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表題作スローリズム

矢萩,高校からの親友
水森,矢萩と親友関係

あらすじ

水森に毎週2回必ず電話をかけてくる矢萩は、高校のときからの付き合いで一番身近に感じられる友人。だが、高校生の頃、ゲイである事を告白した矢萩はすました顔をして「安心しろよ、おまえだけは絶対好きにならないから」と、言い放った。あれから十二年、その言葉どおり水森と矢萩はずっと友達でいるが……。単行本未収録作品&書き下ろしで待望の文庫化!

作品情報

作品名
スローリズム
著者
杉原理生 
イラスト
木下けい子 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344812970
3.8

(108)

(43)

萌々

(21)

(35)

中立

(4)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
28
得点
408
評価数
108
平均
3.8 / 5
神率
39.8%

レビュー投稿数28

本当にスロー

何回も読み直すほど、大好きなお話です。
CDも聴いているので、本を読む時も前野さんと野島さんで脳内再生されるので、お得な本なのです。

ジリジリと中々進まない二人の関係。
そのジリジリを楽しむ本だと思って噛み締めながら読んでいます。

攻めの矢萩の長い片思い。
高校生の頃から社会人まで。
意地を張っての「お前だけは好きにならない」
と言い続けるのは、大変だ〜
受けの鈍さがしんどいと言えばしんどいのですが、それがまた良いんです。
電話でのやりとりが大好き。

0

もどかしくてえずきそうになりました

はぁ…余韻が凄いことになってます。
恋愛って、こんなにも不穏で不確かなものなんだなと、じわっと実感させてくれる作品でした。不器用な2人の長い長いもだもだに、ドキドキしてしまいました。

水森(受)という人は、言ってしまえば綺麗な顔以外はいいところがないんじゃ…というか、人の心の機微や空気を読むということができないタイプで、そもそも恋愛向きじゃない人なんですよね。ゆえに、そんな人を好きになってしまった矢萩が、一生報われなくても、水森を失いたくないという気持ちが切なすぎました。

ところが、晴れて(?)お付き合いをはじめた2人「スローリズム2」のほうが切なさが凄かったですね。正直、これ矢萩視点でも読んでみたいです。あまりに長い間片想いして、相手を尊重しすぎて、気持ちを正直に伝えることを無意識に躊躇している矢萩の心の痛みがめちゃくちゃ伝わってくるんです。あれこれ考えすぎて、相手の気持ちがわからなくなって、近くにいるのに遠くに感じてしまう心の距離、もっと、簡単にラブラブしてくれや!って叫びそうになりました。いくら会話を重ねても誤解を生じてしまう状況で、身体を重ねて得られる感覚のほうにお互いの気持ちを実感し、安心してしまう2人の関係性はもどかしすぎて、えずいてしまいますね。

抱き合っている瞬間の幸福が日常になかなか根付かないというのは、ある意味、恋愛関係の本質を描いているような気がして、”好き”とか”愛してる”とかいう甘い言葉よりも、水森が気づいた「幸せでも不幸せでも矢萩の隣にいたい」という気持ちの切実さに、恋愛を表現した杉原先生は素晴らしいなと思ったのでした。

1

焦れったいけど、良かった

タイトルからかなり焦れったいんだろなぁと覚悟してたけど、本当に焦れったかったです。

二人のやりとりを読んでて思い出したのは「表面張力」って言葉。
いつコップの水が溢れてもおかしくないギリギリのところにいるのに、極度のヘタレ攻めと鈍感受けという組み合わせなので、奇跡のような表面張力が働いていて溢れてこない。

焦ったさを期待して読んだくせに、友人から脱却しそうでしない二人にウガー!となりかけたけど、なんどもお預けをくらった末のご褒美ターンは非常に甘美で美味しかった。

中学時代からの付き合いで、攻めからゲイだと打ち明けられた時の「お前だけは好きにならない」という言葉が引っかかってる受け。
攻めの気持ちは友人達が気づくほどで判りにくいわけではないのに、受けには変化が見られず、攻めに同情する友人達がついつい嫌味を言いたくなるくらい。
受け自身もあえて目を瞑ってるけれど、何かとついつい考えてしまうのは攻めの事。
なのに「お前だけは好きにならない」という言葉を心のストッパー代りにしちゃってるという面倒くさい人です。

攻めは飄々としているかのように見えて、実は生半可ではない重い気持ちをポロリポロリと見せてくれるところがたまらなかった。
受けは「換えのきかないもの 失うわけにはいかないもの」だから、本音は言えず、つい冗談みたいな言葉でごまかしてしまうんです。
好きすぎて手も足も出せないというやつ。
だから受けから「俺に言う事があるだろ」「いいかげん俺が好きだって白状しろ」とまでけしかけられても言えないんです。

この「言えない」というところが、私は好きだった。
いつもの私なら、「このヘタレがっ!」と憤死確定なんだけど、この攻めは「言えない」というところに好きが詰まりすぎてるのがヒシヒシと伝わってきて、愛おしさすら感じました。
だからこそ、どこか高みの見物じゃないけどお綺麗なところにとどまっていたような受けが、言えない攻めに代わって自分から言うという展開が超絶良かったです。

それにしてもこの攻め、好きだなぁと思います。
これから初めてというときの「お前に嫌われるようなことはなにひとつしたくない」とかホントいい。
こんな気持ちを抱えながら12年間、遠くに離れていても週2の電話を掛けて繋がっていたかった攻めの気持ちを考えると、泣けてくる。

「スローリズム2」は転職で東京に戻ってくる攻めが新居を探す話なんだけど、受けの鈍感力が壮絶に発揮されていて攻めが不憫になりました……。

友人の新婚家庭にお邪魔した後に攻めが「うらやましくなかったか?」と受けに聞くんだけど、てっきり受けから「俺たちも同棲したくなっちゃった」という言葉を引き出すためかと思いきや……そっち……(涙)
攻めの「好き」という気持ちが、常に私の予想を超えた重いものを見せてくれるところがとても良かった。
受けのことがどんだけ好きなの?と何度思ったことか。

「スローリズム」という通り、この二人にはこの時間が必要だったのだなと思います。
そしてヘタレな攻めが自分からついに申し出ることができたというところも感慨深いです。

この受けのどこに男二人を引きつける魅力があるのか、いまいちわからなかったのが残念なのだけど、着地点がとても良くて読んで良かったなと思います。

3

低温低速なのにラブラブ

少し古い作品も電子書籍のおかげで手に取りやすくなりありがたいです。
今回はあらすじの「お前だけは絶対好きにならないから」という一文がとても良いフリだなあと思って購入してしまいました。ジャケ買いでも作家買いでもなく、あらすじ惚れです。

結果大当たり。大好きです。このテンポ。この日常感。男女問わず普通のカップルが抱えそうな葛藤もありながら、ちゃんと二人は大人の男なんです。そこに中学時代からの思い出が重なることで至極の物語になっているんです。…一見全く地味なんですが。

命の危機も、記憶喪失も、世界の滅亡も、悪魔も妖精も魔法使いも、何もなくても美しくドラマティックなBLはあるんですよね。なんてことのない日常は、二人がいることでこんなにも愛おしく、切なく、狂おしく、幸せになれると感じさせます。

やっぱりお互い他人ですから、ちょっとした考え方の癖は違うし、でもそこを噛み合わせていって、いつの間にか、お前じゃないとなんか変だ、落ち着かないってなる、そんな愛の形が見えます。低温低速なのにラブラブです。

付き合いだしてから、二人が些細なこと(二人にとっては大問題なんでしょうけど)で喧嘩っぽくなったときに矢萩くんが有耶無耶にベッドになだれ込むところが大好き。大好きと不安がぐちゃぐちゃになって葛藤している攻は良いですね。水森くんもベッドでは可愛いけど、芯は強いし、周りを振り回しちゃっているし、これはいつまでも矢萩くん苦労するわーって思います。でもお互い一番大好きな人と暮らしていけるっていいなあと思いました。ごちそうさまです。後輩の堀田くんもちょうどいい当て馬加減でとっても好印象です。元カノの今彼の暴走を冷静に分析している水森くんも好き。あと、やっぱり電話のシーンが良いです。冒頭から「え、これで付き合ってないとか嘘でしょ?」という自然な空気感。後半からは離れた距離が心を縮めるという現象を小説でここまで体現できるとはという感動もあります。

もっとこういう日常BL増えないかなー。

3

なぜかときどき読みたくなる

もだもだ焦れ焦れ大人の恋…みたいなものが読みたいときに取り出す一冊。
感動した!萌えた!神!って興奮する感じではないけど、ふと思い出して読みたくなる不思議な引力があります。

何度も読んでいると、片思いする攻め・矢萩の気持ちを分かりながら受け・水森視点を読むことになるので、読むたびに切なさが増します。水森の無自覚な矢萩への信頼がチラ見えするだけで萌えるので、たぶん矢萩に肩入れして読んでいるんだと思います。一途な矢萩がとても好き。
水森への言葉の節々に、優しさだったり怖さだったり矢萩の臆病さが見え隠れしている。読む回数を重ねるごとにそこがよく見えてくるので、何度も読んでしまうのかなあと。少なくとも初回だけでは分からない魅力がたくさん落ちている作品だと思います。

付き合うまでも付き合ってからも、小さな歯車がことごとく噛み合わないふたり。小さなことでこれだけ長くもだもだし続けるふたりなので、絶対的な安心感を持って読み終われるお話ではないです。たぶんこれからも小さなことで散々すれ違ってしまうんだろうなあと心配が残る。それでもちゃんと少しずつ近付いているのは確実で、はたから見ればずっともどかしいんだろうけれど、そんなことをずっと続けながら気が付けば還暦ぐらいまでいってそうな空気感があります。
すぱっと腹をくくれそうなのは水森の方ですが、残念ながらそこまでいかずに終わってしまいました。その先の想像というか妄想をかきたてられるのも魅力の一つなのかもしれません。

木下けい子さんの挿絵も淡い作品の雰囲気にぴったりで好き。これからもふと思い出してはときどき読んでいるんだろうなあという大好きな一冊です。

0

微熱な恋

ここのレビューを読んで、「名作」という意見と「じれったい」「イライラする」という意見の両方あることを知った上での購入。
「私、白黒はっきりして欲しいと思っちゃうトコあるからダメかなー……」と不安を感じつつ読みました。
しかし結果的には、私は全くストレスなく読むことができました。むしろ、のめり込んで読めたとさえ言える。
なんで自分はハマれたんだろうと考えた時、この作品の攻め・受けの「大人らしさ」に共感できるかどうかが鍵なのでは、と思いました。

この作品の二人は、本当にいい歳の大人なので(それでいてきちんと地に足がついている大人なので)、人生なんて地道に生きていくしかないとわかっている。
ある日突然とんでもないラッキーが降ってくることなんてないのもわかっている。
そして、いま自分が乗っているレールにそのまま乗っていれば、なんの問題もなく日々は過ぎていくこともわかっている。
そんな、諦観とも言えるような「大人の感覚」に共感できるか否かがこの作品に対する評価の差に繋がっているような気がしました。

燃え上がった瞬間をやり過ごしてしまった二人には、もう一度火を身を投じる勇気は持てなくて、でもずっと微熱が続いている。そんな二人。
「大人」を描いた名作だと感じました。

しかしその一方で、同時収録の「スローリズム2」の方は、よりもだもだ感に拍車がかかっていた気も(笑)
表題作は、大人ならではの臆病さ・慎重さを描いていると思うのですが、後日談の「スローリズム2」の方はそれとは種類が違う。
単に受けが鈍感だと感じる。そこが少し残念です。

6

短気な方にはオススメできません・・・

けいこ先生の挿絵狙いでget。
いざレビュー書くべと思い、今までのお姉さま方のレビューを
参照させていただいたら
まあなんと2009年4月からレビューが、
途切れず、ぽつぽつ継続してあるじゃないですか。
長年にわたって愛される 名作 なのかなあ。

私は表紙にべたぼれ。
お話の方は、「じれっっっっっったいっ」の一言・・・

いや、わかるんですよ、大切に大切に大切に絶対失うことがないように
ということが。
でも読んでるこっちは
まだかまだかまだかまだか・・・・とじりじり。
一冊ずっとじりじりでした。
きゅんはするんだけど、気の長い人向けな気がする(笑)

0

はやくくっついちゃってくれ!

高校時代からの友人同士の恋。
内容にふれていますので、ネタバレが嫌な方はお気をつけください。

…………………………………………………
途中、当て馬の後輩堀田が出てきて良からぬことをしかけたり。
しっとり、ゆっくりした日常のようで、意外と色々な出来事があって楽しめました。
水森の頑固さに読んでいてじれったいなぁと思ったり。
振り回される矢萩の臆病さと健気さに、途中から
もう告白しちゃって…(>人<;)
と歯がゆく思いました。
電子書籍で読んだのですが、やっぱり紙で手に入れようかと思います。

1

杉原さんの攻めが好きです。

親友から恋人へゆっくり変わっていくお話。
失うくらいなら何も告げない方がいいと、本当に長い間、鈍感な受けの側にいた攻めが本当切ない。
でも受けも鈍感ながらもう週二回の電話が当たり前になってる時点で、無自覚のうちに始まっていましたよね。
受けの一人称なので、ずっと自分がモヤモヤする気持ちが何だか分からないまま、話が進みます。いや分からないではないですね、認めたくないだけだったと思います。
そして、最後はきちんとまとまりますが、それでも受けは鈍感過ぎました(笑)2話目はあまりに受けが鈍いので、心底攻めが可哀想に。
でも攻めは受けを責めない。これ少しくらい怒ってももいいレベルだと思うんですけど(笑)

杉原さんの作品を読むのは「恋を綴るひと」「いとしさを追いかける」ときて三作目ですが、本当どれも攻めが好みです。
こんな包容力のある人いないですよねえ。たまらんです。
対する受けは「スローリズム」が普通で、「いとしさ〜」は微妙、「恋を〜」は転げ回るほど好きです(笑)

1

スローペースでマイペース

タイトル通り、ほんとにスローペースな恋のお話。

本書が始まるずっと以前から二人の関係は始まっていて、それが非常にスローです。長い間親友で、何も変わっていないし、これで完結しているとも言える、この先も変わらないであろう関係を長年続けています。
それを変えるには物語的には、何か大きな外からの圧力か、内面の圧力…もう我慢できない!みたいな気持ちの高まりが必要に思えますが、これといって大きな事件は起こったりしないんです。
そんな熱いお話でなく、最後までペースは穏やかでスローです。

この作者さんの作品はたくさん読んだわけでないですが、前に読んだ作品もこんな感じで、大きな展開はなく心の中で考え方ですすんでいく丁寧なお話でした。
こういうお話はとても好きだし、魅せるように書くのってとても難しいんじゃないかと思います。
なので、人によっては退屈に感じるかも。

よくある幼なじみから親友へ、という設定です。ずっと友達だったのにここにきて恋人として相手を見るって現実ならそんなこと難しい気もするけれど、二人は互いに思っているのを全く知らないわけでない関係を長年気づかない振りして続けているところがせつなく、深いと感じます。
「ずっと友達でいようね」という暗号的なものが2人の間にあって、それがせつない。

周りから見たらお互い気にしてるのに、長い間何してるんだろあの2人…ってなっているわけですが、後半のお話でも言っていたように、長い遠回りをしていた気がするけどこのペースが多分最短の道だったんでしょう。と思える幸せな気分になれるお話でした。

一つ難点を言えば主人公のキャラクターが単純につかみにくかったです。
一人称がモノローグと台詞で違っているからかなぁ。キャラクターの個性と言える部分がちょっと見出せず、頭の中でキャラが固まらないまま終わってしまいました…。

それと、雑誌掲載の1話と書下ろしの1話の2話構成ですが、1話目の完成度がすごく高かったので、そのあとの2話目でケンカしたり色々あるのはそれはまた別の話として、なくてもよかったかなぁ~と感じてしまいました。

1

ゆっくりペースでも愛しい

高校からの友達、矢萩智彦と水森秋人。
社会人になっても親しい友達同士。
水森にゲイだと告白した後も「安心しろよ。お前だけは絶対に好きにならないから」と好きで好きで好きでたまらないくせに矢萩は水森を失いたくないばかりに普通の友達でいようとします。
忍耐強い矢萩ですがどうやら周囲にはバレバレの様子。
共通の友達、木田や水森の後輩の堀田(どうやら水森のことが好きらしい)をやきもきさせています。
最後には焦れた水森からアプローチ(笑)
杉原さんのお話は恋が成就するまでに時間がかかるお話が多いような気がします。
丁寧に進むお話に好感が持てます。恋はゆっくり・・・。

0

平坦で何気ない日々の重さ

買って2ヶ月の間に、五回以上読み返しています。
それくらいハマりました。
非常に深い…。

何も大きな事件はありません。
いつもの電話、いつもの酒の場、いつもの友人、いつもの会話…。
リーマンたちの、ちょっとお疲れな日常風景。
でも、同じような毎日の小さな積み重ねで、新しい世界が広がるんだなぁ、と思いました。

鈍感な水森の心に、毎日少しづつ少しづつ染み込んでくるもの。
いつも水森の気持ちばかり優先してしまう、臆病で一途な矢萩の心。
続編の最後まで読んで、二人の新しい一歩に、爽やかな気持ちになりました。

水森の発言が「俺」で、気持ちが「ぼく」と一人称を使い分けているがはじめは不思議でした。
でも、外見的に鈍感で雑な性格の水森の、中身の柔軟で繊細なところを表しているのかな?
と思うと、非常に深いです。

不器用だけど、口は悪いけど、表情や態度で少しづつ染み出てくる二人の心情。
この杉原理生先生の表現力に、思わず唸ってしまいました。

3

ほんとにゆっくり、ゆっくりと

木下さんの表紙に引き寄せられて読んだ作品です。
タイトル通り、ゆっくりと主人公2人の関係が進みます。
派手な展開はないんですが、特に受けの心情が丁寧に描かれていました。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、気持ちに変化が表れていく様子がほんとにじれったいです(笑)。
唯一つ、ちょっと残念だと思ったのは、周囲の人間によって矢萩の気持ちが水森に知らされてしまったこと。ここはやはり、本人から最初に伝えて欲しかったな~と思いました。
確かに、周囲の人から知らされるこういう状況はリアルでも時々あるんですけどね・・・。

書き下ろしの続編「スローリズム 2」では転職を決めた矢萩が新しい部屋を探しているんですが、水森の鈍さがもう・・・ハンパじゃない(笑)。
矢萩が言葉には出さないんですが、一緒に住みたいのがバレバレなのに水森が全く気づかない・・・矢萩が可哀相だな~と思わず同情してしまいました(笑)。

3

お守り

とてもスローだったわ。
木下けい子先生の表紙だったし 爽やかを読みたい気分だったので
買いました。 思ってたより 悪くない!
けど 普通12年も待てるか? 私は無理!
途中 お互い両方に 彼・彼女居たけどねえ。
実はイライラ・焦れ焦れしながら読んでた。
ああ~~もう~ もっと速く迅速に くっついてくれ~~。
友人の壁は 予定より厚かったという事でしょうか。
攻めの「お守り」発言で気持ちが動く。
どしゃぶりの雨の中での 告白・キスシーンは綺麗な表現でした。
丁寧に書く感じは作者の得意とする所でしょう。
淡々と読んだので 中立で。

2

じれったいけど、いい。

大事に想いすぎて告わない矢萩、周囲にはバレバレなのに「おまえだけは好きにならない」と言われたからといって矢萩の気持ちに気づかない水森。

早く気づけよ!と思いつつも水森視点で読んでいたのでじれったくも
この期間が必要だったのだとも感じる。

水森はどこまで鈍い?と思うのは結ばれてからのスローリズム2でも発揮されています。
結ばれてからも甘い恋人という感じよりも友達感覚。
確かに、12年も友達だった相手に急に甘えられたり、甘えたりはできないけど・・・。
エロ以外の甘いところがないのは読んでいてさびしいかも。

下品なエロ話をする矢萩がどんな濃い感じに攻めるか少し楽しみにしていたのに
水森に気遣ってか?そう濃くもなかったのは残念。徐々に慣らしていくのかな。

3

作家のファンですが・・・

あまりおすすめできません。
学生の頃の両片思い→社会人で成立という流れが好きならおすすめですが
特にこだわりないならぜひ他の作品を読んでほしいです。

2

なんとも言えないこの感じ…

ちるちるさんのレビューの評価がとてもよかったので購入してみたのですが、うーん…私の価値観が子供だからでしょうか、いまいちきゅんとしなかったと感じました。

このお話は、まさに題名通り「ゆっくりとした恋」です。
しかし、この「ゆっくり」だだの「ゆっくり」ではありません。
攻めの矢萩はずっとずっとノンケの水森が好きだったのですが、それをひた隠しにするように「お前だけは絶対好きにならない」と言い続けます。そのせいで、(というのもなんだか変ですが…)気持ちに素直になれなかった水森はこの微妙な関係の意味が分からず、ただただ矢萩と交友しているだけでした。

正直いうと、読んでいる側としては水森の鈍感(というか気づきたくないという自己防衛)さにそろそろ気づいてあげようよ!と思ったりしたのも事実です。それぐらい「ゆっくり」進みます。
矢萩も矢萩で水森を大切に大切に大切にしてしまってるせいで、アピールしたかと思えば何でもないふりをして、かと思えば気持ちが爆発しそうになってイライラして…正直に話せばいいじゃん、とか思ってしまうのですが、大切だからこそ嫌われたくない思いが強いんですよね、きっと。

そんな風に2人がゆっくりとお互いの気持ちの核なる部分に近づいていくのですが、確かにこのお話は「ゆっくり」ですが、それはだらだらとした「ゆっくり」ではなく、良い意味の「ゆっくり」です。「ゆっくり」だからこそ、どれくらいお互いが大切な存在でどれくらい好きなのかわかるんだと思います。

ただ、この「ゆっくり」がしっくり来るか来ないかで、評価は変わってくると思います。

切なくはありません。本当に「ゆっくり」なだけです。
大人の男の人の葛藤やお互いを思いやる気持ちなどを重視する人にお勧めです。

4

長い時間の中で

高校からの友人、矢萩は社会人になった今でも必ず週に2回水森に電話をかけてくる。
とりとめない話をするだけのこの習慣はすっかり水森の生活に組み込まれてしまった。
水森がそんな矢萩がゲイであることを知ったのは高校生の時だ。
「安心しろよ、おまえだけは絶対に好きにならないから」と言い放った男の真意がつかめないまま、付き合いを続ける矢萩だったが……

特別だからこそ好きにはならない。
高校時代からの友人だった二人の静かなお話。
にぶにぶの受(主人公)と異様に我慢強い攻というメイン二人のキャラクターのせいでなかなか話が進まなくてじりじりする。
だがそこがいいい!
あまり派手さはないけれど後からじんわりくるお話です。

無意識にクールというかちょっと冷たいところのある水森を見ていると、矢萩はもうちょっと報われてもいいかなあという気がしてきます。
じゃないと矢萩がなんだか危険な方向(ヤンデレ?)へ進化しそうなので。
むしろそれはそれで楽しいなあなんて思ったりもしますが、そうはならないのが矢萩の矢萩たる所以かもしれません。
ちぇ。


3

実は初読み……v

且つ、木下先生目当てでした(/〃〃)

作者様の存在は以前から知っていたのですが(ちるちるの評価でww)
私は「切ない」とか「じりじりと進む恋」とか、
そういうキーワードが入ると、
たまに、最後まで読めない作品があるんですよね;

それで避けていたのですが、最近木下先生にハマっていまして(><)
買ってしまいましたww

そして、驚きました(゜□゜)
じれったい……すごくじれったいのに
なぜか、グイグイ引き込まれる文章!!!

「文章が美しい!」とか「文章が情景を作ってる@」とか「文学的」とか、

文章力に定評のある作者様だとは分かっていましたが、ここまでとは思いませんでした……
確かにたんたんと進んでいます……まさに「スローリズム」
なのになぜだろう;
全然飽きませんでした(° °)ノ
マジック!?Σ(゚□゚ノ)ノ

読んでよかったです♪
これを気に、他の作品にも手を出してみようかとf(^^;

2

大事すぎて踏み出せなかった12年越しの関係に(読者が)身悶え

萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
高校時代からの親友でゲイ・矢萩×ノンケだけど矢萩は特別…?な水森の、高校時代から続く焦れったいにもほどがある12年越しの恋話。
思いっきり悶えたい時に最適な作品。
「好き」ってどっちかが言えばいいじゃねーかーかーかーー…(エコー)と言ってしまいたくなるもどかしさこそが魅力のお話でした。

どうみても両想いな二人が、友人と恋人のボーダー上でじりじりやってるだけなもんだから、下手すりゃ「勝手にやってなさい」となりそうだし、その上大きなドラマやエピソードもありません。
にも関わらず、最後までぐいぐいと読ませられてしまう文章力にわたしはメロメロです。

難しい単語を全く使わない、叙情的で穏やかな比喩。
杉原さんの柔らかな一人称によって書き綴られる、主役二人の間に流れる「この関係を壊したくない、でも…」のこの“でも”という、はがゆくてこそばゆい距離感。
文学的というより芸術的な美しさを感じます。というか、むちゃくちゃ好みなだけか。笑
なので、杉原さんの文章…というかこのはがゆさが好きかどうかで評価も大分変わってくるのかな?とも思います。
作家さんとの相性ってあるよなーって。

「鈍感」という兵器で無自覚に魔性な受けと、いい男だけど臆病さと背中合わせの一途さを持つ攻め。
無意識下でのこの二人の駆け引きに、たっぷりときめき(…)を補充させていただきました。ごっそさん。
焦れったかったからこそ、大事すぎて踏み出せなかった12年越しの関係にようやく変化が訪れるシーンでの高揚感は、他の作品では中々味わえないかも。
叶わないと思いながらも傍に居続けた矢萩の甘く苦しい12年間を思うと、それだけで無性に愛しくなってしまう1冊です。

いい年した大人だからこそ尚更、このスローさがたまらない。

4

ずっと見ていたい二人です(*^_^*)

少し不器用な大人の遠回りだけど、確実に寄り添っていく二人の気持ちが見事に表現されていると思いました。。


大きなハプニングも、のたうち回るようなキザなセリフもありませんが、読んでいて二人の空気に引き込まれました。


木下けい子さんの挿し絵がまたピッタリ。


読後はその後の二人を想像して、ほっこりと温かい気持ちになれます。


こんなカップルには性別問わず憧れてしまいます。


お気に入りの一冊になりました(≧ω≦)

2

焦れったすぎます

私、矢萩が言った「おまえだけは絶対に好きにならない」っていう言葉の真意が、途中までわからなくて。
水森じゃないけど、言葉そのまんまに受け取ってましたよ。
水森だって、そうとしか思ってなかったんです。
だから、12年間もつかず離れず、週2回もかかってくる電話だって、何の疑問も持たずに話してたんですよ。

でも、これって周りから見たら『付き合ってる』状態?
後輩である堀田も、友人の木田も、水森に対する矢萩の本当の気持ちは、ちゃんと気が付いてました。
それくらい『好き好きオーラ』を出してたのに、それを受け取らなくちゃいけない水森だけ気が付いてなかったって……。

あまりの鈍感さに、私はあきれるやら切れそうになるやら。
最後まで読み切るのに、思いっきり力を使いました。
受けの鈍さと、ヘタレ攻めのコンボは、最強タッグでした。
切なさとかプラスアルファがあれば、もう少し違ったかもしれないのですが。

2

杉原作品は、いつだってスローリズムv

CD化が決まり、キャストも決まり
ものすごく楽しみにしている中、読みましたv
CDが届いてから
CD→原作→CDの順番で楽しもうかなぁと思ったんだけど
我慢しきれずに原作を先に読みました。

『スローリズム』なんてタイトルつけなくったって
もぉーv杉原さんですからね・・・
あなたいつもスローリズムじゃないですか!と、思うwww

最初っからお互い好き同士なのに
うまく繋がらないもどかしい想い・・・
しかも何年も、そばにいてずっと本音を温めながら
ひた隠しにするという焦らしプレイ。
でも、周囲の友人には駄々漏れwww

もぉー!じれったい。じれったい。
ページをめくるたびに、こっちが熱いため息をついちゃうくらい。
でもそこが癖になる作家さんですv

ふたりの気持ちが通じるまでがじれったい分
セックスシーンも、じれったい感じでたっぷり書いてあって
ああ、ここまで焦れ焦れしながら読んできた自分が報われました。

『スローリズム』
『スローリズム2』
と入ってまして、『スローリズム2』では
恋人同士になって気持ちが通じた途端、このぬくもりが
いつ消えてしまうのか?に、ビクビクしだすんですよね。
恋ってそんなもんさーっ。
相手の気持ちにあぐらをかきだして安心すると
ドキドキなんかなくなっちゃうんだぜっ
恋って素敵ですよねー(遠い目)


【ルチル文庫創刊4周年記念フェア書き下ろしSSカード】
の感想も一緒に・・・

引越し前夜の二人が4ページほどに綴られておりましたv
まだ荷物の整理ができていないのに
ムラムラっと押し倒す矢萩w
明日は引越しなのに「俺を殺す気か」と、
ぴしゃりと突っぱねる水森。
そんな甘い甘い夜・・・v
水森に拒まれることをあんなに恐れていた矢萩でしたが
ぴしゃりとエッチを断られてもふたりの間は
もうギクシャクすることはなく、引越し後に思う存分エッチするがいいさv

10

掛け違えたボタンを直すまでの時間

スローリズム。。。
確かに、この2人の関係の進む速さは「スロー」なんですが
そんなおっとりした語感よりももっと重くて硬い何かを
2人して抱え込んでしまってて
それで、ゆっくりとしか物事が進んで行かない、って印象のお話でした。

高校受験の時から親しい矢萩と水森は
社会人になっても、その親しい関係は変わらないんですが
それには、ゲイである矢萩が水森に言った
「おまえだけは絶対好きにならない」という言葉が
お互いの距離をそれ以上縮めないように枷となっていて
それは、あまりにも水森の事を好き過ぎる矢萩が
自分への歯止めのために吐いたセリフ、ってのがすごく切ない。

一方の水森は
そんな矢萩の優しさに甘えきってて、イライラさせられます。
矢萩はなんでこんなデリカシーのないやつが好きなんだ?
って、本気で思ってしまったことさえ。。。w

それでも、やっと思いを遂げて
さまざまな問題も乗り越えた矢萩が最後に水森に向かって言ったセリフには
泣かされましたよ。
こんな長い時間、ずっと水森を思い続けていた矢萩の想いがかなって
本当に良かったと思いました。

こころから矢萩におめでとう!と言ってハグしてあげたい!w

3

タイトル通り、ゆっくりとしたお話し

ゲイであることをカミングアウトしたうえで
「お前だけは好きにならない」と宣言し、
大本命に予防線を張った矢萩。

そんな矢萩の言葉を正面から受け取り、
親友として十二年間付き合ってきた水森。
心の機微に疎く、鈍い水森ですが。
十二年間も付き合ってきた親友の気持ちに対しては、
流石に思うところがある様子。でもあえて、動かない。

相手が大切で失いたくない。ずっと側にいたいと願うから、
「親友」という関係を崩せない臆病な二人の恋が、
ゆっくりゆっくりと描かれています。

友達以上恋人未満の二人のバランスが、
ふとした弾みで壊れそうな緊張感。
二人の腹の探り合いは、無意識の恋の駆け引きで。
ハラハラどきどきと色っぽい。
デリケートな心理描写に、最後まで目が離せませんでした。

親友ものというのは、じれったいのが相場。
しかしこの作品は、じれったいにも程がありました!!
私も読みながらじりじりと身悶えしまくりです。
でもじれったいのが大好きなので、
このじりじり感はたまらず、癖になりそうです(笑)

4

焦れったリズム

スローリズムは焦れったリズム。
同じ場所でぐるぐる悩む、もどかしい恋愛です。
マイナス思考かつ鈍感すぎる性格の主人公って、鼻につくからあんまり好きじゃないんだけど、杉原さんの文章力のおかげか、何故かあんまり気にならないのが不思議です。
そう、杉原さんって本当に素敵な文章を書かれますよね。言葉の選び方が最高です。まったく同じストーリーなら杉原さんの文章で読みたいと思えるほど、好きな文体です。

簡単にいうと、学生時代からずっと親友だった二人がやっと結ばれるという、単純なストーリーです。
なのに泣ける。
長い長い葛藤のすえ、やっと二人が一歩踏み出したとき、ポロンと涙が出ました。

木下けい子さんの挿し絵も、繊細で切ないストーリーにピッタリとハマってました。

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表紙って大事だよね! 木下けい子さんが好きならおすすめ。

表紙買い
大当たりだった
イラストの木下けい子さんのマンガのテイストと、とても合っていた。

鈍感な水森が、本当に、ゆっくり、ゆっくり目覚めるまでの、淡々とグルグルする話
もう、それ以外に、いうことは何にもない。
ゆっくり、ゆっくり、グルグルするのを、思いっきり堪能♪
たっぷりジリジリできて、うれしくてしょうがない。

で、この、矢萩の声が、ずっと安元さんで頭の中に響いてて、読んでいる間中、心地よかった。
濃いシーンは数少ないけど、これ是非、ドラマCDにして貰って、安元さんの声で聞きたいなぁ
水森はノジで!

それにしても、くっつくのに12年かかるなんて、水森鈍感すぎだし、矢萩も臆病すぎ

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匿名さん

これは表紙買いしちゃいそう!
今まで声優さんの声に絡めたものはあまり見かけなかったので、
雀影さんのレビューはなんか新鮮です☆

親友に恋する

「親友」という設定でどんぶり飯三杯くらい、軽~く、美味しくいただける自分にとっては、とても素敵な親友モノでした!
それも、ずっと長い間友達同士で……という、年期の入った親友モノなので熟成された美味しさでした。
攻めは、高校の頃に自分がゲイであることを受けに告白しているのですが、その際、「安心しろよ、おまえだけは絶対好きにならないから」と告げ、それから12年間も二人は友達関係を続けています。
互いの気持ちは、おそらく8割がたくらいわかっているのに、今の「友人」という関係を失いたくなくて、最後の一歩を踏み出せずにいる、そのじれったさがたまりません!
安定した現状を維持したくて、本当に欲しいものに手が出せない、という気持ちは、何となく共感できますよね~。
今だって、それなりに楽しくて幸せなんだし……みたいなの。
長年続いてきた「友人」という関係性が変わる、その瞬間が親友モノの醍醐味だと思いますが、そのシーンを実に素敵に描かれてあって、ドキドキしました。
ときめきの親友ラブストーリーです。
長い片想いが実って、親友が恋人になる、その瞬間を、ぜひ読んで確かめてみてくださいv

雑誌(小説b-Boy03年12月号)に載った表題作(中編)と、その書下ろし中編(スローリズム2)の2本立てなので、めでたく結ばれたあとのその後の二人の様子もお楽しみいただけます。
ラブラブなだけじゃない、地に足の着いた展開で相変わらずの二人のすれ違いぶり(?)にヤキモキしつつ一気に読みました。
やっぱり親友はいいですね~!!

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