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表題作恋するハムレット

宝生茂東、辣腕プロデューサー
大船理央、演出家志望で助手

同時収録作品恋するハムレット

ハムレット、「ハムレット」本人だと名乗る美青年
大船理央、演出家志望で助手

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

大船理央は著名な演出家の助手。最近は脚本のたたき台を任されるようになったが、演出家はほぼ手を入れず、理央の書いたものを自分の脚本として発表している。その状況にやりきれなさも感じている。そんな折、元同級生で今や実力を認められている若きプロデューサー・宝生茂東より、演出家に「ハムレット」をミュージカル化の話が持ち込まれ、理央がやることに。宝生は、執筆のヒントになるようハムレット役の新人俳優を向かわせると約束。が、家に現れたのはどう見ても『ハムレット』。全然新解釈にならない、と宝生にクレームを入れると、新人はこちらには向かっていないと言われる。戸惑う理央に「彼」は『ハムレット』本人だといい、理央は信じるように。次第に打ち解けていく理央とハムレットが気が気でない室生は二人を引き離そうとし!?

作品情報

作品名
恋するハムレット
著者
愁堂れな 
イラスト
駒城ミチヲ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344844711
3.3

(6)

(0)

萌々

(2)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
20
評価数
6
平均
3.3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

やさしい3角関係?




シェイクスピアシリーズ?第2弾。
前作の「ロミオとジュリエット」に続き今作は「ハムレット」です。
とはいえ、関連は一切ありません。
前作は夢の中の自分がジュリエットになってロミジュリの世界に入り込む話でしたが、今作はもっと不思議、当のハムレットがこちらの世界に召喚?されてしまうのです。
表紙に3人描かれているので3Pかと思いましたが違いました(良かった)。
3角関係ではありますが3人ともいい人なので、腹の立つこともなく読み終えることができました。

<あらすじ>
演出家志望の理央(受け)は渾身の脚本をそのまま師匠の池村の名前で出したことが悔しくて、幼馴染で親友の宝生(攻め)を相手にやけ酒を飲んだ次の日、気力が湧かず次作「ハムレット」の脚本に取り掛かれず困っていると「ハムレット」と名乗る男が訪ねてきて驚きます。
舞台のプロデューサーである宝生がハムレット役の男を参考によこすといっていたのですが、ハムレット役の俳優は体調を崩していて訪ねていないとわかり、「この男は誰だ」状態。
初めは信じていなかった理央ですが、ハムレットは時代錯誤な服を着て、現代の技術に一つ一つ驚いており、化学調味料に慣れておらず、現代人が演技をしているというよりは物語から出てきたというほうがしっくりする人物でした。
理央は比較的すぐにハムレットを信じ、行くあてのないハムレットを家に住まわそうとしますが、貧乏な理央は化学調味料がダメなハムレットのため無農薬野菜他ハムレットが食べられるものを用意できず、図々しいと思いながら宝生のマンションに二人で転がりこむことになります。
ハムレットと一緒に過ごすうち、心を寄せるようになった理央は優しくて人のいいハムレットが悲劇的な最期を迎えることなく幸せになれる方法はないかと思ってしまい、脚本もうまく進みません。
ハムレットに対する不思議な気持ちに名前を付けられなくて戸惑う理央。


3角関係で話が進むのかと思っていたのですが、途中までは3角関係でもありませんでした。
宝生は軽くイラついている様子はありますが上手に隠していたため、最後までお助けポジションにいるのかと思ってしまうくらいでした。
終盤、映画の「ハムレット」を見てしまったことで自分の最期を知りショックを受けるハムレットを落ち着かせる理央とのやり取りの中で二人の親密さに驚き、突然の告白で3角関係になりますが、終盤まで3角関係だと気が付きませんでした。

宝生が本当に人がいい。
理央が異性愛者だからと、親友のポジションを死守するため今迄ずっと恋心を隠して理央の傍にいました。
舞台演出家が夢の理央の舞台をプロデュースするのが宝生の夢ですが、理央がなかなか夢が叶えられずに愚痴を言うのを傍でずっと見守っています。
そして、理央はそんな宝生の想いに全く気づかずずっと甘えています。
食事はすべて奢りで、酔い潰れてしまった後はタクシーで送らせて、訪ねてきたハムレットを養う金がないといって早々に宝生の家に二人して転がり込んでいくとか、図々しいと自覚していますが宝生なら大丈夫という謎の自信を持っているようです。普段からいかに宝生を頼っていたのかということがわかるようです。
片想いしている相手が色男をつれてやってきても、少し不機嫌くらいで平静でいられる宝生は凄いです。
最後は敵に塩を送るかのような行動を取っていたし本当にいい人。

二人からの告白に対しての理央は優柔不断というか本当にわからないという感じでした。
一度女性に痛い目に会わされ恋愛に臆病になっていたところに、夢をかなえるための努力を続けてきた理央にとって恋がなんなのかわからないというのは仕方ないかなとあまり理央を悪くも思えませんでした。

そして、決着は思わぬ形でついてしまいます。
ハムレットは自分の世界に帰れないと思っていましたが、帰れなかったのは自分の心の持ちようだったと気が付きます。自分たちの辛い状況から逃げたいという想いが二人を引き合わせたということに、理央は無意識にハムレットは理央を見て気が付きます。
気が付いたら速攻帰れてしまったことを考えると、こちらに来たのも本当に悩んで悩んで逃げたくなったからだったのでしょう。
彼は、自分以外の不幸になってしまった人たちを救いたいと言っていましたが、どうなったのでしょうか。
ハムレットが自分の親しい人達を不幸にしないようにできたのなら良いのですが。


そして、理央の師匠の池村でしたが、最初はどんな横暴な人かと思っていましたが、
実はそんなことがないのがわかってホッとしました。
欲を言えば、次の舞台を任された理央の舞台がどうなったのかまで読みたかったなと思いました。



0

攻め様の焦りににまにま。

 受け様を取り合う攻め様2人、という状況は大好きなので、ウキウキで読ませて頂きました。
その状況は大好きなんだけど、うーん、なんだかちょっとアッサリなような。
とっても引き際を弁えてた攻め様№2でした。


 受け様である理央は演出家の助手。
「ハムレット」の舞台の脚本作りで煮詰まっている時に、まるでハムレットの世界から抜け出てきたような格好で言動をする自称ハムレットが訪れて。
彼がハムレットであると信じた理央は、右も左もわからないハムレットの世話を焼きながら、なんとかハムレットが幸せになるような脚本を書こうと考える。

 そんな理央にかいがいしくお世話してもらって一緒にいたい、と願うようになっていった攻め様のハムレット。
理央の幼馴染でありずっと理央のことが好きだった、もう一人の攻め様であるプロデューサーの宝生。

 ハムレットがいわゆる舞台上の人物のせいか、とても情熱的でストレートに自分の気持ちをぶつけてくるのが、とても気持ちよかったです。
いやいや、なかなかそんなセリフ、こっぱずかしくて言えねぇよ、みたいな。


 理央とハムレットがいい雰囲気になった時、もっと早く打ち明けていれば、と言った宝生に対して、「どれだけ長く思っていても、言葉にせねば伝わらない」と語ったハムレットに対して、ホントよねー、長く思った方が勝ちって訳じゃないものねぇ、言葉にしなきゃねぇ、と心の中で拍手してしまいました。
言ってる事の一つ一つが気持ちがよかった。
もちろん、宝生の失うくらいなら親友のままでっていうジレンマだって大好きです。


 理央自身、確固たる自分の現実を築くまで、と待ってもらっての初めてのえっち。
待ちに待った初めてのえっちなんだよ。
それなのに、どうも攻め様の辛抱たまらん感が物足りなかった。
終始紳士で、私的にもうちょっと野獣感が欲しかったところでした。
もうちょっとがっついてくれたら萌×2だったんだけどなー。


 ともあれ、どんどん距離が縮まっていく理央とハムレットに焦りを隠しきれない宝生。
その状況にまにまさせてもらいました。へへっ。
 


 

 

0

ハムレットに幸せを

演出家志望の青年が、ハムレットの脚本を新解釈で書くことになり悩んでいると、そこにハムレットと名乗る青年が現れて…。という、
これ、マジかよファンタジー。

いきなり未来社会に放り込まれたハムレットと、ハムレットに母性的な保護者心を目覚めさせちゃう主人公と、主人公のお願いなら何でも受け入れてしまうハイスペック幼馴染の同居生活は、果たしてどんな結末に。

意外とあっさりハムレットを受け入れちゃう主人公と、ハムレットをなかなか認められない現実的な幼馴染の気持ちのずれが、そのまま二人の関係の認識のずれと重なっているのがいいです。
結局ハムレットはあっさり消えてしまうのですが、その辺は曖昧なままでもお話の本質は変わらないので大丈夫。
ここは、主人公の成長と、幼馴染の恋の成就を祝福して楽しく読み終えればいいの。

1

雀影

セルフツッコミ
れな先生といえば、昔は、いきなりレイプで始まる関係とか、2時間サスペンスがお約束みたいな所があったけど、時代の流れというか何というか、あんまりそういう感じじゃなくなってきたのが嬉しい。
10年以上前の、BL小説読みだしてまだあまり間がない頃はけっこう冒頭のいきなり~にもやっとしながら読んでて、それで一時期離れちゃってたんだよなぁ。
私としては、レイプから始まる何かより、曖昧なご都合ファンタジーの方がずっと受け入れやすい。

三角関係好きとしては滾りました!

ハムレットの脚本を手掛ける主人公の前に、なんと本物の「ハムレット」が現れて・・・。
と言う、ちょいファンタジーであり主人公成長ものであり、三角関係ものになります。
めちゃくちゃツボのあらすじだったので購入しました。
三角関係で幼馴染みって、最高ですよ。

結局、このハムレットの存在の謎部分はサラっとしてるんですけど、演出家助手である主人公の成長部分だったり、ハムレットと幼馴染みのプロデューサー、この二人との三角関係部分が、なかなか面白いんですよね。

これ、かなり終盤にならないと、どちらと結ばれるか分からないんですよ。
もしやこのまま3Pか!?的に。
作者さん自身も、どちらとくっつけるか迷ったそうで。
でも、結末がとても素敵で。
単純に個人的な好みでもあるんですけど、もう一方を選んでとなると、なんかモヤッとしただろうなぁと。
だって、やっぱり辛くても、人は前を向いて頑張らなきゃね。

内容ですが、「本物」のハムレット+幼馴染みで辣腕プロデューサー・茂東×演出家助手・理央による、三角関係ものです。

著名な演出家・池村の下で助手をしている理央。
なかなか認めてもらえない上に、自身の脚本が池村の名で発表される現状に不満を抱えているんですね。
そんな中、「ハムレット」の脚本を書く事になりますが、求められる新解釈のハムレットが思いつかず悩む理央。
見かねた幼馴染みでプロデューサーでもある茂東が、ハムレットを演じる役者をよこしてくれる事になります。
しかし、やって来た「ハムレット」ですが、まさに本物そのままでー・・・と言うものです。

で、その後に「役者はインフルエンザで行けなくなった」と茂東から連絡が入り、ここに存在する「ハムレット」と名乗る男は、一体何者なのか?と言う展開です。

主人公である理央ですが、演出家志望ながら、なかなか芽が出ずに悩んでいる青年です。
で、そんな彼が、本物であろうハムレットと過ごす日々により、様々な事を学び成長して行くー。
この主人公成長部分がかなり掘り下げて書いてあり、面白いのです。
が、なんと言っても三角関係に萌えちゃって。

ハムレットが朗らかで和み系。
そして茂東が面倒見の良い包容力系なんですね。

自身の渾身作である脚本が酷評され、落ち込む理央。
そんな彼を散歩に連れ出し、ただ隣に居てくれるハムレット。
また、仕事に対して的確で痛いアドバイスもしてくれ、なにかと世話を焼いてくれてと、頼りになる茂東。

こう、共に過ごすうちにどんどん親しくなって行くハムレットと理央にですね、茂東がヤキモキしてるのが楽しいんですよ。(彼は気持ちを隠しています)
二人が二人ともいい男で、理央がどちらにも惹かれるのがごくごく自然に感じられるんですよ。
もう、理央を挟んで、二人が牽制しあうシーンが楽しすぎるんですよ。
で、これ、終盤に至るまで、一体どっちと結ばれるんだ!?と引っ張ってくれて、かなりドキドキさせてくれるんですよ!

一応、どちらを選んだかはネタバレ無しで。
でも、個人的には、こちらと結ばれて良かったと思います。
いや、う~ん・・・。
もう一方と結ばれても、なんか「逃げ」のようでモヤモヤしただろうなぁと。
あと、序盤での理央ですが、夢を追う事に疲れています。
そして、ちょいグダグダと情けない・・・。
そんな彼の、終盤での成長ぶりにはあたたかい気持ちになりました。

主人公が二人の間で揺れ動くので、ガッツリの三角関係ものが苦手な方は避けた方がいいと思うんですけど。
あと、結局ハムレットの謎は謎のままですし。
いや、ぼんやり納得と言うか。
個人的には全然許容範囲(三角関係の方は好き)内ですけど、気になる方はご注意下さい。

10

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