッターアカウント@misaki_dxまでお寄せ下さい。

紹介者プロフィール:ミサキ
ヲタ女子で腐女子の残念な元編集関係者。欲望の赴くままに業界に足を突っ込むも、根気の無さと面倒くさがりが遺憾なく発揮され現在フェードアウト中。「好きなこと=できること」にするのを目標に、目下自分探しの旅を(二次元のなかで)繰り広げている。座右の銘は「世の中やっぱ金と欲」。 近況:そろそろ花粉が飛び始めているというのは本当なのでしょうか? 備え始めなければ……。

コメント23

投稿順 | 最新順

匿名さん

でも…それって要するに変化がないってことなのでは…?
売り上げは必要だけど、クリエーターって常に新しいものを追い求める姿勢が必要なのではと思うんですけど。
ジャンプみたいに。

なんか、最近BL漫画って2次創作のほうが面白いんじゃない?って感じてしまうんです。2次には常に流行の絵柄やcpがあり、新しい萌があるんですよ。画力も高い人が多いし、キャラも個性的。
商業はなんかありきたりな漫画ばかりで…絵柄や展開が古いなって感じてしまう。商業BLと2次BLでは読者層が違うんだよって言われたらそれまでですけど…

匿名さん

つまりは面白ければ何も問題なかったんでしょうけどね。

わたしはこのコラムがそれほど「デリカシーがない暴露バナシ」だとは感じませんでした。そこまで行っていません。
そもそもこんな公の場で、仮にも(実名ではなくとも)「もとBL編集」を名乗って内幕暴露をするのはモラルに反すると思っています。その点でだけは非常識な方ではないのでしょう。

このコラムがなぜここまで反感を買うのか。それはいくつか前の方が言われていることを勝手ながら引用させていただくと
>元編集者としてひとつ、おまえらが知らない苦労を教えてやろう…

匿名7番さん(1/1)

ついに本人降臨ですか!?

↓ 本人が来ちゃったみたいですよ~。

 一字空けやめても改行がクセっぽいよ。もっとうまく隠しなよ

匿名2番さん(4/4)

クレーマーの常套文句だね

ついにはちるちるが悪いと言い出したね(笑)
完全にクレーマーの類と一緒だね。

自分が気に入らない事があったら誰かを槍玉に上げないと気が済まない人、いるよね~。
それも「私は良い意見を言ってるの!」って大義名分を振りかざして、相手を攻撃。
人として間違ってるよね。そんなに自分が正しいって誇示したいの?

あ~おかしい!
たかがコラムでこんなに騒いでいる人初めて見た(笑)

葡萄爪さんのような大人な書き込みをする人が増えてくれると嬉しいな。

匿名6番さん(1/1)

ちるちるの見識を疑う

このコラムの内容もさることながら、普段世話になってる編集部や作家・漫画家を結果的にこき下ろすようなコラムを平然と載せる、ちるちる(及び芳林堂)の見識を疑いました。
各編集部や作家や漫画家は、こういうコラムを載せるような書店には協力したくないと思いますよ。
ユーザーとしても、夢をぶちこわすようなところでは買い物をしたくないと思いました。

匿名5番さん(1/1)

終了なのですね

Twitterアカウントを見たらコラム終了のお知らせが。

筆者さんの自己都合だそうですが。

匿名1番さん(3/3)

面白く書く方法なんていっぱいあるのに残念です。
ネガティブな思考から面白いものなんて生まれないんです。
プロフィールにしても、自己紹介するときに
私は残念な人で、根気もなく面倒くさがりでお金が好きです・・・って言います?
これが企業面接だったら落ちますし、
合コンだったら次から呼ばれなくなります。
編集者とはいってもコラムニストや作家じゃないから
それほどすごいものは期待していませんでしたが、
あまりに読み手に対する緊張感がないから叩かれるんです。
いままでコラムを書かれている素人レビュアーさんが叩かれる

匿名さん

>白熱してますねの方
やっちゃいけないとは言ってなくて、デリカシーがないって言ってますね。
出版社や作家さんにお願いしてこちらの書店独自の特典や企画を書き下ろしてもらってるんでしょうに、ネガティブな内事情を暴露しちゃうのがすごいと思います。

匿名さん

白熱してますね

いろんな意見があって、レスを読んでいるほうがおもしろかった!ということで私もひとつ。一介の書店が作家と編集にうんぬんという件、ホントにやっちゃダメなんですかね?立場の固定化は、あぶないと思うんですけど。ちょっとくらいはみ出したっていいんじゃないでしょうか。

匿名さん

興味深く拝見してはいますが、一介の書店さんがなぜ我が物顔で「作家と編集」を題材にしたコラムを掲載してるのかな?とは思ってます。業界は確かに近いんでしょうが、決して同じフィールドじゃありません。なんというか…他社の内情を暴露するデリカシーのない企画ですよね。
このコラムを読んで「勉強になってる」人もいるようですが、これって隣近所のおばさん達が隣人のウワサ話してるのを聞いているのと似たようなものだと思います。

それより自フィールドの「BL書店の裏話」をしたらいいのに…。

匿名1番さん(2/3)

コラム書く以上は面白く書く責任は好むと好まざるにかかわらず発生してくるはず。
レビュアーさんの中でも、コラムを書いていらっしゃる方はいますが、面白く書く努力はみなさんされているはずですし、独自の切り口で書いている方も珍しくありません。
一般の人が書いてもどうせ面白いモノ書けないでしょ!?だから批判しないでよっていう論理はやめたほうがいいと思います。

ここは年間1000冊ちかいBL本読んで、これは読んでみたい!と思わせるレビューを書くレビュアーさんがざらにいることを考えたらわかる話です。

BL初心者に向

匿名3番さん(2/2)

「落ち着きましょうよ」の方の一つ前の方の
「こういう編集がいるから~」「無能な編集」「お気の毒」はミサキさん自身の事ではなくコラムに出て来るような編集(特に自分の好みを押し付けるような編集)の事を指しているように思えたのですが。

コラムを読んだ限りではミサキさんは編集時代に作家さんに自分の好みは押し付けていませんよね。

匿名2番さん(3/4)

楽しみにしていまっす

横槍(レス)失礼します
私は初心者なのでこちらのコラム、毎回楽しみにしていました。
面白いと感じたし、ためにもなりました。
愚痴っぽい所も別に何とも思いませんでした。
というか愚痴しか書いていないコラムではないように思いますが?
人の感じ方はそれぞれだと思います。
読んで不愉快になる人もいれば、私のようにためになったと感じる人もいます。
自分が不愉快に感じるからなくせば良いというのは乱暴すぎませんか?
だってあなたに不必要でも私には必要なんで。

だから不愉快に感じるから無くせ、ではなく、不愉快に感じるな

匿名さん

コラムの必要性。

最初に言っておくと、私はこのコラムを面白いともためになるとも感じませんでした。

まず、なぜレビューサイトにこんなコラムが載るのかさえわかりません。下の方が「コラムに愚痴を書いてはいけないのか」と言っておられますが、そこまでしてここにコラムが必要だと思わないんです。「コラムに愚痴を書いてはいけない」のではなく、「愚痴しか書けないんなら、そんなコラム不要」だと思っています。創作・コラムを主とするサイト(そんなものがあるのかは知りませんがあったとして)ではないんです。

読んで不快になるコラムは不要。それだけ

匿名2番さん(2/4)

落ち着きましょうよ

まぁまぁ、皆さん落ち着いて。

この方が本当につまらない編集者かどうかなんて、あなた↓が決め付けて良いことではないと思います。
あなたはこの方と一緒にお仕事をしたことがある人なのですか?
あなたのおっしゃっていることは意見というより「嫌味」になっていますよ。

「こういう編集がいるから~」「無能な編集」「お気の毒」
など、言い方が酷いです。
この元編集者の方を目の前にして同じことが言えますか?顔が見えない同士なので余計にマイナス感情が大きくなっているのでしょうが、相手も生身の人間です。
あなたの言葉で傷つ

匿名4番さん(1/1)

最初から全部読んでます。読むのに忍耐がいりますね。内容も何もなくて。他の方も仰っていますが、「こういう編集がいるから、どんどんBLがつまらなくなっていくんだな」と感じます。それこそ「無能な編集」に当たった作家さんはお気の毒としか言いようがないですね。

ところで「ご意見・ご感想は」と言っておきながら、何のレスポンスもないんですね。だったら最初から表向きだけ聴く気あるかのようなこと言わない方がいいんじゃないですか?

7回も続けたこのコラム、いったい何のためなのか理解に苦しみます。単なる愚痴だったらそう言っ

確認

賛否両論はさておきまして、今回のコラム内容について
私的に確認したき点がひとつ。
筆者さまはブックマン社から2011年に刊行された
『ダメBL』の存在を踏まえて今回の稿を起こされた
のでしょうか?
それとも存在を全く関知せずに稿を起こされたので
しょうか?

匿名3番さん(1/2)

うーん…

「誰もが抵抗なく読める設定」なんてものは果たして存在するのでしょうか。
抵抗なく読めたとしても面白さには全く繋がらないと思うのですが。
何にしても同じような設定ばかりだと飽きが来て確実に読者は離れると思いますが。

読者(というか私ですが)は出来るだけ編集の介入しない作品を読みたいのです。
自分の好みを押し付ける編集なんて論外です。
勿論作家さんが変な方向に行きそうな時はしっかりと矯正して頂きたいですが。

「ある出版社で断られた作品を別の出版社に持ち込み出版した結果、その作品はBL界で話題になったり高評

匿名2番さん(1/4)

夢なんて見るものじゃない叶えるものだから~♪

最高の作品は最高の作家と最高の編集者が創る。

匿名1番さん(1/3)

目新しさがないコラムをいつまでやるんでしょう?

下でも既に出ていますが、
こういう残念編集がいるから今のBLってつまんないんだろうなと納得してしまうものはありますが、それ以外にメリットないです。
暴露話っていったって想定範囲内のものばかりだし、この人にしか書けないような切り口が全く見えない。

ただ気骨もなにもない編集が他力本願の愚痴を垂れ流しているだけにしか思えません。
モノが売れない時代にどんな業界だって苦労があって当たり前です。
毎度、この編集者に説教したくなる読者も多いと思います。
こういうのをいつまでもクダクダ流しているサイトって本気で本を売

匿名さん

おもしろいです

BL大好きなので、少しずつ勢いがなくなってきているとか、最近あんまりぱっとするものがないねってBL好きの友達と話してて、ただの一読者ですがどうしたらこのまま発展していけるのかなとたまに考えたりします。なので、このコラムいつもすごく勉強になります。
漫画はまだだいじょうぶかなって思うんですが、小説やBLCDが心配で。
新人さんのはなるべく読んだりするし、おもしろいものも多いんですが、学園物が少なくなってるのとか、ファンタジーも難しいかもしれないけど、どんどん挑戦できたらいいのになと思います。
10代から読者

匿名さん

確かに


某出版社ラブのBL漫画でも取り上げられているように、
「売れるものしかつくらない」というのは
商売をする者の鉄則なんでしょうね。
でも私はいつも同じパターンのやつに
飽きてきているので、BL漫画・レーベルから
遠ざかりつつあります。
いっそ革新的で「おっ」と思えるものがあれば・・・
と思いますが、金で売ってる時点で現実問題、
変わったパターンや避けられるべきパターンは
取り入れられないのかもしれませんね。

ちょっと悲しいです。
外国人ばっかとか全編攻め視点とか
読みたいですけどね^^
「おおおっ」と思

匿名さん

これ業界のためになっていますか?

読者は夢が買いたいのです。
裏事情暴露だけなら簡単です。誰でもできます。
元編集関係者であり、そしてここがクチコミサイトなのであれば、このコラムを読んだ読者に”裏事情を知れたドキドキ感と、BLを読みたくなる気持ち”を起こさせるべきです。
これまで全て読んでいますが、ただの給湯室の陰口暴露のような内容も多く、レビューを読んで通販する気が失せます。
プロなのでしたらここから読者の消費意欲につなげて下さい。

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