イラスト付き
ずっとそなたに恋をしてきた
チェンジリングの2巻目。続きでありつつ、1巻目の主役だったふたりとは違うカップルが出てきます。
妖精の子供と人間の子供が取り替えられてしまうチェンジリングというヨーロッパの伝承がモチーフ。
2巻では運命を握る皇子と彼を護る修道騎士が主役です。
第三皇子のアンリは妖精王の計らいによって妖精と取り替えられる。黒髪の取り替え子は破滅をもたらすとされ、アンリ皇子は人目につかないよう育てられることに。人と関われないため、頼れる人は修道騎士のオルトだけだった。(以前は乳母とオルトの父がいたが亡くなる)
アンリは成長と共にオルトに恋心を抱くようになるが、同年代の子供達と交流をもたずに育てられたので性的な知識がまるでなく、オルトに対して興奮してしまう自身の体に躊躇いを感じる。
そしてオルトもまた守護すべき対象であるアンリ皇子に欲情している自分に罪深さを感じていた。
そんな時、アンリ皇子が狙われ、彼を護るためにオルトが敵兵に陵辱されてしまう。目の前で犯されるオルトを見て、アンリ皇子が激情を爆発させて半妖魔に変貌を遂げる。
強大な力をもつ完全な妖魔になる前にアンリを殺さねばならないが、オルトは懸命にアンリを護ろうと奮闘する。
という感じなのですが(この時、国で起こっている騒動などは語りきれないので大幅に端折りました)、伝えたいことは1つ!このふたりの関係性が最高なのです。
歳下攻め×歳上受け。そして皇子×騎士、しかも修道騎士!
清く高潔な修道騎士のオルトが、赤子の頃からお世話してきた歳下の皇子に穢されていく構図にグッときます。
半妖魔になって言葉を喋れなくなったアンリ皇子が、なんだか赤ちゃんみたいでそれも可愛いです。でも人外の姿になっているので体は大きいというところがギャップなのです。
半妖魔のアンリ皇子に抱かれて、この行為に劣情と至福を覚えてしまって悔いているオルトの葛藤も良かったです。
まだ続いているようですが、次巻以降はKindle配信のみなんですね。商業化ではないのかな? その辺は詳しくないのですがどのような形でも続いてくれて嬉しいです。
作者様のTwitterによると、商業出版ではなく、Kindleにて続編が予定されているようなのですが。
私的には!奈良先生の挿絵と、あの紙の質感で!続編が欲しいのです!!出版社様…!
と、初っ端からまくし立ててしまいましたが、本編もとっても面白かったです。
チェンジリング2とのことで主カプは変わっていますが、1でやっとのことでくっついたゼインとルカも結構出てきてくれていて、もう、とっても嬉しかったです。
なにしろ、ゼインが大好きなので…
奈良先生の描かれるゼインが、文章にバッチリはまっていて、本当に格好いい。もう、懐広いにも程がある包容力…カラッとした明るさの中に生きる痛みを知っているしなやかさや強かさがちらちら垣間見れてたまりません。
いや〜ゼインは心配だよね。
ルカは自分を顧みない強さを持っているから、そこが良いところであればある以上、惚れた弱みで強くは出れない。
アンリとオルトの話なのに、ゼインとルカのイチャラブにいちいちキュンキュンしてしまいました。
ちなみにアンリとオルトも負けていませんでしたよ。
アンリのちょっと影のある見た目もすんごくいい。
獣姦シーンで、鉤爪でオルトに傷を付けないように抱き抱えながら自分の手のひらを繋いで耐えるシーン。
もーーなにそれーーーー
愛しかないじゃーーーん
はっきりいって私の中で年下攻めは別に掠らないんですが、アンリはとっても可愛かったし、いじらしかったし、男らしかった。
気を抜くと普通の、ファンタジー小説を読んでいる気になるんですけれども、やっぱりボーイズ達のラブもしっかりあるんですよね。
いずれにせよ、沙野先生の文章力が素晴らしかった。
次から次に展開が変わって読んでいてほんとに気持ちがいい。
2人のラブはほんとに最後の最後で、それまでに身体を繋げているんですけれども気持ちが全然ついてこないのもまた切なくて。
先生のTwitterで公開されているSSではその後のラブラブっぷりが読めてすごく癒されたんですけれども、もしかしたら、今回初登場の脇役が次の主人公になるのかな?
でもでもでも、ゼインとルカファンである私は、彼ら主役の3でもいいのでは!?と思ってしまったり…
先生、どうでしょうか…笑
ゼインとルカのお話、もっと書いてください〜〜〜
壮麗で美麗な挿絵は、筋書きのダイジェスト版。挿絵が、込み入った筋書きの補足をしてくれて、助かった。
前巻は、取り替え子のルカがゼインを巻き込んで、仕掛けを作っていく過程。
気の毒なゼインは、ルカの駒。ゼインの前で、大司教に蹂躙されるルカ。
取り替え子のルカは、妖精王から命を受けていた。
今巻は、アンリ王子の誕生日まであと1時間という時に、大司教とタッグした隣国の王子の襲撃を受ける場面から始まり、オルトがアンリ王子の護衛騎士になるまでの回想がそのあとに続く。
ルカより一つ年上のオルトは、アンリ王子を護る聖騎士。
ルカは、取り替え子の王子アンリが妖魔化しないよう 妖精王の命を受けずっと練っていた計画の実行日は、アンリ王子の18才の誕生日。
人食い怪獣の真名を持つ取り替え子;「アンリ王子を運命に勝たせる」、その為に、多くの者の命が消えていく。
そして完結していない終わり方。
ノーブ帝国の騒動は鎮圧、妖精塚の修復、取り替え子たちの保護もできつつある。
妖精界からエンリケ(妖精界に拉致された本物の王子)が伝言を伝えに来る。
「クシュナに穴が空いた。連れ去られた取り替え子の様子を探ってきて欲しい」
・・ルカ達が赴くことになるけれど、その後が描かれていないので、いつかまた続編に続くのかな??
後日談SS
「嫉妬深い恋人、たち」https://privatter.net/p/6260090
前作『チェンジリング』が、運命を掴みとる話だとしたら、こちらは運命を掴み損ねた話…と言うとだいぶ悲劇的に聞こえるかもしれないけど、運命とは所詮一つの分岐でしかなく、道が逸れたからといって待ち受ける未来が嘆かわしいものとは限らない。人生の操作権が自分の手にある限り、逸れた道を再び繋げることもやはり自分次第。そんな読後感でした。
アンリは皇子でありながら不吉な取り替え子として生まれ、18年も隔離育成された純粋培養くん。育てたのはこれまた清廉潔白な聖騎士のオルトなもんだから、逆紫式部という美味しい設定にも関わらず、二人の関係性は色んな意味で超純粋です。
アンリにとってオルトは名前をつける必要がない相手だったんだよね。普通は大勢の人と関わって比較対象があるからこそ自分の中で相手が家族なのか友人なのかという関係性を無意識にカテゴライズしてる。
でもアンリにとってはオルトだけが深い人間関係を持てた唯一の相手だから、オルトはオルトでしかない。
親代わりであり、師であり、友であり、従者であり、恋する人であり、その感情全てがオルトただ一人に向けられていて、名前がないからこそ絶対的な関係性へと至らしめている。でも二人とも無自覚なんだよ。
その危うさと甘美さがまさにこの作品の屋台骨になってました。
客観的にみればルカとゼイン組の方がよほど悲惨な目にあってるんだけど、ルカは妖魔に堕ちない。でもアンリにとってはオルトが傷つけられただけで“魂が壊れるほどの苦痛”になってしまう。その書き分けがさすがだなと思った。
救世主的な役割を与えられているアンリとアンリに絶対の忠誠を誓うオルトという図が、真名によって全く異なる図になるのもぞくぞくしました。
もう一つ個人的に萌え滾ったのが、異形えち。隠れ異種姦好き隊としては、奈良さんの絵で拝めるなんてお布施したいくらいのご褒美でした。私前世でとんでもない人助けでもしたんかも。よくやった前世の私。
すごく面白かったのに神評価じゃないのは、ルカの預言の力とか設定止まりなもどかしさがあったのと、何年も前からハネスじじぃの正体と企みが判明してたんだから国難を前にもう少し策を立てておこうぜっと思ってしまったので…。
スッキリと決着ついてないので、続編超待ってます。
次の主役組はエンリケとグレイかな?いやいや沙野さんのことだからにっくきシベリウスという可能性もなきにしもあらず。私的にはルカとゼインが大好きなので、もっかい主役はってくれたら全私が号泣します。
正直これまで沙野先生の作品は何冊も読んで萌え止まりだつたのかですが、神×1000な感想です…。神。
この作品も奈良千春先生が大好きで購入してあまり期待してなかったのですが、最初から最後まで、そしてTwitter感想でもらえるおまけストーリーまでスペシャルに萌えまくりでした。
なんだろ、受けが美人で優等生の騎士オルト、攻めが軟禁されてる不遇の王子アンリ(後に妖魔)、受けが年上の世話役っていうだけでいい設定なのに成長と共にいいエピソードが増えます。辛い…。
アンリが成長して男味が増してオルトに恋するようになり、オルトは庇護してきた小さい王子に大人の男を感じてドキドキし始めます…。辛い。
途中アンリが謀られてオルトを奪われ怒りのあまり妖魔になっていた間に2人は初めて性交するのですが、オルトは片思いだと思っているので妖魔の形をしたアンリにさえ抱いて欲しいと願い抱かれまくります。(妖魔化が抑えられると分かったという理由もあるのですが)
人間に戻ることができて王子として災厄から国を護るようになったアンリは、オルトを汚してしまった罪悪感から素っ気なくなりますが、夜に一緒のベットで眠ることだけは強要していじらしいのなんの。2人とも過去には激しく抱き合ってたのにお互い恋心を隠しているので、触りたくて触りたくて眠れない夜が続くのです。
オルトが耐えきれずベットから逃げ出すのをアンリが許さない!と覆いかぶって阻止するのもカッコよかった…。チビだったのに…。
いざ恋人になるとアンリはSで、でもオルトがイッちゃうと我慢できないのが情けなくてもちろんそれもいい。
お話のベースには怖いエグい自虐的なシーンもありますが、どのキャラも生き生きとしています。
アンリの半身のエンリケと騎士グレイのスピンオフも激しく希望!
こちらは可愛らしいカップルの予感です。
電子で購入したけど、紙でも買わなきゃー。
個人的に好きな設定ドンピシャでした。
チェンジリング二作目ですが一作目より断然好みでした。奈良千春先生の絵も秀逸。Twitterに寄せられた幼いアンリがオルトの膝に甘える絵も辛いほどいい。
おまけの話は永久保存です。