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表題作アンティミテ

足往群,21歳,配達員,和楽が見出した画家
橘和楽,31歳,ギャラリスト(画廊のオーナー)

その他の収録作品

  • 揺るぎなさ(あとがき)

あらすじ

ギャラリストの和楽は、仕事先で強烈に引きつけられる一連の絵に出逢う。作者の情報を得られないまま焦がれること二ヵ月、邂逅の瞬間は突然訪れた。彼―足往群は配送の仕事のかたわら、誰に見せるあてもない絵を描き続けていた。群を手元に引き取って自由に描かせ、才能を世に広める手助けがしたいと願う和楽だが、不審がられ受け入れてもらえない。そんな群に和楽は、対価を払ってみるかと取引を持ちかけ…?

「ひつじの鍵」スピンオフ。

作品情報

作品名
アンティミテ
著者
一穂ミチ 
イラスト
山田2丁目 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
ひつじの鍵
発売日
ISBN
9784403524875
4.2

(113)

(58)

萌々

(36)

(13)

中立

(3)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
16
得点
476
評価数
113
平均
4.2 / 5
神率
51.3%

レビュー投稿数16

面白いですが終盤が物足りなく残念

画廊を経営している和楽が、仕事で訪れた高校で一対の絵画に出会い、惚れ込んだところからこの物語が始まります。描いたのは卒業生の足往群(あゆき・ぐん)。名前は突き止めたけれどそこからどうしても本人に辿れない。探して探して、その後偶然が偶然を呼び本人に遭遇、そこから群にとってはシンデレラストーリーが展開。和楽に見出され、住むところとアトリエが提供され、スケッチがすぐに売れ、美術館での鑑賞に和楽のレクチャー付き、ギャラリーで図録が見放題、インスピレーションを得て作品を次々仕上げて個展を開催そしてほとんどの作品が売れて成功、とトントン拍子です。
冗談のように話がうまく運ぶサクセスストーリーは、和楽側からも群側からも小気味よく、読書に弾みが付きページがすいすい進みます。
和楽の美術に関する豊富な知識も、それを丸呑みで吸い込んで糧にしていく群の様子も分かりやすいし、こちらも勉強になって面白かったです。

問題と思うのは、BLという点でした。
要素はたくさんあります。10歳離れた歳の差、惚れ込んだ作品、前述のとおりシンデレラストーリー、経済的な支援、美術知識が無垢な作家に美術史や概論を教え諭す光源氏的な立ち位置、他人を入れない和楽の自宅に(不可抗力とはいえ寝室とバスルーム)立ち入ったり、和楽のセフレに嫉妬したり、その他諸々。
なのに、恋愛に結びつかない。
中盤まではぐるぐるしていてもいいんです。恋愛なのかどうなのか、自分の気持ちが分からない、ということもあるでしょう。特に和楽の場合、感性や好みという点と、これは本物だ売れる育つという点が並行しているので、年の差もあるし、一歩引いてしまうのは分かります。
だからこそ、年下である群がぐいぐい行ってもよかったと思うのですが、キャラクターの故かそっち方面に疎いようで非常に頼りない。
一度離れて再会した終盤こそ、この200ページを取り戻す勢いで思い切り恋愛してもらってもよかったのですが、そうもならず、非常に消化不良に感じました。(別にエッチが少ないとかそういうことじゃないです)
読書自体は楽しく、なのにこの評価は辛いなと自分でも思いますが、「萌」という一字を思えば真ん中になります。メインキャラ2人のほか、登場人物は皆好感度が高く、よかったです。

0

歳下攻の大型ワンコ

ひつじの鍵のスピンオフです。
前作で羊に振られてしまった親友和楽と、一家を支えるお兄ちゃんな群のお話。
和楽は31歳。ギャラリーで働く絵画オタク。
仕事で訪れた高校で、強烈に惹かれる絵と出会う事から始まります。
あらゆることをしながらその絵を描いた人物に会いたい!と仲間もヒくほどの情熱を注ぐ中、宅配のお兄さんの21歳の群と出会う事に。
そこから、画家として群を育てていく和楽と、子供っぽさを残しながら和楽を慕う群。

誰にでもフラットで低体温な和楽が、群に見せた感情にキュンとしました。綺麗なお兄さんなのに、幼い仕草で可愛いのです…。そして、10歳ほど歳下の群の、若い故の素直さやパワーが愛おしい!歳下攻が好きな人には、堪らない攻かと…!

0

シンデレラストーリー

ある高校に飾られた絵に惚れ込み、作である『足住 群』を探す和楽。
探すと言いながらもどう動いていいのか苦悩しているときに、偶然足住 群と出会う。
今でも絵を描き続けているという群を自分の仕事場の3階に住まわせ、群の絵を売る。自分が惚れ込んだ絵を描く群と仕事の延長で一緒にいるようになるが、いつもと何かが違う。。。心地よさを感じながら、踏み込んではいけないと自分を止める和楽。

初対面で身体の関係?!と思いましたが、そこは群との仕事の関係を崩したくない和楽。中々読者の予想通りにはいかず、またそこも良いです。
様々な絵画が登場するので、どんな絵なのか調べながら読みました。
こんなにゆったりとした気持ちで読むことができる一穂先生の作品が好きです。
『ひつじの鍵』の羊も出てきます。スピンオフです。
できたら、前作も読んでからだと、より深く物語に入り込めると思います。

1

「朝景」と「夕景」

「ひつじの鍵」のスピンオフ
前作で不憫ポジだった和楽のお話

「アンティミテ」単品での
素晴らしさは
他のレビューに譲るとして
語りたいのは
「ひつじの鍵」と
「アンティミテ」連作での素晴らしさ
まさに
作中画の「朝景」「夕景」

双主人公
ともに柔軟性をもって
自分を守る子
故の葛藤という
共通点がありながら
方や若さが助く動
方や老生した故の静だったり
恋人の年齢だったり
えっちの表現の頻度だったり内容でもそう
そもそも「ひつじ」の時点でも
羊の似て非なる対比として
とても効果的だった和楽

一作一作の素晴らしさは
言うまでもなく
両作を読んだ直後のとてもよかったなっていう
絶頂を超えた後
賢者タイムに入って
2作を俯瞰で見た時に見える
双方の対比構造に気づくと
改めてページをめくって
ここもか!
そういえばここもだな!って
確認したくてたまならくなる
秀作が傑作に昇華する感じを
ぜひ2冊とも読んで体験して欲しい

繰り返しになりますが
単品で読んでもとても素晴らしいと思います

1

名前が、、、

「ひつじの鍵」のスピンオフとは気付かないまま購入。
途中で羊が登場してから、うっすらと、もしかしてこれは何かのスピンオフかもと気付いた次第なので、「ひつじの鍵」未読でも全く問題なく読めます。
そして、おもしろかった。
自分の力でギャラリーを切り盛りしている和楽、仕事も順調で楽しいし、恋人はいなくてもセックスライフはそれなりにうまくいっている。
そんな、しっかり大人している和楽が、偶然、群の絵に出合い、さらに奇跡的な偶然で本人と出会って、その興奮と高揚がそのまま恋に!
なんて、お話は、そう簡単には恋愛一直線には進みません。
自分の中の恋心から目をそらそうとしていた和楽が、ただ単純な「好き、だから一緒にいたい」へと踏み出すまでのハラハラを楽しんでください。

2

雀影

セルフツッコミ
それにしても、最後まで結局「足往群」の読み方が覚えられなかった。
一発で間違いようのない珍しい苗字ってことで「足往」と名付けられたのだろうけど、読めない苗字が最後まで地味にストレスだったので、評価もう一つ落としたかったくらい。

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