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冒頭の2人がいい雰囲気だったので、ここからは距離が縮まった2人の日常に戻っていくのかなぁと思っていたのですが、予想に反して最後まで波乱続きでした。本仁戻先生がそう簡単に恋人にさせてくれるわけないよな、と思い知りました(笑)。個人的にはどうして柏兄弟に2人がそこまで捉われてしまうのか、兄弟よりも互いの方がずっと魅力的なのは明らかなのに…と感じていたのだけれど、この最終巻を読んでやっと柏兄弟が2人を縛っていた理由が本当に理解できた気がします。
美紀にとって柏兄はずっとその背中を追い続けてきた人。レイプ事件の時も彼は本心から美紀を切り捨てたわけじゃなかった。柏兄の懐の広さや優しさは偽りではなく実在していることを美紀は知っていた。柏弟も、確かに薄情なようにも思えるけれど、彼にとって男友達は園児の時から変わらない存在で、信頼しているからこそ彼女ができたら彼女を優先できるんですよね。この兄弟がろくでもない奴じゃないと長年信じてきた千秋と美紀は、周りに流されない情が深い人なんだなぁと。だからこそ、その2人がやっとの思いでくっついた時は本当に嬉しかったです。自己完結するのではなく、周りを頼れるようになったことも。恋愛面以外にも、思春期の複雑な感情が鮮やかに描き出された作品だったと思います。
第3巻、最終巻です。
高校生BL。でも初々しくもなく、甘酸っぱくもなく。
青くもなく、春でもない、でもやっぱりアオハルなセーシュン。
この第3巻はバタバタと事件が起きて怒涛の展開。
千秋(テル)に好きだって言ったミキ。
でも言われた途端テルは逃げて。
彼女を大事にする柏弟とも友達とも距離置いて。
…って離れたり。
また告白してくっついたり。
柏兄が遂にミキの動画見て今までのミキの事全て分かったり。
ミキが他校の不良(ホモ)に狙われたり。
テルが助けに行ってボコられたり。
そのテルを助けるためにミキが柏弟を呼んだり。
柏弟とテルがまた連めるようにミキが身を引いたり。
柏弟が遂に彼女よりテルを取ったり。
なのにすれ違うミキとテルは、感情の赴くままに本音をぶつけ合う。斬りつけるみたいに。
なんで柏兄あのビルのこと教えた?
ならお前だって俺に柏弟を呼ばせたよな?
……
気まずく別れたけど心は裏腹。でも今度は柏兄弟がミキとテルの背中を押してくれる。仲間たちが2人を応援してくれる。
ラスト、もう一つハラハラがあります。も〜一体どうなんの⁈っていうドキドキ!
野良犬を飼いたいミキ、近づきすぎると離れる野良犬のテル。でも最後2人は一緒に生まれた仔犬みたいに泣いてじゃれあって。そんな2人のスタイル、それがDOG STYLE。
2巻に引き続きエッチシーンから始まる3巻(最終巻)。このエッチは本当にお勧めしたい。すっごく楽しくてすっごく幸せで、思いっきりエロい。「一緒にいると楽しい」という二人のエッチも、本当に楽しそうで相性ピッタリなんですよ。なのにその後の「好きになっちゃった」の告白に、テルはしっぽを巻いて逃げだします。やっぱり本仁作品は一筋縄ではいかないのです!!
セリフにもモノローグにも大好きなところが沢山あるんだけど、なぜかとても心に残っている台詞は「俺どうなんの?恋人?」「答えは『クダラネー』だ」というやり取り。ミキが台詞やモノローグでテルのことを【君】と呼ぶときに、一人称が【僕】に変わるのも大好きです。
その後、柏兄弟を絡めて複雑に拗れてゆくテルとミキ。「一緒にいたい」とか「来てくれてうれしい」という気持ちが、友情なのか恋なのか。そんな境界なんてないのか。曖昧な中から導き出したそれぞれの答えに後半は泣きっぱなしです。
いい年をした大人になってしまうと、ヤンキー同士の抗争とか、熱すぎる友情や恋なんて、不器用すぎて照れくさくて、そういうのを「大好きだ」なんて言うのはとても気恥ずかしいのだけど、グイグイ惹きこまれて、読むたびに泣けるんだから「大好きだ」と言うしかありません。
躍動感があって映像を見ているような作品ですが、最終話の演出は特にすごいです。コマ割り運び、構成、すべて完ぺき。本仁先生は名監督だと思う。
この作者さんの作品は初読みでした。
最初はなぜこんなに評価が高いのだろう?と思って読み始めました。絵は確かにきれいだし、ところどころ映画のワンシーンのような印象的なカットもあるけれど、お話としてはどうなんだろう?と。
語り口が独特で、とても個性的。
そこはいいけれど、ただこのままよくある青春ストーリーで終わるのかなぁ?とも。
序盤はごく軽く。読み進めていくうちに語り口の独特さにも慣れ、お話も少しずつ深くなっていき、気が付くと感動のラストまで引っ張られていました。
引き込まれていっていることにも気づかせないで、いつのまにか感動まで引きずり込むって何!?あくまで軽く、ものすごく繊細に気を使いながら、ふんわり空気のように優しくラストまで運ばれてしまった。こんな読ませ方があるのか!
話の筋も個性的でした。どこにでもあるお話ではなかったです。
そういう独特さ・個性はきっと、絵にも表れているような非常な緻密さからきているのではないかと思いました。
「線とは連続した点である」と思い出させるような、密すぎて点から面になるほどの緻密さ。この人の絵は、線が面に見える。一つの線に込められた点が密すぎて。
それは、絵だけでなくストーリーにも同じ印象を受けます。一つのセリフにたどり着くまでにいったいどれだけの時間と手間をかけたんだろう。軽口の一つまで、つるっと考えて出てきた言葉ではないんじゃなかろうか。たとえそうだったとしても、それを採用するまでかなり練ってある気がしました。
しかもそれが全く主張しない。
・・・なんというか、職人さん、という気がします。ものすごい技術や手間を主張することなくそっと作品に忍ばせて、仕事だから当たり前、という感じ。この作者さんはものすごく謙虚な方なのでは?と勝手に想像してしまいました。
そんな職人さんがさりげなく技を込めた作品、という印象。
これがいい作品でないわけがない。当然、逸品でした。
素晴らしい!
たくさん萌たし、胸のズキズキも痛気持ちいい感じの第3巻です。
Hで始まるテンションが上がる冒頭。
そしてついに美紀の告白。
で、逃げるテル。あらら、狂犬は一筋縄ではいきませんね~。
実はテルが逃げるのには「いつか飽きられるんじゃないか」という思いからの逃げでした。
本当は美紀のことがすごく好きだから、もし飽きられたりしたら、立ち直れないですもんね。
なかなか素直にことが運ばない二人ですが、
最後にはそれぞれ柏兄弟との関係にも決着がついて、
周りの友達の後押しもあって、めでたしめでたしでした。
・・・友情っていいな!