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  • ひとりで夜は越えられない

ひとりで夜は越えられない

hitori de yoru ha koerarenai

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作ひとりで夜は越えられない

ジェイムズ・ロス・ウェイド(ジム),米国軍人
征四郎,キャバレー従業員

その他の収録作品

  • Bonus Track

あらすじ

1950年代、日本。 征四郎は、戦争のトラウマから夜ひとりで眠ることができず、 うだつのあがらない日々を送っている。 そんなある日出会ったのは、優しい駐在アメリカ兵・ジム。 ジムは、征四郎に一目惚れをしたのだという。 これは、この人生を変える絶好のチャンスなのかもしれないーー…。 打算から始まった関係だったが、 甘やかに抱きしめられ眠りにつく日々は、 次第に征四郎の心を溶かしていく。 しかし自分たちが共に生きていく未来を思い描けずーー…。

作品情報

作品名
ひとりで夜は越えられない
著者
松基羊 
媒体
漫画(コミック)
出版社
シュークリーム
レーベル
from RED
発売日
電子発売日
ISBN
9784910526331
4.4

(203)

(125)

萌々

(54)

(20)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
26
得点
904
評価数
203
平均
4.4 / 5
神率
61.6%

レビュー投稿数26

あっさり

健気攻めが読みたいと思って「健気」にチェック入れて詳細検索したところ、こちらがヒット。

ジム、あまりにも日本語が達者すぎる……という違和感はありましたが、良き攻めでした。

でもこの内容なら上下巻が必要だったと思います。

一巻にまとめてるからどうしてもサラリと描くしかないと思うのだけど、あっさりしすぎというか、心に残る前に通り過ぎていく……。

背景としては
・攻め側:宗教上の問題で同性愛は禁忌とされている。
・戦勝国と敗戦国という立場
・受けを日本人としてまともに扱ってくれるのは攻めのみで、周囲は「ジャップ」扱い。
・受けは戦争で親友が自決&自分だけ生き残ってしまったPTSD持ち。
・受け父は鬼畜米英を地でいく元教官で、受けへの理解ゼロ。
「申し訳ございません、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」とカタカタ震えながら父に謝る姿が被虐待児みたいで闇の深さが……。

なんつー無理ゲー。

それをモノともせず愛を貫いた話ではあるんだけど、まったく愛を貫いた感がない……。

もっとも征四郎は、攻めに好意を抱いたから受け入れたわけではなく、あくまで踏み台利用してやろうという魂胆でOKしただけという打算的な付き合いから始まってるので、それが愛に変化するまでとその愛を貫くという二段階を描かないといけないわけで……
やっぱりどうしても最低2冊は必要だったと思います。

疑問点がいくつか。

メリケン男がNGなだけで、そもそもキャバレーで働いたり不特定多数の女を渡り歩いてる生活そのものは不問なのか?
お給金を実家に入れるシーンがあったが、受け取るんだぁ……と違和感が。
あの親父なら、メリケンとメリケン相手の売女が乳繰り合ってるような店の金なんて汚いとか言ってのけそうなのに。

ジムの友人トーマスとの会話は、何語だったのか?
トーマスが日本語で話すわけがないし、征四郎の英語力はゼロに等しいのに「寮にいる」ってなぜ通じたのかしら?


0

ふたりなら超えられる

ジムと出会い流れに身を任せるようにただ生きていた征四郎の顔つきが明るくなり、魅力が増していき美しいです。
2人の筋肉の描き方が違い体格差が艶っぽかったです。
単話の表記がNight.1 となっていて作品のキーワードは「夜」なのかな?
ひとりでは超えられない夜もふたりならきっと大丈夫。

最後、征四郎がこれからの2人のことを決断する経緯がうーん、説明不足?大事なシーンなのにサラッと終わってしまった。
ほんと少しの違和感なんですが、すごく気になりました。
どう描いて欲しかったのではなく、それまでのこの作品の良さ、雰囲気がそこだけちょっと違っている印象でした。
そこ以外は素敵なお話だったので、ちょっと厳しめの評価になってしまいました。
申し訳ないです。

0

もっと覚悟を見せて

 戦後間もない日本が舞台の物語。この時代の雰囲気はとても好きなので、貧しさや米兵との関係性、日本人の米兵に対する様々な感情などがリアルに描かれていた所はとても良かったです。一方、2人の恋愛関係の進展は結構トントン拍子。一度は征四郎の家族によって引き離されますが、お互いの気持ちがすれ違うことはなく、最後は2人で渡米する。若いしさほど長い期間の話でもないでしょうから勢いに乗っているということは理解できるんですが、ジムの周囲は大丈夫なのか、何か起きた時にこの2人は果たして持ち堪える力があるのか、などちょっと気になりました。

1

男前米軍兵✕ノンケ日本人

戦後間もない日本のキャバレーで店員である征と米軍兵のジムが出会います。

戦争のトラウマで夜寝られない征は女性と夜遊びする日々を送っています。
征が女性とセックスをしているシーンがあるので苦手な方はご注意下さい。

初めはジムを利用して渡米しようとする征ですが、徐々にジムに惹かれ好きになっていく様子が可愛かったです。

征の父に二人の関係が知られ、離れ離れになってしまったところは切なかったですが、クライマックスは最高としか言いようがありません。
まるで映画を見たような読後感です。
これからの征とジムの幸せを祈っています。

シーモアは白抜き修正でした。
我慢しているジムを煽る征が大変えっちでした!

0

ふたり一緒にこえていく

"同性同士の恋"というところだけではなく、越えなければならない壁がたくさんあるふたりの恋。
そもそもは征四郎がジムの真っ直ぐな気持ちを利用したようなところから始まる関係なので、征四郎の打算的な部分が見えていたりもしたけれど。
ジムの優しさとあたたかさに触れて気持ちが傾いていき、やがて本心から求めるようになっていく征四郎の姿が胸に響きました。

舞台となっているのが終戦後の日本なので、"アメリカ人"というものに敏感になってしまっているのがなんとも切なくて。
征四郎の家が特別厳しかったところもあると思いますが、閉鎖的で凝り固まった考えをする征四郎の親を見ているとすごく複雑な気持ちになりました。

でもジムはそんな扱いをされても、征四郎のことを一番に考えて咄嗟に自分を下げることができるような器の大きい人で。
悲しすぎるくらい物分りの良い彼が不憫で仕方がなくてどうにか幸せになってもらいたい…!と願わずにはいられませんでした。
なので、ふたりが本心で向き合ってまた一緒に居ることを決めてくれて嬉しかったです。

切ない場面もたくさんありましたが、最後にはふたりの晴れやかな顔を見ることができて本当に良かったなと思いました。

3

時代背景と攻め受けの設定が好み

終戦後の1950年代、まだ米軍占領下にある日本のお話です。
この作品は戦後の悲壮感と、あの時代では禁忌だった同性愛がテーマになっています。
本当は時代や世間に背く恋であるとわかっているけど、2人の愛は抑えられなくて、気持ちを確かめ合ったり、身体を重ね合わせるエッチシーンはとても素敵でした。

進駐軍の軍人×バーテンダーという攻めと受けの設定が最高です。私の性癖なんですよ、大当たりでした。さらに松基羊先生の絵がとても好みです。ジムも征ちゃんもスタイルが良くて、軍服やバーテンダーの服がとてもお似合いです。

私が好きなのはジムが征ちゃんに「俺たちのことを皆に言えたらいいのに」というシーンです。愛し合っているのに時代や世間があるから、公にできない辛さを感じました。その後悲しい表情を見せるジムに、人のいない場所でキスをする征ちゃん。2人には幸せになってほしいと思いました。

戦争で友を失い、以前の暮らしをも失った征ちゃんが、ジムの存在によって変わっていく様子も良かったです。途中家族の元へ戻り、ジムとの生活から切り離されてしまいましたが、ジムの元へと戻ろうとした征ちゃんの表情は清々しくて、でも緊張していて、征ちゃんのいい意味での割り切りと心の成長が感じられました。

途中離れ離れになってしまいどうなるのか心配でしたが、お互いにとって良い結果になったと思います。ただ、2人にはこれから大変な生活が待ち受けているのだと思います。幸せに満ちた生活ばかりではないかもしれないけど、2人が信じ合って生きてほしいなと思いました。
本当ならば1巻だけでなく、もっとたっぷりと2人の愛を見られたら良かったなというのが本音です。ですがこの難しい時代背景をBLに落とし込み、さらに萌えを表現できる松基羊先生はすごいと思います。



1

乗り越えた先には

戦後のBL待ってました。
米兵との恋…
時代背景的には禁断の男同士。タブー。
勝国と負国。

ノンケの征があんまりにも抵抗なく米兵&男を受け入れるから、よっぽど世を儚げに生きてたんだな…
戦友の死、家の事情、トラウマ、全てジムが包んで癒してあげて、こんな人のいい進駐軍は読み物で初めて…
1巻読み切りじゃなくて五巻ぐらいのボリュームで読みたかったー

アニメイト20ページ小冊子もホッとしました。
どうか死がふたりを分つまでお幸せに。。。

5

征四郎のキャラが良い

1951年、敗戦後の日本から進駐軍が引き上げる直前という時代設定のBLロマンス。アメリカ軍人×日本人バーテンダーのお話です。レトロで切ない雰囲気が良いです。進駐軍基地の近くのキャバレーで働く征四郎。女性目当ての店のはずなのにやたらと男にモテてしまう人です。私の好きなやつ。萌えー。

黒髪で儚げに見えてバーテンダーの制服が似合う。細身のベストで腰がキュッとしまって見えるやつ。あのスタイルの男性が出てくるだけでテンション上がります。バーテンダー受けのBLに大体ハズレはないので(個人の感想です)。男の経験もないのに積極的にゲイのジムを誘うなど大胆な所もあるのですが戦地でのトラウマを抱え夜は1人で寝られないという弱さも持ち魅力ある受けだと思います。征四郎という名前も凛々しくて好き。

ハッピーエンドというのも夢があって良い。あの後も時代的には色々困難だらけだったとは思うけど征四郎とジムの2人には図太く幸せに生きてほしいなあと思いました。あれだけ色々詰め込んで一冊にまとまってるのもすごいと思いました。

4

じっくりゆっくり

スト重作品で非常に好感の持てる作品に出会いました!
レビューランキングと神率を信じて良かったです。

1冊でこの内容を纏め切る芸当は流石プロ!
テーマもありふれた内容ではなく、この作品だからこそ、という作品の価値を感じました。

願わくは続きも読ませていただけると更に嬉しい、とついつい欲が出てしまう程、作品の世界観が確立されていました。
じっくりゆっくりと物語の中に浸かる事が出来、満足感、至福感に充足しております。

BLで片方が外国人攻めの場合、天然・チャラ男が多い気がしていましたがジムは新たな苦悩キャラとして私の萌所を刺激してくれました。
新たな出会いに今、私の新しい扉が開いています…!

10

1巻だけといわず

物語の舞台は戦後の日本。
戦争でトラウマを負った征四郎は夜一人で眠ることが出来ない日々が続いていました。
そんなある日、征四郎の働くキャバレーでアメリカ兵のジムと知り合います。
はじめはジムを利用して人生を変えようと企む征四郎でしたが、
次第にジムの純粋さに惹かれてゆき…。

時代背景やテーマがテーマだけに重みはあるけれど、
二人が大切なものを捨ててでも互いを選び、純愛を貫く姿に
心をゆすぶられてしまいました。

戦後まもないこの時代、人種や宗教、文化の違いはまだ大きくて、
そんな中で愛し合う二人の生きづらさが嫌という程に伝わってきて
息苦しかった。

けれど、そんな中だからこそ、互いの存在に救われる二人の愛が
尊く感じられもしました。

後半は少しばかり駆け足に感じてしまい、重みのある設定だけに
1冊にまとめるには少々ページ数が足りなかったのではないでしょうか。
この1冊だけで終えてしまうなんてもったいない。
できるなら続き物としてじっくり読みたかったなぁ。

3

戦後の日本

戦後の日本が舞台で、アメリカ人と日本人のお話です。
日本人側にPTSDがあり、それを乗り越えるお話で最後はやっぱりウルウルします…。
絵柄も凄く綺麗で、エロもエロいです。特にアニメイト小冊子がエロいのでオススメです。

ストーリーは、1巻完結なのでサクサクと進みます。日本人側の実家問題とかもありますが、解決はしていないけど切り捨ててこちらもサクッとですね。

戦時中は少ししか出てこないので、グロダメな方も大丈夫です。

綺麗な救済ストーリーなので、是非読んでみてください。









紙本購入
本編・アニメイト小冊子ともに修正は白抜きとトーンです。

3

戦後の日本

戦後日本の話でした。予備知識なく読んだので、ちょっとびっくりしました。
戦後日本の男にしては征がきれいな男だったからかな。

読み進めるうちに、そうだったんだ、と思うことがたくさん。
作品の最初、征が女性を抱いていて寝落ちしていたシーン。あれはつまらなさを表現しているのかと思っていたんですけれど、それだけじゃなくて、征四郎が眠れないからなんですね。そして、それが変えの心の傷を表現していたとは。
ジムの方から、2人の関係を見た時に、彼にも打算的な所もあったのかと驚きました。

2人とも孤独で、誰かを求めていたんですね。
征四郎が勇気を出して、ジムに会いに行ってくれて良かった。
ジムは優しすぎる。相手を優先しすぎます。
アメリカに行ったら、困難な事が多いだろうけど、ジムが愛し続けてくれたら大丈夫だと思いたい。

4

男女ものなら王道の、米兵との恋

戦後の日本。キャバレーのボーイとして働く征四郎は、店内で騒ぎを起こした米兵を止め、場をおさめてくれた同じ米兵のジムと親しくなる。ジムは日本の文化に興味があり、日本語も堪能で、実は以前から征四郎を見かけて一目惚れしていたのだと告白される。
日々の生活に倦み、閉塞した場所から抜け出すために、征四郎はジムと付き合ってみることにする。というお話。

征四郎は戦地で友人を失ったことで心に傷を負い、暗い夜にひとりで眠ることができなくなっています。それがジムと一緒にいるようになり彼を好きになってから、少しずつ癒やされていく様子が描かれています。
暗い内容を帯びつつも、全体的には明るい印象です。

戦後の日本が舞台で、しかも本作は、男女ものであれば内容がかなり王道といいますか。
日本の女性と米兵の恋はドラマや映画でも昔からよくありますが、それをBLに直球で置き直したのは、珍しいような?
男女ものとの違いは、同性愛はアメリカ本国でもタブーと言及されていること、出征の経験があること(女性だと銃後)、実家に連れ戻されても縁談を断れること(娘だったらほぼ絶対服従)、実家に連れ戻されてもその気になれば会いに行けること(行動範囲が広い)、 などでしょうか。ということを、読みながら考えていました。
征四郎に関して言えば、前述の戦争で友人を失った心の傷は深刻ではあるものの、客商売が出来るくらいには社交的に振る舞える心の余裕はあるし、実家に連れ戻されて家業を継いでも特に軟禁状態とかでもないので、本人が認識しているよりは結構自由に生きているように見えます。
ラストも、かなりあっさりと新天地へ旅立ったことが印象的でした。もともと征四郎はこの場所から出たいと言っていたこともありますし、引きずる要素が無いんですよね。
一方でジムについては、あまり詳しくバックボーンが分からないのですが、打算が見え隠れする征四郎と比べると、彼への恋心が相当強いように思えます。
もしかしたらこの後、新生活を送っていく中で、征四郎が本気でジムを愛するようになるのかも知れませんが、本作だけだと微妙に消化不良に感じました。

2

戦後と不眠と

戦後の米軍占領下のアメリカ兵と日本人のお話。

アメリカ兵向けのバーで働く日本人の征四郎が、ある日アメリカ兵のジムに出会います。
ジムは最初から征四郎に好意を寄せており、征四郎は打算的な考えから交際が始まって…というお話でした。


※※以外感想です。ネタバレになるかもしれないのでお気をつけ下さい。※※












戦後のお話ですし、時代に翻弄された2人の壮大なお話だと思っていたのですが、案外あっさりと読み終えてしまいました。
ストーリーの流れに欠落はないと思うし、読みやすかったです。

何というか、戦後の時代背景としては、征四郎の言動がオープン過ぎといいますか、もう少し現代寄りの人のように感じてしまいました。
戦後ですし、アメリカ人を憎んでいる父親はわかるのですが、そこまで生活に困窮していないのに
アメリカ兵向けのバーで働く征四郎のお金を受け取る所とか、それまで好きにさせていたとか、私の理解が追いつかない所がありました。

征四郎が夜1人で眠れなくなったトラウマに対してや、ジムの抱えている葛藤も深く描かれていなかったので
こんな時代に色々な事を抱えてそれでも愛を貫いた2人なのに、あっさりした関係に見えてしまいました。自分の読解力が乏しいから理解できずすいません。
不幸であればいいという訳ではないですが、もう少し深く掘り下げて欲しかったな、と思いました。


とはいえ、絵はとてもきれいで、あまり重くならずに読めますし、読みやすいストーリーでした。
良いお話のはずなのですが、理解しきれなかったのが悔しいです。

4

ずっと切ない

初読みの作家様でした。
終戦直後ということもあり、攻め受けともに過去から抱えている心の傷があって、どこか哀愁をおびていてエモ…。とくに受けさんが、華奢とか女性的なところは一切ないのですが儚げで危うい魅力があって(眼差しに色気があるのかな)、まず第一印象で攻めさんの心にストンとささったっていうところに説得力があるな〜と思いました。
終戦直後の日本が舞台になっているっていうのも購入ポイントでした。当時の事情は知っている情報から推測する範囲でしかないんですけど、ふたりの出会いからその後までのドラマを、当時の社会背景にとてもよく落とし込まれている印象をうけました。最終的に、”はぁよかった〜♪”だけではない余韻が残り、単純に萌えた〜!って言いきれないのですが、だからこそ、とてもいい作品だと思います。

正直、上下巻くらいでそれぞれのバックボーン(戦中の話とか攻めさんの生い立ちとか)についてもっと詳細知りたかったかも〜っとか、この一巻でもよくまとまっているのですけど、もっと長尺で読んだらもっと深みがましてもっと感動したかもなっていうところはありました。とはいえ、昭和初期男子のファッションは眼福でした!!もっとこの時代のもの読みたいです。

4

おススメです!

発売日ツイで1話目試し読み出来て、即アニメイトさんへ駆け込みました。
松基先生は何冊か読んだ位で新刊チェックまではしておらず、今度からチェックは怠らないように!と自戒しました。
だいたいこの時代のお話が好きなんだと思います。
だから楽しく読めました。
2人ともカッコいいしえちシーンも色っぽい。
きっとこれからも読み返します。
あと、細かい文句です。
すみません。

1950年代の日本とありましたし、ラストは1951年ですのでお話初めは1950年と推定出来るのですが、ちょっと違和感。
このお話の舞台が海のある、のちの米軍基地町なのでしょうが地方都市ならわかる。
でも東京に近い大都市、横須賀とかならかなりの違和感です。
ダンスホールに来る女性たちの着物姿の多さとか若い青年がアメリカ人をメリケンと呼ぶのとか。
明治生まれのおばあちゃんだって小麦粉をメリケン粉とは言っていましたがアメリカ人をメリケンなんて言ってなかった。
大都市の暮らしと地方都市の暮らしは相当違っていたとは思うのですが、、、
私にはこのお話はやはり40年代後半に見えました。

古い時代を描かれる先生方自身はお若いので当時を身近に感じられる者にとっては細かく気になります。
正確なタイトルを忘れていますが、「ジーンへの手紙??」を読んで唖然とした箇所がありました。
直接指摘しようとしましたが面倒になってやめました。
二刷以降で変えて下さっていると良いなとは思います。
編集者もお若いから分かって頂けないのでしょう。
きちんと時代背景を把握して欲しいのですがもう難しいのですか。

あと、有償特典小冊子を読むと分かるのですがジムは小さな町?の敬虔なクリスチャンです。
大人になっても日曜学校に行くような善人。
直ぐそこにビートニク達の時代が待ってはいますが実際には大都市の進んだ?人々限定です。
だからこそ同性愛は罪、罰を受けるべき罪だという認識が染み込んでいます。
私からしたらちゃらんぽらんにしか見えない日本人の誘いは悪魔的だったはず。
なのにその日本人を本国に連れて帰る、それってめちゃくちゃ勇気のいる選択だったと思います。
日本出国時には軍を辞めている(はず)、母含め身内がいないなどなど条件は整っていたとはいえ彼にとっては人生最大の決断だったかと。
2人の行く末に数々の困難あれどそれを上回る幸福が訪れますように!

3

時代上理解をを得がたい関係×2

(まず、発売日に購入しにいくとどこにもおいていなかった。地方なので流通かな?とおもったが、翌日もどこにもない。県内に2つあるうちのアニメイトの1つには、一冊だけあったが、新刊が一冊しかないことがあるか?と思い小冊子つきをねらっていた私はもう一店舗に在庫確認の電話をした。
すると、「こちらの店舗では限定版も通常版も予約のみとなっており取り扱いはございません」とのこと。しかも「○○県ですと、他の書店さんでも取り扱いはないとおもいます。アニメイト○○(今いる方)ではキャンセル分がもしかしたらあるかもしれません」と言われてしまった。
うそだろ、そんなに手に入らない本なのか。この1冊は幻の1冊ということか。なぜそんなに刷られてないんだ。うちの県だけ特殊なのか。
そして、読み終わってから思う。最高なのでただちに増刷して本屋に置きまくろう。もったいなさすぎる。地方のかたはお気をつけください。)

ということでやっとのことで手に入れたこの本!!
戦前から戦後すぐあたりのお話が大好きな私にはささりまくりました!!
戦争によるトラウマ持ちの受け征四郎と、同性愛者である自分をどこか責めている攻めジェイムズのお話
戦後、主人公の征四郎は、夜のお店で働いています。そんなある日、ジェイムズという駐在軍人に下心から声をかけられます。戦争に生き残ってもこんなんな自分も、お店の女の子みたくアメリカ人を利用してチャンスをつかんでやろうかと、やけになった征四郎はジェームズに付き合おうと提案します。不安げなジェイムズは2人の関係を口外しないことを約束に提案を受け入れ物語は始まります。
(ネタバレですが)最高ポイントとして、PTSDで夜暗闇で1人ではいられない征四郎を、ちゃかす触れずな訳ではなくちゃんと理解して包み込んでくれるジェイムズがよすぎます。2人で過ごす夜が征四郎のジェイムズに対する気持ちを愛に変えていきます。

しかし、さほど戦後の傷を感じることはなかったです。
テーマは戦争ものによくありがちな戦後の傷が残るなかで2人で支え合えばいいというようなものではなく、時代の問題で同性愛が許されていないこと国籍が違うことがメインです。
戦後ものの王道を求めている方には合わないかなと思います。
戦後の日本を大きくテーマの軸にした作品を読みたいならば、「銀座ネオンパラダイス」「やぎさん郵便」あたりがやはり秀逸でしょうか。
しかし、駐在軍人とのBLというのはなかなかに珍しいですし、その設定によってほかの戦後ものとは一線を画しています。
生き残った自分は、身内や友を殺した国の人とキスしてるという罪悪感と背徳感。
それはこの設定ならではだと思います。

ただ個人的に少しだけ残念なのは、征四郎が夜に眠れないPTSDの症状のきっかけとなる出来事、何度も名前がでてくる親友の描写がほぼなく、その深刻さが伝わりませんでした。
それで征四郎が苦しんでいる場面もトラウマ持ち主人公にしては少なめなので、ふーんくらいで終わってしまいます。

また、同性愛への偏見の方がテーマとして大きいのでジェイムズのトラウマというか苦悩ももう少し見せてほしかった。
アメリカで傷つき、日本で依存するくらいの恋をしたのにそれに裏切られて傷つく。この話で一番心の傷が大きいのは征四郎よりもジェイムズなのかもしれない。
そんなジェイムズが、利用されてるのがわかっていた上で征四郎愛し続けた結果、最後は一番ほしかったものを手に入れられたのはよかったです。
そして最後は駆け足気味。(ネタバレですが)急に6ヶ月が経過するのため、離れていたときの2人の心理描写が少なく再開後の感動の感情移入は少ししにくいです。
でも先生が描きたいものはいたいほどわかるんです。
ただ、ページが足りないのであと200ページくらいさしあげたい。

上記の理由から、全体として、さほど深い悲しみがあるわけでも戦争の悲惨さを感じさせるわけでもないので案外さらっと読めます。
ですが受けの家族から受ける扱いだったり、ゲイカップルという理解してもらえない関係に敗戦国と勝戦国の人間というさらに理解を得られない関係がプラスされ、この物語に深みをもたらしており実に切ないです。

最後に欲をいえば、アメリカ移住後のお話はなく(小冊子には少しあるらしいが)、そこがよみたいよぉとなるので次はそこを描いた作品をくださいお願いします。
同性愛への風当たりが強い中、しかも差別対象のジャップがアメリカに住む。えぐいネタですね。

素晴らしい作品ですので、見かけたら是非読んでみてください!!

5

もっとジムを大切にしてあげて!!

評価を見て神率が高くて及び腰で読んでみました。

最後は良かった。征の思い通りになったね。

ただな…。
終戦直後を想像するしかない自分が何を言っても意味がないんだけど。
征のメリケン連呼が気になって。
そして征のしたたかさ。
ジムのことを…。あんなに良い人で一生懸命なのに…。
自分に惚れた男を利用するのが苦手なんです。が、そう思ってたらいつの間にか自分も惚れちゃってってのは良い。でも引き裂かれて後で心底苦しむのは読んでて辛い。

ジムの健気さに感動するのと予想通りというのと。征の思惑をわかってて、それでも征の気持ちを大切にしたくて、なのにやっぱり…で。自分を責めないで、ジム!!

どうもジムに肩入れしてしまいます。

2

花札って4枚1組で12ヶ月を現してるんだよ 知ってた?

言い方わるいですが 幸と不幸だったら 不幸 の方を読みたがります

他人の中にある陰鬱で腐敗したものを自分の中にたまる汚泥と混ぜて疑似体験しているようになるのが好きなんだと思います
いや 最後はだいたい救われるじゃないですか だから一緒に闇に溺れて救われた時の高揚を共にしたいと言うか

なので 不自然な展開で下手なお涙頂戴や感動の押し売りみたいなものになってしまうのがイヤというか 変に冷めてしまうような

ここがね あたしのダメなところです
常に一歩引いていて 素直に感動することができない
お話のよさ云々より わざとらしさやあざとさを先に見つけようとしてしまう

うん 最低です ほんとサイテイ


さ 言い訳はこれくらいで

松村さんの描かれる脛に傷もつ大人の男 と言うのか 腹に一物背に荷物な男も嫌いじゃないが 妙な色気(陰)や憂いのある大人の男がすきです


メリケンなんていう懐かしい言葉に始まるのは 戦争の爪痕がまだ残る時代をいきる人たちの日常
その中で 日に流される根なし草のような生き方を迷い 抜けだすことを選ぶ男


戦地から帰った人の話でよく聞くそれのせいで ひとりで夜を過ごすことができなくなったのはいいのだけれど そこに必ず出てくる「栄吉」が この征四郎にとってどんな存在だったのかがまったく語られてない

彼の最期にした仕打ちに悩みながらも何度も思い返し 父にまで罵られているのに
だからなのかほんとは「栄吉」に対して特別な感情があって ジムの好意を利用としながらも受け入れることに躊躇がなかったんじゃないかとか 変に勘ぐりたくなってしまう

ジムとの関係はほんとによかったんです 穏やかで 優しくて

誰かを求めてやまない孤独を抱えているのも その別れに後ろめたさや後悔があるのも
時代のせいにして偏るものが罷り通る中での許されない恋も 苦しい想いも 寄り添う喜びも葛藤も

そりゃもう大好きですよ こういったお話
でも 栄吉が気になって

親友だったんだろうし 戦友で苦楽をともししたんだろうけど
眠れなくなる理由はもっと別のものであってくれた方があたしにはスッキリできたかな

いや 激動の時代につけた傷を癒し幸せに向かって歩んでいく 明るい門出のお話ってのをゆっくり読ませていただけたのはほんとよかったんだけど 申し訳ない

この時代のこの手のお話だからこそ ふんわりで甘いく済ませた方がいいんだろうけど あまりにも綺麗すぎて 失望も欲望も御馳走なあたしとしたらもうちょっとだけ激情に馳せるところは見たかったかな

3

いろいろ考えさせられた物語

戦後の日本で出会った元日本兵でキャバレーのボーイをしている征と進駐アメリカ軍人のジム。
戦時でのPTSDによってひとりで眠れない征は、辛い現実から逃げ出す手段としてジムの好意を利用して「カップルになろう」と提案して、ふたりの関係がはじまります。
アメリカで同性愛は罪になり、日本でも誰も認めてくれない関係。ふたりの時代は現在よりももっと厳しい環境なんだと分かります。

征が好きなジムは征の言葉や行動に対してほんとに嬉しそうに笑ったり照れたりして、それがとても可愛らしかったです。
でも、征に煽られてお風呂で攻める時の顔はめちゃくちゃ雄でした!普段の様子とのギャップがよかったです。
そして、征がだんだん可愛くなっていくのを見ているのも楽しかったです。

一緒に楽しく過ごしている間にふたりの気持ちも身体も近づいていきます。しかし甘い日々は長く続かず、ふたりは厳しい現実世界にぶち当たります。
それぞれの過去とこれからの生き方を考えなくてはいけなくなります。戦後、同性愛、元敵国、親との関係…、どれほどの苦しい選択や迷いがあったんだろうと、考え深かったです。

ぜひ、あまりネタバレなしのままに読んで、いろいろ感じて考えてほしいなと思いました。


そして最後に泣かされました。ああ、やっぱりそうだよねって。
とても素敵なエンディングでした。

ふたりがアメリカでどう過ごしていたのかも読みたいなと思いました。

4

いろんな壁を乗り越えて

くぅぅっっ……。
これは良い話だ。良い話過ぎる…

現代のように自由な恋愛が出来ない時代背景や人種の違い、生まれ育った家柄といった色んな制限や制約の中で、2人が出会い恋に落ちていく…っていうお話なんですけどね、すんごく響のなんのって。

いろんな制約が2人を取り巻いているっていうのがストーリーの見どころです。恋愛の障害が多く、辛いし悲しいし胸が抉られます。中盤に訪れる2人の別れのシーンには涙を流してしまいました。(うぅ…)


1950年代の戦後の日本が舞台。
アメリカ兵が集まるキャバレーでウェイターとして働く征四郎と、日本駐留のアメリカ軍兵士のジムが、店のトラブルごとをきっかけに親しくなり、秘密の恋人になっていくのが物語の始まりです。

ジムは征四郎のことが初めから好きだけど、征四郎は面白くない日常から抜けるためにジムとの"恋愛"を利用しています。ジムと過ごす時間が心地よく、徐々に本気の恋に発展していくようになります。

ジムが見た目も性格も本当にいい男で、征四郎のことが大好きで大事にしてるっていうのが萌え度ギューンです。セックスだってそう。征四郎が挑発しても我慢で乗り切る姿には敬服しました。

征四郎はPTSDみたいな症状を患っていて、誰かが側にいないと眠れません。だけど征四郎の傍らには征四郎を優しく包み込むジムの姿があって、征四郎は安心して夜を過ごすことが出来ます^ ^


ジムと過ごす楽しい日々に忍び寄る影……征四郎に服従と脅えを与える父親の存在が2人を容赦なく引き剥がします。
同性愛の認知も皆無な世界。ましてや相手は敵国の人間ともなると、状況はなかなか難しいです。周囲からは禁断の恋であっても、当事者2人にとっては禁断でもなんでもなく、ただただ愛し合っているだけなのにね。

父親の征四郎に対する仕打ちは衝撃でした∑(゚Д゚)
それを見て思ったのは、征四郎をPTSDに追い込んでいたのって征四郎の父親だったんじゃないかということ。恐らく戦争に行く前からその根っこはあって、戦死した仲間の自決はきっかけに過ぎなかったのかも。

見えない暗闇から救ってくれたのがジムだと気付けて本当に良かった。大事な人を失わずにいられて良かったです。ジムはいつも征四郎の心の中にいて助けてくれたんですね(*´︶`*)


立ちはだかる高い壁を乗り越えて結ばれた愛の物語は、すごく面白かったです。結ばれるには厳しい時代だけど、でも一緒になりたいと願う想いはそのぶんとても強かったと思うし、エンディングは感動的でした。

私としては、最後に征四郎のお母さんが見送りに来て泣いていたところが胸にグッときました。
お母さん、本当は征四郎の味方でいたかったと思う。征四郎の心の病にも見て見ぬふりじゃなくて、夫の手前寄り添えなかったのかも知れない。…なんて別のドラマを想像しちゃいました。
こんな形で息子と離れるのは苦しかっただろうな。見送りに来たのは、見知らぬ土地へ旅立つ息子を心配する気持ちと、ジムとの愛を応援する意味があったと思いたいです。


読み終わったあとは、映画を一本観終わったような感覚でした。アメリカでは、きっと幸せに満ちたふたり暮らし生活を送っていることでしょうね。
征四郎とジムに、70年後には同性カップルにも住みやすい時代がくるんだよと教えたいです。

15

戦後が舞台の米兵と元日本兵の恋

この設定は、、萌えないわけがない、、!

第二次対戦後の米軍に進駐された日本を舞台に、日本文化を愛する紳士な米兵・ジムと、ウェイターとして働く元兵士・征四郎が愛を育んでいく話。

はじめから好きあっていたのではなく、互いに諦念のようなものを持ちながら、ジムは一夜の慰み(と言っても性的な目的ではない)のために、征四郎は薄暗い日々からの脱出を求めて手を伸ばす・・・。

同性愛者であることを隠し生きてきたジム(当時?アメリカでは禁止されていた模様)と、兄や仲間を討った敵国の兵士との関係に罪悪感を感じる征四郎。この背徳感が・・・ヤバいです。

BLって元々は背徳感から萌えるタイプのものが多かった?んじゃないかと思うんですが、時代が変わり、日本でもダイバーシティが叫ばれるようになって、最近では作品の中でも『男同士だからってなんか気にすることある?』なキャラクターがメイン/サブともに増えてきていると感じます。その中で、たま〜にこういう作品に出逢ってしまうと・・・!たまらない!

戦中や戦後を描くのは、雰囲気がめちゃくちゃに大事で、ともすれば“設定が前時代なだけ”になってしまいがちですが、こちらの作品は空気感まで感じられる素晴らしいものです。

きっとここで終わりなのだと思いますが、その後の二人も気になる・・・!ぜひぜひお勧めしたい一冊です。ジムの包容力に乾杯!

8

いつか朝ドラに・・・!!!

これは・・・!!!
【神作品】以外での評価が出来ない、、、

ネタバレは既に熱いパッションと共に書いて下さっている方が多いので私は核心には可能な限り触れず『読んで欲しい!読めて良かった!!』というパッションを伝えられたら・・・!という想いを旨にレビューをさせていただけたら。。。
伝えられるようガンバリマス٩( 'ω' )و

舞台設定が戦後間もない日本
タイトルにも付けましたが朝ドラに取り上げられやすい時代背景
実際、朝ドラにはなかなか取り上げられないだろうけど、この時代にだって間違いなく生きていたBLはあったハズ!!
それをとても上手に描いて下さっています。
きっとジムも征四郎も「存在していた」んだろうなぁ・・・と無理なく想わせてくれる構成にグイグイ惹き込まれます。

本当に2人の存在やその時代の人々の生活を覗いているような感覚になってしまうからなのか、、、こんなに普段から現代の普及し切ったBLの世界に浸かった私でも感じる背徳感、、、!
よくあるシュチュエーション選択では決して巡り会えない類の「生粋の背徳感」とでも言うのでしょうか、、、?
この作品でしか得られないエモーショナルな感覚に陥りました。
気付いた時には胸熱、、、
この感動を是非伝えたい!!!と思いレビューしております。

たかだか80年弱前の世界、されどこの80年でどれだけ時代が変動した事か・・・
そんな前時代を生きたであろうジムと征四郎に想いを馳せながらもう一度、いや何度でもページをめくりたくなる良作でした。

拙いレビューで伝わり切っていない感は否めないのが心苦しいところですがちょっとでも気になったら読んでみて欲しい。。。!!!と心から願わずにはいられない。
と、ひとりごちながら夜を超えているワタシ。。。

巡り会えて良かった、、、
素晴らしい作品を生み出して下さってありがとうございました!!

13

戦後復興期の日本が舞台!背徳感が最高です

戦後復興期の日本が舞台で【駐屯米兵×日本人青年(元兵士)】と言う、背徳感溢れるCPがエモすぎて堪らない!
もう、昭和文化が大好きで特に戦後復興の混沌とした街の雰囲気や文化が好きなので、自分の嗜好に刺さりまくる作品でした。

敵国だった米兵相手に、そんな簡単に誘えるのか…?と感じそうですが、戦後復興期の混沌とした時代背景と「今の暮らしを良くしたい」のハングリー精神で腑に落ちます。

初めはジムの好意を利用して"人生変えてやろう"と打算的に近づいた征四郎ですが、ジムの優しさや温もりに惹かれていき「いつか終わる関係なのに…」と葛藤する様子にグッときました。
"戦勝国"と"敗戦国"の差を実感して悔しさを滲ませたり、敵国だった米兵相手に惹かれる罪悪感など、イチャイチャしつつも何処か仄暗さを感じる関係性が堪りません…!

一方、同性愛=犯罪なアメリカで差別される恐怖や、性的指向が認められない社会に息苦しさを覚えていたジム。
彼もまた、ひっそりと心に闇を抱えていた訳です。
一目惚れした征四郎に対して「仕事上でも良い、一晩だけで良いから傍にいて欲しい」と思っていた筈が、恋人のように優しく触れ合い受け入れる征四郎にどんどん夢中になっていき……

寄り添いあって傷を癒し合う2人の関係性が本当に尊い!
世間が何と言おうと、お互いがお互いじゃなきゃ駄目なんです…!
2人の様々な葛藤が見え隠れする背徳感に悶えました…

そして、普段は征四郎を傷つけないように気遣っているジムが、征四郎の誘惑に煽られて少し強引になるギャップが堪りません!!

仄暗い時代背景ですが、酷い暴力表現等はなく最後はハッピーエンドで読後感もスッキリ!
紆余曲折あった2人だからこそ、描き下ろしでの甘々エッチに幸福感もひとしおでした。

▶︎シーモア/白抜き※シーモア限定→描き下ろし1P漫画

7

誰にも許されない時代に

タイトルが絶妙に効いて伏線回収にグッときました…!

舞台が終戦後の日本で同性愛が許されない時代。
ましてや相手が敵国の兵士となれば以ての外です。
この作品で描かれているのは、
自由恋愛が許されない時代の人目を避けた関係でーーー。

時代的にも差別もシンドイ世界観なので
「めっちゃ良かった!」って感想は違うのかな?
でも私の語彙力では「めっちゃ良かった!」しか出ないのもどかしい…ううう…。

エモいとかふさわしくない言葉かも知れないけど、
家の中だけ誰の目も気にせずじゃれ合うのがエモかった!
誰にも許されないからこそ互いを許し合ってる尊さある。

こういう軽い感想は世界観崩しちゃうけど、
でもタイトルの回収が胸を鷲掴みにする上手さがあって。
許されない時代に愛を貫く姿がなんとも言えず眩しくて。
ただ一言、すっごい良かったです…(;///;)


さてさて。


受け:征四郎
あらすじにも書いてあるように、
戦争中のトラウマで一人で眠ることが出来ません。
(女性と性行為している描写があるのでご注意…!)
トラウマに苦しんでいる現状を親から批難されています。

攻め:ジム
明るくてワンコっぽい雰囲気もある好青年。
ゲイを自認していますが宗教上それは罪で…。
隠しながら生きていますが、
淋しげな征四郎を見た時から惹かれているのですね。

ジムの恋心を知った征四郎は、
ジムを利用する作戦を思いついてーーーと展開します。


ノンケの征四郎が人生を変える為にした覚悟。
ジムを利用して常に優位を保つ打算が見えながらも、
 ・少し前まで敵だった兵士に抱かれること
 ・敵国の手で亡くなった同胞への罪悪感
複雑な感情が綯い交ぜになっているのがなんとも言えません。

そしてジムもバカじゃないので、
征四郎の誘い言葉に好意が含まれてないのは気付いてます。
でも!好きな人に誘われてる現状に抗えないのも事実で!
好かれてないとわかってて付き合い始めるのが切なキュンなんですよ…(;///;)

前半の征四郎は打算的な表情が憎いッッッ!(グゥ~)
けれどジムはめーーーーちゃくちゃ可愛いです!!
"征四郎大好き"が全身から溢れてキュンキュンしました///

ジム:「征がワタシを好きになってくれる日がきたら」
   「貴方をください」

これがギュ~~~~ッ!!!ってきた(;///;)
健気一途な攻めにもぅキュンキュン堪らんです。
んでこのセリフがあったからこそ、
初エッチが感無量なんですよー!!!(;///;)

2人で過ごす時間は幸せで楽しそうだけど一歩外に出たらーーー。

外では雇い主と使用人の関係と説明してるし、
征四郎の親にバレたときはそりゃもぅ……(涙)
涙ダパダパしながら読み、
タイトルが絶妙に絡んできてグッときました。
ほんともぅ、すごい良かった…。救済BL最高。


令和になって「多様性」を耳にする機会が増えましたね。
性自認や同性愛などセンシティブなものも含まれており、
時代はどんどん変化しているなと実感する今日この頃です。

彼等が今の時代を知ったらどう感じるのかな?
今って堂々と恋愛出来るように変化した未来なんですよね。
少しずつだけど。まだまだ人それぞれ考え方が違うけど…。
時代的背景も踏まえつつ、思いを馳せながら読了しました。

(つーか日本の歴史だと男色文化もあったのにね)
(歴史的には同性愛が差別されてた時代のが短いのか)
(なんにせよ時代に振り回されるのはシンドイよな…)


※特典バレ注意※
描き下ろしはイチャイチャエッチで素晴らしく美味しい。
それはそれとして、もう少し先の生活も見たい~!ってなるんですが、
アニメイト特典小冊子では移住後の生活が少し見られて良かったです!

どこへ行っても秘密は変わらないけれど、
それでも互いが許し合っている関係にジンワリします。
かけがえのない存在に出会えて良かった…(∩´///`∩)

8

戦後時代の禁断の恋

ジム×征四郎

戦争のトラウマから生き抜く、
敵同士という一線や、
同性愛の壁を踏み越える
1950年代の日本に舞台にした禁断の恋物語です。

戦場を生き延び、帰ってきた征四郎は、
駐在アメリカ兵・ジムに一目惚れをされた。

戦場で受けた精神的なストレスについて、
戦地で友の死を体験したトラウマで夜ひとりで眠ることができず、 うだつのあがらない日々を送っている征四郎が
「このどうしようもない日々から抜け出すために」
ジムとカップルになってみると提案する。
同性愛者ではない征四郎が初対面のジムにこのような提案するのは、
自分の存在の頼り甲斐を見失った状態となって、人知れずに苦しんでいるでしょう。
戦争トラウマの恐ろしさがはっきり見えます。

一方、
当時に苛烈な同性愛者差別の強いアメリカで、
同性愛への人権侵害的な脅迫、暴行、リンチなどを起こしていた。
同性愛者のジムは、肉体的だけではなく心理的も恐怖で浮き彫りとなったはず。

日々に溶け込む癒えることのない心の傷を抱える2人・・・

征四郎が恋愛ごっこのつもりだが、
ジムの高鳴る胸の鼓動に安心する。
孤独な征四郎にとって、ジムは唯一の友人(友人以上)となっていく。
不安定になる累の気持ちを埋めるように共に過ごす時間の楽しさに気づき、
眠りにつく日々の中でだんだんジムに惹かれていく。

愛し合うことによって、2人の心の傷を浄化する。
トラウマが溶けて、傷の舐め合い・・・ようやく気持ちが通じ合うようになる。

・・・

敵国の兵士と友とすること、親しむことは断じて容認されない。
征四郎の家族から反対され、さらに悩みが深くなる関係の形に変える。

赦すところが、
疑問や不安で世間の目に突っ走ってしまう・・・

心身共に通じるはず2人はどのように苦悩を超えて向き合っていくのか・・・?


征四郎視点の中にジム視点でも描かれているので、
2人の感情の動きが染みこむように伝わってきます。
戦争のトラウマ、特に彼らの同性愛や敵同士への葛藤が心の底まで揺さぶられました。

現代社会にある寛容性、選択の自由さがなかった時代に、
自分の存在の正当性を見失いやすい。
世間という判断基準は人の良さとしてみられ、 
自分と考えが異なる人間に自分の考えを押し付けるのは不可能である。
このような同調圧力と閉塞感が頭から離れず悶々としていました。

幸せを探すーー世間の価値基準に左右されないように自分の価値観を主体に生きていること。
世間体は気にしない、毎日を自分なりに楽しく生きようと思うようになりました。

孤独の心に寄り添い、
切なくても幸福度がしみじみ上がる作品でした。

8

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