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異論は認めません!? 私のイチオシはこれ!52

2013/06/14 00:00

新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は2013年5月に出揃った、椹野道流先生とくも先生のコラボ作品「くろねこ屋シリーズ」をご紹介します!

 このシリーズは、「くろねこ屋」というカフェを中心にして繰り広げられる様々なカップルの恋物語が、くも先生による漫画と、椹野先生による小説により展開していく趣向になっています。コミックス1冊ノベルス2冊があり、どちらからでも楽しめますが、コミックスから読む事をオススメします。

 それではまずコミックス版からご紹介。

■くろねこ屋歳時記/くも(原作:椹野道流)/カンナコミックス(2012年)

 コミックスで繰り広げられているのは、神主と酒屋の息子、庭師と外国人、庭師同士、サラリーマンとカメラマン、の4組の恋物語です。神主はカフェ「くろねこ屋」のオーナー・ネコヤナギの友人、庭師はネコヤナギの家の庭の世話をしていて、サラリーマンはカフェの客という繋がりがあります。
 その中から、神主と酒屋の息子の話をピックアップしてみました。


 夢破れて実家に戻り、酒屋を手伝っている大介。ある日、近くの神社で神主の男に声をかけられ、半ば強引に自宅に連れて行かれ一緒に酒を飲むことになってしまう。その神主・鹿朗に誘われるまま、付き合う事になるのだが…。

 初対面でエッチしてそのまま付き合うという一見強引な展開ですが、大介が人の優しさに飢えている状態がよく分かるので、自然な流れで読めます。鹿朗がいつもちゃんと大介の事を見ていて、下手に出ているようでいてちゃんと大介の心が元気になるように立ち回っている。飄々としてとらえどころがないようなキャラだけど、隙もちゃんと見せている。そのバランスが絶妙で、魅力的です。大介も、そんな鹿朗の前だと素直になることが出来ていて微笑ましい。田舎で自分の居場所を見つけていく大介の姿に、読んでいるこちらまで嬉しくなる話でした。

 最初のページが4コマでびっくり。途中からは普通の漫画になっていて、その後も所々4コマという形態です。通常とは異なる形式の出だしなので序盤は多少戸惑いましたが、鹿朗と大介の気持ちが通じた辺りからどんどん魅了されていきました。短編なので細かい説明はありませんが、その背景にあるものまで感じる事が出来る素敵な1冊でした。

 次に、ノベルス版を2冊まとめて。

■くろねこ屋歳時記 壱の巻、弐の巻/椹野道流/くも/プラチナ文庫(2013年)

 ノベルスでは、カフェ「くろねこ屋」を舞台に、オーナーや従業員たちの恋物語が書かれています。様々なカップルの話が同時進行していく中で、季節が巡っていきます。ちなみにカフェ関係の登場人物は全員カフェでの愛称である花の名前で呼ばれていて、最後まで本名は出てきません。
 登場カップルは3組。カフェのオーナー・ネコヤナギと店長・ヒイラギ、パティシエ・タンジーと高校生のエイスケ、フード担当シェフ・アマリネと副店長のシロタエ。どのカップルも甲乙付けがたいのですが、やはりここは「くろねこ屋」が出来るきっかけであり、コミックスの方でも存在感のあったネコヤナギとヒイラギについて紹介しなければならないでしょう!

 アンティークショップを経営していたネコヤナギは、出入りの銀行員として来ていたヒイラギが、ある出来事にショックを受け落ち込んでいる事を知る。追い詰められていたヒイラギをネコヤナギが救い、ふたりは恋に落ちた。ネコヤナギは自宅の離れにあった洋館をカフェとして開放し、ヒイラギを店長として迎え入れる。それ以来、ヒイラギは店長として、ネコヤナギの恋人として日々を過ごしているのだが…。

 ヒイラギは生真面目で不器用な性格で、感情表現が乏しいので何を考えているのかなかなか人に伝わりません。好き合っていて一見何も問題はないように見えますが、自分に自信が無いヒイラギは常に不安で自分を追い込んでしまうところがあり、そんなヒイラギの心を年上のネコヤナギが時間をかけて解きほぐしています。大きな事件があるわけではないけれど、日々の積み重ねがふたりの絆を強くしていく。そんな様子が、ふたりがメインとなっている話だけでなく、他の登場人物たちの視点からも感じられるのがとても心地よい。なかなか自分の気持ちを能動的に出せないヒイラギに対して、掴み所がないけど奥が深そうなネコヤナギが優しく、時に強引に気持ちを吐き出させていくエピソードがいろいろな話の中にちりばめられています。徐々に甘える事が出来るようになってくるヒイラギの姿に、心があたたまります。
 コミックスの方ではちらりとしか出ていなかった恋人同士としてのネコヤナギとヒイラギの関係ですが、シリーズ全体を通して見ると、この2人の雰囲気がカフェの穏やかであたたかい空気に繋がっていました。

 漫画版と登場人物は被っていますが、カフェスタッフ以外の人々の話がメインだった漫画版に対し、小説版はスタッフたちの話になっています。どこもかしこもゲイカップルだらけのシリーズですが、どの話も可愛くてほのぼのした雰囲気なので濃い印象はありません。舞台がのんびりしたカフェという事もあり、微笑ましいやりとりに癒されます。椹野先生の作品は、濃いエッチ描写が多いわけではないのですが、キャラや関係性に萌えがある。むしろ少ない描写だからこそ想像で萌えます! 穏やかな読後感ですが、ドキドキもちゃんとあるのでご心配なく。
 小説の方が心理描写量は多いのですが、視覚的な情報は漫画の方が多く得られます。そんな違いがありつつも世界観がぶれていなくて、絶妙なコラボでした。同じ世界観を様々な角度から見る事が出来るので、読めば読むほど味が出ます。くも先生の画の雰囲気が作品にピッタリ。
 素敵なカフェに、萌えもあり猫もいるなんて…羨ましすぎる! カフェメニューもとても美味しそう。実際にこんなカフェがあったら行ってみたくなりますね。心が癒され、元気になれるシリーズでした!

紹介者プロフィール:にゃんこ
長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/

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