商品説明

初版で購入すると貰える、書き下ろし特典SSです。
B5サイズの用紙に片面印刷。帯に封入の記載あり。

内容:本編主人公の兄・聖人視点で語られる、弟への思いです。

作品情報

作品名
「禁断ロマンス」初回限定特別SSペーパー
著者
妃川螢 
イラスト
朝南かつみ 
媒体
特典
発売日
付いてきた作品(特典の場合)
禁断ロマンス
4

(2)

(0)

萌々

(2)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
8
評価数
2
平均
4 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

この世界のどこかでーー。

特典ペーパーの類いですが、特筆したい、強く印象に残ったもののみレビューさせて貰っています。

で、こちら初版購入での特典ペーパーでして、本編主人公の兄視点で語られるお話です。

本編ラストですが、すごく情熱的でロマンチックなものになるんですよね。
若い二人が手に手を取って、逃避行的な。
で、それを「咲人の思うように生きていいんだよ」と、後押ししたのが、この兄になるのです。
誰の顔色も伺う事なく、自由に生きていいのだと。
私には出来なかった事だけれど、と。

お兄ちゃんですが、周囲を欺き、誰からも祝福されない恋を、長い長い間続けて来たんですよね。
一歩間違えば、咲人も同じ道を歩んでいた。
兄としての愛情で、弟にそんな思いをさせたくなかったんですよね。
きっと。

まぁそんなワケで、お兄ちゃん達に関しては、ちょい切なくほろ苦い印象。
また、このSSペーパーも、どこか切なくてもの悲しいんですよね。
う~む。
妃川先生の書かれる受けですが、その優しさから、本当に貧乏クジを引きやすいんだよ。
だからこそ、心を動かされるんですけど。
以下、内容です。



本編終了後。
日本に戻って、精力的に仕事をこなす聖人。
彼が商店街を歩いていた時、偶然目について足を止めたペットショップでの出来事になります。

ちょうど目線の高さのケージに見た、ロシアンブルーの子猫。
小さな口をいっぱいに開けて、くあぁっと大あくびをする様に、聖人は目を細めます。

「連れて帰りましょうか」
慈しみにあふれた、静かな声で提案する白澤。
聖人がここしばらくペットショップ看板に目を留めがちな事も、保護猫などの情報を収集してる事も、彼の密かな望みも。
白澤は全てお見通しだったんですね。

「いやーーー」
「抱いてみられませんか?」
聖人が首を横にふるより早く、ケージを示しながら提案するペットショップの女性店員。

彼女の笑顔に押しきられる形で、あれよあれよと手を消毒され、気がつけば手の中に小さなぬくもりがあります。

そこで聖人が目を留めたのが、ケージの下に掲示されてる子猫の誕生日。
お兄ちゃん!と、遠く幼い日に聞いた呼び声が、鼓膜に蘇ります。
白澤はこれに気づいたから、連れて帰ろうと言ったのだろうか・・・。

この地球上のどこかで、愛する人と共に生きているはずの弟。
きっともう、会う事はないーーー。

「この子を飼う為に必要なものを一式、揃えていただけますか?」
聖人が言えずにいた事を、白澤が代弁します。

「この子は?」
「この二匹は兄弟なんですよ」
「この子も一緒に」

兄弟バラバラでは寂しいでしょうからと、店員とやりとりする白澤の背中に、コツンと額を預ける聖人。
こみ上げるものをこらえます。

無垢なキトンブルーに映る、「兄の顔」をした自分ー。
それに救われた気持ちで、小さなぬくもりを胸に抱きます。
心の奥底、捧げる祈りと共に。

と言うお話。

聖人と咲人の間にあるのは、純粋な兄弟愛です。
だからこそ、二度と会えないであろう弟の無事を祈る聖人に、なんだか胸が痛くなる。
これ、聖人自身も、幸せになって欲しいんですよね。
愛する人と共に。

まぁそんな感じの、優しくほろ苦いお兄ちゃんの思い。
お兄ちゃんのスピンオフを、読みたくて仕方ないんだけど。

3

良かった

本編も好きでしたが、こっちも良かった!初版に全部ついているペーパーなので、気になっている方は是非。本編に出てくる受けのお兄ちゃんのお話です。

以下ネタバレ


弟と生き別れになってしまった聖人(本編受け兄)。ある日、渋滞に巻き込まれて、ちょっと商店街を歩く羽目になったのですが、そこでふとペットショップ、そしてそこにいたロシアンブルーの仔に目が留まります。だってその仔の誕生日は、忘れもしないあの子の誕生日で・・

常に側で仕える白澤が「連れて帰りましょうか?」と聞く側で、もう一匹側で眠る子猫。「兄弟なんですよ」と言われたら、もう駄目ですよね。白澤さん何も聞かずに「この仔も一緒に」と仰ってくださいました。

泣ける。お兄ちゃんの愛情にも白澤さんの思いやりにも。本当に短いお話ですが、ぎゅぎゅぎゅっと詰まった好きな短編でした。良いー。

3
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