愛に焦がれる少年たちの、いびつで幼い恋!!

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表題作ロッカバイディア

江波八尋,累を見守る幼馴染
保科 累,トラウマを抱える高校生

その他の収録作品

  • 後日談
  • カバー下:あとがき・イラスト

あらすじ

「俺にできることは全部叶えてやりたいから」
大病院の次男坊で、奔放に日々を過ごす
八尋(やひろ)。そんな八尋にとって大切なのは、
幼馴染みの累だけ――。
養子という立場に引け目を感じている累(るい)に、
自分にだけは甘えていいと教え込んできた。
そうして幼い日を過ごした二人はやがて、
身体を重ね始める。
曖昧なバランスで保たれていた関係だけれど、
義母の妊娠を機に突然、
累が「終わり」を口にして!?

作品情報

作品名
ロッカバイディア
著者
暮田マキネ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
発売日
ISBN
9784199608117
4.4

(250)

(155)

萌々

(56)

(29)

中立

(5)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
28
得点
1091
評価数
250
平均
4.4 / 5
神率
62%

レビュー投稿数28

誰か解説してください〜難しいよ

うーん。
虐待されて養子になって埋められない寂しさで幼馴染にべったりになって…。

難しい設定ですよね。BL面よりも設定の方が気になっちゃって。

そもそも八尋が塁に性的な手を出さなければ…ここまで拗れなかったのかなあ。

塁が養子としてわきまえてるのが不憫で。
庇護欲から八尋が塁にする約束もなんだか。自然に見守る感じじゃだめだったの?
それだと作者さんが描きたい話じゃなくなっちゃうのか。

養母の妊娠がわかったら塁が不安定になってしまって。八尋との関係もますます塁を追いつめて。

結局塁は元々八尋の恋人になりたかったってこと?八尋と体の関係が出来ちゃったから女の子を好きになれなくなったの?

難しい。

0

お互いにとって唯一無二の存在

だいぶ昔に読んだのですが読み返してのレビューです。

改めて神作品だなぁ…と思います。
病院の跡取り息子の八尋と隣の家に住む養子の幼馴染累。八尋にとって本当に大切なのは累だけで…
って、これ累もそうなんですよね。
主に八尋視点の物語なのですが累の視点もあって、子供の頃からお互いにとってお互いが唯一無二の存在だったことが分かります。
累が養子になった経緯や今の家族とのこと、物語の大半は切なくて苦しいストーリーになっております。
その辺も本当にマキネ先生らしい…らしくて素晴らしく読ませてくれます。

累が周囲に助けを求めて、本音を話してからの展開がそれまでがあった故に本当に…泣ける。

幼馴染って最高に良いですよね。お互いにお互いしか無い、絶対的な関係も最高。
奔放でモテるタイプの攻めと真面目で優等生な受けの組み合わせも大好き。
マキネ先生の可愛いチビキャラ?の絵も楽しめます。
何度読み返してもぐっとくるお話です。

0

奥底で繋がる篤い信頼感

八尋が小学生のとき、隣に住む保科家に同い年の男の子が養子として迎えられた。
身体は細く小さく、いとけない彼は、実母に虐待されていたという。
養家で初めて人の温かさに触れ、少しずつ少しずつ新しい家族に慣れていくものの、空隙を埋めるように累は八尋に懐いて、八尋も累を大切に思うようになる。
高校生になった累はある日、養母から妊娠を告げられ、徐々に心の変調を来していく、というお話。


幼馴染みでセフレ、お互いがお互いのことを根っこの部分でとても大切に思っているという、実にぐっとくる関係性が描かれていました。
累の過去が過酷だからこそ、二人の思いに説得力が増します。
何気ない一言で始まった身体の関係についても、具体的な意味をもたせるには今更感もあり勇気も必要で。
累の養父母に実子ができるという一事が、不安定な累の心を苛むのも、その異変に八尋が最初に気付くのも、何もかもが素敵過ぎました。
極限状態において無意識下で八尋を求めるというのがもう、なんという信頼感だろうと。
恋とか愛情とかよりもっと根源的なところで繋がっているのだと分かります。
とても幸せなお話でした。巻末の後日談もとても良かったです。

ところどころに描かれる手の表情が魅力的でした。
キャラクターの視線も色気があったり可愛らしかったりでいいなと思いましたが、差し伸べられる手、ベッドのシーツをまさぐる指先、不安を堪えて握り込む拳、包み込む両手、それらが何より雄弁でした。

0

安心して眠れる腕の中

マキネ先生の描く世界は切なくてちょっと苦しくて優しくて温かい。
「還らずの夏」みたいなのもあるけど、まずハピエンなので安心して読めます。

幼児虐待(ネグレクトかな?)、夢遊病と薄暗い要素があるものの、私的にはマキネ作品中では重くない方かなと。

皆さんおっしゃってるけど、マキネ先生の描くチビッコって守ってあげたくなる可愛いらしさに溢れてる。

虐待を受けている子は標準より成長が遅いから、同い年の八尋に比べて累は小さくて言葉も拙い。
でもって、涙と鼻水グズグズで顔を歪めて泣くのよ〜。
あー可愛い!!

中学生くらいの累の肢体も好き。
腰が細くてお尻がプリッと丸くて脚が艶かしくて。
ん?この作品は乳首があまりフィーチャーされてませんね。

ところで、大人になった八尋は在宅で何の仕事をしているのかしら?
累は最短で弁護士になったみたいだけど、まだ一緒にはなってないのね?

3

葛藤の表現が天才...

児童虐待にあっていたところを弁護士の家族に引き取られた、るい(受)
×
境遇のこともあり、るいにできることはなんでもしてあげたい、やひろ(攻)

子供はできないと言われていたるいの(義)両親に子供ができ、また、自分が女性を愛せないことに気づき、、自分は両親に捨てられるのではと葛藤し続けるるいが…ほんとうにしんどいです。

いちゃいちゃや、あまあまはあまりないですが…、計り知れない愛を感じる、大好きな作品です……。(評価の選択肢が萌しかないのであれですが、「萌」を求める作品ではない...です)

0

暗かったけど…ハピエンでよかった

本作と同時に同先生の「ベイカーベイカーベイカーパラドクス」を購入して、ベイカーが苦手な実の兄弟モノだったので(確認せずに買った私が悪い)少々ビビりながら読みました。
兄弟モノでないとはわかっていたけど、闇要素が苦手なのでそんな展開があったらきついなとw

きれいな絵で、なんだか仄暗い雰囲気で進むお話で、闇というほどではなく病んではいましたよね。
描き方が淡々としていたので、そこまできつくはなかったけど。ずっと暗いなぁ、累はどこまでも自分を追い詰めるなぁ。
見守る八尋も辛いだろうなぁ。
と、どうなることかと思ったけどナイスハピエンでよかった。

八尋が好みのイケメンで、ちょいと悪そうな顔してるんだけどw めっちゃいい奴でそこは萌えでした。

あと、ラストの方に少し出てきた八尋の兄がいいキャラだった。

0

タイトルが秀逸

『つむぎのさきっぽ』を購入したついでに、レビューを残していなかった暮田作品を読み返しています。
この作品、ちょっと『つむぎのー』に似てたなあ。

大きな病院の次男で、住まいは離れで自由、お金も十分持っている八尋。
楽しく遊ぶ仲間もいるし、好意を寄せてくる女子たちもいる。
何不自由ない暮らしを送る彼にとって、一番大事なのは隣の家に住む塁で…。

いきなりのえろすシーンスタート。
さらにそこに挿入される幼い頃の2人のエピソード。
たった4ページで、6つの台詞で、2つのモノローグで、2人の関係を把握させる導入部に痺れます。

家は隣で幼馴染だけど、学校ではチャラ男と学年トップの優等生。
学年トップを維持し続ける塁の事情が悲しいのです。
出会いは8年前。
弁護士をする保科家の旦那さんが担当した児童虐待事件の被害者だった塁。
子供のできない保科夫婦の養子として迎え入れられて、隣人である八尋に紹介された瞬間から、八尋は塁のために何でもしてあげようと決めた。
親から愛を受けられずに育って、新しい環境で張り詰めていた緊張が同世代の八尋の一言で解ける瞬間。
表現力の凄さに圧倒されます。そしてもう泣ける。
雛の刷り込みのように八尋にくっついて回る塁が可愛い。
そんな塁を幼いながらに大切にしようとする八尋も可愛い。
幼心に八尋の中に生まれた庇護欲が感じられて、お金持ちの子供が暇潰しに新しいおもちゃで遊ぶという感覚じゃないのが良いんです。
学校ではそれぞれ別の世界で過ごして、家に帰ったら…という秘密の共有も、2人だけの特別な絆を感じられて、良いんです。

バランスが取れているように見えていた2人の関係が、崩れる出来事が起きてからの塁が痛々しい!
養母のお腹に宿った小さな命の存在が、累を追い詰めます。
血の繋がった家族の中で、自分だけが異質。
血の繋がった親でさえ愛してくれなかった自分が愛され続けるには、受け入れられ続けるには。
自分が保科家にいて良い理由が不確かだからこそ、確実に、間違いのない状態でいなければならないという塁の切羽詰まった思いに、虐待の恐ろしさを感じます。

塁にとって八尋は、初めて自分がもらえた宝物。
同じ目線で、いろいろなことを教えてくれた大切な友達。
大人は母親のように変わるかもしれない。そんな不安を和らげてくれたのが八尋だったんだろうなあと思うのです。
居場所を守るために学校では優等生を、家でも良い子を演じて、張り詰めた緊張の糸を唯一緩められるのが、八尋と一緒にいる時間だったんだろうなあ、と。
塁にとって八尋は、幼馴染であり、自分を包み込んでくれる安全地帯であり、精神安定剤のような存在だったと読むのは容易いだけに、その八尋の存在こそが自分が保科家にいられなくなる一因になると気付いてしまったのがつらい。

無理を続ければ、体は異常を訴えます。
無理なダイエットで耳鳴りがするとか、睡眠を削り過ぎて貧血になるとか。
そういうシグナルが塁には夢遊病という形で現れてしまう。
意識下ではしっかり抑えられている衝動が、無意識下ではコントロールできない。
この事実を知った塁の選択がまたつらい。

つらいつらい尽くしですが、積み重なった「つらい」の効果で、塁が絞り出すように救いを求めた瞬間に涙腺が崩壊しました。

『マザーグース』から取ったタイトルが秀逸です。
木に括り付けたゆりかごで眠る赤ちゃん。
風が吹けば揺れ、枝が折れたら赤ちゃんごと落ちてしまう。
そんな不安定な状態でも、ママが助けてあげるから、安心しておやすみという内容。
塁にとっての八尋の存在は、まさにこれですよ。
素晴らしすぎる。

重い話が苦手でなければ、読んでみてください。
BLを超えた、2つの魂の呼応に、こころがふわっと軽くなる読後感を味わえます。

4

受け君の成長ストーリー

暮田先生作品の中でも超有名作だと思います。
私自身は先生の他の作品で肌に合わないと感じた経験があって、これはどうかな…と思っていましたがスラスラ最後まで読めて、純真な受けちゃんに涙してしまう場面もありました。


虐待をされて、血の繋がらない親に育てられた累くん(受け)と、その隣に住む幼馴染みの八尋(攻め)。
複雑な家庭環境から、愛されることに不器用な受けちゃんが愛を受け入れて、自分も人を愛せるようになるまでの成長ストーリー。


以下ネタバレありです。 


子供時代の無垢な累が「かわいそ可愛い」で、幸せになって…!と思い、また里親夫婦もいい人達で好感が持てました(*´ω`*)
攻めは最初から受けが好きなので受けのことを攻めなりに猫可愛がりしています。
他の方も仰っていますがショタ時代からやることやってるので、ここでBL警察が作動してしまう方は「ちょっと…」となってしまうかもしれません。

私的には、ショタ問題は気にならないものの、二人の関係性よりも家族の絆が深まったことに心を持っていかれて、BLとしては萌えきれなかったので(なんでなんだろう?単に作家さんとの相性の問題でしょうか…?)萌2です。
神評価が続く中すみません。
しかし、攻めの「今意地悪い言い方したな」とか、受けの友人の「(自分が悪い言い方したことに対して)今のごめん忘れて!」のようなセリフ一つ一つが人間らしく、細かい心理が伝わってきます。
共依存のダークな雰囲気も散りばめられていますが、この作品がもっと病みに振り切れていたり、光に振り切れていたら私的には神だったなと思います。

0

共依存いいなぁ

受け攻め共に依存してます
受けのトラウマは可哀想でしたけど本当にいい両親がいてよかった
それでもなかなか心の闇は消えなくて不安定のまま
攻めはそれでも絶対離れないし諦めない
いいですねぇ執着
守ってあげたいってゆう感情がいつから変わったんでしょう
そこがなんとなく気になってます
恋と過保護って別物のように思ってるので
長い時を過ごしていくうちにそれが恋心になったのかな、多分そうなんでしょうね

受けはもう依存からってかんじ
最高。

とにかく守ってあげなきゃ、俺しかいないって思ってる攻めの依存と助けてくれる頼れるのは攻めだけって受けの依存で共依存です

こういう闇のある受けを最後まで諦めず助ける感じのストーリー大好きです

1

幼馴染み最高。

ぶっきらぼうだけど頼りがいのあるイケメン幼馴染み×訳ありの過去を持つ綺麗系幼馴染みのお話です。

ずっと読みたいと思っていた作品でした。読んでみたら何度も周回しました。
まず作画が素敵です。小さい頃を振り返るシーンの二人は「え。かわいっ」と言わずにはいられませんし、高校生の二人は私が大好きな雰囲気(攻めはどっしり構えたセクシー男前&髪長め。受けは黒髪無自覚綺麗系)で目線や表情がとてもいいです。そして何より攻めが受けを好きすぎてとてもいいですっっ!!何より受けを大切にする!周りのなによりも受けを大切にする!すごくいいです!人の心の中にある愛がある故の闇がとても素敵に描かれています。受けの心の暗い部分が晴れていくシーンは涙腺がひどく緩みます。
その後のお話がのぞきみたい願望であふれます。
エロも私的には満点です。

0

数ページで名作の予感しかしない。

初暮田先生で初レビューです。

凄い作品に出会いました。
表紙からもう名作の予感しかしない。
表紙、本当に綺麗。
試し読みで引き込まれて即購入です。

特に4話の表紙大好きです!

一回読み、再度読み、このレビューを読んでから更に再読です。
ストーリー、台詞に対して画力も高いのでスッと心に入りますね。

俺ら付き合ってみるか?の二人の視点が出てくるのですが二人の表情が秀逸。
全てを悟った八尋とルイ。
あそこで止められたらまた違う未来になったかもしれない。

ルイの、頭では無理だと理解しているのに、心は八尋を求めてしまう。
まさかあんな形で出てしまうとは、心中どれだけ押さえて来たのかなと思うと苦しくなる。

もうルイの限界ギリギリの八尋に助けを求めた一言。本当に良かった! 
八尋の何度も伝えた、助けたい甘えて欲しいが遂に届いた。はぁー良かった!
その後の義理母との会話も良かった!

あとがきにも、書かれてますがルイも辛いですが八尋も辛い。いつ、報われるかわからない。ただ見守り待つだけなんて相当辛いですよね。

だからこそ書き下ろしの合コンでの
行くなー。 あはは、行かないー。
の甘さは萌え萌え燃えました♪

そういえばショタは余り得意では無いのですが特に違和感無く読めました。何でだろう。お互い愛情が有るからかな。むしろ可愛いなーと微笑ましく感じました。


初レビューシナリオも書かず、書きなぐりの様なレビューになってしまいました。
他の方のレビューで色々気付かされる事もあり更に面白く読めました。
こんな素晴らしい作家さんを知れて良かった!
学生時代の続きも欲しいー。

1

ストーリーは萌2 幼さがちょっと地雷でした

作者さんの作品初読みでした。
ネグレクトを受けていて、新しい両親に引き取られた累と隣に住む同い年の八尋。
八尋は幼いながらも累の置かれた環境を理解していて、細っこくていたいけな累を大事にしないといけないと累が望むもの全てを与えてきた、というお話です。
思春期あたりから身体の関係を持つのですが、累の成長が遅いのもあり、ショタっぽくて少しイヤな感じが。あまり見ないようにスルーを心がけて読みました。

累の養母が妊娠し、累の様子がおかしくなるのですが、まさか無意識で八尋に会いに行っているとは思わず、驚きの展開でした。

本当の子供ができたら自分は居場所を失うのではないか、という不安と悲しみで累は壊れかけてしまう。
八尋に頼り続けるのも良くない事だと考えていて、気持ちを押し込めて限界に達してしまうのが辛かったですね。
母親に打ち明ける場面も辛かったですが、いいお母さんでホントに良かった。

共依存の物語かなと思いましたが、八尋は多分累がもう会わないと言えば会わないでいてくれたでしょうね。
累が気持ちに素直に八尋を求めてくれて良かった。
2人ともが幸せな結末になって良かったです。

電子限定描き下ろしで、八尋の家の離れのロフトでいる2人の幼少の頃、多分中学生?、高校時代、社会人の定点観測が描かれており、成長を垣間見れて楽しかったです。

1

お互いを本当に思うなら

◾︎江波八尋×保科累(養子,成績優秀) 高校生

暮田マキネ先生の作品、大変人気があるのは知っているのですがどうやら自分とは相性が良くないみたいです。「カバークラック」「僕の可愛い〜」を読んで、よし、一番人気のこちらなら!と試してみましたがやっぱりどこか違った!ごめんなさい!

八尋のダブルスタンダード気味の態度と、卑屈すぎる累を好きになれなかったからだと思う。お互いを大事にしているようで大事にしてないように見えてしまった。

0

丁寧な心理描写

虐待で保護された累(受け)を幼い頃から見守ってきた八尋(攻め)。
お前が望みさえすれば、なんだってしてやれる
言葉通り、累をずっと守って愛情を注いできました。累も八尋を好きなはずなのに、血の繋がりがない自分を育ててくれた両親に対して良い息子でいなければと道を外れる事を嫌がりセックスはするが想いは通じないという関係でいます。
そんなとき、義母の妊娠が発覚。血の繋がった子供が出来たら自分なんて捨てられるかもしれない、ましてやゲイなんてバレたら・・・と八尋から離れようとします。
しかし、心は八尋を求め八尋こそが自分の居場所であると思っている累は心のバランスを崩してしまう。
本当に二人とも健気で序盤から泣きそうでした。累が自分に自信が持てず、人から見て完璧な人間であればあろうとするほど胸が締め付けられます。義両親もいい人たちで、だからこそ累も葛藤していたのでしょう。
八尋の累に対する深い愛情、優しさに胸を打たれました。
途中、胸が締め付けられしんどかったですが後日談から甘々で最高でした!
買ってよかったです。

5

痛々しくも切なくも愛しい。

実母に虐待された過去を持つ優等生の受・累と、累が引き取られた家の近所に住む幼馴染の攻・八尋を中心にしたお話です。
実の息子のように育ててくれた養父母に報いるため完璧な理想の息子であろうとする累は、幼い好奇心から八尋と体の関係を持つようになりますが、その関係に恋愛感情が伴うにつれ自らが描く「理想の息子」像とのギャップに苦しめられていきます。そんな中で養母が妊娠し、自らの存在意義としてきたものが大きく揺らいだ累は徐々に追い詰められ、八尋の手をも振り払ってしまいます。

攻または受が虐待された過去を持つ設定はBLでは珍しくないですが、ただの「設定」に終始してしまっている作品も多い中、この作品は、虐待から逃れた後も心に残る傷や人格に与える影響の根深さを非常によく描いています。ただありのままに愛されることを受け容れられず、恐れ、拒んでしまう累が痛々しいです。途中で読むのが辛くなってしまいそうでしたが、だからこそ養父母の、そして八尋の、累への愛情の偉大さが沁みました。
個人的には神評価を付けたいくらい感動できたのですが、回想の累と八尋が肉体関係を持ち始めた時の描写が苦手で...当時の累は生い立ちの影響か同い年の八尋よりかなり幼く見えるので、あまりにもショタショタしすぎていて悪い意味で痛々しく感じてしまいました。なので、一つ評価を下げて萌2とさせていただきます。

4

ショタ地雷にとっては、一コマでもキツかった。

評価が高かったので読んでみたけど、いまいち突き刺さらなかったです……
こういう作品が突き刺さらない自分に凹む……。

あと、第4話でオナニー教えてやろうか?という流れから、やがてセックスする仲になる二人を描く過程で、幼い塁が「やめちゃヤだよ?」とねだるコマがあるんだけど、ここがダメでした……。
多分中学生くらいだと思うんだけど、幼いショタ顔の子が快感のあまり潤んで紅潮してる顔の描写がたった一コマなんだけど、ショタ地雷なのでぎゃあああ!!!となってしまいました。

「お前が望みさえすれば なんだってしてやれる」という攻めの八尋と、「望むことは罪だ」と思う塁。
ネグレクト環境で育った被虐待児の抱える闇が読んでて苦しいんですね。

善良な養父母に引き取られて、彼らの愛と八尋の愛に包まれて育ってもなお塁の中に残る深い傷。
愛してもらっているからイイ子でいなくてはいけない、でないと捨てられると思っている彼が、どんどん追い詰められた末にようやく発した「たすけて」。
ここはグッときました。


6

名作を重ねてしまった

表紙が可愛らしい感じだったの。
なんかこうキラキラした感じを勝手に想像。

あらまあなかなかに重いヤツではありませんか!
というか心が壊れかけた累がまるで夢遊病のように八尋の元に抱かれに行ってしまうあたりから私にはモミの木が見えるような気がして来ました。
夢遊病イコールハイジなんです私。
そして八尋のお兄様が診断をなさいます。ちゃんとセーフティなプレイをなさい。と。
そして累は家族と向き合いながら八尋ともお互い向き合い良い関係を築いていけそうな感じでした。

ハイジの原作読んだみたいな感じでした。

なんかごめんなさい。アホ丸出しのレビューでごめんなさい。



3

神作品だと思います!

神です‥。
文句なし神作品です。

実は名前も知らないお初の作家さんでした(。>_<。)

表紙の可愛さに一目惚れして衝動買いしてしまいました。
推しの作家さん以外は発売後に様子をみてからじっくり吟味して購入するのですが、中身もい問わず思わず手に取り夢中で読んでそして衝撃‥。

すごい!うますぎる‥。
私、自分が好きで買っているので萌以下も滅多な事ではつけませんが、神はまず初読みの方には付けたことないです。
絵が上手い、子供の描写が健気で可愛くて、成長してからのキャラがまた魅力的、せつなく辛いストーリーで静かだけれど‥うちに秘める熱い登場人物達の心情‥に心臓鷲掴み!!

私好みの黒髪、寡黙なイケメン攻め!(๑´`๑)♡

泣けるほど悲しいけど、ラストの幸せの深さ‥すばらしいストーリー展開!

もう、言うことなし‥
とりあえず他の作品も読んでみようかと思います‥。
またお気に入りの作家さんが増えて嬉しいです(*^^)v

11

八尋は執着だろうか共依存だろうか辛抱強く累と向き合ってる。

紙本
修正…見えない描写
カバー下…イラスト、あとがき
カバー折り返し…コメント

7

切なさと尊さがMAX

累は幼少期実母に虐待を受けその担当弁護士をした保科家へ養子として迎え入れられた。
お隣で同じ年だった八尋は痩せ細って怯えてる累を「大事にしなきゃ」と幼いながらも守る対象と確信する。
それから8年、「いい子」を貫いてきた累が養母の妊娠により変化し始めるお話。

もぉ語彙力のない私には説明も表現もできないけど・・・尊かった!!
累の心が壊れていくのがとてつもなく切なくて歯がゆくて、
何があろうと累を受け入れると決めてきた八尋に心許し甘える累にも異変が来てもぉ・・・たまらない。

そして何より、累は苦しんでいるけど悪い人は誰も出てこないというのが切なさが増しましたね!
保科夫婦も心から累を愛しているし、それは八尋も分かっているし。

もぉたまらなく心が締め付けられるお話でした!

10

自分の価値を信じることの難しさ

 実親の虐待から逃れ、養子となった先で可愛がられて育った累。新しい両親はとても穏やかで優しくて、一見何の不自由もないように見えてしまうけれど、血が繋がっていないという事実は彼にとって自分を縛る鎖のようなものでもあって。虐待から救ってもらって養子となったからには、息子として恥ずかしくない振る舞いをしなければならない、少しでも道を踏み外したら捨てられる。どんなに優しくされても、そういう考えを捨てきれない累に、とても共感を覚え、痛々しくも感じました。

 見返りを求めない優しさって、すごく尊いものでもあるけれど、怖い時もありますよね。特に自分に自信のない人からすると、意図や下心の見えない優しさほど、信じられないものはない。虐待というのはここまで人の心に暗く濃い影を落とすんだなぁ、と改めて考えさせられました。そうして何度拒絶されようと、累の機微を察して手を振り解かなかった八尋。いくら愛していても年の離れた親が子供の心を完全に理解するのには限界があるでしょうから、累の傍に同い年の八尋のような存在がいてくれたのはとても幸運なことだったと思います。彼がいなければ、累が柵から解放されるのにはもっと時間がかかったでしょう。累がありのままの自分を解放できたのと同時に、八尋の根気良さが報われたのも嬉しかったです。少しずつ、累が少年らしい笑顔を見せてくれるようになるといいなぁと思います。

3

表紙がほんとにステキ

今回気付いたんですが、無意識で作家買いになっていた暮田先生作品です。
ある意味作家買いよりも凄い、試し読みで作品をチェックして購入した結果コンプリートしてるって。
しかも、同時進行の分冊版も全部読んでる…恐ろしい作家さんだ。

暮田先生の画は、ちびっ子描写が抜群の可愛さで、DKになったら攻めも受けも色気がある。
仄暗い世界でしっとりした空気感には中毒性があるのかな。

今回は特に表紙が好みで、色彩やデザインが本当に素晴らしい。
内容を知って見ると、更に特別感のある場所と温もりに癒されます。
累と過ごすデザインコンクリ壁に囲まれた八尋の部屋が、二人だけの秘密の隠れ家のようで、
全て絵空事かと思わせる不思議な空間が、印象的に描かれてました。

虐待で保護され弁護士の養父母に引き取られた9歳の累。
大病院の次男である隣家の八尋は、出会いからずっと累を溺愛し、累も懐いて甘え、
いつしか身体の関係も持ち高校生の現在。

養母が身ごもったことから、養子である累は良い子でいる為に八尋との関係を終わらせ、
距離を取って優等生として頑張ろうとしますが、
夜になると八尋の部屋に行っては身体を繋ぎ、普段は八尋に見向きもしない生活が続く…。

執着溺愛攻めの八尋と、トラウマを抱える薄幸受けの累。

優しい養父母や溺愛する八尋に守られて8年生活した累ですが、
9歳までネグレクト環境だった、累の抱える闇を消してはくれないという現実。
存在することを誰にも気に掛けて貰えない、ネグレクトの傷の深さがリアルです。

自分を必要として貰う為には良い子でいなくてはいけないという強迫観念は、
周囲が思う以上に切実で、大切な場所だからこそ失いたくない。
八尋への想いも断ち切れず、日を追うごとに壊れていく累が痛々しくて見てられない。

それにしても八尋はスゴイわ。
あの執着と溺愛は慈愛から始まってますね。
あれだけ甘やかして、欲しいものは何でもやると教え込んできたからこそ、
限界を超えた累は八尋に「たすけて」と言えたんだと、私は思ってます。

養父母にもあれだけ大事にされてきたのに何で?と感じるかもしれませんが、
幼少期の虐待の傷は、自己肯定感に大きく影響するので、そんな簡単には癒えないし一生もの。
だからこそ余計に、無償の愛を突きつける八尋が、累には理解できなかったんだろうねぇ。

鷲づかみされたのが病院での養母との会話で、もう思い出すだけで涙が出てくる…
八尋に助けを求めた累が、今度は養母に心を開く。
イイ子じゃなくて、素の自分のままの累の想いを言葉にして、
養母と心から通じ合える場面が本当に温かくて、涙が止まらなかった、良いシーンでした。

28歳の二人が変わらず実家暮らしで、累の義弟も可愛くて最後の最後までステキでした。
電子描き下ろしの「定点観測」が本編前後の二人の関係を描いた4コマ4Pで、
成長する二人の関係性が巧妙に描かれていて素晴らしかったですよ。

暮田先生の描くちびっ子が本当に可愛くて、甘やかす八尋と必死でついてく累が可愛くて堪らない。
靴擦れのエピソードが最高でした。
二人のちびっ子ネタで一冊見たいくらい掴まれました。

※Renta:トーン描写です。

19

家族愛にも注目

溺愛攻めが好きなので帯の「お前が望みさえすれば何だってしてやれる」に惹かれて購入しました。

レビューを書くのに1回読んだだけでは足りないなと感じ、時間をおいて再読してからの今、というほどほの暗いと言うかしっとりと言うか……
そでに担当さんが「土曜日の14時くらいに読んで欲しい作品」だと言っていたとありますがえ!?そんな爽やかかな!?と突っ込みたくなるほどです笑

それでも暗すぎて辛いとならないのは、暮田先生の絵柄の癒しパワーが強いからかなと思います。

暮田先生は『シュガーベイブ』に続いて2作目でしたが、やはり周りで支えている人物が魅力的だなぁと感じました。

今回は累の義父母に感動しました。
子供は無理だと言われていた自分達に血の繋がった子供ができたら養子の累が動揺するのは当たり前のことと思うのですが、累父母は違うのです。
だって累が息子であることは何も変わらないから、二人にとって当たり前のことであるから、慎重にいこうとかフォローしようとかの発想がまずないのですね。
結果的に累は倒れてしまいましたが、すごい愛なのではないかと思います。

ズブズブに愛してる八尋との共依存も好きですが、個人的本作の一番は家族愛でした。

4

泣きました・・・

初読みでした。
ボロ泣きしました。

幼児期の虐待で周囲にいい子に見えるように振る舞う受けちゃんが
健気でした。
高校生という不安定な時期に養父母に子供ができたのをきっかけに
不安定になってしまうところも、無理なく読めました。

ボロボロ涙を流しながら読んだBL漫画ははじめてです。

タイトルはナゾだったので、手に取るの迷ったんですが
先行くお姉さま方の評価に期待して買って大正解でした。
タイトルはマザーグースのなかの作品のもじり、だそうであとがきに書いてありました。

5

無償の愛では通じ合えない!

完璧に作家買いです。
あらすじも読まずに購入して読みましたが、
今まで読んだマキネ先生の作品の中で一番好きです!

幼なじみで高校生の八尋と累が主人公です。

実の親から虐待されていた累は、
弁護した保科家に養子として引き取られました。
保科家のお隣に住む八尋は、幼少期より累と共に過ごし、
ついには身体の関係までもつようになります。

「お前がただ望みさえすれば  
 俺はきっとなんだってしてやれる」

とにかく、幼児の累が庇護欲をそそるのです!
とても可愛くて弱い……
八尋は塁のことが好きで、何より大切という印象を受けました。

対する塁は、養子である引け目を持っており、
養親から常に必要とされていなければ……
という、強迫観念とも取れる想いを抱えています。

二人はお互いを必要としており、初めから両思いだと思います。
それなのに、八尋から〝俺ら付き合ってみるか?〟
と言われた塁の反応は……拒絶。

常に完璧でないといけない塁にとって、
同性愛は普通から逸脱するものなのです。
自分の気持ちを封印して八尋に終わりを告げる累……

そして、養母のお腹には新しい命が……!

この辺りから累が壊れてしまいます。
実子の誕生で、自分は不要になるのではないかという恐れが累を狂わせていきます。

夢遊病なのかな?
累は無意識のうちに八尋を求めるようになり、
八尋は累を助けるために奔走します。

八尋はものすごくいい男です。
累のためなら何でもしたいと思っていますが、
無償の愛ではなかったと思います。
それは、八尋自身が累から必要とされ、
愛されることを深く望んでいるように思えたからです。

累の養親に、累の気持ちを伝えて橋渡しするのも八尋です。
累は養母に本当の気持ちを伝え、
養母は累の気持ちを正面から受け入れてくれました。
この養親も深い愛をもち、累の味方であったところが良かったです。

全ては、累が受けた虐待の影響なのかな?と思いました。
人の好意や愛情を信じられないところがあったのではないでしょうか……
 
全てを曝け出した累は八尋と向き合い、
まるでプロポーズのような告白をするので驚きました!
さすがの八尋も悶絶してましたね^^

終始一貫して変わらない八尋に萌えました。
そして、二人の幼少期が可愛くて可愛くて♡
マキネ先生、絵力アップしてますよね!
それに、独特だけど読みやすいコマ割りも好き‼︎

次の作品も作家買いで決まりです!




7

尊かった

小さな累の健気さに泣かされました。

暮田先生の描くちびっこが激可愛いので萌えまくりました。

善良な人たちしか出て来ないのに、全体的に仄暗くて不安感が付き纏うお話でした。

なんと言っても幼い時から累を見守り続けている八尋の愛情が切ないです。

累の為だけに存在しているようなそれはそれは深い想いと眼差しに、高校生だと言うことを忘れそうになります。

壊れかけた累に嫌な想像しながら読みましたが、最後は2人幸せそうで良かったです。

欲しいものを欲しいって口に出せるようになった累の可愛いさは最強でした!

6

少し歪だけど一途で献身的にも感じます。

【お前が望みさえすれば何だってしてやれる】(帯より)

これが非常に良かったです。
献身的にもみえる攻めの愛情にグッとくるものがありました。
そして高校生なのになんて大人びた愛し方をするのだろうとも感じました。

その実、受けを守ることで自分が必要とされていることに安心も覚えてるのですね。
なので自分だけを頼るように、甘えてくるように、と幼い頃から教え込んでいる。
そういった部分は少し歪で少し幼い。

切なくて仄暗い空気感の作品なのですが、
根底に溢れんばかりの優しい愛情が流れていてとても良かったです。



累(受け)は幼い頃に実母から虐待をうけ、優しい夫婦の養子になりました。
新しい家で出逢ったのがお隣に住む八尋(攻め)です。

八尋は幼心に「累を守ってあげなきゃ」と心に誓います。
そして何でも我慢してしまう累に言い聞かせます。
自分にだけは何でも話して、甘えて、嫌がることは絶対にしないから、と。
その言葉通り、高校生になっても八尋は累の嫌がることは避けてきました。

累は義母の妊娠をきっかけに少しづつ心が病んでいきます。

優しく育ててくれた両親の為にも自慢のイイコでいなきゃというプレッシャー。
今まではそのプレッシャーを緩和してくれたのが八尋の存在だけど、
八尋と肉体関係を持っているのは両親への裏切りと同等でーーー。
板挟みになって苦しんでいるのですね。

それに気付いた八尋は、
初めて「累の幸せの為に累が嫌がること」をします。
ずっと守ってきた絶対に嫌がることをしない約束を覆す。

これがもう痛々しいのですよ。2人とも。

自分の足で立って平静を装うのに必死な累は周囲の愛情に気付けず、
それをただただ見守ってそっと支えている八尋の気持ちも切なくて。

好きという言葉が出る前に躓いてしまったばかりに、
支えるとか甘えるとかいう関係でも甘々な空気はなく…(;ω;)
結果、肉体関係ばかりが先行してしまって些細な言葉のすれ違いが諍いになる。

これで累の視野はますます狭まっちゃって殻に閉じこもるのが見ててツライ。
八尋はそんな累を助けたくて、必要とされたくて、甘えて欲しくて。
苦しくて切ない想いがブワッときます…!!!(;///;)

個人的にはとにかく八尋の献身的にも見える愛情が刺さりました。
態度や言葉使いが上からっぽいのがまた不器用に感じてキュンとくる。

どっちも互いに囚われた共依存のようにも見えました。
八尋は累を甘やかすことで喜びを感じてるし、
累は八尋の居心地の良い愛情に支えられてきた。
歪にもみえるけど一途な優しさに救われるお話でとても良かったです。

18

溺愛攻め×薄幸受けがお好きな方に。

作家買い。

暮田さんの描くちびっこちゃんがどうしようもなくツボなのです。
ビジュアルも、中身も、とにかく可愛い。

で。
今作品は、そんな私の大好物の暮田さん@ちびっこちゃんがたくさん描かれていまして、読みながら悶え、萌え、愛おしくってどうしようもなかった。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






主人公はDKの八尋と累。
どちらかというと八尋視点で描かれることが多いですが、交互で累視点も描かれているので二人の感情が読み取りやすいです。

八尋と累は幼馴染。
子どもの時に八尋の隣に累が越してきたことで友人になった。

累の両親は弁護士で恵まれている…、ように見えるが、実は累は実母に虐待されていたところを、弁護士に救われ(それが累ののちの養母となる女性)、そして彼女夫婦の養子になったという経緯がある。

実母に虐待されていた累は、出会った当初かなり痩せていて、感情をあらわにすることが苦手だった。
が、引き取ってくれた義両親と、八尋のおかげで少しずつ明るさを取り戻していく。

控えめで、自分に懐く累に少しずつ恋愛感情を育てていった八尋は、累を言いくるめる形で身体の関係を持つようになるが―。


というお話。文章で書いてしまうと八尋がやや外道な男に感じてしまうかもしれませんが、彼の累への愛情がそこかしこににじみ出ているためになんとも切ないのです。

累だけのために、八尋は奮闘する。
帯にも書かれていますが、「お前が望みさえすれば なんだってしてやれる」

この一文が、八尋の累への愛情をまるっと表現しているのです。

そして一方の累も。

彼もまた、八尋を愛しているのが透けて見えるんですね。
なのに、彼の感情にセーブをかけるのが両親への感謝の想いと愛情なんです。

血の繋がりのない自分を引き取り、愛し、そして育ててくれた両親。
そんな両親に、累は報いたい。

ゲイであり、男である八尋を愛してしまった自分に葛藤をずっと感じて生きてきた。
そんな想いは、八尋に対してもむけられている。

両親に、そして八尋に、嫌われたくない。

そんな想いに囚われ一人で踏ん張り続ける累という青年が、とにかく健気で泣ける。

序盤、八尋視点で描かれているために累の感情が分かりづらいのですが、少しずつ累の感情が理解できるようになる展開の仕方が非常に秀逸で、一気に読み手に累の感情が流れ込んでくる。それ故に切なさとか、萌えとか、そういったものがぐっと膨らみ、ページを捲る手が止められませんでした。

累は自分の立場をネガティブにとらえていますが、彼を取り巻く周囲の人たちが凄く優しい。
累の両親はもちろん、八尋も、そして八尋の兄も、累の友人も。

累が、「自分」に自信を持ち、そして素の自分をさらけ出せるようになるために必要だったものは何か。

愛情なんですよね、やっぱり。

個人的に暮田作品に魅了され続けていますが、その大きな魅力の一つが、作品に流れる「優しさ」と「愛情」なんだと、この作品を読んでしみじみと思いました。暮田さんの優しさが、暮田作品のいたるところで描かれている。バックボーンはシリアスさも多くある作品なのですが、そんな暮田さんの優しさに満ち溢れている作品で、切ないと、萌えのバランスが素晴らしいです。

八尋と累は、序盤「セフレ」という立ち位置にいます。
そのため濡れ場は暮田作品にしてはやや多め。多めですが、エロい、というよりは綺麗で、そして切ないです。「セックス」という行為が、エロ目的ではなく二人の感情の機微を細やかに描くためのツールとして描かれているからかもしれません。

カバーを外すと、そこには子どもだった時の八尋と累のイラストが描かれています。

もう最高か…!
可愛いが過ぎる。

薄幸な受けさん。
受けを溺愛する攻めさん。
そして、家族愛、隣人愛。
そんなキーワードにビビッと来る方に超お勧めの作品でした。

暮田作品はすべて読んでいますが、かなり好きな作品です。
文句なく、神評価です。

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