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杉原先生の作品は初めて読みました。レビューが多かったせいか以前から興味はあったのですが、やっと読む事が出来ました。
感想として、綺麗な物語だと思いました。有理と怜人、初めてお互いが出逢い、運命のいたずらか別れがあり、そして偶然の再会。
どの場面も作者さんの表現や場面がとても良いんですよね。
お互いに幼い頃から家族環境による苦労や悲しみ。そしてそれをお互い決して口に出さず、自分の胸にしまい、そして苦しんで。
一度は怜人は記憶を失くしたまま有理と再会するのですが、やはり2人の絆は強かったようです。怜人は徐々に記憶を戻して行きます。それがまたロマンチックなんですよねー、萌えます。
最後はハピエンの様でしたが、有理パパはどうしたー!? 是非スピンオフを!
2007年の作品ということですが、ここ最近のBL小説に無い素晴らしい、杉原先生独特の世界観に浸れました。
評価だけあげてレビューはしないでおこうかと思ったのですが、とても印象的な作品だったのでやっぱり語らせて下さい!
杉原さんの作品は確かに好き嫌いが分かれるとは感じます。
◯受の一人称、加えて乙女
◯攻が少女漫画の男の子並の王子設定
◯展開が間怠っこしい
◯ファンタジー
こういったのが苦手な方にはオススメできないかもしれません。
ベタといえばベタです。中学生の頃に出会って惹かれ合い、やがて家庭の事情で引き裂かれ、それでも忘れられず、数年後に再会。だけど片方は事故により記憶喪失。
怜人にしても、有理にしても結果的には大人に振り回された形にはなったけど、二人とも誰のことも恨まず、ただひたむきに生きようとするのですよ。十代のまだ経済力もない子が親の縁に恵まれず、精神的にも辛い思いをしながらもお互いを想う姿に心打たれました。
とくに怜人は、本当に有理を愛しているんだなぁ、と思いました。親の仇でもある有理を憎むことなく、かといって無理矢理抱く事もせず、夜中に来ても静かに受け入れ、突然泣きだす有理の涙を拭う怜人…男前過ぎる!
有理の父や康広の思惑は最後までよく分からなかったのは、残念かな。
私としてはスピンオフより続編を期待したいです。ふたりが一緒に暮らし始めた後のラブラブっぷりをみたい!
主人公の速水有理は、母親が入院中のため、父親と3人で生活をしていた。
ところが、母親の入院費など、徐々に生活費に困るようになり、やがて3人は、父親の友人である高宮の家に身を寄せることになる。
そこには、有理と同い年の怜人という息子がいた。
怜人には怜人の複雑な事情があり、二人は互いに惹かれ合っていく。
けれど、有理の母親が息を引き取ったことで、その歪な同居生活も終わりを告げる。
突然、父親に「引っ越す」と言われ、その裏にある事情までも知ってしまった有理は、まだ子供の自分ではどうすることもできず、父の言うなりになるしかなかった。
それから五年が過ぎ、有理は弟の学と2人で生活をしていたけれど、ひょんなことから怜人と再会してしまう……という話でした。
なんというか、重い。
重いけど、いい話だったんですけど、なんというか、ちょっとキャラがぶれてる人がいたりもしたので、素直にこれはすごい!! といえる作品でもなかったかなあ……と辛口めで。
まず第一に、怜人のおじさんが、自分はあんなに奔放なのに、怜人と有理の関係を勝手に判断して、勝手に割こうとするのが理解できない。
あれだけ強行にするからには何らかの感情的裏づけがあったらもうちょっと物語に深みが出るんだろうな……とちょっともったいない気がするのと。
高宮さんは、ずっと有理の父親が好きだったの? それとも途中から?? という過去の部分がイマイチよくわからない。ずっと好きだったんなら、何で結婚したんだろうって思うんだけど、それより何より、怜人がそのことで自分の存在意義について悩まないことが不思議。
これって結構アイデンティティに関わる大事な問題だと思うんだけどなあ……と。
それから、有理の父親があっさり有理と学を追いてっちゃったのも無責任だし、何よりも、何でわざわざ有理が「大学に入ったら東京に行く」と決めてたことを簡単に実行できてしまったのか、微妙に納得ができない。
有理はさておき、学に友達とかいなかったのかなあ……と。
五年も暮らしていれば、そこにそれなりに根をはっちゃうものだと思うんだけど、そういうのあっさりおいていけちゃったんだなあ……と。
全体的にはすごくいい小説だったと思うんですけど、そういう細かいところで気配りが足りないあたりがもったいないなあ……と思います。
細かいことって言い出すとキリがないんですが、そういうことに配慮した一文があるかないかではまったく違うので、大事にしてもらえたら嬉しいな、と思います。
人気作に大変申し訳ありませんが、この評価しか考えられませんでした。
この作品には『杉原さんカラー』が出過ぎていてなんとも鬱陶しかったです。特に冒頭数ページは読みながら飛ばそうかと思ったくらいでした。
正直なところ、これ読みながら『私、杉原さんとは徹底的に波長が合わないんだな・・・』と改めて実感じました。
もともと私は『杉原さんで高評価の作品(=杉原さんらしい作品?)』ほど合わないという傾向があるんですが、これもそのひとつですね。
杉原さんは『まあ悪くはない作品も皆無ではない』のは確かですが、あくまでもそこ止まりで『好き』までの道のりは果てしなく遠いという感じです。理屈じゃなくとにかく何もかもが合わないって感じなんですよ。
透明感や綺麗な文章が持ち味の作家さんらしいですが、少なくともこの作品ではすべてが過剰でかえって邪魔だとしか感じませんでした。文章表現もとにかくクド過ぎて、読んでて終始イライラし通しでした。
逆に言えば、こういう雰囲気がお好きな方にはホントにいい作品なんだろうと思いますよ。私には何をどうしても無理でしたが。
分厚さに見合うだけのものは何もなく、無駄なグダグダを読まされたとしか感じられません。読みながら残りの厚みを見て『まだこんなにあるのか・・・』とげんなりしてました。よく最後まで読めたと思うくらいです。
キャラクターが不幸な目に合うのがダメだったのではありません。そんなのはまったく平気、どころかむしろ好みです。
でもこの作品には、最初から最後までストーリーにもキャラクターにも共感も感情移入も一切できないままでした。
杉原さんは攻がどうしてもダメな場合が多いんですが、これは誰一人として好みのキャラクターがいません。メイン2人も大人たちも弟も含めても。全員が嘘臭くて、気持ち悪くて堪りませんでした。
そして、やっぱり杉原さんの受一人称は無理でした。
もともと『受一人称』がものすごく苦手なんですが、それに加えて杉原さんの『地の文(ぼく)と台詞(俺)の一人称のズレ』がなんとも不快で、読んでて集中できないんです。
ただ、高星さんのイラストはとても綺麗でした。それだけはよかったです。
トータルでは、まさしく合わない・受け付けないとしか言えない作品でした。これが初読みだったら、他の作品を読む気にはならなかったでしょう(結果的にはそのほうがよかったと心底思う・・・)。
たぶんこういうのが『杉原さんらしい作品』なんでしょうけどね。
結局のところ私にとって杉原さん作品は、程度の差はあれ『読むのに気合い(とかなりの我慢)』が不可欠です。
今まで読んだ中で、最初から最後まで一気に読めた作品はありません。必ず1回は中断して、他の(大抵は安心して読める既読のお気に入り作品)を1冊読んで、とりあえず気分一新・呼吸を整えて(・・・)戻って来て読むのを再開しています。
中でもこちらは最高(『最低』というべきか?)で、1冊読み終わる間に他の作家さんの作品を7・8冊読みました。つまりその回数は『逃避』したわけです。
正直なところ『なんでこんなにまでしてBL読んでんだろう・・・』(楽しむための趣味なのに、という意味)と遠い目になってしまいました。結論としては、とことん合わない作家さんだってことなんでしょうね。
とにかく、ただひたすらに苦痛でした。 寒気した。
久しぶりに感動した商業BL小説でした。
電子書籍で冒頭を立ち読みし、杉原理生先生の繊細な文体、想像していた物語と異なり気になり購入。
杉原先生の本は初めて読んだのですが、丁寧な心情描写、ロマンチズムを感じる比喩、子供の親を見る視点などとても繊細な文章で進むごとに重くなる話をまた繊細な文体で書くと余計に重さが増すのも良かったです。
あらすじは上記にあるので割愛。構成は過去と現在の二部構成。
一章はBLでは珍しい主人公の回顧録のようなはじまり。途中で語り手である主人公の過去と現在が入り混じる繋ぎ方が素晴らしかったです。主人公二人の恋愛描写がとても丁寧に描かれていて、なぜお互いが惹かれあうのかということがストンと落ちてきますね。
そして二人の恋愛描写と同時進行の覆せない現実。物語の最初有理は夢のようだとしきりに言っていて最後夢から目覚めたように悲惨な結末を迎えましたが、夢の中なのは父親たちとってで子供たちにとっては夢のような現実だったんだと思いました。そして夢のような現実の過去から二章の現在につながると。二章ではもうひとつのカップリングともいえる父親たちの心理描写がはっきりと描かれてないからこそ二章の息子達の状況に父親達の疑似的心情を投影して読むこともでき面白かったです。
一つ不満を言うなら、一章が一年をゆっくりと丁寧に描いたのに対して二章は少し展開が早いと感じました。最後は怒涛の展開でしたが二章はもう少し全体を長くして読みたかったです。
登場人物はでいえば、重い過去を抱えながらも前に進もうと生きている登場人物たちには脱帽ですね。そんな風にはなかなか生きられない。
そんな魅力溢れる登場人物達ですが主人公二人は物語の中で人物がとても綺麗に完結しているので語ることなしですが、大人組三人は描かれていないからこその魅力がね!!
まず、怜人の叔父康広のキャラクターが絶妙な立ち位置で秀逸でした。
普通のBLだったら当て馬になったり、攻めの怒りを買いぶつけられるキャラクターですがそのようなこともなく本音が見えそうで見えない飄々とした引っ掻き回すけどキーパソン的人物。
怜人父も学生時代に好きな人の駆け落ちを見せられ、再会したら助言もらったけど金銭援助をした後出てかれかなり不憫に見えるけどあのお城の時間は蜜月の時だったのかどうなのか。速水一家に出てかれた後、妻を失った有理父と似て非なる状況に陥り鑑みるのでしょうか。最後に怜人父が怜人と前を向こうと決めて怜人に告げたのは本当に良かったです。
案外あれは親の都合で(実親同士ですが)盥回しにされ、家族を欲しがっていた怜人には一番の言葉だったかもしれないですね。
そして!王子と呼ばれる程の容姿を持ちながら嘘は上手く生きるのが下手な有理父が…。
プライドの高い彼が妻や子供、家族のために昔恋慕を寄せられていた男に金の工面に行き、上手な嘘は自分を一番苦しまているのに家族のためにつかなければならないけど覆らない現実に追い詰められていく彼を思うと…。
みんなが幸せだと思っていたお城で彼は一人で苦悩している様が話が進むとじりじりと読み手には伝わりいつ爆発するかと思ったけど爆発なんて優しいものじゃないのもまた辛い。
有理が母親の死期が近いときに“神経が研ぎ澄まされていったら、僕の神経はそのうちに確実に壊れてしまうに違いなかった”というのはまさしく有理父自身で。
怜人父を最後まで利用した酷い男ですが最後実家に帰り父息子3人で少しでも前に進もうとしてたと思いたい…。
そして彼はどこかで生きているのですかね。BL的には一度死んで怜人父と輪廻転生するのが一番幸せな気もします。(笑)が結局愛妻家の彼はもう一度妻に会いたいのかな。うーんこの二人への考察は萌えすぎて文章にまとまらない!
やっぱ有理父と怜人父が主役の小説が読みたいな~~~~~!妄想するよりやっぱり杉原先生の文体でないとキャラが浮かび上がらない!
学生編と同居生活編が読みたいです。バットエンドだけど…。どうにかならないですかね!杉原先生ルチル文庫さん!!
とりあえずこの気持ちははBLCDも発売しているのでCDを聞いてこの抑えたいと思います(笑)
私の拙い感想では全然素晴らしさが伝わらず歯痒い!何か面白いBLを探している方はぜひぜひぜひ読んでほしい小説です。
なんとなしに読んでみた小説でしたが久しぶりに追いかけたいと思った作家さんに出会えました。杉原理生先生の他の作品も読んでみたいと思います。