BL情報サイト ちるちる

BLニュース

BLニュースは標準ブラウザ非対応となりました。Google Chromeなど別のブラウザからご覧ください。

異論は認めません!? 私のイチオシはこれ!51

2013/05/16 00:00

新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は2013年4月の新刊から、こちらの再会モノ2作品を紹介します。

■今宵おまえと(全3巻)/木下けい子/H&Cコミックス(2010-13年)

 同窓会で再会した片想いの相手・和久井保孝から、後輩に泣き落とされて男と寝たという話を聞いてショックを受けた西島陸郎。男同士で受け入れられる可能性が低いなら、友人として保孝が幸せになる姿を見守ろうと思っていた高校時代の自分は何だったのか。10年間、想いを秘めたまま、伝えようともしなかった自分の不甲斐なさを悔やんだ陸郎は、行動に移す事を決めたのだが…。

 ふたりは高校の時の同級生で、その頃から陸郎は片想いをしています。想いを秘める道を選んだ陸郎は大学進学の際上京し、地元に残った保孝はとは社会人になってからも疎遠になっていた。10年後再会したふたり。まさかの事態に陸郎の気持ちは揺れて火が付きますが、気持ちを伝えようと思った矢先に転勤で地元に帰ることに。昔のように親しい関係に戻り、保孝に大切な存在である事を伝えられるけれど、でもそれは友人としての陸郎に対するもの。どうやって気持ちを伝えたらいいのか悩む陸郎に対して、保孝は自分に好意を向けている会社の後輩の言葉で陸郎の恋愛感情の可能性に気付きますが、陸郎の視線の意味を考える事から目を逸らし、友人であればいいと思っている。そんな中、陸郎は高校時代からずっと好きだったと気持ちを伝えるのですが、当然簡単に保孝が受け入れるはずもなく…。

 ふたりの関係が友人から恋人になる過程が、この本の読み所です。陸郎も保孝も、仕事に慣れてやり甲斐を感じている20代後半のサラリーマンで、一見するとかっこいいしもてそうなタイプ。でも、今回の恋愛沙汰ではふたりとも格好悪いところを相手に晒していて、これがもし相手が女の子だったらそんな姿は見せないのでは?と思うと、なんだか微笑ましくなります。陸郎は片想いの相手に必死になって空回ったりしているし、一方の保孝は人の気持ちを雑に扱ってしまう自分に腹を立てたりしているし、格好悪かったり、情けなかったり、そんな場面が何度も出てきます。気持ちが通じるかと思いきや、ちょっとしたすれ違いや自分勝手な嫉妬で傷つけ合ってしまったり。それでも結局好きな気持ちは手放せなくて、ちゃんと相手に向かっていく。そんなふたりがとてもよかったです。

 不器用だけど真剣な恋愛が、読み応えがあって最後まで面白い。傲慢で隙の無いキャラより、格好悪くても一生懸命なところが伝わってくるキャラの方が親しみやすいですね。そして! リーマンものなのでスーツ姿もたっぷり楽しめます! ワイシャツ萌える…。4月に出た3巻で無事完結したので、リーマンものお好きな方は是非どうぞ〜。

■ファンタスマゴリアの夜/砂原糖子/梨とりこ/ルチル文庫

 父親が亡くなり、貸金業を継いだ束井艶。ヤクザまがいの仕事にも慣れてきたある日、同窓会で永見嘉博と再会した。夢を叶えバーを営んでいる永見の変わらない人柄に複雑な想いを抱きつつ、それ以来度々バーに足を運ぶようになる。次第にふたりの距離が変化し始めるのだが…。

 ふたりは小学生の時からの幼なじみで、中学、高校と1番近くにいる存在でしたが、束井が高校卒業後留学してから音信不通となり、10年間離れています。疎遠になったのは、物理的な距離だけでなく束井の気持ちによるところが大きいのですが、それはまだ恋愛感情として自覚するまではいっていません。小学生の頃永見に告白されたけれど、「男は好きにならない」と返した束井。その後も友人関係は変わらず続きますが、高校生になり隠すこともなく男と付き合うようになった永見に苦しい気持ちを抱くように。人気子役として活躍していた頃のある事件をきっかけに心を閉ざし、笑顔を見せなくなった束井にとって永見は唯一心を許していた相手だけれど、告白されて以降、永見の恋愛関係に心がざわめき、ふたりの関係は変わっていく。永見に対する友人を超えた感情は疎遠になって以降も束井の心に居座っていて、再会後、一線を越えます。

 10年という時間によって、高校生の頃より束井の気持ちが明確になりつつある一方、その間にふたりを取り巻く環境も大きく変わっていて、束井は自分の気持ちに向き合えないでいる。そうした中で束井はトラブルに巻き込まれ、自ら永見から離れようとします。束井が不器用すぎてハラハラしますよ…! 態度は強気なくせに中身は臆病。そんな束井を分かっているからこそ永見は距離を置きつつ見守っています。束井は傷つかないよう心に入る刺激を遮断しているようなところがある一方で、外に向けては攻撃的な面があり、そうやって感情を麻痺させることによって生きている。そんな束井が、今まで閉じ込めていた自分の本当の気持ちを吐き出す場面は胸が締め付けられます。
 一方の永見はこれまで束井一筋で独り身を通してきたわけではなく、高校時代からいろいろな相手と付き合ってきています。でもそれで束井を好きな気持ちが消えたのではなく、むしろ離れていた10年という年月の間に「やっぱり好きだ」という気持ちが募っていき、同窓会での再会に繋がったのではないかな。学生から社会人になり、世界が広がって様々な経験もしていく10代後半から20代にかけての時間の中で、自分にとって本当に大事なことが何かが見えてくる。一度振られていても、音信不通になっていても、束井の事が忘れられなかった永見の心情に共感を抱く方も少なくはないのではないでしょうか。

 切なさと萌えが良い塩梅。再会ものは、離れていた時間があったからこその気持ちの変化や、環境の変化がポイントですよね。子供の頃、中高生の頃、永見と再会した頃、そしてふたりの気持ちが通じた後。ふたりの距離が変化していく過程が印象的な作品です。

紹介者プロフィール:にゃんこ
長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/

アクセスランキング

最新BLニュース

オススメニュース

最新のコメント

PAGE TOP