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志岐のキャラクター造形は素晴らしいと思います。
『女王様』と書かれていますが『鏡の国のアリス』の『ハートの女王様』みたいな感じではなく、非常に理知的かつ抑制的な『女王(大英帝国のエリザベスって感じ?)』だと思います。
黒田と友人で一緒にいることをただ楽しいと思っていた子ども時代、性指向を隠さずに多の男性とラブアフェアを繰り返す黒田に反発を感じていた思春期、そして高校時代の失恋を経て自分の感情をコントロールしていこうとする大人時代と、どれも共感出来たのですが……
どうも文章のリズムが私と合わないみたいなのです。
読んでいて引っかかってしまうのです。で、何度も読み返したりして。
高評価が多いのにすみません。
個人的な好みの問題だと思います。
カップリングが非常に好み!
特に受けの女王様っぷりが読んでいて(私の)気分がいい。
個人的好みでしかないのだけど、受けには毅然とした強さと自立心と賢さが欲しい。
肉体的には受けだけど、精神的には攻めくらいの気概があると嬉しいなぁ、と常々思いながらBLを探しているので出会えると本当にテンションが上がります。
老舗旅館の次男である志岐(受け)は跡を継がずに海外で働いていましたが、父親の危篤で日本に戻ります。
そこで幼馴染の黒田(攻め)と再会するも、旅館を継いだ兄の借金問題が明らかに。
その問題を解決するために奔走するなかで誤解やすれ違いがあって・・・という流れ。
お互い言葉足らずだし、自分の能力に自信もあるしプライドも高いので頼ったり弱ったところを見せないのでまぁ距離が縮まらない!
また、うっかり体先行で関係が進んでしまったせいで余計に拗れた感じがします。
でもセックスに至る運びは力関係の対等さや志岐の女王様な言動がいい!
そんな志岐にあえて傅く黒田の余裕っぷりもいい!
「やらせてくださいって云わないとやらせない」に対して、黒田は志岐の掌に口付けながら「お願いします。やらせてください」と芝居がかった口調で懇願する返しが憎すぎる・・・。
ここで「ふざけんな」とか言わないあたり駆け引きを楽しめる大人だなぁ、と。
仕事を優先しつつも、恋愛にも真摯に向き合う関係性になった二人が素敵です。
二人とも家族公認(?)でオープンなので、今後は末永く並び立って人生を過ごして欲しいと願うのみ。
神評価にならなかったのは、兄の借金云々から解決に至るまでの内容が物足りなかったことと、朝南さんのイラスト自体は美麗で魅力的なのに描かれているシーンが「?」という挿し絵があったり、誤植があったり。
ちょっと残念な部分がちらほら。
ただ、とにもかくにも主人公二人が好みすぎて神寄りに近い萌×2評価です。
また朝南さんのイラストですが、本当に素敵です。
志岐のクールビューティなスーツ姿も、黒田の男前な着物姿も小説のイメージにぴったり!
まさに小説と挿し絵の幸せなマリアージュ。
これぞ自立した大人の男性同士の恋愛ドラマだと思います。いや~面白かったです。朝南かつみさんのイラストがまた素敵でうっとりしました。特にエロティックな描写が強調された物語ではないのに、男の色気たっぷりでドキドキしながら読みました。
攻も受も仕事にプライドを持ち、お互いに弱さや隙を見せるまいとする矜持があり、同情ではなく尊敬の気持ちを持って相手に接しているのがとても良かったです。志岐はツンデレな男前ですが、常に冷静で、自分のダメなところも黒田のダメなところも分かっているのが…なんというか健気で、好きでした。
上質なBL作品ってこういうのを言うんだろうなぁとしみじみ思いました。
あ~、久しぶりの大ヒット作でした。文句なく神評価です。
最初に読んだ義月さんの作品は「彼と彼氏の不適切な関係」で、これも大好きですが、それを超えたかもというすばらしい作品に出会いました。
お仕事ものとしてピンチの実家旅館を建て直す受け、志岐。その展開がまず無駄なくきっちり起伏があり面白い。
そして、柔と剛ではなく剛×剛と呼ばれた男気あふれるカップル。大好物です。
受けの志岐が、自分の想いが届かないと思っていても仕事に打ち込む前向きな人間として描かれるのが気持ちがよいし、有能で素敵なキャラ。これで最後にしようと、自分から玉砕覚悟で気持ちをぶつけにいったのもかっこよかった。
「好き、抱いて」みたいな女性っぽいキャラとは一線を画す、「満足させてみろよ」なかっこよすぎる男前受けがドストライクでした。
一方攻め黒田は和服の似合う男前。ゲイで相手をとっかえひっかえしてるが、初恋は志岐の兄で、志岐とは全く違うタイプが好み。しかし志岐の実家を何かと助けます。
そんな二人の会話は駆け引きがおしゃれで、「彼と彼氏の~」に通じるものがありますね。
最後ハピエンになるにはちょっと強引な説明もあったけど、それが気にならないくらい好みで、あっという間に読み終えてしまいました。ちょっと短いのが残念。
また男前受け探しの旅に出なくては。でもこの作品に出会えてよかった。
きっと再読するだろう数少ない作品となりました。