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ああー、またひとつ素敵な作品と出逢えてすごくうれしいです。
読み始めた途端にグッと惹かれ、少しずつ楽しむつもりが一気に読み終え今にいたります。
呪われた王と小さな花嫁が繰り広げる、おとぎ話のような物語を読んでいるうちに、気が付けばなんだか非常に心地の良い多幸感でいっぱいになれる。
作中にころんと転がっている小さな幸せをひとつずつ広い集めていたら、最後には手のひらいっぱいに大きな幸せを抱えていた…そんな感覚が近いでしょうか。
好きなシーンをあげ始めたらきりがないほど魅力が詰まった作品でした。大好きです。
呪われた獣頭の王、そして花嫁もの…とくれば、もっとシリアスだったり少し苦しいお話を想像したくなるところです。
ですが、こちらの作品はそうではなくて。
「こうなりそう」にならないキャラクター設定と話運びが上手く、不遇な攻めのやさしい救済物語でもあり、その一方で攻めと受けの深い愛情を描いた物語でもあるのです。
この読み心地の良さはやはり、その一挙手一投足を追うたびに好きになってしまう、小人族の花嫁・リラことリラリルカの人間性の気持ち良さが素晴らしく活かされていたからこそでしょう。
彼に罪はないというのに、畏怖の対象となり得る獅子頭にされる呪いを受け、かなりの不遇な環境下で育ったダルガート。
出逢った当初の彼は、言うならばすべてにおいてなだらかだったように思うのです。
誰かになにかを期待することもなにもなく、良くも悪くもただ低い位置で凪いでいた日々。
そんな、モノクロのようだった彼の20年もの人生に突然ぽっと明かりが灯り、軽やかな鈴の音が鳴り響きます。
リラとの暮らしのなかで、ダルガートの世界が少しずつ淡く色付いていく様は読み手の胸をじわりじわりと熱く刺激してくれること間違いなしです。
ただの小さな花嫁では終わらず、人の心を自然と明るくしてくれるリラのキャラクターがとても好ましくて、こんなにも読んでいて気持ちが良くなる受けは久しぶりに見た気がしました。
ダルガートを敬愛し、凪いでいた世界に光を与える小さなリラも、リラからの飾り気のないたくさんの愛を受けて情緒と愛情が育っていく、思慮深く心やさしいダルガートも本当に素敵なんですよね。
とびきりかわいらしくて、とびきりあまくて幸せとはこのこと。
1人ぼっちだった世界が2人になり、徐々に理解者が増え、ダルガートの世界がぽつぽつと色付けば色付くほどこちらまでうれしくなってしまうというか…
不遇な境遇をひっくり返し、流れるようにお互いの唯一無二になっていく彼らの姿にはたまらなく惹かれるものがあります。
月東先生の読みやすい文章で綴られる、繊細な心理描写が光る良作でした。
定期的に読み返したくなる作品になりそうです。好きだなあ。
これは…BL版「美女と野獣」ですね!美女じゃないから「美男と野獣」でしょうか…。私、不憫受けのお話が大大大好きなのですが、これはその逆で不憫攻めという、ちょっと初体験な設定でした。結果、不憫は受けでも攻めでも私には刺さりまくるということが判明した次第です…。
そもそも、普通の王子として誕生するはずだったダルガートが黒獅子頭になったのは彼の父王の尊大な振る舞いのせい。そのツケをなぜ息子が受けなければならないのか。そして自分のせいで王子が黒獅子頭になったことを父王は知っているのか、知らないのか。
一方、黒獅子頭のみならず、体も大きいダルガートの元へ嫁ぐことになった小人族のリラ。この話の光は彼です!ダルガートが黒獅子頭で恐れられていても、戦で自分たちの地域を守ってくれたダルガートのことを尊敬し、憧れていて、王宮で肩身の狭い思いをすることを覚悟の上で嫁いできてくれて、初めからキラキラとした眼差しでダルガートを見つめ、怖がらずに接してくれる。そしてダルガートを全肯定してくれる。王宮で人の温かさを知らずに育ったダルガートは始めリラとの距離感をつかめずにいたのだけど、徐々にリラに対する好意を愛情と意識して…。
そして読み終わってから気付きましたが挿絵が円陣闇丸先生ですね!そりゃあ人に戻った時のダルガートが麗しいはずです!ストーリーも挿絵も何もかも完璧に好みでした!
表紙絵がお子様メルヘン調で、忌避していた本。
評判が良いので購入して読んだら、表紙がお子様なだけだった。
あとがきによると、2017年に雑誌掲載をした作品に追加再編をしたもの。
なら、ファン要望があれば、更に続編もあるかも?
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●父王
后の初産に急ぐ途中、呪術師が乘る馬車を田に転落させて恨みを買う。
生まれてきた子は、呪われていた。産んだ后は自死。
父王は、嫡男を忌み、避け続ける。
●ゼグ:
王の親衛隊。王の無礼に怒る呪術師が、王の子に呪いをかける様を目撃。
●後妻の妃
自分の子を王にしたくて、何度も殺害計画を試みるが、ダルガードは不死身。
「王妃派」を操る愚者。
●ダルガード
呪術師の呪いで、頭部は黒獅子、死ねない不死身。隔離され、孤独に育つ。
●リラ:小人族 長の三男
王と後妻の妃は、ダルガードを怒らせようと小人族の男嫁との婚姻を計画。
でもリラは、英雄ダルガードとの婚礼を大喜び。
●リラの婆様:呪術師にならず爺様と結婚。
施術者は死んでいた。婆様の人脈を頼りに、解呪法を知る弟子を探す旅をする。
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「美女と野獣」のように真の愛を得て・・となるんだろうなー、と分かっても、楽しかった。
リラの頑張りで「愛が勝つ」展開に感動。
それにしても、父王への怒りでかけた呪いなら、父王の死で呪いは解呪するのが本来じゃない?
呪術師の婆は、偏屈というより恨み深い。
円陣闇丸先生のイラスト目的で購入。
体格差は大好物ですが、致せないほどの体格差はいかがなものかと心配していましたが、杞憂でした。
これから読まれる方、どうぞご安心ください。
唯一感が極上に演出された感動の瞬間がきちんとありました。
獅子頭の無表情と、そうでないときの赤面具合のギャップがたまりませんでした。
受けがまた本当に性格が良くて愛らしい。
不憫攻めとの心の距離あ縮まっていく過程もよかったです。
円陣闇丸先生のイラストが期待以上で、眼福でした。
私の萌えツボに「男前な受け」というのがあるんだけど、この受けのリラはちっちゃいけど男前で最高だったので、「超弩級に男前な受け」リストに登録させていただきました。
この場合の「男前」というのは、単なるカッコいいを超えてまして、攻めの心の灯台のような、道しるべ的なキャラ限定です。
皆から強いと思われている攻めだって、時には心が弱ったり闇に引き込まれそうになったりする。
そんな時、受けの何気ない一言や受けの存在そのものが、攻めの心を明るく照らしてくれるおかげで攻めは正しくいられる……みたいな。
攻めにとっての天照大神的な存在かもしれない。
尊くて至高。
で、この作品のリラは明るく元気で前向きで、まさに太陽のような存在です。
小さいんだけど、眩くキラッキラしてる。
攻めのダルガードは黒獅子の頭を持つゆえに忌み嫌われていて、孤独に育ったんだけど、全身全霊で大好き!と伝えてくるリラと過ごすうちに、それまで縁のなかった感情が彼の中で芽生えていくんです。
人と語らうことすらしてこなかった攻めなので、リラと一緒にいると生まれてくるこの気持ちがなんなのかわからない。
これは愛なのか?これが愛なのか?と、確かめ合っていく過程がめちゃくちゃ良くて、何度もたまらない気持ちにさせられました。
攻めのダルガードはリラと一緒にいると本当に本当に幸せそうなんですよ。
読んでるこっちまで嬉しくなってくるくらいに。
そしてこの「愛」が、尽きることのない大きな大きなものへと育っていくんです。
攻めの周囲には反対勢力などもいるので不穏な動きがあるものの、二人の絆は盤石なので安心して読めました。
多幸感いっぱいの作品だと思います。
文句なしの神。