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表題作イノセントな欲情

深澤英知、人気デザイナー・アルファ
アオハル(結衣青春)、トップモデル・オメガ、24

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

トップモデルのアオハルは極上のオメガだ。自分の美貌、そして身体を使って己の価値を高め生きてきた。だが人気デザイナーでアルファの深澤と出会い、今まで感じたことのない衝動を感じる。潤む瞳に疼き始めた身体―深澤は平然としつつも、逃れられないほど強いまなざしで見つめてくる。手を握られただけでこみ上げる快感に煽られ、アオハルは初めてヒートが怖いと思った…。

作品情報

作品名
イノセントな欲情
著者
秀香穂里 
イラスト
黒山メッキ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829626641
3.2

(7)

(1)

萌々

(2)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
2
得点
22
評価数
7
平均
3.2 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数2

一歩を踏み出すために

今回は
メンズブランドのカリスマデザイナーと
世界規模で知られるトップモデルのお話です。

攻様との出会いで受様が抱いていた
未来への恐れを払拭新たな道を見出すまで。

この世には3つの性があります。

才能も見た目にも恵まれたアルファ、
全てにおいて平均値で穏やかなベータ、
最下層で時には人権すら無視されるオメガです。

オメガは男女を問わず子宮を持ち
子供を埋める特異体質である上に
周期的に他者を誘惑するフェロモンを放ち

陰のある憂えた美形が揃うオメガは
事件や事故に巻き込まれる者が後を絶ちません。

受様の両親はともに美貌のオメガですが
未婚で子育ても放棄していた事から
ダブルの受様は民生委員によって預けられた
養護施設でも周囲から浮く存在でした。

10才の血液検査でオメガと判明すると
オメガ保護施設に送られて
徹底した検査と必要な教育を施されますが

閉鎖された専門施設内でも
オメガは酷い扱いを受けていた為に

受様は施設を抜け出して
自分の体を売って泥水を啜る日々の中
表舞台への道を掴みます。

今の受様は美貌のオメガの中でも
すば抜けて美しく怪しい色化を放つオメガとして
いま最も注目を集めるメンズモデルです。

陰を持ちながら天使なれるモデルとして
世界規模で名が知られていますが
日々若さを失い老いていく自分の未来は
恐怖でしかありません。

そんな受様にあるブランドから
新たなオファーを打診されます。

そのブランドは独特の男らしさと
強さをもつブランドとして有名であり
およそ受様のイメージとは合いません。

とりあえずは直接話がしたいという
先方の求めに応じて向かったオフィスで
受様を待ち受けていたのは
アルファのデザイナーでした。

受様をミューズにと望んだ
このデザイナーこそが今回の攻様です♪

完成された大人の男であり
アルファらしいアルファである攻様に
受様は激しく動揺してしまいます。

受様は自分のミューズとなれば
受様のモデルとしての生き方を
変えてやれるかもしれない
と言う攻様と契約する事となります。

しかも攻様はミューズとして
受様の暮らしぶりをそばで見ていたいと
自分との同居を提案し

やって来た受様がヒートを迎えると
できる限りのことをすると言い出すのです。

俺たちは運命の番だろう?

攻様の放った衝撃的な言葉に
受様は絶句してしまいます。

果たして攻様は受様の運命の番なのか!?

服飾業界を舞台に
強いカリスマ性を持つブランドデザイナーと
唯一無二と評されるモデルの
運命の恋を描く現代オメガバースです♪

底辺の存在であるオメガが這い上がるために
身体を売る事さえ厭わずに生きてきた受様は
モデルとして成功までに
数々の辛酸を舐めてのし上がります。

しかしながら
受様が今の生活を出来るのは
トップモデルという地位故であり
若さや美貌が衰えれば
また底辺の生活が待っています。

故にストイックなくらいに
自分を磨き続けてもいました。

それでもオメガである限り
周期的に訪れるヒートは如何ともならず

オメガとしての妖艶な美貌と
モデルとしての地位で得た財力で
高級デルヘリでアルファの男娼を買って
熱を晴らしますが

わざわざアルファの男娼を買うのは
絶対者であるアルファでさえも
生きる為には底辺のオメガに従うのだ
という暗い喜びを見出していたからです。

そんな時に出会うのが
受様をミューズにしたいという
ブランドデザイナーである攻様です。

攻様は受様がデビューした時から
目を惹かれたと言い
受様を自宅に同居させて
受様の生活に丸ごと関わろうとします。

そこには攻様が受様を「運命の番」と
思っている事が関係するのですが

純粋な愛情とは無縁で人との付き合いを
駆け引きや上下関係でしか結んでこなかった
受様には攻様の独占欲や執着が
何に起因しているのかが判らないのです。

故に攻様との約束を破る事さえも
駆け引きの一環でしかなく
それが攻様の逆鱗に触れて初めて
自分の過ちに気付くのです。

そして受様の過ちがその後、
受様の身を脅かす事態にまで発展、

2人が運命の番として結ばれるまで
ハラハラ&ドキドキで読めました (^-^)v

底辺のオメガであるが故に虐げられ
自由に生きる術を求め続けた受様は
底辺から這い上がったが故に
また落ちる事への恐怖が捨てきれず

アルファである攻様に惹かれつつも
攻様の言葉をそのままに受け取れません。

受様は手に入れたモノを
若さや美貌、さして攻様の愛情を
無くす事への恐怖も人一倍強いが故に
攻様をためすような行為にでたのかな(苦笑)

受様がオメガゆえの卑屈さを持つように
攻様もアルファゆえの傲慢さを
持っているように感じましたが

攻様はそんな受様を優しく包み込むように
徐々に近づき、心を開いてくれることを
待っているとっても男前な方です。

仲違いしていても受様のピンチには
颯爽と現れるクライマックスも
なかなか良かったです。

プラチナですし、オメガバースですし
秀さんですのでエロはがっりです。

ただ男娼わかっちゃう受様ですので
(実地シーンではなく回想主体ですが)
モブ絡みが好きじゃない方には
注意が必要かなと思います。

今回は男前攻&女王様受なカプで
妃川螢『奪われる唇』をおススメします。
シリーズのヤクザモノになります♪

3

めちゃくちゃ面白い作品なんですけど・・・(´・ω・`)

社会で最底辺の存在であるオメガながら、その美貌と身体でトップモデルの地位まで上り詰めた主人公ー。
そんな彼が、愛を知る事によって、本当の幸せを手に入れると言うお話になります。

こちら、すごく読み応えがあって面白いんですよ。
主人公の心情が深く追ってあって、人の心の闇とか、ドキッとしちゃうぐらい赤裸々に暴き出されていて。
また、その反面、人の心の中にあるキレイで純粋な「なにか」を、優しく描き出してもくれている。
攻めが居て受けが居て、と言うお話では無く、主人公にしっかりとフォーカスを当て、彼の心の救済みたいなものを描いてると言いますか・・・。
いや、面白い!
ラストまでめっちゃ面白い!!

ただですね、個人的に、どうにも主人公のやらかした事の一つが受け入れがたいんですよね。
人間って愚かだとは思うんですけど、これこそその最たるものじゃないのかなぁと。
「本当にバカだなぁ」と、許してあげられる度量があれば良かったんですけどね。
彼は「恋愛」に関しては、子供も同然なんだから。


内容ですが、アオハルを起用した人気デザイナー・深澤(アルファ)×オメガながらトップモデルのアオハルによる、シリアスよりのオメガバースで業界ものです。
最初こそ重苦しい雰囲気ですが、心洗われるようなラストで締め括られます。

オメガが最底辺として扱われる社会で、自分の美貌と身体だけを武器にトップモデルまでのし上がったアオハル。
そんな彼が、メンズブランドのミューズと言う新しい仕事で、デザイナーの深澤と出会った所からお話はスタート。
デザインのイメージをかためるため、深澤に乞われて二人は期間限定で同居を始めるんですね。
すると、そんな日々の中、アオハルの心にこれまでに無い感情が沸きおこってー・・・と言った感じになります。

まずこちら、主人公であるアオハルがかなり不憫です。
そして、ビッチ。

今作でのオメガバース設定ですが、オメガの社会的地位がかなり低いんですよね。
表だって差別はされないものの、明らかに蔑まれる存在で。
で、そんな社会で生まれ、更に親からも捨てられ、養護施設で育ったアオハル。
10才でオメガだと分かると保護施設に入れられるものの、施設の実態の酷さからそこも飛び出し、あとは身体を売って生きてきたー。
彼が今現在の地位を手に入れるまで、それこそ砂を噛むような思いをしてきたんですね。

で、見所になるのが、そんな主人公の「心の闇」と、攻めとの出会いにより彼に起こる変化だと思うんですけど。

アオハルですが、その凄絶な過去から、心に深い闇を抱えています。
アルファ=社会に対する憎しみ。
そして、美貌と身体だけを武器に生きてきた彼は、その美貌が衰える事に対する強い恐怖心。

何だろう・・・。
アオハルの心情が切々と語れますが、彼はすごく露悪的と言いますか。
ヒート時には男娼を買って熱を処理していますが、わざわざアルファの男娼を買い、自分に奉仕させる事で、暗い喜びを得ていたりするんですね。
これ、嫌なヤツだと感じる方もおられるでしょうが、個人的には何とも心が痛んで。
それほど、アオハルの心の傷は深いんですよ。

で、そんな彼の前に現れた、今までとは違う男・深澤。
彼は超包容力があるいい男です。
温和で、思いやりがあり、そして優しいー。

深澤と過ごす優しい時間により、アオハルに起こる心の変化。
こう、不憫な受けがですね、攻めと出会って幸せになると言う王道の流れではあるんですけど、主人公の心情がしっかり書かれて分、感動ひとしおなんですよ。
読者としても、読んでいてとても優しい気持ちになってしまう。

で、ここからが問題。
休日に深澤と出掛けた先で、ヒートを起こしてしまうアオハル。
二人はホテルの部屋を取り、熱を沈める為に深澤はアオハルに触れるんですね。
でも仕事がある深澤は、アオハルを置いて一旦出掛けてしまう。
すると、アオハルはその間に、男娼を呼び・・・と続きます。

アオハルですが、恋愛に関しては目覚めたばかりで、この時点では初心者も初心者、子供同然の感性しか無いんですよ。
まだ、アオハルの中で、深澤への恋愛感情は理解出来て無いんですよ。
それでも、これってどうなのー!?

う~ん・・・。
明らかに、「深澤が居ない間に」と、スリルを楽しんでるんですよね。
ビッチは嫌いじゃない。
嫌いじゃないけどさー!
もっと前の段階ならいいけど、ここまで二人の距離が縮んでからの、これは無いよ!!

ここからですね、自分のしでかした事の愚かさに気付くアオハル。
しかし、時は巻き戻せずー、と続きます。

二人のスレ違い部分だったり、それを乗り越えてのラストはとても感動的です。
とても優しくあたたかいラストに、心が洗われます。
素敵な作品なんですよ。

ただ、個人的には例の浮気部分がどうにも受け入れがたくて。
評価迷うんですけど。
とりあえず、全体的に判断して「萌」とさせていただきます。

あと一点、可愛いイラストですが、ちょっと今作とは合って無いような・・・?
ちょっと、美貌のトップモデルは苦しいです。

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