イラスト付き
妖精はふたたび、愛しい海賊の運命を狂わせる
沙野先生は初読みです。
ただのイメージでしたが、すらすらと読みやすい文章と、二転三転するストーリー、格好いいキャラクターが魅力な作品を書く方なんだろうなぁと思っていましたが、まさにその通りでした。
どちらかというと文学的で感傷的な一穂先生や凪良先生のような作風ではなく、夜光花先生や犬飼のの先生が好きな方はすごく好みなんじゃないかな、と思います。ちなみに私はどちらの作風も好きですので読み漁っているのですが。笑
さてこの作品、攻めと受けの視点が交互に入れ替わるのですが、割合で言うと、攻めのゼイン視点が多いです。
だからなのか、ゼインにより肩入れしてしまって、好きになった部分も、ゼインの懐の大きさや包容力、情に厚い性格が大きかったです。
もう、ゼインが男前なんですよね。
ルカが好きになるのもわかるような潔さと愛情の深さ。周囲を大切に出来る人柄。
だからこそ、ルカに騙されているのか居ないのか、疑心暗鬼なまま、牢の中で絶望して苦しむくだりは本当にもう胸が締め付けられました。
ルカもルカで辛いんですよ。辛いんですけれど、辛かったくだりは過去の話としてわりあいさらっと語られるだけなので、嫌味ったらしくもなく、ルカの芯の強さやゼインへの未練や執着、愛だけが伝わりました。
それにしても、最後のセックスシーン。
エロくないですか????(嬉しいです)
え〜〜〜〜もう、言葉の一つ一つが艶かしい。
「やりたくてたまらねぇ」
「お前を舐めまわしたい」
「胸を舐めさせろ」
いや〜〜笑
並べたら変態にも程があるんですけれど。
もうエロいだけじゃないんですよ。艶かしいし湿っぽいし、その温度感とか我慢ならない切羽詰まった感じがひしひし伝わってきて、花丸でした。
さらに、沙野先生があとがきで語っていらっしゃいましたが、裏テーマの萎え萌え。
萎え萌え、いままでわからなかったのが勿体なかった!萎え萌え!!!凄まじい破壊力!!!!
すっごくエッチ!!いじらしい!!!エッチ!!!
エロさが主軸の話じゃないのに、満足感が凄まじい。
続編の黒妖精は〜にも2人が登場するらしいのですごく楽しみです。この後早速読もうと思います。
チェンジリングといえば、連想するのは、ピーターパンですけど、
この創作ものの場合は、妖魔に近い妖精界の子と、人間の子が入れ替えられた話だった。
ルカとゼインが探した「妖精の輪」=妖精の輪が出現するのは、ハロウィンの夜。
ルカとゼインは、妖精界で妖精王と約束を交わす。
でもゼインは己で選択しなくてはならないため、記憶を消されてしまう。
三回、運命をルカによって変えられてしまうゼイン。
この巻では、二回運命をルカの裏切りによって変えられる。
残り1回は、次巻になるみたい。
--メモ:
★「プライベッターに、チェンジリングのゼイン×ルカのSS」 黒妖精は~の後日談
フォロワー限定 https://privatter.net/p/6986329
ゼインとルカ(チェンジリング)のSS「11歳」
https://privatter.net/p/5554152
ゼインとルカ(チェンジリング)のSS「10歳」
https://privatter.net/p/5545966
ルカの真名(日本語で)、ローマ字5文字
キャララフ
https://privatter.net/p/5349455
沙野先生のダークファンタジー・「チェンジ・リング」シリーズの一作目。
童話を読んでいるかのようなファンタジー色溢れるダークで美しい作品でした。またもや主役のカップルに過酷な運命が投じられていました。。それも二度も、、。途中展開がしんどくもありましたが、続きが気になり一気に読み終えました。ファンタジー描写も丁寧で、映像化したらとても映えそうです。
裏切り、虐待、残虐描写等の痛ましい展開の根底にあるのは、意外にみずみずしい純愛ファンタジーでした。読後爽快な気分になれました。後味の悪い作品も好きですが、こういうピースがぴっちりはまるエンドもいいですね。続編の騎士と暗黒王子の話も期待です。
ゼインとルカの子供の頃や少年の頃の描写が可愛くて萌えました。
海賊の長でありながら、小学生のままに大人になったような意外にピュアな心のゼインも良かったし、か弱げでありながら、肝が据わっているルカも良かった。2人に共通しているのは芯の強さです。要するに似た者同士だねw なんてったって世界の命運を握っている2人ですから…。
海賊を取り上げる作品では、「今日を精一杯生き、明日の事は知らない」
という「俺たちに明日は無い」的な生き方が描かれる事が多いですが、コロナ禍やテクノロジーの発展等で目まぐるしく変化していく今を生きる中、将来設計をあまり考えず、その日その日を生きる生き方もあるんだ…と逆に励まされます。世の中想定外の事が多すぎて、ままならない事が多いし、、。この物語の主人公達のように、それを一つ一つ克服していくのが人生の醍醐味かもしれませんが。
沙野作品は、多作で試みが多い中で完成度が高く、いつも感心しているのですが、先生の創作活動のモチベーションの維持の秘訣は裏テーマなんですね!今回もあとがきを読んで「あー。そうか(笑)」でした。裏テーマのために(?)これだけの盛大な設定とストーリーを盛り込んでくる沙野先生がやっぱり好きだな。
「後に計り知れない苦難が待ち受けると知っていたら、果たして人は禁断の果実を食べるのか――?」
妖精の取り替え子というヨーロッパの伝承チェンジリングをベースに、そうした命題を背負わされた二人の愛の編成のファンタジー。
個人的には沙野作品の中で1.2を争うかも。というか主役二人が本当に好みな上、全編通して緊張感と切なさがつきまといずうっとハラハラし通しだった。
妖精の取り替え子で災いの預言者として忌み嫌われてきた孤独なルカと、ルカに人生をねじ曲げられながらもルカへの愛に捉われ続ける海賊ゼイン。
苦境と重責の中にいるルカにとってゼインの存在だけが希望にも関わらず、その希望こそが愛する当のゼインを苦しめると分かっている苦痛はどれほどのものだろう。
どん底の人生から這い上がった荒くれ者のゼインが、裏切り者であるルカに心惹かれながらもまた同じ苦しみに涙する失意はどれほどのものだろう。
ルカとゼイン両視点が交差して綴られているので、それぞれの苦しみに共感できる。それでいて、ルカの本意が見えそうで見えない。ルカの葛藤を知る神視点の読者でありながら、ゼインと共にルカに翻弄されてしまう抑えた筆致が何とも心憎いよ。
自分が持つ沙野作品への勝手なイメージだけど、心の底に芯の強さを持つ受けと、恋や愛というよりも惚れているという言葉が似合うような攻めの組み合わせってのがある。
恋や愛と惚れるは何が違うのかと言われると説明が難しいのだけど、否応なしに惹かれてしまう本能的な欲求と、相手の心の有り様や生き方を認める理性的な愛、その両方を持ち合わせているイメージと言えば伝わるだろうか。
立場や境遇に差があっても、心の中では互いに相手を認めているから精神的にはどこか対等さを感じるんだよね。
その極致がまさにルカとゼインだった。しかも初恋同士。たまらんわ。
過酷な境遇の中でも犠牲精神に逃げないルカ。愛憎に揺れながらも、結局は誰よりもルカの人となりの理解者であるゼイン。
二人の愛は、運命であるがゆえに分岐し、運命であるがゆえに再び巡りあう。ただしその運命は禁断の果実という与えられた選択に対して二人が自らだした答えでもある。
運命を題材にしながら、自分の意思で運命を掴むという力強いアンチテーゼが、この作品が大好きな理由だと思う。
ちなみに沙野読者なら毎度楽しみにしている裏テーマ、ルカに申し訳ないと思いつつも過去一レベルで萌えました。結果的には、ある意味最高の初めてをゼインは手にしたんじゃ。よかったのぅ…。
主役を変えての続編と、作者HPにはショートストーリーもあるので、未読の方は今すぐGO!
や〜〜っと読みました。そして評判通り良かった♡
詳しい事は他の方が書かれていらっしゃるので感想を。
ゼインが自分を陥れたルカを憎んでいて再会した当初は酷い扱いをしているんですが、ルカ視点でも書かれているのでルカは何を隠しているのかと思いながら終盤まで進むのです。
時間が経つに連れてルカはゼインに好意を持っているだろう事も、ゼインが恐ろしいだけの海賊では無い事も分かるものだから2人の気持ちがいつ一緒になるのかと気が気じゃなかったです。
最後にはルカが苦渋しなかわらゼインを陥れた理由が分かるのですが、それがまた秀逸なのですよ。妖精界も妖精王も勝手に恐ろしいと思い込んで読んでいたので、本当の敵を知って驚きました。
ルカの真名を知っても嫌がる事を強制しないゼインが愛情深い人物で奈良先生のイラストも相まってとても素敵でした。ルカが小さい時から酷い目に遭って来た中で、ゼインが全てになったのが分かるような気がしました。
続巻の王子と聖騎士も登場していて、ますます面白くなって行くシリーズ物に期待が強くなりました。