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表題作冬融ける

飯塚洋平,32歳,小学校教師
新名海斗,元相方,便利屋

同時収録作品夏の群れ

須賀ノエル,28歳,元漫才師の芸能マネージャー
和田健太,30歳,地下ピン芸人

その他の収録作品

  • 春踊る
  • 夏の騒めき

あらすじ

学生時代、お笑いコンビを組んでいた飯塚と新名(ニーナ)。けれど、ひそかに抱えた恋心に悩む飯塚は一方的にコンビを解消し、新名との連絡も絶った。それから十年以上の月日が流れーーー?元お笑いコンビの再会愛。
漫才師の道を諦めたノエルと、彼と同期のピン芸人・和田の恋を描いた「夏の群れ」も収録!

作品情報

作品名
冬融ける
著者
阿部あかね 
媒体
漫画(コミック)
出版社
集英社
レーベル
集英社ガールズコミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784088551708
4

(43)

(17)

萌々

(17)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
11
得点
174
評価数
43
平均
4 / 5
神率
39.5%

レビュー投稿数11

2CPともいい

表題作がすごくよくて、ここで終わり?もっと見たい〜となったんですけど、ノエル×和田の話もよかった。

阿部先生が描かれるクールな美形は惚れ惚れするし、バカっぽい無邪気なキャラは愛くるしい。
そんな人物たちが、お互いのいいところ、嫌なところ、すごいところ、ダメなところなんかを認め合ったり、反発し合ったり、それでもしょうがないなぁと一緒にいることを選ぶストーリーがすごく好きです。

セリフも表情もいい。
説明ぽくなく、すんなり読めて、すぐにストーリーに入り込めるところもさすがです。

芸人に関する描写もいい。 
芸能界モノって入り込めないことがあるんですが、阿部先生は人間の描き方がお上手なので、芸人の性がリアリティある感じで。それありつつの恋愛模様が最高でした。

1

阿部先生初読みですが、良かった!

単話の夏の群れからこちらを購入しました。
絵もストーリーも素晴らしいです。絵が色っぽい、安定感有りますね。
冒頭の飛ばし方で一気に引き込まれ、男同士の感情が嫉妬から尊敬へ少しずつ変わっていく
のがうまい。
この2人どうなるかな。この恋人ではなく、友達でもなくあやふやな状態って凄くバランスが難しいけどそこが良い。ドキドキしますね。

しかし、最後のスパダリっぷりったら堪らないですね。
本人無自覚ですか?
阿部先生ならではのセンスでグイグイ引っ張られました。


1

人生一人ヨガリ

一冊で一つのお話をじっくり書いて欲しかったなあ。
阿部さんの絵がとーーーーっても好きなのですが、ストーリーや人の複雑な感情もズルさやクズさ嫉妬や醜さも描ける作家さん(本当に何様?)なのに、え?こんなあっさり?うーん、まとまってはいるけど…。

ニーナにとって飯塚がそこまで大きな存在だったとは…。芸人にとって良い相方は一蓮托生の一心同体なものなんでしょうか…。
ニーナの台詞のお前の人生ずっと一人ヨガリがすごい刺さりました。一言で飯塚のこと言い当ててる!

独りよがりでニーナにコンビの解散を告げて逃げて。飯塚は常識人なのでこんな気持ちはいけない、と思ったんでしょうが…。それとも相方としてこの気持ちのままではいけないと?なのに小学校の先生になって…。
しかもその後三人と付き合ったってどういうことよ?

そしてニーナ。そんなに傷付いて何もかもを失ったの?夢と友人と信用と友情と。
そうだよね、痕跡を消して音信不通にされたら今までのは一体何だったんだ?そんなに嫌だったのか?って思いますよね。
落ちるところまで落ちて…。

再会してからの飯塚に拍子抜けでした。
ニーナの中で納得がいくといいですね。

0

読み足りない

阿部先生の描かれる人物の色っぽい目付きが凄く好きなんです。

だから「冬融ける」のニーナも「夏の群れ」のノエルの表情も好みで見入ってしまいました。

ふとした時の目線や相手を見詰める目付きが色っぽくてゾクゾクしました。

表題作の「冬融ける」は元お笑いコンビの再会愛でしたが、飯塚が読み進めれば進めるほど情け無くなってきて良い意味で裏切られた感じでした。
新名を好きなのがダダ漏れしてて、何とも言えない情けなさにキュンキュンしました。そして新名の大胆さからどっちが攻めなのだろうと思う事も…。


一方同時収録作の「夏の群れ」に至っては、ハッテン場で仮面を付けてのドSなセックスシーンから始まってて、阿部先生の描く身体の美しさを堪能させて頂きました。

こちらのノエルと和田は何回もヤってます。ゲイ同士だからかそれがとてもエロくて萌えました。

ノエルは和田の才能に嫉妬してるけど認めてて、和田はノエルに執着しているように見えました。
2人の間には甘さは無くて、でもお互いを認めているそんな関係性がまた良かったです。

どちらかの作品も新たな関係が始まったばかりなので、読み足りないと思いました。もっと関係が深くなった所も読みたいです。



3

穴の埋め方

淡い色使い、色っぽい唇、大人の恋に惹かれて。
1話は2017年初出とのこと。
話が進むにつれて絵のタッチが変わっていきますが気になりませんでした。
作者さんのあとがきを見て、言われてみればくらいです。

飯塚の言動が面白くて面白くて。
萌と思えるわけではなかったのですが、なんだか目が離せない感じです。
新名の残り湯を吸い上げたときは声あげて笑っちゃいました。
こわごわというよりも幸せそうに吸い上げるさまは一種のホラーに見えないこともない。

1話序盤のときは自分勝手に相方を捨てて、あっ好きになれない攻めだ~と思ったのですが、新名と再会して以降ガラっと変わりました。
余裕がなくて直ぐ欲情して、全身から好きアピール。
でも手を出さない出せないところがいじらしかったです。
むしろ出される方なのか。
喘ぐ攻めなのでした。

エロ少な目。局部描写なし。


同時収録「夏の群れ」前編後編
一言では言えない関係でした。
お仕事BLの気配。
マネージャー×フリーのピン芸人

エッチはするけど睦言を言い合うことはない。
どういった間柄になりたいのかという明確な答えは作中で見受けられなくて、これも一種の大人の恋愛なのでしょうか。
さっぱりはしませんでした。
でもなんだろう、妬みも尊敬も抱えた相手と一緒にいることを選ぶっていうのが、心に残るんです。
漠然といいなあと、BL味を感じるお話でした。

書き下ろし「夏の騒めき」
同居することになったノエルと和田。
ノエルはこっちが地なのかな、本編では一度も登場しなかった笑顔が。
同一人物かと疑ってしまうくらい楽しそうな素敵な笑顔でした。

局部描写なし
エロ少な目~標準



2

大人の恋がテーマの物語。

エロ少なめなので、そういう意味ではnotアダルトですが、大人ゆえのぐだぐだや脆さが上手く含まれている作品でした。

二組のストーリーが収録されています。
どちらの作品も「きゃーっ♡」と言いたくなる胸キュン場面は少なかったように感じますが、じんわり沁みる心情描写がたくさん。
タイトルからしてそうだけど、言葉選びが素敵です。
逃避したり嫉妬したり、身に覚えのある彼らの感情に頷きながら楽しく読ませていただきました。


◆『冬融ける』
元お笑いコンビの再会ラブ。
『春謳う』→『春踊る』とふたりの関係の変化に沿ったタイトルが付けられた続編を含め、全4話のストーリーです。

お笑いコンビの相方・新名への恋心を自覚し、逃げるようにコンビを解消した飯塚。
それ以来ずっと会っていなかったものの、便利屋の仕事で飯塚が勤める小学校の授業参観に来た新名と再会します。
13年ぶりの再会に浮き足立つ飯塚ですが、離れていた間に変わってしまった部分を見せられて戸惑います。
しかも新名の心に大きな穴を開け、彼を変えてしまったのは他でもない自分なのだと知って――…

もう一度新名との繋がろうとする飯塚だけど、
コンビ、パートナー、相棒、…?
どんな名前が相応しいのかと言い淀む飯塚が印象的でした。
たしかに、ふたりの関係にしっくりくる名前をつけるのは難しい。
だって飯塚はがっつり性的な目で見てるけど、新名は違う。
彼自身が「依存気質」だと言っているように、飯塚に想われることが心地よい新名。
新名から飯塚へ伸びたやじるしが恋なのかどうかは微妙なところです。
でも新名は、自分の相方ができるのは飯塚だけだと知っている。
『春謳う』最後のモノローグは、そんなふたりの関係にぴったりの名前がつけられていました。

現職は教師×便利屋で業界ものとはかけ離れた舞台ですが、元お笑いコンビという設定がちゃんと落とし込まれていてすごいなと思いました。


◆『夏の群れ』
こちらはがっつり業界もの。
敏腕マネージャー × 同期のピン芸人です。

日英ハーフで金髪碧眼という容姿ゆえ、アイドル扱いされるのが嫌になり、漫才師の道を諦めたノエル。
現在は芸能事務所の敏腕マネージャーをしています。
ひょんなことからずっと嫌いだった同期のピン芸人・和田と寝てしまいます。

なぜノエルは和田が嫌いなのか?
それは和田が才能のかたまりだから。
だけど彼は、売れっ子になろうとするつもりがないようで――…
と続いていきます。

前CPと比べると、こちらの方がやることはやってますが、さらに恋愛要素は薄めかな。
身体の関係から始まり、ビジネスとして向き合い、いよいよ恋愛スタート?というところで終わります。
恋愛モードは程々に、ちゃんとお仕事しているところが良かったです。
ちょろっと出てくるノエルの相方も性格がめちゃくちゃ男前でした。

お仕事ネタから一転、『夏の騒めき』はふたりの日常を描いたものです。
ノエルのマンションに住むことになった和田。
ノエル、さすがマネージャーやっているだけあってお世話上手!
だがしかし、何のために写真を撮っている?(笑)

3

ほろ苦さと、ちょい笑えるところが好き。

2カプ収録・どちらも芸人ということでお話の世界が微妙に繋がってます(単独でそれぞれ読める)

【冬融ける】
君恋の創刊号で読んでたやつ。読み切りかと思ってたら続いてたのね!

かつて芸人を組んでた二人の再会もの。
相方の新名を好きになりすぎて解散を告げた飯塚。
一方の新名は、解散理由を知らないまま、絶望と、喪失感を抱えて生きてきた。

そんな二人が再会して、少しずつ止まっていた時が動き始める様子は、まさに冬融ける。

新名の記憶の中の飯塚は「頼りになる男前」だったのに、再会後はイメージがガラガラと崩れて、ただのポンコツヘタレ男となっていくところが好き。
だけど、そういう弱くてポンコツなところをさらけ出せる、そしてそこを愛おしいと思える関係って素敵だと思う。

最後の一コマの全裸待機、爆笑しました。
初エッチまで見たかったなぁ。
ポンコツヘタレを返上する雄全開な飯塚を見てみたいけど、初挿入したら感激のあまり泣いちゃいそうだな、やつは。

【夏の群れ】
芸人を辞めてマネージャー業に転向したノエルと、ピン芸人の和田。

ノエルは芸人として生きていきたかったのに、顔がいいもんだからモデルや俳優といった他方面からのオファーが舞い込み、自分の理想と需要のギャップに悩んで今は裏方へ。

ノエルが超イケメンなんだけど、才能を持ってる男への嫉妬や、挫折を知った男のほろ苦さみたいなビターな香りを漂わせているところが素敵。
なのに、実はまめまめしいおもてなしの鬼って、超スパダリじゃん!!

お相手の和田にピンとくるものがなかったのだけど、ノエルが大人の男って感じで好きだなー。

6

情けなくて、柔くて

あ~阿部あかね先生、好きだなぁ。
描かれる人たちが、情けなくて、柔くて、優しくて何かとても良かったです。


登場するのは、元お笑いコンビとか、ピン芸人とか。マネージャーとか。決して第一線で活躍している人では有りません。

人を笑わせたい、楽しませたい。
そんな思いで若い頃突っ走ってきたであろう男たちが、繰り広げる話です。
こちら、二つの話で構成されています。
【冬融ける】
元お笑いコンビの、解散してから思わぬ再会を果たす話。

飯塚は教師、新名は便利屋。全然違う世界に生きていた2人がまた同じ世界で話する。

離れていた期間に、互いに知らない面も出てきているけど直ぐ馴染むところ。知らない面も、知りたくなるし離れたくないと思う心理描写は細やかでした。

溝を丁寧に埋めていくのが、すごく良かった。
キスで有頂天になるし、擦りっこで充実しちゃう。読んでいても、穏やかに過ごす2人が見えるようで。えっちな事は少しだけ。
BがLしてます!良かった。

【夏の群れ】
元漫才師のノエル。
彼は、マネージャーをしてますが同期で、嫌いなはずのピン芸人の和田と、ハッテン場でやっちゃいまして。
元々、ノエルを知っていた和田に即身バレしていました。
まあ、ノエルが和田に仕事を依頼してからはセックスを続けたり、食事する仲になっていくんです。

この2人も良い。タイトル通り夏の日差しと暑さとか、残照を感じる。
その時は自分がその渦中にいるから気がつかないけれど。そういうとこから(人生の夏と思う)離れると、かえって懐かしくなっちゃう。
ノエルと和田のケンカ腰で、でもガンガンセックスしたり、互いに取り繕わない対等な感じ。良いのです…


とにかく、阿部あかね先生の描く男の人は情けなくてチャーミングなんだな。身体つきもえっちですが、セックスもエロい…

読み終わると、何か明日も頑張ってみるか~と思えてくる作品でした。

2

想いを呑み込んで。人も自分も許す懐の深さを得る男たち

2作品収録。
両作とも漫才/芸人が関連しています。

「冬融ける」
飯塚洋平32才、小学校教師。元芸人志望。
しかし、相方の新名を好きになってしまい、不安のために勝手に急にコンビを解消して新名の前から消える。
そして、あれから10年以上。授業参観日、ある子供の参観に来ていた男は……

これね、私もっとドロドロになるのかと思ってた。
夢、希望。信頼、友情。一気に失った新名の心の穴。
それがどれほどのものだったのか。
他の誰かと組んで芸人にもなれず、勤め人にもならず。ひとりで。
だけど思ったよりあっさりと新名は飯塚を受け入れる。
存在だけでなく、彼の恋心も受け入れる。なぜって新名は誰かに求められる事に対する渇望・飢えがあるから。
便利屋の新名。色んなひとの、色んな事情を見てきたと思う。
新名に受け入れてもらえて脳にお花が咲いてる飯塚とは懐の深さが違うね…
冷えた冬の心が融けた新名。
春がきた〜と浮かれて謳いだす飯塚。

「夏の群れ」
主人公は、元漫才師、今マネージャー業のノエル。ゲイ。
見知らぬ男との仮面プレイだったはずなのに、その日の相手はなんと元同期だった…
そこからピン芸人の和田とセフレのような関係に。
さて、この和田は全く売れない地下芸人。だけど実は非常にソツがない。「眼」を持つノエルから言わせると「無自覚の才能の塊」。
ルックスだけで騒がれることで自分で潰れてしまったノエルは、和田に複雑な嫉妬心を抱く…
憧れ、欲、嫉妬、それらは特に芸人の間では強そう。才能があるから売れるわけじゃない。運を掴んで売れる奴がいる。そんなえげつない世界の中で、一つの折り合いをつける男。
お笑いが大好きだ。その変わらぬ心を、一つの才能に賭けて世界に乗り出していく…
多分和田はブレイクするんでしょうね。世界は一変するはず。それでも和田はノエルすきすきでいて欲しいし、ノエルも和田を可愛がって欲しいな。

3

酸いも甘いも噛み分けた、ビターな大人の恋の物語

作家買い。
アンソロ『君恋 社会人編 1』に1話が収録されていてドツボにハマった作品で、コミックス化されるのを楽しみに待っていました。

2CPのお話が収録されていますが、いずれのCPも、大人の、ちょっとビターな恋のお話。接点はありませんが、「売れない芸人」をバックボーンにしたストーリーです。





表題作『冬融ける』。
主人公は小学校の教師をしている飯塚。
仕事に追われ、平凡ながらも穏やかな生活を送る日々。そんな彼には忘れがたい過去があって。

かつて、夢を追い、芸人を目指していた日々。
苦楽を共に夢を追いかけた、愛しい相方。相方・新名を愛しすぎてしまい怖くなった飯塚は、一方的にコンビを解消し、逃げるように新名の前から姿を消した。

あれから13年。
忘れたことなど一度もなかった新名が、自分の受け持ち児童の保護者として学校にやってきて再会し―。

というお話。

新名は芸人として売れることはなく、現在は何でも屋をやりながら生計を立てている。飯塚に去られたことが心の傷となっていた新名。彼もまた、飯塚と離ればなれになって以降、時が止まっていて。

再開したことで、彼らの関係はどう進んでいくのか。
そこを軸に進むストーリーです。

んー。
飯塚は新名にベタ惚れだったんですよね。自分から離れて、13年。新名を忘れることなく引きずり続けてきた。

が、新名の方は…?
新名も、飯塚に惚れてたのかなー、と思っていたのですがちょっと違ってたんですね。信じていた人間に切り捨てられたと思い込んでいた苦しみを抱え、彼もまた心にぽっかりと穴が開いていた。

お互いに想い合ってはいますが、そのベクトルが新名と飯塚では異なるので、どうストーリーが進んでいくのかとひやひやしながら読み進めました。

クールですかした感じの飯塚の、なんとみっともないことか。でも、この「みっともない」を晒し、新名を求める飯塚の恋心にキュンキュンしました。

だったら初めから新名のもとを去るなよ!

と突っ込みつつ、新名の男気に惚れ惚れしました。
飯塚に去られたことで、彼は大人になった。自分の力で酸いも甘いも噛み分け生きてきた彼にKOされました。

後半半分は別の芸人さんのお話。
タイトルは『夏の群れ』。

元漫才師のノエルが主人公。ほぼほぼ彼視点でストーリーは進みます。

彼はかつて漫才師だった。「ノエル」という名からも推測できるように、彼は生粋の日本人ではない。碧い瞳に金髪の、めっちゃイケメン男子。

が、そのイケメンさゆえに自身の芸人としてのスペックよりも人気が出てしまった。純粋にお笑いが好きで、漫才師を目指していたノエルと、人気が出るステップになるのならと何でも仕事を受ける相方とで溝ができ、コンビは解消。

現在は敏腕マネージャーとして芸人を支える裏方として働いている。

そんな彼は一晩の遊びとして抱いた人物に出待ちされ、脅される。
その相手は売れないピン芸人の和田。

芸人として活動していた時期が被るためノエルは和田を知っていたが、和田のことが大嫌いで接点はなかった。その和田に、その一件をネタに付き纏われるようになりー。

和田。
そしてノエル。

純粋に「お笑い」を追求する、不器用な男たちの恋のお話です。

「お笑い」を大切にするがゆえに、彼らには引けないものがある。一生懸命で、不器用で、時に損をしながらも自分の大切に思っているところは曲げられない。

若くはない。
挫折を知り、現実を知り、己の限界を知り。
そんな大人たちが紡ぐ恋が非常に良かった。

阿部作品にはおバカなビッチ受け、て時々登場しますが、この和田くんもそんな受けちゃん。快楽に弱く、ゆるゆる~なビッチちゃんに見てて、実はノエルの才能とビジュアルに惚れこんでいるという一途くんでもある。

もう、めっちゃ可愛いのよ、この子が…。

で。

ビシバシと後輩芸人たちをしごく孤高の存在、かと思っていたノエルくんの、素の顔が読めるオチには爆笑しました。

甘々なだけのストーリーではありません。大人の恋にふさわしい、ビターさを多く孕んだ作品です。が、個人的にはめっちゃツボでした。

阿部さんらしからぬ、と言って良いかな?濡れ場はやや控えめ。
が、その控えめさがむしろ今回のストーリーに合っていた気がします。

昔からずっと知っていた、自分の半身のような存在。
時にすれ違い、失敗し、手に入らないとあきらめていた。が、やっと手に入れた、自分のピースの片割れ。

そこに、深い愛情が横たわっていて、めっちゃ萌えました。

あ、あと素敵だなーと思ったのがそれぞれの話につけられたタイトル。

雪が解けて、春が来て。
そして夏が来て。

阿部さんのセンスに脱帽しつつ、読後心にジーンと染み渡る、そんな神作品でした。

5

お笑い芸人がキーワード

純愛をテーマにした《君恋》掲載の作品なので、阿部さんにしては普通な感じでしたが、どちらも面白かったです!


【冬融ける】【春謳う】【春踊る】
タイトルからして、ストーリーの流れがわかりますね。

お笑いコンビを組んでいた飯塚と新名(ニーナ)。
飯塚から一方的に解散した二人でしたが、当の飯塚には未だ燻る気持ちがありーー…

元コンビの再会ラブです。
13年も往信不通だった2人ですが、偶然再会してからの展開は早め。

ずっとニーナに恋していた飯塚は、10年以上経った今でもニーナを忘れられずにいます。
そして、飯塚に開けられたニーナの心の風穴も塞がらないまま。
お笑いコンビだった2人が、時を経て人生のパートナーになっていく過程をコミカルに描いています。

男前なのにニーナの前ではヘラヘラしている飯塚も、イケメンでだらしないニーナも、どちらも魅力的でした!
ニーナの気持ちが恋なのかは分からないけど、飯塚を求める気持ちに嘘はないと思います。

飯塚の表情や言動が面白くて、クスクス笑ってしまうことも多々あり。
コンビからパートナーへと、関係性が変化していくジワジワ感が楽しい作品でした!

※エロは少なめで、Hはなしです。


【夏の群れ】【夏の騒めき】
仮面姿でのセックス場面から始まる、インパクトある作品。
元漫才師・現芸能マネージャーのノエルと、同期の地下ピン芸人・和田とのお仕事BL。
ノエルがめっちゃイケメンで素敵。眼福♡

仮面姿のままノエルが抱いた男は、嫌いな同期・和田でした。
ノエルに気付いた和田に脅され、セックスを強要された事により始まる新たな関係。

才能の塊の和田に嫉妬していたノエルと、負け癖がついた和田。
嫉妬しながらも、これから売れていくであろう和田の背中を押すノエルがかっこいい!
そして、嫉妬の先にも喜びがあることをノエルに教えてくれたのは、和田でした。

地味な和田がHの時はノエルを求めて乱れまくり、次第に必死になっていくノエルもまた色気たっぷりでエロかった♡

和田の気持ちは、きっと恋心。
ノエルの本当の気持ちは分からないけど、支え合う関係になっていく予感しかしない!


どちらかというと、後半の作品の方が好きでした。
阿部さんの描かれるヘタレ攻めもS攻めも大好き♡
両方堪能できて得した気持ちになる一冊です!

4

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