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中村明日美子「同級生」シリーズをいきなり最終回から読んでみた結果

2014/02/15 08:06

名作は最終回から読むと二度楽しめる!
ついに、本日2月15日発売のコミックス『O.B. 1』『O.B. 2』で、約7年半続いた物語に幕をおろす中村明日美子先生の人気作「同級生」シリーズ。

同作の最終話「O.B. #7」は、昨年末発売されたアンソロジー『OPERA vol.42-冬-』に掲載されました。
が、実は私、それまで「同級生シリーズ」を1ページも読んだことがなかったのです。

『OPERA』を手に、開く前にせめてあらすじをチェックしようか? いや待て、長期人気作品をいきなり終わりから読むなんて、こんな機会は滅多にないぞ…と一人問答。
そこで、こんな検証に挑戦。

題して「名作は最終回から読んでも面白いのか?」
そして「最終回からどれだけ経緯を予想できるのか?」です。

ちなみに、前情報として知っていたのは下記の3項目(!)のみ。

★メインカップリングは高校の同級生。(タイトルですからね)

★黒髪の子が受、金髪の子が攻らしい…(のちに前者が佐条くん、前者が草壁くんという名前だと知る)

★高校生がゆっくり恋を育むお話らしい(「まじめに、ゆっくり、恋をしよう。」のキャッチコピーが好きでした)

いかに最低限の情報しか把握できていないかお察しいただけたかと思います。
そこで、ようやく本編へ。

はじめは、現在の佐条と草壁がどんな状況にあるのかを把握することで精一杯!
同じ場所で朝を迎えた2人…ここが何処なのか? 一緒に住んでるのか? と疑問が湧きながらもそのまま読み進めていきます。

以下、多大にネタバレを含みますのでご了承のうえお読みください!
そして結論をいいますと、3冊ある既刊から読み始めるのは気が引ける思っている方は、『O.B. 2』の購入から開始しても大丈夫です。


ほぼ予備知識なく最終話を読む、いきなり読む
爽やかな朝の空気の中、コーヒーを淹れる佐条、その微かな音を布団に包まったまま聞いている草壁。

実は「起こしてもらいたくて」寝たふりをしていた草壁に、佐条は「あほか」とつれなくしながら、結局は恋人のためにさりげなくキスをしてあげたりする。
早くも私の中で、草壁=わんこ佐条=クールビューティな認識が出来上がった瞬間です。

すでに、最終回から読むの意外と楽しいんじゃないか? と思い始める。それぞれの言動から、2人の関係や性格、現在の状況を想像し組み立てていくのは、思っていたよりも面白い作業です。妄想体質の方にはたまらない楽しみ方かも知れません。

草壁と佐条、同棲してるわけじゃないんだ……
たとえば朝ごはんのシーンでの、マーガリンとバターは違う、という話題。
「一緒に住んだら 俺 バターがいいな」

草壁がさらりとキュンな台詞を零したところで、『あ、同棲してるわけじゃないんだな』『でも将来を決めた仲なんだな』と状況が一つ飲み込めたり、

朝ごはんの好みという一見何でもない会話にも、『この2人はまだまだこれから互いの色々なことを知っていくんだろうなあ』と温かい予感を抱かせたり。

そして2人の高校時代の友人らしい“谷”から、「結婚します(しかもデキ婚)」と電話が入る場面からストーリーはさらに展開します。

仲の良い友人からの突然の知らせ。男同士という関係に、どうしたって立ちはだかるもの。

ただのわんこじゃなかった草壁!
佐条の心中は、
「お前なら いい父親になっただろうな とか」

そう、自分のことじゃないんですね。自分自身への覚悟はもう出来ていると暗に語っているようにも思えて、彼が想像より熱く強いキャラクターだったことに少し驚く。

そんな彼に草壁は「そんなさあ? なにもかもは無理でしょ」とキッパリ。

少し照れた表情で、
「佐条は欲ばりだなあ」「俺はそのときどきで一番ベストな選択をしてるつもりだし」「それで 幸せになる自信あるし」

「幸せにする自信も あるよ」

ああ、草壁はただの「わんこ」で済ませていいキャラクターじゃなかったんだ! ごめんね草壁!

真面目で静かに熱い佐条を、全く違う角度から包んで溶かしてくれる存在。真逆に思える2人が惹かれ合った理由が垣間見えた気分。

そこから冒頭とは打って変わって、佐条はとても穏やかで柔らかな表情に。心の変化が伝わって、読んでいるこちらまでくすぐったい気持ちです。

最後のシーンで、読んでもいない草壁×佐条 7年半の妄想が溢れて…
直後に、佐条からのプロポーズのシーンが。
「20歳になったら 結婚してください」

「て 僕からも言いたくなっちゃったから言っちゃった」

もう作品の全てを物語っているんじゃないかと(初見の私にも)思わせてしまう笑顔で、そんなことを言う。やっぱり佐条もただの「クールビューティ」で済ませられる子じゃなかった! そしてこの子にこんな顔をさせる草壁の愛もただモノじゃない!

この2人、本当に心から、お互いのことが大好きなんだなあ。
そこに至る経緯を知らないと思えないほどの幸福感で、涙腺が危うい

すっかり虜になって全巻そろえるに至る
そしてトドメは、遠距離恋愛らしい(ようやく把握しました)2人が、別れ際に初めて下の名前で呼び合うシーン。その後、学生服姿の2人が笑顔で歩く回想カットを挟み物語は幕を下ろすのですが、

この場面が描かれるまでに7年半…! と思うとグッときてしまいました。
なぜなら、きっと佐条と草壁は、名前で呼び合った瞬間に初めて「同級生」ではなくなったのではないかと思ったからです。

2人の前途が幸せであってほしい! とすっかり虜になってしまいました。

これまでシリーズを愛し続けてきたファンの皆さんとは感想が異なると思います。

が、ひとつ言えることは、何の前知識もなかった1人の人間が、即刻シリーズ全巻買い揃えた上、『O.B.』も特典付きを予約購入するに到らしめるだけの魅力がこの20数ページの最終回にあったということ。

そして「同級生」「卒業生」を読んで見ると!
さて、妄想たくましくしたところで、前述通りさっそく前作『卒業生』までを読み終えた私。最終回を読んだ時点の予想と事実で違いはあったでしょうか。それは…

ストーリーそのもの。

「絶対零度の達観したキャラクター・佐条くん、無邪気でまっすぐな草壁くんになつかれずっと邪険にしていたものの、その純粋さに心の氷が溶かされていって」なお話だと読む前は思っていました…。

が、実際には佐条はずっと前から暖かくて人間臭い、草壁に通じる無邪気さや純粋さを持ち合わせた、いち男子高生。「結ばれるまでの過程」ではなく、「結ばれた2人がどう成長していくか」のストーリーだったわけです。これは大きな勘違い!

もし前者だったら…? 最終回の2人はいなかったのかも。

そうして改めて最終話を読むと、それぞれの体が大人らしくなっていることにキュンとくるものがあったり、逆に変わらない関係に心が温まったり、谷のデキ婚に一緒に驚いたり(笑)。あの名前呼びにも、学生時代からのわずかな伏線があったのだと分かったり。

行間、表情、台詞――本当に良い最終回は、なんでもないように見える一つ一つ、隅々に、それまでの全てが集約されているのかも知れません。

結論:名作は最終回から読むと二度楽しめる!

記者:神谷浩未

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コメント3

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参考になったwww(ネタバレ飛ばしましたがw)
ほぼこのシリーズは知識ないので、でもずっと気になってるので、でもでもなかなか始めから読むのもなぁ…と思っていたので、最終巻から読むことにします(笑)

溶けかかった雪を踏みしめ、ただそれだけを手に入れる為に、行ってきました新宿。
同級生OB 1・2 。 あゝァ〜、良かった☆
有坂先生と響に涙し、原センと空乃にトキメキ、草壁と佐条のラブラブに萌え萌えでした!
ステキな作品をありがとうございました!
よし、また最初から読むど〜♪

とらのあなで予約したためまだ読めない~(涙)
早くハラセンとソラに会いたいよー

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