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表題作夜が蘇る

久我仁一郎 ,ミナミの溝口組若頭
秋津芳人,元キャリア警視の探偵

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

覚悟を決めて、俺と生きろ

情人を亡くし、虚ろな日々を過ごす元警視の探偵・秋津は、極道の久我に口説かれる。「もっと俺を受け入れるんだ。できるだろう?」組み伏せられた秋津は、自分の身体に潜む雌の部分が、逞しい雄を求めて疼き出すのを感じた。けれども、情人を忘れられない。そしてなにより、失う悲しみにはもう耐えられない。必死で拒むが、共に事件を追ううちに、傲慢なくせに優しい久我に心かき乱されて……。悦楽に溺れる夜が今、蘇る──傷を抱えた男たちの、あやうい恋情。

作品情報

作品名
夜が蘇る
著者
英田サキ 
イラスト
山田ユギ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
シリーズ
夜が蘇る
発売日
ISBN
9784829622957
3.9

(30)

(11)

萌々

(9)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
116
評価数
30
平均
3.9 / 5
神率
36.7%

レビュー投稿数9

ハードと情の絶妙な融合

トピ内でおすすめが上がり手に取りました。読んでみたら…
すっごく面白い〜‼︎
英田サキさんの2005年発行の作品で、お得意のヤクザの話です。

舞台は大阪で、主人公は元キャリア警視で今は小さな探偵事務所の所長・秋津。
警視時代、秋津は事もあろうに暴力団の男性と愛人関係にあり、その男性・羽生が撃たれて最期は秋津の自宅で死ぬ、というスキャンダラスな過去を持つ男。
家出少年を探す、という一見普通の依頼から香港マフィアと大阪のヤクザとの抗争事件に巻き込まれていき…
…という展開です。
危険な魅力を持つ男・若頭の久我が『惚れた、責任取れ』なんて猛烈に言い寄ってきますが、秋津は羽生が忘れられない、忘れたい、忘れてはいけない、そんな感情が渦巻いていて。
警察を辞めた後は死人のように生きていて、正に「未亡人」!
そんな秋津の、誰も見ず、触れず、愛さない、日々、夜々……そこでタイトルの「夜が蘇る」の意味が効いてきますね。実に意味深い。
秋津のあの夜々、抱かれ溺れ堕ちて怯え、1人の男を求めて溶け合っていたあの夜が、久我の熱で蘇るのです。
もう誰も失いたくないのに、ヤクザの幹部として命の危険がある久我をまた愛してしまう業。
そんな震えるような秋津の心と、秋津の過去も羽生との夜とその別れの何もかもも知っていて、豪胆でいながら繊細に秋津を包もうとする久我の姿が描かれて、途中で読む事を止められません。
香港マフィアの内実や、ヤクザの荒っぽさなども読み応えがあります。
もちろん、強引ながら情にあふれた抱き方をする久我と、その瞬間は甘く切なく乱れながら硬質な自我を保つ秋津の愛も。
『俺の夜をお前にやる』……悲しみに沈む日々を過ごして、なお毅然とした秋津の久我への愛の告白です。

2

やっぱ英田さんはいいですね。

今回のお話は
 ヤクザ×探偵
ヤクザの久我が一生懸命な感じがなんだか好感が持てます。
好きなことを隠さないし、真っ直ぐに向かっていく感じで。
秋津の言葉を真面目に捉えて手術しちゃうところなんか、秋津じゃないけどやっぱり笑えてしまうくらい。
でも、ただのクサイ台詞を吐くバカなヤクザというわけじゃなくて。
要所要所をちゃんと押さえてて。
秋津の胸に響く言葉をかけることができたり。
包容力もなんだかんだであるようでした。
秋津は過去のことをあって、全てを諦めたようなところがあったのに久我に揺り動かされて。
久我の言葉もあって前を向いていけるようになったようでよかったです。
2人の言葉のやりとりが「喧嘩するほど仲が良い」みたいな感じで、下らないといえば下らないやりとりだったりもするのですが読んでて楽しいです。
まだまだ感情的な部分からいえば、秋津の心の所在は明確ではないですが。
それでも、久我となら試してみてもいいと思えただけでも前進です。
これからの2人がどんな関係を築いていくのか楽しみです。
久我、がんばれ!!

2

ゾクゾク、ワクワクしますがな!!

シリーズ第一作目なんですがもう読んでいてゾクゾク、ワクワクしっぱなしでした。

三十路なのにエロい秋津〔受〕はなんかもう魔性の男!って感じだし、元警察キャリアだったのにヤクザの情人だったっていう過去もたまりませんなー。
そしてその元恋人の羽生の事をまだ忘れていない秋津がこれまた良いんですよー、久我〔攻〕が未亡人って言うのもなんか分かるなあ、未亡人のエロス!!って感じがそこはかとなく漂ってる気がします。
でもしっかり男!でもあるんですよね。まさに魔性の男だよ、秋津!

そんな秋津に惚れている久我はヤクザなんだけどどこか憎めなくて、特にペニスに真珠を入れていて本人は気に入っていたんだけど、秋津にそれ取れって言われてホントに手術で取ってきちゃうとことかはなんか可愛い。
そう、どこか可愛い気があるんですよね、久我には。

この2人が出会い、そしてこれからどうなっていくのかもうページめくる手が止まりませんー!
面白過ぎますーーー!!しかも文庫でお手軽値段だ!!これも嬉しいー!

4

893

極道だったかつての恋人を亡くし、うつろな毎日を送る元警視の探偵、秋津。
だからヤクザは大嫌い、そのはずなのに彼の事務所には毎日のようにヤクザの若頭、久我が出入りしている。
迷惑な久我を追い出そと奮闘する秋津を口説いてくる久我だったが……

ヤクザ×元警察官の探偵。
秋津が昔の男(やっぱりヤクザで故人)を引きずっているという設定の割にはその過去エピソードがあまり描かれていないので、久我に惹かれていくまでの葛藤にちょいと説得力が欠けるかも。

ちょっと(だいぶ?)大仰で芝居がかったセリフまわしは印象的。
テンポよく進むのでののしりあっているカップル萌えの私には楽しかった。

しかしBL小説に出てくるヤクザ(おおむね攻)はなぜ必ず若頭なんだろう。


2

893モノ入門にいいかも

基本的にあまり893モノは進んで読むほうではないんですが
これは、山田ユギさんのイラストってことで
興味深々で読ませていただきました。

そして気づいたこと。
英田さんの描く任侠って、あくまでも裏社会の悪で
それがすごくリアルで、そこにみんな惹かれるのかな?と。

どうしても物語の主役が893者だったりすると
「893だけど、地域住民から愛されてるのよ」みたいな
現実ではありえない設定になってるものが多く
まあ、その方が受け入れやすかったりするんでしょうが
その分リアルさに欠けちゃう様な気がするんですよね。

その点、英田さんが描く893は、ちゃんと(?)悪い事もしてて
しかもかなり傲慢で横暴で、決して褒められたものじゃないw
それでも、芯が一本通っててやっぱりかっこいいんですよ。

この作品の攻め・久我も、見事なまでの極道でなんですが
過去の辛い思いを抱えたままの受け・秋津のことを
秋津の過去もひっくるめてすべて受け入れる懐の深さがあって
そこがすごくカッコいいんですよね~。

秋津も、893の若頭を張るような久我に対しての物言いがかなり辛辣で
その小気味よい会話の応酬もテンポ良くていい!
その辺は、893モノがもつ重苦しさを軽くしてたのかもしれません。


シナリオ上、抗争の場面やきな臭いシーンがあるのが苦手で
今まで893モノにはそれほど触手が動かなかったんですが
この作品を読んで、任侠モノが人気がある理由がわかった気がします。

893モノは読んだ事ないけど、気になるって人にはもってこいの作品かもしれませんね。

2

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