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最近、SHYノベルス様って作家性を大切にされるレーベルだよな~とうっすら気づき始めました(個人的な解釈でしかないのですが)。本作はとても杉原イズムにあふれる作品でした。評価ちょっと低いかもしれませんが、読み終わった私の温度感がそんなに高くなかったせいです。おそらく今年一番の寒さのせいかもしれません…。でも地味に好きでした。
雑に説明すると、家族の結婚式で再会した従兄弟同士が、あの記憶はやっぱり恋だったんだよねーにたどり着く行程です。個人的に今市子先生の「いとこ同士」も好きなんです!いとこ同士ってロマンありますよね!
杉原先生の描く男性ってちょっとリアルというか、まぁまぁ狡かったり煮え切らなかったり、わかりやすく”いい男”ではなくて、ゲイでもないので(しかも恋愛体質でもないんですよね~)、”本当に無事にくっつくのかしら…?”というハラハラ感があるんですよね。が、個人的にはこのじれったさが萌だったりします。親戚同士ということもあって、他の家族への後ろめたさを感じているところとかは、”体面を重んじるあまりに別れるんじゃないの~!?”とドキドキしちゃいます。あと、たぶん私はいまだに!”男同士なのに…”で葛藤する気持ちにも萌えるんです。
すでに他のレビュアー様が指摘されていますが「でも欲しかったんだ」は、私もぐぐぐっときました。「淋しいだけじゃ、俺は人を好きにならないよ」とか、口説くほうは確信を持ちながら消極的でグイグイいきません。それがまだじれったい(2回目w)。2人の会話には、そんなに甘さがないんですが、そのシンプルな言葉のなかに、身悶えするような切実な感情を読み取ってしっぽりできる、秋の夜長にぴったりな恋愛小説だなと思いました。
開始後早々に既視感を覚えて、あれ?!これもしかして読んだことある?と思わず自分のレビューを確認してしまったほど、杉原さんらしさに満ちていると思います。
(結局未読だと判明したけど)
静かに淡々と、溢れそうで溢れない表面張力ききまくりな感じ。
そしてある日、もう相手のいない世界は考えられない事にふと気づく……というじわじわの真骨頂みたいな。
こちらの作品は、幼い頃から毎日一緒だったけれど、高校に入った頃から疎遠になっていた従兄弟同士が久しぶりに再会して……というお話。
幼い頃から自分の胸に立ち上っては消える淡い感情はなんだったのかと、昔の記憶を辿りながら少しずつ少しずつその輪郭が見えてくる様子が受けの理也視点で描かれています。
私は「茹でガエル」を思い出しました。
水から入れてじわじわと温度を上げていくと、カエルは温度変化に気づかず、生命の危機を感じないまま茹で上がり死んでしまうという俗説。
一緒にいた頃には気づかなかったけれど、攻めと再会してあれこれ思い巡らすうちに、かつてのあれは恋で、今も恋の只中にいるんだとようやく気づいた時には……と。
だけど一度は逃げちゃうんですよ、理也が。
肉親への後ろめたさに怖気ついて別れを決めるんです。
別れを告げられても「わかってる、そういうことを一生耐えろって俺にはいえないから。いいんだよ。」と許すんです、攻めの高成は。
恨みがましいことは一切言わないし、責めない。
そして、「(手に入れようなんて思わずに高校生のときみたいに)あきらめておけば良かった……」とこぼした後での「でも、欲しかったんだ。」という呟き。
ここがね、本当にグッとくるんです。
理也を求めてやまないけれど、従兄弟だからとその想いに封をし続けてきた高成。
そして理也を思うからこそ、一度は手に入れたと思えた理也を手放す高成。
高成はどんな時でも声高にならず一見淡々としているんだけど、ときおり静かな情熱が見えるんです。
そんな彼が言う
「でも、欲しかったんだ。」
ここが、本当に切なくて心がギュッとなります。
一度別れた理也だけど、結論を出すんですね。
「離れても苦しい、一緒にいても苦しむかもしれない。それならば一緒にいたい。」と覚悟を決めるんです。
それに対する高成の答えがこれまた萌えました。
捻りとか派手とかそういうスペクタル感とは終始無縁ですが、丹念に心の軌跡を追えるからでしょうか、満足感が高いです。
私も幼少の頃ほんのりとした初恋の相手がいとこだったので、よく遊んだ従兄弟というのが妙にツボだった作品です。
杉原先生らしい作品を読み返したくなって、久々に読みました。
初読みの時は、さらりと流していたお話でしたが。
読み返すとなかなか面白い。
従兄弟、義従姉妹、姉、義兄、職場の友人、職場の後輩(女)などなど。
身近な人たちとの関係が、複雑に絡み合って綴られています。
姉の結婚式がきっかけで再開するところから始まるのですが。
こういう冠婚葬祭って、親戚つきあいや友人つきあいで少々疎遠になっていても、再会するチャンスでもあり、再会せざるをえない場面でもあり。
良くも悪くも人と人をつなぎますね。
このお話には二つ好きな部分があって。
一つは「同性愛」への心の葛藤がしっかり書かれている事。
同性と付き合うと、どんな事が起きるのか、どんな事が懸念されるのか。
一生隠すのか、カミングアウトするのか。
異性愛とはまた違う、様々な現実が押し寄せてくる。
そんな、気持ちだけではどうにもならない現実部分がとても好きでした。
もう一つが、主人公と関わる沢山の周囲の人々です。
親代わりだった姉の存在はもちろん大きいですが、職場の友人と後輩などが、しっかりと生活の中に登場します。
人はひとりでもないし、恋人とふたりきりでもない。
親がいて、兄弟がいて、友人がいて、学校や職場や近所の人間関係があって。
結婚などの出来事は、周囲との関係を変化させたりします。
そういう自分や周囲の少しづつ積み重なる変化が、読んでいて強く共感しました。
最後のやりとりだけが、個人的にはちょっぴり物足りないのですが。
それでも、このお話の杉原先生らしい萌え要素たちは、そのまま自分の萌えでもあるので。
杉原先生をあらためて好きだなぁ、と思いました。
小さい頃から共に過ごした、同い年の従兄弟同志の高成と理也。
高校に上がった頃、互いにほのかな思いを抱いていた故に疎遠になって10余年。
27歳になった二人は理也の姉の結婚式で再会し、
共に過ごすうちに互いへの思いがまた湧き出てきて……
6月の結婚式の日から、クリスマスに彩られた12月まで、
時折過去の回想を挟みながら、物語は進む。
高校生の頃、次第に離れていった高成に、寂しさを感じていた思い。
再び出会って共に過ごす時間の心地よさ、独占欲、互いに触れる快さ、
でも、一方で男同士で従兄弟同志で……拭えない不安。
「普通の従兄弟同士に戻れないか…」と告げる、理也。
とっくに覚悟をしていて、受け入れる高成。
理也の姉や同僚も含めて、出て来る人は皆心優しく穏やかな普通の人々。
そんな中で淡々と物語は紡がれていく。
全体に切なく悪くない話だと思うのだけれど、イマイチ弱いかなぁ……
タイトルも「記憶」だが、小学生の時代のエピソードが光っている。
二人で泥水の池に浸かって、我慢出来なくなった理也がお漏らしをするシーンは
なんともエロティックで、二人のきずなを感じるエピソード。
夜道で手をつないで星を見て歩きながら、
高成が、今見ている星の寿命に思いを馳せて怖くなる話は、
人となりを伝える、物語の雰囲気にあったエピソードだった。
地味な作品です。
一番印象的だったのは幼い2人が池に入るとこでそこでお腹を冷やした理也が尿意をこらえるシーンとその後の放尿シーンですな、なんかこれが妙にエロティックなんですよ。
シスコン気味の理也[受]と、微妙に家族内で浮いている高成[攻]、でもどちらもトラウマとかそういうレベルのモノではなくてあえて言えば程度のモノ。
子供の頃よく一緒にいた、従兄弟の2人がまたよく会う様になって、気付いたらくっついてたって感じの話です。
何が起きるって訳じゃなくて淡々と話は進む内に自然にくっついてました。
山田ユギさんの挿絵がちょっとのエロなのになんかエロいー。